釣り人が水面を見つめつつ水中の魚をイメージするがごとく、農民は作物の茎や葉を見ながら地中にある根の具合を想像します。
根、根っこ、ぼくらが普段目にすることのない地下世界で、目に見えている部分と呼応しながら同等に活動を続けている存在。根拠に乏しい、根性がない、根無し草、根気が足りない、根負け、根本的に間違っている・・・かく言う根っこの貧弱さは幸せな暮らしの根幹を脅かすことなり。逆に、根はいい子だから、性根が座っている、根っから明るいとなれば幸いなり。
ではいかにすれば健全な根っこを育むことができるのかということを園芸的に紐解くならば、そのコツは4つあります。

1、不足を感じていること
常に手のとどく所に水があれば伸びる必要がなく、根が伸びなければ茎も伸びない。

2、意欲を失わないこと
花咲く日々など無理なことだよと思った時点で根の成長は止まり、もうどうでもいいやと思った時から枯れ始める。

3、悪環境を避けること
石ころや自分が馴染めない土質を見極める。それを回避するほどに広く根が張られる。

4、闇へ向かうこと
うかつに光を求めて地上に出れば、あっという間に干からびてしまう。

葉は光の方向へ開き根は暗闇へ伸びる。地下部分と地上部分は陰と陽、それぞれが役割を果たしてこそ健全なる成長が得られるわけです。



Hello, my friend 荒れ野に根付いた雑草たちよ、
何にも咲かない冬の日は・・・

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などとベタでメタなこと言われても辛いよね、
新芽が出るかどうかもわからないまま耐えるのは。

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だいじょうマイ・フレンド、
それではエモい言葉を授けましょうぞ。
かつて種田に根を張った先達よりのみことのり。

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あるがまま雑草として芽をふく

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 雑草は雑草、かもめはかもめ、孔雀や鳩やましてや女にはなれない。
 スミレはスミレ、バラはバラ、
雑草は、雑草らしく誇らしく。
考えてもみなさいよ、あなたがスミレやバラだったら、
この環境では花咲くどころかとっくに枯れてますって。
雑草でよかった、雑草万歳ですよ、とネガポジ反転。 



昔昔のお話、すっかりデジタル化して現在では目にすることもなくなったネガフィルムは、光を当てると影部分が光として印画される仕組みでした。昭和の話なれど笑話に終わらせず、あの反転の理屈は、理科の時間に子どもたちへ伝えてほしい事柄です。そろそろ先生方もデジカメしか知らない世代となりましたが。

 
師走の出囃子三種盛り、仕上げはこの曲で。