ガーデンデザイン講座

19、ファミリーガーデン

最終日です。『ガーデンデザイン講座』いかがでしたでしょうか。妻からは「またいつもの話でつまらない」と不評でしたが、何人かのお客様からは「すっごく参考になります」という声もかけていただいて、まあ庭に行き詰まっている人には役に立つ内容だったかなと思っています。
今日でおしまいということで、締めくくりに、私と我がスタッフが毎日何を考えて仕事をしているか、つまり、どういう思考で庭をつくっているかをお話ししようと思います。

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基本的に頭の中は庭のことで占められています。そかしそれは日常業務なので、タクシーの運転手さんが常に安全運転やルートのことを考えているのと同じレベル。あまり意識しなくいても習慣付けられていることです。しかし庭以外のことが一日中頭から離れないことはしょっちゅうで、それがないと設計や現場作業は進みません。それは『ご家族のこと』。その庭をながめ、感じ、そこで過ごすお客様ご一家のことをあれこれ考え、四季を通した様々なシーンをイメージしています。ほんと一日中、夢に出てくることもしばしばで、そういうときは設計作業がはかどります。それとは逆にお客様が庭で楽しんでいるシーンが鮮明に出てこないときは苦しい。描いても描いてもしっくり来なくて。どういう場合にそうなるかといえば、最初の段階で庭を楽しむイメージをふくらませられなかったときです。他には機能や利便性のためだけの設計、例えば機能門柱やカーポートや物置をどう配置するかといった、いわゆるエクステリアの仕事です。もちろん生活に必要なものですからよく考えながら最適と思う提案をしていますけど、私的にはワクワク感がないので・・・。

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仕事ですからわがままを言っていてはいけませんけど、できればお客様の笑顔が予感できるような仕事に時間を使いたいという気持は常にあって(ほんとわがままですよね)、その気持は庭が完成する度に強くなっていくのです。先日48歳になりまして、明らかに人生の半分は過ぎてしまった。あせりというか、あといくつの庭をつくれるだろうか、あと何組のご家族に楽しんでいただけるだろうかという思いがあります。一度きりの人生、私の仕事がどれだけ多くの方によろこんでいただけたかが私の価値だと。何か青臭い台詞ですが、大真面目にそう思いながら日々過ごしているのです。
住宅地を歩いていて、せっかくの庭スペースが活用されていないばかりかストレスのもとになっている家を目にするたび、「私に声かけてくださらないかなあ。毎日がもう一つ楽しくなるのに。家族がもうひとつ強く豊かになるのに」と思ってしまいます。庭は家族の場所、家族が庭を育て庭に家族が育てられる、そういう庭『ファミリーガーデン』をひたすら考え提案し続けてきた十数年、我が人生も後半戦に入りましたので、ここいらへんでさらにスピードアップ、パワーアップしようと決意しています。
この『ガーデンデザイン講座』、後半は黄金分割からフィボナッチ数列まで脱線してしまいました。わかりづらい話におつきあいくださったみなさま、ありがとうございました。

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ではまた明日から違う話題でいきますので。さーて、何でいきますかねえ。ご紹介したい庭が次々完成しているし、四季の森『レノンの庭』もようやく格好になってきたのでそれもアップしたいし。


 

18、エコ&ロハス(2)

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『ロハスなくらし』で思い出すのが、2年前にガーデンリフォームさせていただいたKさんご夫妻。庭に亡くなったワンちゃんのお墓をつくりたいということから始まったリフォームでした。
打合わせにうかがうと庭の畑に直径1メートル、高さ80センチほどに育ったモロヘイヤの茂みがあって、聞くと毎朝その新芽をザル一杯摘んで味噌汁やおひたしで食べているとのこと。それをひと夏続けたらものすごく体調が良くなったそうです。私もどっさりとちょうだいして帰り、さっそくおひたしに。目がさめるほど味が濃くて美味しかったです。一坪ほどの畑で他にも季節ごとに野菜をつくっていて、その脇にあるウッドデッキのパーゴラにはたくさんゴーヤがぶら下がっていました。

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元気でにこやかなKさんご夫婦に野菜づくりのこつをお聞きすると、即「土づくり」というお答え。台所から出る野菜屑は全てたい肥にして庭で使っているそうです。他にも魚の煮汁がいいそうでして、自家製の煮干しをつくる際のゆで汁を畑にまいていて、それが野菜の味を濃くするのだとおっしゃっていました。

