一昨日「忙しい時こそお散歩を」ということを書きました。それはバランス調整という意味で。
ところがだんだんお散歩だけでは仕事と反対側の分銅が足らなくなってきて、昨日、設計のお礼にとお客様から頂戴して大事に取ってあったクーポン券を使い、前々から欲しかった本を7冊まとめ買い。これははたして良いことなのか、あるいは現実逃避という、いけないルージュの魔法の誘惑に乗ってしまったことなのか。もしかしたら期末テストの前になると、勉強以前に無性に部屋の掃除をしたくなるアレかもしれません。いつも教科書まではたどり着かず、されど掃除をし終えた達成感と爽快感でけっこう上機嫌になってテストに向かう体たらく。まあ気分がよくなるんだから悪いことじゃないですよね。忙しい人ほど本を読むと申しますし、気分がいいこと以上にいいことはないわけですから。
とはいうものの、さて、読みたい誘惑で気が散りそうな・・・いやいや、読みたくてウズウズする本が手元にあることによるニンジン効果で設計がはかどるのです。とは・とはいうものの今にも天秤が本側に傾げそうで・・・。とは・とは・とはいうものの、夜の庭時間までグッとこらえて。



逃げろっ!

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逃げ続けなければ生きていけない。
優しくなければ生きている資格がない。



ポールもウィングス時代からずっと「俺たちは逃げまくる」と歌い続けています、世界中のコンサートで毎回必ず。きっとそれがポールにとって欠かすことのできないエチカ(論理・哲学)なのでしょう。それは逃走ではなく熱き革命分子の闘争。変革は混迷の現状を打破することから、現在の殻を突き破って突っ走ることから始まるのです。
かつてインタビューで、ジョンは「生まれ変わったらエルヴィス・プレスリーになりたい」と言い、ポールは「バッハの左手になりたい」と言いました。左手と限定したのはサウスポーだったポールが音楽を学ぶ上で、ひどく不自由を感じていた時に聴いたバッハの概念に感動し、救われたから(やはりサウスポーの坂本龍一も、バッハとの出会いで同じ経験をしたそうです)。ピアノを筆頭に楽器の多くは右利き用にできていて、作曲のセオリーも同じく右利き、右手でメロディーを、左手で和音をというのが彼の周囲にある楽曲のスタンダードでごく当たり前の組み立て方でした。しかしJ・S・バッハだけは違った。左右に優劣をつけることでは成し得ない、右翼も左翼も総動員させた音の理想社会を奏でていたのです。これこそが、平均律の確立と並んでバッハが成し遂げた偉大な革命でした。





四方を壁に囲まれた牢獄に送り込まれて
気の遠くなる歳月が過ぎた
誰にも会うことができないってどんな気持か
想像できるだろうか
もう再び会えないのかもしれない
いとしい君にも ああ 母さんにもって思うことが

もしここを出ることができるなら
俺の持ってるものの何もかもを
慈善団体に寄付したっていいと思っている
俺には酒がたった一杯だけあればいいんだ
もしもここを抜け出せたらね

やっとの思いで牢獄から外に出たら
チッなんてこった
アマテラスは隠れて土砂降りになっちまった
でも先頭のヤツがびしょ濡れで次の仲間に言う
なあ、最高の気分だな!って

俺たちバンドは逃げる
俺たちバンドは逃げまわる
看守や船乗りのサムは
脱獄した俺たちを探しまわっているようだ
俺たちバンドは逃げる
俺たちバンドは逃げまくる

俺たちは指名手配中
葬儀屋は大きなため息だ
誰も来ねえし姿も見えねえって
村の広場ではけたたましく半鐘を鳴らして
俺たちうさぎの逃走劇を知らせている

俺たちバンドは逃げる
俺たちバンドは逃げまわる
看守や船乗りのサムは血相を変えて
脱獄した俺たちを探しまわっているぜ
俺たちバンドは逃げる
俺たちバンドは逃げまくる
 
俺たちバンドは逃走中
逃げおおせた頃には夜が更けた
街じゃあちこちを探しまわっているだろうが
俺たちは見つかりやしないぜ
俺たちバンドは逃げる
俺たちバンドは逃げおおすよ
俺たちを捕まえられずに
州の裁判官もさぞかしきやしがっているだろう
そしてきっと言うよ
やつらを必ず探し出せってね
俺たちバンドは逃げる
俺たちバンドは逃げまくる
俺たちバンドは逃走中
捕まってたまるもんか



ちなみに今回の闘争的逃走先は次の7箇所。
「戯れの魔王/篠原勝之」「天才/石原裕次郎」「わたしを離さないで/カズオ・イシグロ」「ダ・ヴィンチ・コード/ダン・ブラウン 上・中・下」「ロング・グッドバイ/レイモンド・チャンドラー(訳:村上春樹)」。七つのアジトを転々としながら七つの顔を持つ男となって年を越す。
ふっ、カダフィーみたいなドジは踏まねえ。でもとうとうエントロピーの追っ手に捕まっちまった時のセリフは決めている。無粋にも、コーヒー色の美女たちとマリファナをやっている最中に押し入ってきた、親米バチスタ軍の兵士に取り囲まれたゲバラの辞世を、そのままパクるのだ。「俺だ俺だ、チェ・ゲバラだ。殺すな殺すな、殺したらもったいないぞ」と。そして真珠の涙を落とす美女の腕の中、虫の息でこう続ける。「さよならは別れの言葉じゃなくて、再び会うまでの遠い約束。それまで、ロング・グッバイ。右向いて左向いてバイちゃバイちゃ」ってね。