早朝、現場へ向かう道すがら、農家みたいな風情の庭の木陰に隠れるようにしているのを見つけました。コウテイダリア、今年お初です。



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動乱の嵐に巻かれて孤高の皇帝たちが次々倒れ行く中、したたかに、寄らば大樹で生き残り、ここぞとばかりに咲き誇る姿麗し。



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家康的だなあ。
家康が有名な健康オタクだった訳は、五歳年上の秀吉よりも長生きすることに天下取りの目を見出していたからだと言われています。意識がその一点に向かっていたから戦仕事を無難にこなしつつ、織田が餅をつきは羽柴がこねている間、不条理な扱いにもカッカすることなく耐えてその時を待った。ついに秀吉がこの世を去るや一気呵成に関ヶ原で勝利し、大坂夏の陣・冬の陣で豊臣家の息の根を止め天下人に。さらにその後264年も続く天下泰平の基礎を築き上げてから人生を終えました。



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人の一生は重き荷を背負いて遠き道を行くが如し、急ぐべからず。しかしただ忍耐していたのではなく、狸親父とあだ名されたように大樹の影に身を置きつつも、時には人が変わったように先陣を切って見せ、かと思えばのらりくらりと時間を稼いだりと、その都度都度の虚心坦懐な分析力とポジショニングのうまさが光る人だったのであります。



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そんなことを思いながら道路から見上げてパシャパシャ撮っていたら、パジャマ姿の家人が庭から声をかけてきました。一瞬、盗撮をとがめられるのかと思いきやさにあらず、奇跡のリンゴの木村秋則氏のような笑顔にほっと一安心。

あんたあ、なんだい花撮ってんのかい。

ええ、見事ですねえ。

何本も伸びてたんだけんど、こいつが一本だけ残ったんだ。ひどかったねえ今年の台風は。庭がめちゃめちゃだったよ。倒れた奴らは刻んで転がしといた、ほら、節から根が出るじゃんか。来年は全部に支柱して盛大に咲かすから見に来なよ。

ありがとうございます。楽しみにしています。

おーいばあさん、来てみなあ。この人花撮ってんだてさあ。

はいはいと遠くから聞こえたが出てはこない。きっと朝げの支度で話好きな亭主などかまっていられないのでしょう。

お茶でも飲んでくかい?

いやいや先を急ぎますので。

そうかい、忙しんだ。いつでも寄んなよ、こっちゃあ暇で暇で庭いじりばっかやってっからさ。野菜もやってるし、春んなったら菜の花だらけでそん次はバラだらけ。ばあさんが花が好きでね、よろこぶんだよ。

江戸っ子みたいな浜っ子じいさん。花きっかけで始まる会話は気分が上がります。いい感じいい感じ、ぼくも暇で暇でと言いながらせっせと庭に出る暮らしをしてみたいものです。さながら男版ターシャみたいに。
そのためには広大な庭が必要。それと庭の野菜で朝げの支度をしてくれるばあさんが。
・・・時を待つか。