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この感じ、いいんだなあ。台所仕事をしながら意識は畑に、さらに数カ月後の収穫に向いているという暮らしぶり。栄養たっぷりな土から育った野菜の滋養以上に、そういう意識がご家族を健康で明るくしているのだと実感。
これがロハス。小さな庭と家族の健康を思う気持があれば、それだけでロハスライフが実現するのです。

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17、エコ&ロハス(1)

延々とご覧いただいた後藤さんちの写真に続いて、今日からはオープンガーデンを同日開催している瀧本さんち(同じく栄区庄戸です)です。年に一度のオープンガーデンが生きがいという奥様が、今年の開催(5月の末)に向けて、たぶん今朝も暗いうちから庭に出ていることでしょう。開催日が決定し次第このブログでご案内しますので、みなさまお楽しみに。

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理屈っぽくネチネチやってきた『ガーデンデザイン講座』も最終章が近づいてきました。
庭のある暮らしをイメージするときに、その根底にしっかりと意識しておきたいことが今日のお題『エコ&ロハス』。これについてはこれまで何度かやってきましたので言葉の解説とその歴史は省略します。で、エコロジーやロハスライフを皆様はどれほど意識してくらしていらっしゃるでしょうか。かくいう私は・・・、あまり優等生とは言えません。ゴミの分別はいつも妻に叱られていますし、一日の内で何度それを意識しているかと考えると、ほぼゼロ。そんな私がなぜ『エコ&ロハス』をこうして語ろうとしているのか、まったく大きな矛盾の上に立ってのことだということをまずはおわびして、でも環境への危機感はあるし、家族の健康と日々の幸福感ということへの願い、思いはおそらく平均点以上に持っていると思うので、まあ自戒の念を込めて『エコ&ロハス』をベースにした庭づくりをここであらためて提唱したいと思います。

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数年前に妻とふたりで丹沢と桑名の山を歩きました。ある企画の取材旅行で檜の森の調査に行ったのです。経済成長期には高級木材としてもてはやされていた檜が今どうなっているかというと、全く売れない。輸入の安い木に完全に押されてしまっているのです。売れなければ値段が下がる。それが極端に下がり過ぎてもはや山から切り出すと赤字になってしまうほどで(50年物1本が2万円だったかな)、地元の林業は完全に停止状態。これは日本中の林業に言えることのようです。しかし山をほったらかしにすると森が傷んでまともな檜が育たないため、やむなく下草刈りや間伐を収入が見込めないまま続けているのです。ですから間伐材があちこちにゴロゴロと放置してある。「持ってってくれるならいくらでもあげるよ」とのこと。もったいないというか悲しいというか・・・。
日本の木材が不人気なのに対して、例えばウッドデッキの材料として南洋材のアイアンウッド(ウリンやイぺ)が人気です。これは日本の物と逆で売れて売れてしょうがない。現地では森林伐採による環境破壊が大問題になっています。むずかしいものです。売れないと森が荒れるし売れると森が消えていく、早く誰か偉い人が宇宙からの視点で、地球の木材の生産を考えなければならないのではと。

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日々つくり続けているウッドデッキ。うちではレッドシダ-を使うことが多いのです。これは杉の間伐材。ご希望があればアイアンウッドも使います。でもどうしても馴染めなくて結果的にほとんど使っていないのが人工木材です。エコウッドとか木樹脂という名前で出回っているものです。要はおがくずを樹脂(プラスチック)とまぜて成型したもので、腐らないことを売りにしています。大手建材メーカーや住宅メーカーで大きく宣伝している人気商品で、お客様からのお問合せも多い。でも私はどうしてもこれが気に入らない。その一番の理由は劣化素材であるということ。素材の選択についてやりましたが、この人工木材は劣化素材です。日にちが経つと日に焼けたプラスチックみたいになってしまって、リビングから見た風景にはそぐわないし、そのプラスチックの上で子どもたちが遊ぶと思うとどうも嫌な感じがしてしまいます。さらに決定的なことはその最大の売り文句『腐らない』です。腐らない木が環境に良いはずがない。環境に悪いものは人にも何らかの悪影響を与えるのではないかと、これは根拠がある話ではなく直感的にそう思うのです。人間がつくった腐らない木、私はいやですね。天然の材木は当然腐ります。ひび割れたり反ったりもします。手入れや補修も必要ですけど、それがいいんですよ。『エコウッド』はエコロジーとは正反対の商品、庭屋としてはそう思います。

