宝の持ち忘れ

20年前「横浜の梅は元気だなあ」と思いました。それまで暮らしていた東京の新宿辺りで梅は暗い印象の木で、空気のせいでしょうか必ずカイガラムシがびっしりついていて、軍手をはめてこそぎ落としていたのに、横浜に来たら幹がテカテカ光って病害虫は見当たらない。環境がいいんだなあと感嘆したのでした。



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10年前「こんなに咲いているんだ」と、梅の木の多さに気づいた自分にびっくり仰天、毎年目にしていたはずなのに、仕事仕事で花どころではなかったんだなあと反省しきり。



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今はようやく散歩がてらの馴染みも増えて、行く先々で「また会えたね」などと話しかける、早春のワクワク感を掻き立ててくれる花になりました。



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環境によって、年齢によって、花の印象は変わるもの。



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お若い方々、今は興味がなく、見えているのに見えていない花の存在は宝の持ち忘れ。それに気付いて染み染みとする時がやってきますから、いろいろ大変でしょうけど、それまで家庭円満を保持してくださいね。「ああ、今年も咲いた」と顔がほころぶようになってからが本番、家族と味わい深い時間が送れるのですから。



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高齢のお客様と話していると花への感受性と愛情が強くて驚かされます。昨日も「今年は花数が少なくて心配なんだけど、老木だからでしょうかねえ」と相談を受けました。状況を聞くと土が酸性化しているようだったので、苦土石灰で中和してから堆肥を混ぜ込み耕しつつ、軽く根切りをしてみてくださいとアドバイス。庭木の花に思いを致す、こういう気持ちは歳が行くほど豊かになるんだなあと知らされます。