子どもの頃、お絵描きをすると花マルってもらったじゃないですか、赤鉛筆の一筆書きで、お日様ぐるぐるの周りを花びらが囲んでいるやつ。それが幼心にとってもうれしくて、調子に乗って絵を描きまくった記憶があります。ぼくは無口で地味で引っ込み思案な少年でしかたら、お絵かきの花マル以外にあまり評価を受けた記憶がなく、だから人一倍うれしく感じたのだと思います。そのはなまるのご利益か、今はこうしてお絵描きで暮らせるようになりました。よく「ほめて伸ばせ」と言われるように、ほめの効果は絶大なものです。



ウメもバラも、何の花であっても
ほめるとよく咲く、
という現象は確かにあります。


DSC01882



この「ホメホメ大作戦」がここ10年のトレンドだったわけで、あっちでもこちでもほめろほめろと言われたり書かれたりしてきたわけです。どころがです、健康法やダイエット法と同じで、流行ると必ずアンチテーゼが出てきます。リンゴ、バナナ、納豆、古くは紅茶キノコ、最近だと炭水化物抜きダイエットとか。ぼくなんかすぐに乗っちゃってですね、炭水化物抜き、やり出すと何でも夢中になる熱中症なもので、あっという間に7㎏減となりました。こりゃあ効果てきめんとよろこんだところに「血管系の病気になりやすい」とカンカンカンと警鐘が鳴り響きまして、おまけに大阪で、それが原因と思われる重大な交通事故が起こったものですから、はい、ダイエットはそこで終了となったわけです。考えたらバランスが悪い食事で体重落としたらどこかしらおかしくなりますよね、と遅ればせながらの当たり前な結論に達したのであります。



DSC01893 2



もうひとつ、オキシトシンもそうでした。いわゆる幸せホルモンのひとつとされ(母乳をあげている時や、人や動物との触れ合いによって分泌される)、愛情の源でありストレスを緩和し体調が整い社会性が高まり云々と、万能薬扱いだったのが、ここに来て過剰な分泌が排他性と攻撃性を高めて、モンスターペアレントやコミュ障の原因になると、正反対のことが言われ始めました。これらは「わが子を護りたい」という母性の高まりが、思考よりも感情側に出てしまったがゆえのことなのでしょう。また自分に対して好意的に振る舞う人をむやみに信じてしまう傾向があり、正常時ならあり得ないような詐欺被害にあったり、どう考えても怪しい団体に引きずり込まれたりしますのでご注意ご注意です。



DSC01889



何事も程が大事なわけです。で、「ホメホメ作戦」ですけど、これもこの頃、その弊害が言われています。要約するとですね、ほめないと何もしなくなる。さらに進むと、以前ほめられていたことがほめられなくなった場合に、目標というか、気持ちの拠り所を失って無気力になったり、何でほめてくれないんだと欲求不満に陥って突然切れたりするとのこと。それとほめられ癖でバランス保って育った人は、男性の場合はマザコンに、女性の場合は怪しいはなまるマーケットな人たちにまんまと騙されやすなど、アンチとなれば怒涛のごとくな状況となりまして、これまた当たり前ですけど、ほどほどの、という結論に至った次第です。



DSC01902 2



トレンドと離れて経験則で言うならば、本当にほめたい時にだけほめて、つまりはほとんどほめずに、本人に自分で自分をほめるたくましさ(自己肯定感)を持たせるのがベストなんじゃないかと。かく言うぼくなんかですね、女房をはじめ、他の家族も、職場でも、誰もほめてくれないもんだから、毎晩庭に出ては、よっ天才!あんたはエライ!あんたが大将!いやあ大したもんですなあ!と、自分をほめてほめてほめちぎって、明日の設計への自信を捻出しているのであります。



DSC01901 2



とてもありがたいことに、お客様だけはいつもいい具合にほめて伸ばしてくださるのでそれでいいんですけど、とは言うもののぼくの場合、花マル効果が出やすい体質にして慢性的にほめられ不足につき、弊害の心配はございませんので、もっともっとバランス欠いてひっくり返るくらいほめていただけると、神がかり的な才能が開花すると思っているのですが。
特に女房殿、年に0.5回じゃなく朝昼晩と日に3回とか、どうぞご遠慮なさいませんように。ぼくの才能開花はあなたの幸福に直結するのですからにして。





今日は金沢文庫店にいます。