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ウッドデッキに限らず、生活空間の素材が朽ちてくる感じって悪くないと思っていますが皆様はどうでしょうか。抗菌加工されたプラスチックに囲まれているよりも、神社や山小屋で感じる木の朽ちた香り、年輪が浮き出た質感、気持いいと思うんですけど。それを手入れしながら維持することがイコール生活を維持すること、昔のいなかってそうでしたよね。明日はそんな感じの暮らし方、エコ&ロハスについてです。


 

16、黄金分割(3)

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この1:1.618、なかなかあなどれません。自然界のいたるところにこの比率が存在しているのだそうで、みつばちのオスとメスの比率、オームガイの渦の縦横比がそうだといいます。まあ、考えてみると、細かい数字は別として、自然界も人の世もキッチリ半分とか、バシッと左右対称ということのほうが少ないし、あまりそういったものに美しさや魅力を感じないもの。例えば完全な左右対称、シンメトリーな美人がいたとします。多分CGアイドルみたいで人工的な気味悪さを感じるのではないかと思います。実は割り切れるとか、対称形とか、同量に分けるというのは計算上楽で便利だから日常的に多用していますが、感覚的にとか、現実的にとか、実存の世界ではどちらかというと堅苦しさや、不自然さ、居心地の悪さを感じさせるものなのです。

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曖昧が美しい。左右非対称でいてバランスがとれている、その危うさやバランスを保とうと微調整を続ける姿が『生活』なんだと思えば、どうですか、「なーんだそうなんだ。それでいいんだ」と気が楽になるのと思うのですが。

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左右対称で単純に割り切れる答えを求めて悩むのは思春期だけで十分。私たち、もう大人なんですから、子育てや仕事やいろいろな場面で1:1.618を探しましょう。昔、よく年寄りにいわれた言葉、天網怪々粗にして漏らさず、急がば回れ、負けるが勝ち、すべて「あわてて白黒つけないで今は曖昧にしておけ」という一面を持った教えです。曖昧さの中での絶妙な均衡状態、それが1:1.618であり、目指すべきは割り切れないこの比率だと解釈することで、世の中の見方や生活に、余裕、潤い、なごみ、そういった余地を生み出せる、そんな気がしているのです。実はこれは自戒の念。慢性的に忙しいために余裕がなくなっていて、イラッとしてしまうこともしばしば。曖昧なまま先に進むにはその曖昧さをプールできるだけのゆとりも必要なんですよねえ。

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15、黄金分割(2)

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さらに復習を続けます。少し数学的になりますがご辛抱を。
画用紙の上下2分の1、ちょうど真ん中に水平線があって、左右の中心、画面の真んまん中に舟が浮かんでいたら絵としてはとても変な感じになります。水平線は上下の中央よりやや上か下にあり、舟も左右どちらかにあった方が構図として落ち着きます。この水平線と船の位置をどこまでずらすと絵的に美しく落ち着いて見えるのか、それを数値化したのが黄金分割というわけです。そしてこの黄金分割はフィボナッチ数列から算出し、導きだされます。さあいいでしょうか、算数です。
フィボナッチ数列、1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233・・・・。わかるでしょうか、前の2つを足した数字が次に来る、この連続です。1+1=2、2+1=3、3+2=5、5+3=8、8+5=13、13+8=21ということです。この数列の隣り合った数字、大きい方を小さい数字で割ると限り無く1:1.618に近づいていきます。3÷2=1.5、5÷3=1.666、8÷5=1.6、13÷8=1.625、21÷13=1.615、34÷21=1.619、55÷34=1.617、89÷55=1.618、144÷89=1.618、233÷144=1.618・・・・。電卓でやってみて下さい、割り切れないまま1.618に近づいていきます。不思議でしょ。この数値、1対1.618が、美しさの鍵を握る値千金の比率、『黄金分割』だというのです。復習終わり。ご理解頂けたでしょうか。

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美しさとか心地よさという感覚を小数点以下まで数値化するというルネッサンス的試みに、少なからず強引さ、違和感を覚えてしまうことも確かなのですが、私は中学の美術部入部から今日まで、趣味も仕事も美術系といいますか、クリエイティブなことをやってきましたので、この比率は常に頭にあり、随分重宝に活用してきました。オーバーではなく生活の一部として組み込まれた数字でした。でもまあ一般的には、暮らしにはあまり役立ちそうにない黄金分割ですが、じつは最近、もしかしたらそうでもないんじゃないか、この割り切れない微妙な数字がいろんな問題を解決するヒントなんじゃないか、そんなふうにも感じているのです。明日はそのことを。

