古来より「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」と申しまして、枝が暴れる梅は、丁寧にハサミを入れて仕立てながら育てるのに対して、桜は切り口が腐りやすいので剪定せずに伸び伸びと育てよ、という意味。昔噺になりますが、力道山は遠征先のブラジルでスカウトしてきた猪木寛至を梅的に、鳴り物入りで読売巨人軍の投手になったものの風呂場で転倒して大怪我をし、野球を断念した馬場正平を桜的に指導したといいます。人の性質を見極めるその力動の慧眼が、猪木をアントニオ猪木に、馬場をジャイアント馬場に育て、その後の新日・全日競い合う、プロレス全盛期へと至ったのです。子育て中の皆様、お子さんは梅か桜か、はたまた薔薇か野の花か、本人が持つ特性を伸ばしてあげてくださいね。



早朝散歩の途中で見つけたケイオウザクラ。

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昭和5年、久留米市の良永啓太郎というお爺さんが、
中国系の桜を台木にヒガンザクラを接木しました。
枝は性質を変異させ(枝変わり)、選定に強い新種となり、
切り花として今でも大量に出荷されています。
後にその新品種は、啓太郎翁の名にちなんで
『啓翁桜(ケイオウザクラ)』と名付けられましたとさ。



うちの親は放任主義でした。周囲によくそう言っていたし、家族総出の自営業でしたから休みなしの働き詰めで、おもちゃと本を与えてあとは放ったらかし、というのはごく普通のこと。どうやら当時流行っていた『スポック博士の育児書』にも影響されていたようです。今の感覚だとずいぶんと乱暴な子育てではありあすが、おかげさまで、ご覧の通り雑草として花咲かせる事ができて、めでたしめでたしです。



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桜は切らずに伸び伸びと、梅は丁寧に仕立てながら、薔薇は肥料をたっぷりあげて、野に咲く花は見守って。



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どうしたらいいのかわからなくなったら、エポック博士に従い放任主義で、たくましい雑草に育てましょう。



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いずれにしても子は親の鏡なり。あなたたちをお手本に性根が育つわけですから、夫婦仲良く、花咲く庭を楽しみつつ、笑顔あふれる家庭を維持してくださいね。わが家みたいに、不出来な台木から枝変わりで、優秀に育ってくれるという奇跡もたまには起こりますが。


さてさて、今日も夕方まで設計に集中。
BGM は春の靄った感じを逆手にとって浮遊するような、
ヒーリングミュージックの名手モーガン・フィッシャーで。