悲劇もあれば喜劇もあり、ホームドラマも、ホラーやサスペンスも。ああ、今年もいちいちドラマチックな日々だった。



見上げると希望が湧く件。
気道が開いて新鮮な空気が取り込まれ、
瞳が開いて光を感じ、
背筋が伸びて気合が入る。


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「いわふちさんって変わってますよね」と、その女性は善意と賞賛の意味で言ってくださった。「いやいや、ぼくはいたってノーマルです」と返したが、瞬時にそうじゃないと言う声が聞こえて来た。他の誰でもないぼくの声だった。



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変わっているのかいないのか、そういうことを仕事上の基準にしたことがないままに。ただただその時点で自分が提供できる最善の庭を思い描き続けて来て、ある時立ち止まって周囲を見渡したら未開の地にポツンと立っていたのだ。ミーアキャットのような、あるいはヘッドフォンをしたウォークマンの猿のような風情で、荒野に立つ珍獣の図である。



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未開だから開拓するのみ。



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未開だから地図がなく、庭とともにそれも描く必要があった。



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「心の羅針盤を信じるのだ」とシンドバッドが励ましに来ることがある。彼はいつも空からぼくの様子を見ているらしい。



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「心のままに」、マザーメアリーも庭に降りて来る。



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啓示はいつも上の方から聞こえてくるのだ。



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未開の地には魔物も多い。百鬼夜行に魑魅魍魎、化け物どもが待ち伏せている。



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とても嫌な気持ちになることがある。化け物が吐く毒霧に当たってしまって、うずくまり、じっと回復を待つしかないことが。



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しかし幸い、概ね上々にことは運んでゆく。庭を飛び交う鳥や虫や天使たちが、地面の花と芝生とそこを駆け回る犬たちが、いつも変わらずぼくを仲間に入れてくれるからだ。



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おやおや、また悪魔がやって来た。本来は旦那にぶつけるべき愚痴を吐き出しに来たのだ。きっと旦那さんは艱難辛苦を乗り越えて、その毒霧を受け付けない術を身につけたのだろう。ぼくは一見柔らかそうだし、サンドバッグの代用品に向く性質を備えているのかもしれない。



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あれあれ、また違うのが来た。ツェねずみ(宮沢賢治作)だ。またもやほらほら、「私のような弱者になんという意地悪を。まどうてください、まどうてください(償ってください)」と繰り返している。やれやれ。



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わっ、今度はラスボス、ヤツの登場。いつも抵抗を試みるも勝った試しがない最強の堕天使である。
愚痴魔王、ツェねずみ、ラスボスらに「お願いだから邪魔をしないでくれ」と何度も追い払ったが、そんな提言を聞き入れる相手ではなく、決まってその毒霧をなすすべなく浴びる羽目となる。シオシオのパーだ。



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問題は波動だ。波動と言うとスピっぽいのでバイブスでもいいし、ノリとかフィーリングとか、気合いとか、そういう類のぼくの内面にある黄金世界( Heart of Gold )にできた隙間に魔物どもが付け入ってくることを、ぼくは気づいている。
波動を高く維持すべく、珍獣は折々に、空を仰いで首をコキコキ鳴らすのだった。



ポカーンと口を開けて見上げていると、
ロックンロールの神様がオンステージの出囃子にしていた
『ツァラトゥストラはこない言わはった』が始まる。
エルヴィス・プレスリー降臨である。


 

 ツァラトゥストラとは、ニーチェが書いた物語の主人公。
十年間、山で修行を積んで得た知恵を人々に広めようと、
 旅をしながらその思想を説いた人物。