今日はTube4連発です。毎朝の慌ただしい時間にチェックしてくださる常連のみなさま、よろしかったら一旦閉じて、のんびりできる夜の庭ででもお付き合いください。


シオカラのタンデム飛行。

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庭の仕事をしていてうれしいことは「いい夫婦」にたくさん出会えることです。それと同時にいい夫婦でいることの難しさと、いい夫婦を維持するための数限りない智恵を授かれることが。
ホッカホカの湯気が立ち上っている新婚さん、バリバリ働き盛りの壮年カップル、荒波を乗り越え楽園へとたどり着いた熟年夫婦、いち日いち日お互いを労わることを生きがいとして時を過ごす超ベテラン組、ライフサイクルのどの時点にあっても仲好きことは美しきかなでありまして、そんな方々から庭を依頼されることが我が至上の喜びなのであります。
そんな出会いを積み重ねながら幾星霜、ここに来て強く思うこと、それは「いい夫婦とは、いい夫婦でいることをごく普通うのことと捉えられる知性の賜物」ということ。ごく普通、普通に思いやり、普通に尽くし、普通に求め合い、普通に与え合い、普通に幸せな暮らしを二人で懸命に築いてゆく、普通じゃない努力を普通に怠らないということが可能な資質=知性、これがいい夫婦の条件なんですよね。
ここで引っかかりそうになるのいが「お互いにそれを持ち合わせていない限り仲良し夫婦は成立しない」という、神が仕掛けし厳しいハードルの存在。足をハチマキで結んだ二人三脚で、これを次々クリアすることの何と難しいことか。でも、だから、つまずいたり転けたりしながらも前へ前へと進む意思が大事なわけで、その片方がその努力を放棄した時点でラブイズオーバーのゲームオーバー。そんなことは掃いて捨てるほどありますよ。ありますけど、当たり前ですけど、主義として、ぼくは、自分から投げ出すことはしない。なぜなら恋はゲームじゃなく生きることだから(by 来生たかお)。





ここ数年欠かさず聴いている番組が TOKYO FM 『山下達郎サンデー・ソングブック』です。達郎ファン、音楽ファン、日曜の午後というスペシャルリラックスな時間のファン、たくさんのファンが支持する休日アフタヌーン版ジェット・ストリーム  or サウージ・サウダージ 的な名番組。普段はオールディーズからエイティーズ、モータウン、今となっては古き良きアメリカの達郎テイストの味の素である音源と、団塊の尻尾にしてノンポリ音楽組ギター班らしい独特な軽妙トークで楽しませてくれますが、先週と今週、そしてあと1回の来週も『納涼夫婦放談』と銘打って、竹内まりやさんをゲストに迎えての夫婦トーク 。これが楽しい楽しい!そしていつものことながら、改めて、これぞぼくが思う理想の二人三脚だよなあと思う次第です。





昭和時代とは違い、思えば遠くへ来たもんでありまして、夫婦仲の良さが芸能人に限らず職業人の必須条件となりました。その時流を見事にライドオンしたのが松任谷正隆&ユーミン、桑田佳祐&原由子、そして山下ご夫妻。
仲良し夫婦と仲悪夫婦に訪れる苦難は質量共に平等なのであります。その難関をいかにして切り抜けつつ糧にできるか、そこに幸福を築く能力が問われるわけです。

ユーミン、サザン、達郎ファンはこの点に敏感な人たちで、つまりは転けながらも立ち上がり、ハチマキを結び直して「がんばろ」と励まし合うタイプの人たちなわけで、だからライブ映像を観ても、オーディエンスのごく普通にしてとびきり素敵な笑顔に、演者の熱唱以上に感動するんですよね。

仲良きことは美しきかな。その美しさは「ごく普通」に思いやり、尽くし、受け取り、感謝することができる知性なり。幸せとは自ら築くものであることに気づくことなり。
さてさて、山下達郎1982年のアルバム『 FOR YOU 』に収録されていた『 Yor Eyes 』、これは若き日の彼が勇気を振り絞って、あるいはふたりの眩しい未来の妄想を振り絞って贈った、まりやさん宛ての渾身のラブレターソングです。





ぼくは今夢を見ている。そう、これは夢。きみのひとみに射抜かれて、いや、きみの瞳を射抜こうとしている。


おまけにどうだ、浮き足立って空を飛んでいるんだぜ。翼はこんなぼくに向けてくれる悪戯っぽい、そして真っ直ぐな君の眼差し。


ぼくはずっと冒険も掛けもしなかったから、だからひどい負けもなかった。


でも今は手をつないでいるきみの引力が、ぼくらが同じ方向へ向かっていることを教えてくれるから、一か八かって気になれるんだよ。


夢はいつか冷めるものだということは知っている。でも、なんてこったい、信じられないよ。目覚めたらそこにきみの瞳があるんだぜ。


今はそれがぼくの理由であり答えなんだ。愛してる、ぼくの夢を叶えてくれたきみのことを。


当時の達郎のポジションと風体をご存知の方には驚愕のラブソング。この曲が好きで好きで、当時青年いわふちは maxell の60分カセットテープにヘビーローテイションで録音したものを、測量機材を満載した車のオンボロモノラルカーデッキで聴きながら、土木施工管理技士として赴任していた長野県の上田周辺に点在する現場を駆け回っていました。青年は荒野をめざす。小県郡丸子町、上田市海野宿、
鹿教湯温泉、小布施、中野、諏訪、たまの休暇には軽井沢へ行きジョンの痕跡巡り。その時の純にして熱き心が蘇る曲なのです。
有難や有難や達郎様。こうして今でも、元気いっぱいだった場面の扉が開くことはあなた様が紡ぐ音世界のご利益なり。そして理想の恋愛と、理想の夫婦像を示してくださったことを感謝しています。 



このお話には続きがあります。達郎のラブレターに心酔し、自分の恋愛観及び夫婦観を決定づけられてから31年後の2014年、竹内まりやが同曲をシングルカットしたのであります。






いやはや、壮年となったいわふちは、出だしからトホホなほどに涙腺崩壊。
いい夫婦でいることは至高なり。今日もそんな人生の舞台となる庭を思い描きます。

追伸
一度や二度しくじったからって、そんなのは相手が悪かっただけのことであなたのせいではないのです、絶対に。
もう一度、いやいや何度でも、ベストパートナーを探しましょうよ。マツムシが始まった花咲く夜の庭で、ユーミンかサザンか達郎を聴きながら。
あのお、スペシャルおせっかいですけど、もしもぼくが思い描く庭がお役に立てるなら、全力で応援しますよ、いくつになっても恋をあきらめないあなたを。