ゾーニングと導線計画ができあがりました。でもこれだけでは不十分です。庭空間を立体的に構成しないと快適さが生まれません。
この、場を空間として捉えるということが、ガーデンデザインを教える専門学校でもあまり重要視されていません。というか、その重要性に気がついていないのかもしれません。
丘の上に建つ家の広々とした芝生の庭。手入れが行き届いていて、見ているだけで気持がいい。しかしそこのご家族はほとんど庭で過ごすことがありませんでした。芝生をきれいに維持しなければという義務感から来る日も来る日も雑草取りという毎日。ただ手入れをするための庭になっていたのです。
その芝生広場のまん中に大きな木を植えて、その木陰に椅子・テーブルを置き、リビングの外にパーゴラを建て、出窓から見える位置にアーチを置きました。そうしたら庭の印象が一変。家族が庭に集まるようになり、週末は友人を招いてバーベキューを楽しむようになりました。
これは何度も経験したガーデンリフォームのケースです。何をしたのかというと樹木とパーゴラとアーチで庭を立体的にしたのです。
人間は草原を優々と歩くキリンではなく、猿です。森の中で暮らす生き物なのです。ですから隠れる場所や木陰がないと落ち着かない。室内では壁も天井もあって空間ができあがっていますから、特に意識しなくてもくつろぐことができますが、庭はそれがないので、意識的にくつろげる空間を構成しなければならないのです。いくら草花を美しく育てても、これをやらないと平面的で落ち着けない『眺める庭』になってしまうのです。
パーゴラ、アーチ、トレリス、樹木を上手に使って、そこにいきたくなる庭、人が集う庭を目指しましょう。
四季の森、『レノンの庭』は看板が付いて、バーベキュー炉が完成し、花も植え始めました。徐々に庭らしくなってきました。