ではみなさんは、そういうふうに川だと言われたり。乳が流れた跡だと言われたりしていたこの白いものが、本当は何かご存知ですか。



宮沢賢治の物語には頻繁に鳥や小動物が出てきます。
ことに鳥は、70種類以上登場しているそうです。
賢治の暮らしぶりや、自然への視線が感じられますよね。
ではそういうことが当時の人たちの
スタンダードだったのかといえば、さにあらず。
鳥に興味を持つことなど、彼が世間から称された
木偶の坊に典型的な行為だったわけです。
 今はどうでしょう。
あまり変わっていないかもしれません。
みんさん忙しくて、鳥どころではないですから。
どうでしょう、パソコンとかお掃除ロボットとか、
いろんなことが便利になったことに比例して
忙しさは増したような気がするのですが。
ぼくはといえば、生来の木偶の坊気質捨てがたく・・・
今年出会った野鳥を並べてみます。

メジロ

メジロ



カンパネルラが手を上げました。それから数名も上げました。ジョバンニも手を上げようとして、急いでそのままやめました。たしかにあれがみんな星だといつか雑誌で読んだのでしたが、この頃はジョバンニはまるで毎日教室でも眠く、なんだかどんなことも、よくわからないという気持ちがするのでした。



カルガモ

カルガモ



先生は星図を指しました。

このぼんやり白い銀河を大きないい望遠鏡で見ますと、もうたくさんの小さな星に見えるのです。ですからもしもこの天の川が本当に川だと考えるなら、その一つ一つの小さな星はみんなその川の底の砂や砂利の粒にあたるわけです。またこれを大きな乳の流れと考えるなら、もっと天の川とよく似ています。つまりその星はみな、乳の中にまるで細かに浮かんでいる脂油の球にもあたるのです。
そんなら何がその川の水に当たるかといいますと、それは真空という光をある速さで伝えるもので、太陽や地球もやっぱりその中に浮かんでいるのです。つまり私供も天の川の中に棲んでいるわけです。そしてその天の川の水の中から四方を見ると、ちょうど水が深いほど青く見えるように、天の川の底の深く遠いところほど星がたくさん集まって見え、従って白くぼんやり見えるのです。
はい、では今日はここまでにして、続きは次の理科の時間にお話しします。今日は銀河のお祭りですから、みなさんは外へ出て、よく空をごらんなさい。



キジバト

キジバト



ジョバンニは銀河祭りにはいかず、いつもの植木屋に立ち寄って畑に並ぶ庭木の形を整える手伝いをしました。少しお金がもらえたし、将来は庭をつくる職人になりたかったのです。
作業を終えたジョバンニは走って家へ帰り、具合が悪くて長く寝込んでいるお母さんのために、今度は牛乳屋へとお使いに出かけます。他の子たちがはしゃいで駆け回っているのを横目で見ながら祭りの場所を通り過ぎ、少し汗をかいたので、丘の上の草むらに寝転がって天の川を見上げました。

なぜみんながぼくをからかうんだろうか。遠くの海に漁に出ているお父さんのことを刑務所に入れられているんだと言うし、お父さんが買ってきてくれるって約束したラッコの上着のことも、みんなが囃し立てる。いじめっ子のナゼリなんか、走る時はネズミみたいなくせして、みんなの前ではいつもぼくをばかにする。でもカンパネルラは違う。みんなには何もそういうことを言わないけれど、ぼくをからかったりいじめたりはしない、カンパネルラだけは。



コサギ

コサギ



ジョバンニは先生の話を思い出して、こんなことを考えていました。

天の川の星々も、太陽も月もぼくらの星も、真空の中に浮かんでいる。ぼくたち人間は小さな球の上で眠って、起きて、そして働いて、ときどき火星に仲間を欲しがったりする。火星人は小さな球の上で何をしているのかぼくは知らない。でもときどき地球に仲間を欲しがったりする。万有引力とは引き合う孤独の力なんだと思う。宇宙は歪んでいるから、みんなは求め合う。みんな不安だから、ひとりではいたくないんだ。

二十億光年の孤独に、ジョバンニは思わずくしゃみをしました。

お父さんもきっと孤独なんだと思う。お母さんも、カンパネルラも、真空の中で孤独だから孤独なぼくによくしてくれるんだ。きっとそうだ。



シジュウカラ

シジュウカラ



遠くの空で汽笛が鳴りました。銀河祭りの空から汽車がみるみる近づいてきて、ジョバンニの前で停車しました。一瞬、家で待っているお母さんのことを思いましたが、とても不思議な引力のような力に引っ張られて乗り込みました。
車内は空いていて、黒い別珍の座席に腰掛けると、同じ車両にカンパネルラの姿を見つけたのです。ジョバンニはほっとして、うれしくなって、二人が夢中で話している間にまた汽笛が鳴り、車掌が吹く笛の音を合図に汽車は銀河に向かって動き出しました。



ツグミ

ツグミ



とても長いような、短いような、時間のことがよくわからない汽車の旅で、不思議な鳥捕りの人や船で遭難した人たちに出会い、いろんな人生と、その終わりのことも知りました。そしてジョバンニは、本当の幸いってなんだろうかとそのことばかりを考えるようになり、この夢の中にいるような出来事を、それを探す旅にしようと決めたのです。
決心をとなりに座っているカンパネルラに打ち明けました。

カンパネルラ、ぼくはみんなの、お父さん、お母さん、友だち、いじめっ子のナゼリ、そしてぼくたち、みんなの本当の幸いを探しに行こうと思う。

それはいいことだね。

よかった、カンパネルラがそう言ってくれるなら勇気が出る。カンパネルラ、ぼくと一緒に白鳥座もさそり座もわし座も越えて、どこまでもどこまでも一緒に行ってくれるかい。

もちろん。

カンパネルラは約束してくれました。



ヒヨドリ

ヒヨドリ



孤独と孤独が引き合って、孤独な星から孤独な真空の空へのこの旅は、いったいどこへと向かうのでしょう。はい、では今日はここまでにして、続きは次の理科の時間にお話しします。今日は銀河のお祭りですからみなさんは外へ出て、よく空をごらんなさい。



カワセミ

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厚い雲に蓋をされている夜の庭で、晴れていても横浜では見ることができない天の川の方向を見上げて、二十億光年の孤独に、ぼくは思わずくしゃみをした。
あ、遠くの空で汽笛が鳴ったような。





今日は4時まで港南台店にいます。
夜は新宿でアンダーグラウンドな観劇。

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黒蜥蜴 原作/江戸川乱歩 脚本/三島由紀夫 演出/間 天憑
非シス人(ナルシスト)の舞台は、いつも頭をグシャグシャにシャッフルされてから遠心分離機にかけられるみたいな快感があります。
そして純度高く抽出されるのは、自分の中にある正常と異常。
ほぼ隙間なく庭のことを考えている日常を抜け出して、久しぶりに狂気の非日常を楽しんできます。
今朝の Facebook 情報によると今日はまだ少し残席があるそうなので、混沌としちゃってる方は問い合わせてみてください。