庭を施工中のお客様の多くはテレワークとなり、現場を見に行くとお会いすることができて、日々出来上がってゆく庭にワックワクのご様子にこちらがうれしくなります。



雨、晴れ、雨、晴れ、この繰り返しで春は行く。

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だったら反復を早めていただけませんでしょうかねえ、
アマテラス様。
とにかく夏になれば、何事もなかったように日常が戻ってくるでしょうから。
えっ、そんな単純なことじゃないんですか。
そうですかあ・・・



今日は朝から雨なので現場はお休み。これはこれで春のリズムですから慣れたもので、毎日現場で奮闘してくれている施工部隊は、家でのんびりくつろいでいることでしょう。



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ぼくはといえば降っても晴れても次の仮想庭を思い描く日々。この作業はですね、焦ってみてもうまくいかず、ボーッとしていたら進まずで、 気持ちのコンディションをいかに整えるかが大事なんですよね。何せまだこの世に存在していない世界を出現させるクリエーター(神)なる領域の作業ですから、自分の状態をよくしないことにはいい庭なんぞは描けない。基本は理屈で組み立てるものなのでコンディションなど関係なく、寝不足であろうと、女房のご機嫌が斜めっていようと関係ないようなものなんですが、不思議なもので、その思考回路には心の状態が大きく影響するのです。



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で、散歩なんですよ。歩くこと、植物を見つめること、無心でオシベにピントを合わせては息を止めてシャッターを切る、そんな単純なことで整うんですから、まあ我が脳内回路はかなり単純にできているのでしょう。



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あ、そうか、わかった。草花は脳を有していない、ゆえにああだこうだと気に病むことなどなく反射神経で美しく咲いている、その感じに癒されるんですよね、きっと。ぼくらは不幸にも脳が肥大化しちゃっもんだから、日々の情報に振り回されて一喜一憂してしまうわけで、どうでしょう、ここはひとつ思考の配線をいくつかちょん切った植物人間を目指して、不安や面倒につながる情報は曖昧に薄めて、単純に気持ちのいいことを探しながら時を過ごすというのは。え、そんなのわかってる?ですよね。でもね、♪わかっちゃいーるけどーやめらーれーない♪ っていうのが脳の癖。せいぜい庭や公園の花を見つめて、♪スイスイスーダッラッタースラスラスイスイスイ〜♪ とまいりましょう。いいんです、曖昧で。大丈夫、明日は晴れますから、雨音に倣って曖昧でいいんです。い〜んです!あい〜〜んです!! 曖昧にしたらいけないことはひとつだけ、今日を幸せな日に仕上げることだけはきっちりと。


バッハは超生真面目な論理の人。
それまで曖昧だった音階構造を、論理を駆使して平均律に整えました。
ただし平均律はその名の通り、無限に存在する音程の曖昧さを肯定した上で、
エイヤッとばかりに整理整頓したもので、曖昧さの平均値で成り立っているわけです。
音楽にしろ、文学にしろ、絵画にしろ、
美しさは曖昧さの中にありますよね。



絶対音感を持つ人は稀なわけですが、
雨音や波の音を平均律に調整する能力は誰もが持ち合わせている。
休日の朝、窓を開けて、雨音にショパンの調べを聴く、
そんな心持ちで耳を傾けてみるのもいいかも。