どこまで行っても楽しくできている。

食器棚にある一枚の皿。袈裟懸けみたいに薄くヒビが入っていて力を入れたら割れてしまいそうな状態で、でも気に入っているのでよく使っています。それは二十数年前に庭をやらせていただいた小林さんちのお爺ちゃんから頂戴したもので、陶芸が趣味の方でした。ぼくが提案した庭、コンセプトは「縄文人の庭」(発想はお爺ちゃんが骨董市で見つけて惚れ込んだという、庭に置いてある曰く縄文時代の壺から)をとても気に入ってくださって、仕上げが済んだ日に「これ、よかったら使ってよ。薄っすらヒビが入っているけど色が良くてね、割るには惜しいから取ってあったんですよ」と。
その方は皿と一緒に、とても印象に残る言葉を贈ってくれました。

歳をとるのは根が切れること。

若い頃は何としても咲きたいと思っていて、咲くと今度は咲き続けたいと思って、咲き終わると不思議なもので枯れるのが楽しくて仕方なくなる。お若いあなたにはまだ想像できないと思いますがね。少々ボケたり聞こえなくなるのは嬉しいこと、根がちょうどよく切れてゆくもんだから痛くも辛くもなく立ち枯れる。面白いよねえ、どこまで行っても楽しいようにできているんだよねえ。

お爺ちゃん、今もお元気ならそろそろ百歳。ひび割れた皿を手にするたびに「ありがとうございました」と、はるか東京郊外にある縄文の庭へ向かってツイートします。



冬のアジサイ。

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