金沢文庫店近くのサイゼリアで、いつものランプステーキとシーザーサラダを食べている時のことです。隣のボックス席に入った家族づれのお父さんが、オーダーの際に小学生の坊やに「で、じゃなくて、が」と言っていました。思い当たる人は多いと思います。その子が「シーフードドリアでいい」と言ってしまったことをたしなめていたのです。



枯れ尾花、光る季節。

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ぼくは何かを選択するときには徹底して「が」です。そして、思えばうちのお客様たちも「が」で、これまで「じゃあそのプランでいいです」と言われたことほとんどはありません。それが大人のたしなみなのかもしれませんけど、ぼくとしては「で」と言われるような程度の提案をしないという自負があり、「で」と言いずらい雰囲気を全身から発して、少々追い詰めてしまっているのかもしれません。だとしたら、それはそれでいかんことだと思っています。



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「が」主義。ただしこれには例外があります。いい具合に枯れ味を出しているご婦人に「で」を使われると、もうなんだかありがたくて。その「で」に報いるために、その後の行程に思い切り力が入ります。



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港南台高島屋の地下売り場で「あなた、コロッケでいいわよね。その北海道男爵のをふたつちょうだいな」と、身形美しき老夫婦がにこやかに。



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散々「が」で頑張った結果、豊かな「で」に囲まれて暮らす幸せ。ぼくもこのまま「が」を通して、いつかはそんな、上質にして穏やかな日々にまでたどり着きたいものです。



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身の丈をくずさず風の枯れ尾花
田中文治





今日は港南台店にいます。