お上から緊急事態を宣言されずとも、毎日緊急事態だと思っている人は何とかかんとか生き延びられる、という実感。庭を楽しみ賢く暮らす人たちと接していると、そういうことなんだなあと思うわけです。皆さんそれぞれに、仕事、家庭、闘病、介護、子育ての悩み、夫婦の葛藤、ご近所トラブル、経済的困窮、今現在なんとなかしなければならない課題を抱えながら笑って暮らしている。ひとつの不安もなく、淀むことなくさらさらと行く川の流れのように暮らしている人なんてひとりもいないし、千日回峰行をやった阿闍梨さんだって、たぶんですけど、女房の口撃に怯えて、檀家さんの評判を気にして、寺の経営に悩んでいるんじゃないですかねえ。だからこそ、その苦しみを真正面から受けてしまう困った性格だからこそ常人が為し得ぬ修行にドM的に挑むわけで、つまりは高僧であっても日々の時間をいかにいい気分で過ごすかという細やかな幸福の実現を願望として、緊急事態を掻い潜り、四苦八苦しながら生きている。それでも笑うんだと、力を合わせて笑うんだと、ひとりでも笑って過ごすんだと、悲惨を極めている飲食業に限らず、それがスタンダードであるという所にいち早くたどり着いた経営者は、不思議不思議、知恵も浮かぶしファイトも湧いてくる。生きがいであり、糧であり、人生そのものとも言える店をたたむことの悲しさ、寂しさ、悔しさだって、大切な家族と自分の幸せを継続するための積極的な選択であるなら、きっと耐えられるし、また必ず立ち上がる日がやって来る、論理的な根拠はないですけど、絶対にそうなのです。お天道様は見ている、という非科学的にしてスピリチュアルめいた事柄が、政治家が読み上げる空っぽの言葉よりも、何百倍も胸に来ます。アマテラスよアマテラス、正直に、真面目に、愛情に立って暮らしている人たちを、ひとりも見落とすことなく導きたまえ。
なんか、夜明け前の、寒風がキツめの庭にて、こんなことを思ったのでありました。



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正月早々に作成した店頭用チラシに、こういう時だからこそのメッセージを込めました。


Garden  グレースランド通信 2021年春号

『庭で心の健康維持を』 

なかなか困難な時代となりました。そうじゃなくても幸せな人生を築くことの困難さは、誰にとっても大きな課題です。日々それをクリアしながら笑顔で暮らすために、何よりも大切なのが心の健康。では健康な心とはどのような状態を言うのでしょう。私の結論としては、それは『自然な状態にある』ということだと思っています。不自然な思考で不自然な暮らしをしていたら誰だって不健康になります。庭に関して言うなら、カーテンを閉めたままで暮らすことの不自然さ、雑草取りをストレスに感じている不自然さ、庭という場所が暮らしの役に立っていない不自然さが何年も気になり続けていて、それらを解消することで、庭を幸せな暮らしに寄与する生活空間として成立させる、その一点を目的とした設計を積み重ねてきました。朝は外気と太陽光で全身を目覚めさせ、昼は土をいじり花を愛でて命を実感し、夜になったら星空と静寂を楽しみつつその日を振り返って、就寝前にストレスを消し去ってしまう庭。休日には家族が集い、友人を招いて心置きなく満ちたりた時を過ごす。土づくりをし、手入れを繰り返し、愛する家族が健やかに過ごせるようにと丹精した庭。他にも理想の庭の姿は人それぞれでしょう。ただしどんな理想も適切な設定を行わない限り実現することはありません。コンセプトメイク、目隠し、区分け、立体構成、導線、照明、カラーリング、植栽など、理にかなった組み立てによってのみ、あなたに寄り添い、励まし、癒し、幸福方向へと背中を押し手を引いてくれる庭が出現するのです。え、忙しくてそんな面倒なこと考えていられない?いやいや案外簡単ですので、私が毎晩庭の書斎で綴っているブログ『ガーデンデザイン!幸せな庭のレシピ』の中のアーカイブ、『家族の庭のつくり方』を参考しにして、あなたの理想の庭を思い描いてみてください。あるいはご来店いただければ、そのセオリーに沿った庭づくりをご提案いたします。人生一度きり、という命題を突きつけられ続ける困難な時代だからこそ、心の健康維持に役立つ庭を実現させて、幸運によって与えられた時間を有意義に、感動的に、愛情いっぱい、幸せいっぱい、笑顔いっぱいで過ごせるように頑張りましょう。たくさんのお客様のその後を見つめながら思うこと、いい庭があれば人生は上々なり。



毎朝、世界はこれから始まるんだと。
庭で水やりをしていると、
そんな気持ちになるのです。