南アフリカの森を追い出されたひ弱な猿の一群は、止む無く未知の草原へと新天地を求めて歩き出しました。そこにはサーベルタイガーなどの巨大な猛獣が我が物顔でうろつき、足元の草むらには大蛇とサソリ、上空からはワシが狙っているという命がけの逃避行。仲間の半分を失いながら生き延び約束の地へ辿り着いた時、猿たちは後ろ足で歩くようになっていたそうな。



春は夏を思い、夏は秋を楽しみに、秋は冬に備え、
冬は春のように花いっぱいにするのがコツ。

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猿が二足歩行の猿人になった理由は諸説ありますが、ひとつは命がけで手に入れた食料を家族の元へ運ぶために前足で抱えて、後ろ足で跳ねるように進んだからであると言われています。そしてもうひとつ、天敵だらけの草原ですから、自分と仲間の安全確保のためにミーアキャットみたいに立ち上がり、背伸びをして遠くまで観察する必要があったから。



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この2つの理由によってヒトへの進化が成されたとするならば、その本質とは命がけの家族愛なんですよね。猿は家族を基本単位とし、複数の家族が集って協力し合うことで食料と安全を得る習性があり、強い猿軍団は豊かな森に居座り、弾き出された弱い者たちが、その後何十万年にも及ぶ苦難の末に人間になった。今現在は天下を取ったように振る舞っている我々は、そのルーツにあった思いを失ってはいけないなあなどと、つらつらと。逆に言えば、家族を思う気持ちを失わなければ、どのような状況にあってもヒトは人間でいられるのです。思えば絶えることなく繰り返される嫌な事件の数々は、元を辿ればこのこと、愛情の欠乏にあるわけで。



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年末は家族を思う季節。かつて十数種類いた人類、マダムルーシーたち(アウストラロピテクス)が滅び、ネアンデルタルの人々も絶滅し、地球上最後の一種となってしまったサピエンスの皆様、今更温暖化などを嘆くよりも暖かな家庭で幸福を確認し合う年の瀬を。それが唯一、造物主から見放されずにこの長い旅を続けるための、最後の手段なのですから。
家庭という言葉の半分は庭なので、大掃除の際には庭の整備も怠りなきように。花咲く年越しと、花いっぱいの新年をお迎えください。



愛なき世界

ぼくを閉じ込めてくれないかな
そして日常も太陽も遮断してほしい
ぼくが孤独と二人きりで隠れていられる場所に
気にしなくていいよ
愛のない世界では暮らせないから

鳥たちが調子っぱずれに鳴き 黒雲が月を覆い隠す
はは 平気だよ
ぼくは孤独と一緒にこの場所にいる
何と言われても気にしない
愛のない世界なんかで暮らしたくないから

そう きっとしばらく待っていれば
本当の愛が微笑みかけてくる
彼女はやってくる いつになるかはわからないけど
その時には 彼女がそうしてくれたら
ぼくだって負けを認めるさ

だからそれまで放っといてくれ
ぼくが孤独と二人きりで隠れていられるこの場所には
日常も太陽も遮断してほしい
何と言われても気にしない
愛のない世界に暮らすことなんてできないから





 とまあ、『愛なき世界』という大仰なタイトルとは裏腹に、振られかけの男がすねている可愛い歌なんですけど、作者はなんとポール・マッカートニーです。曲ができあがった時、ビートルズは揉めていて解散の危機にあったそうで、ポールは「これは今の僕らには似合わないからあげるよ」と、当時付き合っていた彼女の兄、ピーター・アッシャーにプレゼントしたんだそうな。というわけで、ピーター&ゴードンの大ヒット曲になりましたとさ、めでたしめでたし。


後にポールもこっそり演っていますが。

   


メロディーもアレンジも歌詞も、とてもポールらしい曲ですよね。
Love & Peace の提唱者はジョンで、体現者はポール・マッカートニー。