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14、黄金分割(1)

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デザインについて解説するときに欠かせない事柄として『黄金分割(黄金比)』があります。少々難解かもしれませんけど、美術の授業で一度は習っているはずですから、ここでおさらいしておきましょう。


黄金分割の解説はこれまで何度か、セミナーや講演で話してきました。以前ガーデンデザイン教室でお話しするために書いた原稿がありますので、(手抜きですが)それを転記します。かなり長いため三日間に分けてアップしますので、内容も専門的だし退屈かもしれませんけど、少し辛抱しておつきあい下さい。最後はデザインの話から離れて黄金分割の概念を日常にどう活かすか、というような内容になっています。では第一日目を始めます。

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『黄金分割のはなし』

名刺、画用紙、写真、テレビ画面はなぜ正方形でなく長方形なのか、そんなことを考えたことあるでしょうか。私は小学生のころからそういったことがやたら引っ掛かる思考僻がありまして、これに限らず、あらゆる些細なことが次から次に一日中頭を支配していました。はた目にはただボーッとしているように見えたらしいのですが、本人としては宇宙空間のような無限の世界を浮遊しながら、重箱の隅のカスをかき出しては口に入れることが楽しくてしょうがない、そんな日常だったのです。で、なぜ長方形なのかという疑問が解けたのが中学生になってから、美術の授業ででした。皆さんもたぶん習ったはずなのですが、おそらくは忘れてしまっているでしょう。『黄金分割』です。話の前段としてまずは授業の復習です。

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時は遥かさかのぼって、15世紀ころのイタリア。ルネッサンスという文芸復興ムーブメントがありました。それは、古代ギリシャ・ローマ時代の文化を復興することで失われた人間性を復活させようという考え方だったといいます。ダビンチやミケランジェロやラファエロがそのころの芸術家です。その当時、ダビンチが芸術家であると同時に、偉大な科学者であり発明家でもあったように、科学と美術が同じフィールドで語られていたようで、美しさを科学で解明しようという試みがなされていました。右脳で感じる快感を左脳で説明しようとしたわけです。美しい彫像を作るために人体を解剖して内臓の配置や筋肉の構成を探ってはスケッチしました。平面の中に空間を生み出すための遠近法が確立されたのもこのころでした。その流れで、人が心地よい、美しいと感じる比率が研究され導きだされた割合、それが『黄金分割』なのです。1対1.618、コピー用紙や写真屋さんのプリント写真の縦横がほぼこの比率です。
つづく。


 

13、丸と三角

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今日は図形の基礎知識を解説します。丸と三角について。
私の設計には丸、円形が多用されています。これには訳があって、円形というのは人が過ごすスペースを確保するときに合理的であるということ。家の中、部屋は四角なので四角い空間での家具の配置や行動に慣れているものですが、壁のない屋外のフリースペースでの行動をイメージすると、例えば四角いテラスをつくってもその四隅にはあまり行かないものです。であればその行かない部分に木を植えた方が素敵な庭になると考え、そういう設計を繰り返すうち、自然と円形のテラス、円形の囲炉裏(バーベキュー炉)というのが定番化し、そしてそこから派生する形で円形の花壇や通路、砂場、壁、立水栓の受けも円形にという丸をちりばめ組み合わせた設計が増えたというわけです。

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円形は『円卓会議』という言葉があるとおり、コミュニケーションを生む形。夫婦円満、家族円満、人を向き合わせて和みを演出する形状でもありますから、ガーデンでザインには欠かせない要素なのです。

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図形で大事なもう一つが三角です。ヨーロッパの庭では正三角形や二等辺三角形を使った左右対称の構成が多くあります。自然界に存在しないシンメトリーな空間や人工的なトピアリ-でつくり上げた庭が、『人が自然までも支配した』という意味合いをあらわしているのです。広大な不自然な庭を出現させることが富や権力の象徴であった、ベルサイユ宮殿の前庭、もっと大きい例では、凱旋門を中心に放射線状に開発されたパリの都市計画の根底にもそういう対自然観があるといえます。

