この頃、おばあちゃんが言ってたことを思い出すんですよ。
立水栓の相談に来られた御婦人はカタログをめくりながら、不意に話し出しました。
もう20年も前に亡くなって、法事や、実家に帰ってお仏壇にお参りする時以外は空気みたいで、特に思い出に浸るとはなかったのに。
ぼくも祖父母が亡くなって20年くらいになります。けっこうコンスタントに思い出しますよ、庭にいるときなんかに。思い出すっていうか、来てくれるんですよ、お節介なほど。ありがたいなあって思います。
庭にいる時?そうなんですか。庭にいるって、草取りとか、家庭菜園とかですか。私はお花を少しだけ。引っ越した時に、主人が張り切って作ってくれた花壇で。初めてだったんですよ、ふたりとも、お庭。そろそろ植え替えだから、次な何にしようかなあって物色に来たんです。そしたら面白そうなお店があったから。
面白そうですか。まあ、珍しいタイプの店ですよね。
ホームセンターへは時々買い物しに来ていたのに、全然気がつかなくて。
そんなもんですよ、よく言われます。庭と同じで見える人には見えるけど、見えない人には一切見えない。店の外側2メートルにそういう魔法をかけてあるんです。
ははは、楽しいお仕事ですね。
それもよく言われます。素直に「はい」と答えることにしています。実際楽しくて楽しくて、そのうちバチが当たっても文句は言いませんって、神様に誓いを立てていますから。
神様?
ええ、アマテラス。
天照大神ですか。ってことは神道ですね。
いやいやそういうんじゃなくて、毎晩庭に来てくれるんですよ、お節介なくらい、アマテラスが。
なるほど。
で、おばあちゃんはなんて。どんな言葉を思い出したのでしょう。
あなたは運が強い子だねえって、何かあるたびにそう言われて。あんまり言われるからそうなんだなあって思うだけで別に運とか考えたことがなかったんですよね。それがこの頃、わたしって本当に運が強いんだなあって思うようになったんですよ。だってほら、こうしてあなたにも会えたし。
なるほどなるほど、確かに強運の持ち主です。
だいたいこのようにして、庭の話はそこそこに楽しい時間を過ごすことが多い。だから楽しい仕事なのです。
あ、ちなみに、庭の話抜きでも大歓迎ですよ。
立水栓の相談に来られた御婦人はカタログをめくりながら、不意に話し出しました。
もう20年も前に亡くなって、法事や、実家に帰ってお仏壇にお参りする時以外は空気みたいで、特に思い出に浸るとはなかったのに。
ぼくも祖父母が亡くなって20年くらいになります。けっこうコンスタントに思い出しますよ、庭にいるときなんかに。思い出すっていうか、来てくれるんですよ、お節介なほど。ありがたいなあって思います。
庭にいる時?そうなんですか。庭にいるって、草取りとか、家庭菜園とかですか。私はお花を少しだけ。引っ越した時に、主人が張り切って作ってくれた花壇で。初めてだったんですよ、ふたりとも、お庭。そろそろ植え替えだから、次な何にしようかなあって物色に来たんです。そしたら面白そうなお店があったから。
面白そうですか。まあ、珍しいタイプの店ですよね。
ホームセンターへは時々買い物しに来ていたのに、全然気がつかなくて。
そんなもんですよ、よく言われます。庭と同じで見える人には見えるけど、見えない人には一切見えない。店の外側2メートルにそういう魔法をかけてあるんです。
ははは、楽しいお仕事ですね。
それもよく言われます。素直に「はい」と答えることにしています。実際楽しくて楽しくて、そのうちバチが当たっても文句は言いませんって、神様に誓いを立てていますから。
神様?
ええ、アマテラス。
天照大神ですか。ってことは神道ですね。
いやいやそういうんじゃなくて、毎晩庭に来てくれるんですよ、お節介なくらい、アマテラスが。
なるほど。
で、おばあちゃんはなんて。どんな言葉を思い出したのでしょう。
あなたは運が強い子だねえって、何かあるたびにそう言われて。あんまり言われるからそうなんだなあって思うだけで別に運とか考えたことがなかったんですよね。それがこの頃、わたしって本当に運が強いんだなあって思うようになったんですよ。だってほら、こうしてあなたにも会えたし。
なるほどなるほど、確かに強運の持ち主です。
だいたいこのようにして、庭の話はそこそこに楽しい時間を過ごすことが多い。だから楽しい仕事なのです。
あ、ちなみに、庭の話抜きでも大歓迎ですよ。