毎日帰宅すると庭に出る。何をするわけでもなく、とりあえず庭に「ただいま」と言う。それからひと通りの家事をこなして夕飯を食べ、今度はパソコンと本を持って再び庭へ。



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そこからの時間は他の時間とは違って、この上なくパーソナルな、迷走から抜け出して瞑想するような。



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今日を採点する。反省したり、必ずいくつかはある感動を思い出したり。大概の場合、出会いに感謝し、あ、いや、人だけではなく空や富士山や、ふとした時の光の具合とか。振り返って確認しておかないと惜しい気がして。



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そうこうしているうちに、夜空から誰かしらたやって来る。開いた本の登場人物だったり、故郷の友や家族だったり、純粋無垢な恋心を共有してくれた少女だったり、黄泉から遠路はるばる来てくれる人もいる。時々はポールやジョンも遊びに来てくれる。当然話に花が咲き、いつもその会話から何かしらの「いい気分になる言葉」がテーブルのメモに残されることとなり、翌朝はそれを糧に、やはり庭からいち日が始まる。



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そんなことをかれこれ10年。もしもこの庭がなく、この習慣がなかったらどんな人生だったろうかと。大いに真面目で夢見がちな自分なので、きっとそれなりに頑張って、それなりに充実していただろうけど、今とはまったく違う仕上がりだったことは間違いのないことだ。



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よかった、よかった。助かったし、ありがたかった。あと何年だろうか。あと何日かもしれないが、変わらずここに腰掛けて、季節季節の夜風を浴びながら、しみじみと今日を振り返るこのことは続くのです。



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考えようによったら、この庭時間が日々の中心、心のマイホームなのかもしれない。むかしむかしのそのまたむかし、まだ庭という概念がない時代、ぼくと同じく毎夜外に出てはもの思ったサピエンスはいた。いたどころか、それが悩み多き人類のマジョリティーだったに違いない。