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それに対して日本では、不等辺三角形。生け花でいう『真・添え・控え』ですね。中心、フォーカルポイントがあって、それを引き立てる添えがあって、離れたところに場を構成する控えがあるという不等辺三角形。これはヨ-ロッッパの自然を支配するのとは逆で『自然に倣う』という感覚から生まれたものです。不定形な自然界の風景を不等辺三角形の組み合わせで再現しようという試み。洋の東西で全く逆のねらいで三角を使っているのがおもしろいですよね。陸続きの国々では『征服』が価値を持ち、島国には『わびさび』が育まれた、といったところでしょうか。
丸と三角についてのほんのさわりでしたが、このように図形の持つ意味、図形が生み出すパワーを使って平面や空間を組み立てていくということがデザインには必要なのです。

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いやあ、夕べの雨はすごかった。土壌改良しながら連日植え足しているレノンの庭の草花は大丈夫かなあ。
さっ、今日も張り切ってCKB聞きながら旭区四季の森へGO!


 

12、雑草取りを楽にする

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庭に関する相談で一番多いのが「雑草取りから開放されたい」です。その庭に合わせて様々な解決策がありますが、今日はとっておきの方法をお教えしましょう。
このシリーズでご覧いただいている後藤さんち、ものすごい花の量です。で、後藤さんの奥様は時間があれば庭に出ている人で、でも雑草取りの苦労話を聞いたことがありません。実際ほとんどやっていないのではないかと思います。それは何故かといえば、雑草が生える余地がないからです。これですよこれ。

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雑草取りが大変だというお庭を拝見すると、たいがい土の部分が多く残っていて、そこで雑草を育てては苦労してそれを抜いています。雑草が生える余地がなくなるまで草花を植えて育ててしまえば、雑草取りからは開放されるのです。
それともう一点、歩く場所と植える場所をはっきりと区分すること。日々の手入れをイメージして導線計画を立て、レンガや石やまくら木で通路をつくります。その通路は土より数センチ高くして水やりをしても通路に土が流れ込まないように、いつもカラッとしているように仕立てます。そしてその通路以外の場所が植栽スペース。土が見えなくなるまで草花を植えましょう。面積が広くて大変な場合は地被性の多年草が便利で、うちではよく斑入りのオカメヅタ(ヘデラバリエガータ)を使っています。

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土を見えなくする方法としてはもう一つ、ウッドチップを敷き詰めるのもいいでしょう。あらかじめ植栽部分の土壌改良、施肥などを済ませた上に、フカフカになる厚さでウッドチップ(針葉樹を砕いたもの)を敷き詰めるのです。そしてそれを取り除きながら徐々に草花を植えて増やしていくのです。これでほとんどの雑草を押さえることができます。
雑草取りは庭仕事で最もつまらないものです。その苦労を草花や野菜を育てることに向けたらすばらしい庭になります。

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11、一年草、多年草、宿根草

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昨日の樹木に続いて今日は草花。一年草、多年草、宿根草のことを簡単に解説します。
一年草はワンシーズンの草花で、今咲いている花だとパンジー・ビオラがそうです。毎年植えて楽しむもので、今年はどういう感じの庭にしようかなと考えながら花を選び、それを育てていくという半年がかりの長いお楽しみです。主に春と秋が植替えのシーズン。春に植えたサフィにアは花がら詰みを丹念に行えば8月には10倍~20倍のボリュームになり、花は10月いっぱいまで咲き続けてくれます。それが枯れたら今度は冬の花、寒い冬を明るく彩る花に植え替えます。

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多年草は冬に枯れることなく何年にもわたって繁り続ける草花、クリスマスローズやラベンダーがそうです。一年中緑なので植栽計画のベースとして植えるといいでしょう。広い庭では維持管理を楽にするために、植栽スペースの8割方を多年草にするということをよくやります。

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宿根草は地上部分が枯れても根が生きていて、季節になるとまた芽吹いてくる植物です。ギボウシ、スズランなどがそうです。秋に葉は枯れて庭から姿を消しますが、春になるとまたフレッシュな葉が楽しめます。何年も楽しんでいる庭だと毎年ひょこっと出てくる宿根草に、家族の一員みたいなたまらない愛着を感じるものです。

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これらをうまく混ぜながら植えることで、四季折々いい感じを味わえる庭になるのです。


四季の森『レノンの庭』で今ちょうど草花を植え込んでいます。新人の高橋が草花を仕入れては植え仕入れては植えの毎日。花好きのお客さまたちが興味津々で次々話しかけてこられて、庭では終日笑顔があふれているのです。つくづく花っていいなあと。


