いえね、おじさんの歩き口笛の件なんですけどね、どう思います? ぼくはこれまで一度もいいなあって聞き入ったことがないんですよね。



チャリーセージは上機嫌に口笛を吹いている。
いつも夫婦揃って。

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ホームセンターの外売り場にある港南台店にいると店の外には絶えずお客様が歩いていまして、そうですねえ、三日に一度くらいでしょうか、何ともうら淋しいと言いますか、普段覆い隠している気持ちに触ってくる口笛の音が。その演奏者はいつも中年以降の男性でありまして、必ず音程がいいかげんで何の曲なのか判別がつかないメロディーでありまして、どうしても気になっちゃって設計の手が止まってしまうのでございます。



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おじさんの歩き口笛って、いったいどんな心理状態なのでしょう。想像するに寂しいのか、虚しいのか、何かをあきらめて空いた心の穴に吹き込む風の音なのか、何れにしても楽しくて吹いているようには聞こえなくて。あれは無意識レベルの何かのアピールなんでしょうかねえ。



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たまに子供が吹いている口笛を、親が「お行儀が悪いわよ」とたしなめているのを目にします。ああ悲しきかな、おじさんになると誰もたしなめてはくれないんですよね。口笛だけじゃなく、加齢臭と区別がつかない昭和な整髪料の匂いとか、加齢臭と思われがちな蚊取り線香や膏薬の香りとか、正真正銘の加齢臭とか、美しいとは言い難い髭とか、異様に若づくりな格好とか、異常に古風なロン毛とか、油断が堆積したお腹、あきらめに丸まった背中、意識とかい離した不機嫌顔、ご婦人への傲慢な物言い・・・。
このようにおじさんのことが気になって仕方ないのは、とりもなおさず自分がおじさん真っ只中だからでありまして、自戒であり、自責であり、ああ、ああ、悲しき口笛を吹きたくなるのです。



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そんな日々の中、一昨日とてもうれしいことがありまして、たまたまライブのボックス席でご一緒したクリスタルケイのおばあちゃま(ママさん)から「いわふちさんはまるで恵比寿様みたいな方ね」と。レジェンドからのお言葉に光栄の至りでますます恵比須顔になったぼくでしたが、女房はすかさず「いえいえ、家ではそんなことないんですよ」と、あれは明らかに謙遜ではなく世の中に真実を訴える響きがありました。いいじゃないですかねえ、せっかくお褒めいただいたんだからいい気になっちゃえば。
恵比寿様・・・・、ママさん、そのお言葉を宝物にしておじさん期をにこやかに進みます。おお、そういえば実家の神棚に祀られているのは恵比寿様でした。こりゃあますます恵比須顔でまいらねば。



ご同輩、諸先輩方、口笛吹くならこのくらいのクオリティーで。
渋い顔して、哀愁で勝負できる自信がおありなら、ですが。

 





今日は金沢文庫店にいます。