北鎌倉のご婦人は庭の赤いバラを食卓に飾り、横浜の高台に暮らす奥様はリビングから続くテラスで満開となっているアンジェラに見惚れ、そのお隣さんはオールドローズの香りに包まれながら、「もうピークが過ぎちゃって、あっという間なのよね」と微笑みつつ手入れに余念がない。



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行く先々の庭でバラが話題にのぼる季節。



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後藤さんのように情熱を花数に変換する人もいれば、庭の隅に忘れていた株から咲いた一輪に歓声を上げる人も。



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これほど人の気持ちに作用する花は他にないのです。



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薔薇の詩人と呼ばれるリルケは、この花を「純粋な矛盾」と捉え墓碑に刻んだそうな。

薔薇 おお 純粋な矛盾 よろこびよ
このようにおびただしい瞼の奥で なにびとの眠りでもないという

どうですこれ、イミフ、よくわからないでしょ。リルケが文学的に過ぎるのか、はたまた我が読解力が足らぬのか。



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これなんですよこれ、この難解さに走る傾向が長いことバラを難しい存在に思わせてきたのです。歴史、名の由来、まつわる物語や神話伝説の類が片っ端から難解さを誇るが如くに書かれていて、その流れで園芸書も専門知識を羅列したものばかり。よほどの執念を持った者以外は跳ね除けられてしまいます。



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「遊ぼう」って言うと「遊ぼう」って言うこだまと違い、バラを育てていない人は「難しいでしょ」と言い、すでに植えている人は「簡単よ」と言う。ぼくとしてはこれほど簡単にいい気分をもたらしてくれる花はないと思っているので、腰が引けている人たちに「植えときゃ育ちますからやってみてください」とこだまのように繰り返す数年間。



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ああリルケ様、あなたの崇高なる意を解さぬ私をお許しください。ん、待てよ、多くの人にはトゲがあって気難しい、扱いづらい女性に思えているのに、その人と結婚した者には刺激的で魅惑的で、掛け替えのないパートナーとなる。そうか、リルケ様、あなたはこのことを「純粋な矛盾」と表現なされたのですね。



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違うか(笑)。トゲを持つ女房と暮らしているせいか、ふとそんなことを。あ、美しい花を眺めているのにつまらない話で申し訳なし。つまらないついでに、わが女房殿は真紅の薔薇タイプです。トゲは、それはもう鋭いやつがびっしりと。




ご存知ですか、古い古いこの映画。
アルコールで壊れてゆく夫婦の悲しく哀れな物語。
結末は観る者に委ねられました。
薔薇の香漂うエンドロールでハッピーエンドを思い描いた人は、
数十年後の今、きっと花咲く庭でお過ごしのことでしょう。 



と、長い余談はこの辺にして、後藤さんちを再度撮影に行こうと思いながら(前回は早めだったので、その後花数が倍増し倍増しています)雨と曇天が続いて行けていません。次に晴れたら撮ってきますのでお楽しみに。