 

10、 庭木の選択

庭木の流行としては圧倒的に雑木類。一昔前のマツやツゲ、ツバキ、サザンカ、モッコクなどは植木屋さんでも売れ残ってしまって隅に追いやられています。今人気ナンバーワンなのは(うちのお店では)エゴノキ。他にはシャラ、シマトネリコ、ヤマボウシなどです。この雑木人気は、手入れが楽なことと家のデザインが洋風になったこと。あと暮らし振りがナチュラル指向になってきていることによるものでしょう。

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庭木は大きく分けて落葉樹と常緑樹があります。落葉樹は秋に葉が落ちる木で、常緑樹は一年中葉がついている木です。まずはこのことから。
常緑樹はいつも葉っぱが付いているわけですから、目隠しや、庭のベースのグリーンとして使えます。落葉樹の魅力は季節感。夏は木陰、冬は日だまり、花や紅葉も楽しめます。
それぞれ人気の高い木を並べますので、興味のある方は樹形や特徴をネットで調べてください。

常緑樹
◆ シマトネリコ
◆ ソヨゴ
◆ アラカシ
◆ オリーブ
◆ 柑橘類(レモン、ナツミカンなど)
◆ コニファー類(エレガンテシマ、ブルーアイスなど)
落葉樹
◆ エゴノキ
◆ シャラノキ
◆ ヒメシャラ
◆ ヤマボウシ
◆ ハナミズキ
◆ トネリコ
◆ ヤマモミジ

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よくお客様から「葉っぱがお隣に入ると悪いので、葉が落ちない常緑樹にしたい」というご要望があります。これはまちがい。常緑樹も葉が落ちます。一年かけて(ニ年の木もあります)葉が入れ替わるのです。ですから一年中パラパラと落葉して、かえってお隣さんには迷惑かも知れません。落葉樹の落葉は秋、その時期の掃除は大変ですけど町中の葉が落ちるわけですから、逆にあまり目立たないのです。その時期の落ち葉掃除もご近所との大切なコミュニケーションの機会だと思って、少し早起きして外の出てみてはいかがでしょうか。

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一般的な広さの庭だと、うっかり植えると大きくなり過ぎて、庭が暗くなったり、手に負えなくなる木があります。ソメイヨシノ、ケヤキ、メタセコイア、モミノキ、など。5年後10年後の樹形と大きさをイメージする必要があります。


 

9、 素材の選択

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庭の構成計画ができあがると、次に考えるべきことは素材。何を使って仕立てていくかということです。
庭づくりで使用する素材は大きくふたつに分かれます。劣化するものと風合いを増すもの。劣化する素材はコンクリート製品(化粧ブロック、インターロッキングなど)、アルミ製品(門扉、フェンス、カーポート)、樹脂製品(人工木材、プラスチック製品)。これらは設置した時がベストで、あとは劣化していきます。時間が経って「このブロック、いい味が出てきたねえ」とはならないものです。
それに対して風合いを増していく素材はレンガ、天然石、木材、鉄。日に焼け、雨に洗われ、ひびが入ったり、反ったり、さびたり、苔が生えたりしますが、それは劣化ではなく風合いが増したというふうに解釈できるもの。時間がたつほど価値が増す素材なのです。

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私は庭はできるだけ風合い素材で構成したいと考えていて、ですから人工木材でウッドデッキをとお考えのお客様にも、一応天然の材木での施工をお勧めします。手入れは必要ですけど、それもまた庭の楽しみ。2年に一度で作業もかんたんですから。
素材の選択にこだわって風合い素材で仕立てた庭は、時間が経つほどに味わいを深めていくのです。

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素材選びでもう一点注意したいことは、極力シンプルにまとめること。デザインが走り過ぎていろんな種類のレンガやブロックを使うと、たいがい荒れた感じに見えてしまうものです。ヤキスギレンガを使うなら、通路も花壇も塀も全部それで仕上げる、これが基本だと考えています。素材の種類を増やすときはそれなりの理由や狙いが必要で、行き当たりばったりに素材を選ぶと建材屋さんのサンプルガーデンみたいになってしまう。実際そういう庭や外構が多いことをいつも残念に思っているのです。

構造物についての解説は一応これでおしまいにして、明日は樹木の選び方です。


 
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