庭をつくる人

ハイブリッドティーローズ

19世紀半ば、欧州の園芸家は貴族たちの保護の下で新種のバラの開発にしのぎを削っていました。
目指すは三つの特徴、四季咲き、大輪、青い花びら。



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長年にわたる試行錯誤で四季咲きと大輪は実現してハイブリッドティーローズと呼ばれ、今ではそれがスタンダードとなっています。しかしいくら掛け合わせても青は出ない。人々は叶わぬ恋を「それは青いバラだね」と、切なくロマンティックなため息をついたのでありました。 



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この世に存在しない花なのに花言葉を有するブルーローズ。ところが、ところがです、無粋にも2009年にサントリーが青いバラ「サントリーブルーローズ・アプローズ」の開発に成功し、それまでの「不可能・有りもしないこと」という花言葉に「夢かなう」が追加されたということです。



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本当に無粋としか言いようがない。何でもかんでも技術力で実現すりゃあいいってもんじゃない。永遠に朽ちない材木とか伸びも枯れもしない芝生とか、食品庫には腐らない牛乳とカビが生えない食パンが並び、連日クックパッドに従って味付けをするって、いいのかなあって思うんですけどねえ。それじゃあおふくろの味はどうなっちゃうんだよ、詩織よ。あ、きみの場合は親父の味だが。



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いや、かまわないんですよ、クックパッド。料理など好物の唐揚げ以外何もできなかった娘が、結婚してからは、ああ愛の力は偉大なり、まな板の脇に置いた液晶画面に見入りながら見事な料理の数々を食卓に並べるようになりましたから。ただ孫の美空の味覚的情緒はどうなるのかと。美空が母になる頃には「おふくろの味」は実感を失い、昭和時代の小説に出てくるだけの言葉になるのかもしれません。



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とはいうものの、そんなことは仕方なし。ぼくらも昭和から受け継ぐべき多くの言葉を、高速回転する暮らしに追われて消失させ続けているわけですから。例えば「草いきれ」とか、「お百姓さん」とか、「花盗人」とか。



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風呂敷、ねんねこ、縁側、囲炉裏端、割烹着、前掛け、姉さんかぶり、蚊帳、蚊遣り、ハエ取り紙、おひつ、おかっぱ、座敷、寝間、お勝手、納屋、リヤカー、寝押し、総領、舎弟、宿六、山の神、祝言、りんき、よろめきドラマ、ほの字、停車場、テクシー、ノンポリ、ブント、造反有理、ゲバルト、あたり前田のクラッカー、冗談はよしこさん、すっとこどっこい、よっこいしょういち、許してちょんまげ・・・
降る雪や昭和は遠くなりにけり。



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というわけで今日出囃子は、とっておきのこの曲を。リズ・ライトの「 Blue Rose 」。




青いバラ(かなわぬ恋)


泣き明かした朝は青空
もう心に棘はない 痛いアザミも咲いていない
晴れやかな顔で 彼女の今日が動き出した

たぶんもうだいじょうぶ
まだ少しだけ ブドウのつるに足を取られていつるけど

大きく腕を広げて どうやら運命を受け入れたようだ
強いよ 根を深くにまで張って咲こうとしている

たぶんもうだいじょうぶ
まだ少しだけ ブドウのつるに足を取られているけど

みんながまだ眠っている早朝に彼女は咲く
早起きな旅人だけがそれを見つける
ひるめで寝ているやつらとは無関係な世界にいる

ああそうか きっと彼女は朝顔なんだよ
まだ少しだけ ブドウのつるに足を取られているけど
少しだけ 足を取られているけど
まだ少しだけ



朝顔のあなたに幸あれ。いつかハイブリッドティー、大輪の四季咲きとなりますように。
え、朝顔は朝顔、孔雀や鳩や、ましてやバラになんてなれないって? だいじょうぶ、イメージできたらできたも同然だから。
なになに、信じらんない。お呼びでない。そうですかあ、それはチョベリバですなあ。されば信信ずるに値する、大天使となられた聖ジョン・レノンの託宣を。

イマジン・オールザピーポー、オブザピーポー、バイザピーポー、フォーザピーポー、やってみれば驚き桃の木山椒の木、あっと驚くタメ五郎、だいじょうV、バッチグーなり。



 

何処へ

花がいっぱいだけど椅子がない庭と、心地いい椅子はあるけど花が咲いていない庭、どちらがお好みですか?
手入れの楽しさと、メンテナンスフリーの気楽さは?
孤独を楽しむ庭と孤独を忘れる庭、あなたが必要とするのはどちら?



ああ何いうことか、
なぜ今まで気づかなかったんだろう。
レッド・ガーランドとは、赤い花飾り、
勝者の栄誉を讃えて冠する真っ赤な花輪のことなんですね。

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正解は前者でも後者でもなくて、明確な回答にあります。
意識の変化による驚くべき庭の変化が、その変化がもたらす暮らしの変化をいつの日か、今はまだ目的地を設定しないままで、地図を見てはため息をついている子羊への福音となりますように。



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ぼくは「植物のために庭があるのではなく、人のための庭に植物が必要」と思っています。もちろんこれも唯一の正解というわけではなく、このようにぼくなりの正解を明確に持っていることが正解なのです。



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とはいうものの、何十年も庭を想像し創造し続けてたどり着いたことなので、他に正解があるとは思えないのですが、と、断言するくらい明確に。



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あなたの理想の庭を言葉で定義してください。できれば三つくらい。
「バラ・ハーブ・友人とお茶会」、「芝刈り・バーベキュー・昼寝」、「駆けまわる子ども・駆けまわる犬・時を駆ける自分」、「畑・物置・物干し場」、「蜂を飼う、七面鳥を飼う、カピバラを飼う」、「腕立て・腹筋・ストレッチ」、「夜風・静寂・マインドフルネス」、「蝋燭・カード・わら人形」など。はたまたストーブを焚いた庭の書斎に腰掛けて、「ビール・ジャズ・村上春樹」とか。



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それができたら、あとはご来店いただくだけで理想の庭は実現します。



ビールと村上春樹にはこれ、赤い花冠を。



ボリュームを、
夜風が揺らす葉音と6:4まで絞って。
 ページを繰る手が止まらず寝不足となり、
明日はアルバムタイトル通りに、
クレイジーなリズムを刻む勝者になるかも。




 

黄金比とカノン進行

ダ・ヴィンチを始めとするルネサンスの美術職人たちにとって「美」は科学的現象であり、彼らは心に影響を与えるその得体の知れないエッセンスの正体を解析し数値化する、神の領域に踏み入ろうとする研究に取り憑かれました。その結果得られた神秘の比率が、自然界を支配すると言われているフィボナッチ数列から導き出される1:1.618、黄金比です。職人たちはその比率と遠近法のふたつの「美のカノン(規定)」に従い、次々とカンヴァスに計算された美しさを描いてゆきました。
1:1.618、設計しながこの割合は常に頭にあり、線を引くときの手癖のようになっていて、だからぼくは安定的に自然なバランスの庭を生み出せているのです。



上下左右共に 1:1.618
 
1:1.618



ただしそれに終始すると、カノン進行の曲が取っつきやすいのに飽きられるのも早いことに似て、主張がなく趣きに欠ける仕上がりになってしまうため、あえて局所的に1:1(自然界に存在しない不自然さ)、上下左右を均等にして意思表示のインパクトを出します。



1:1

1:1



全体的な比率を2:8までデフォルメすれば、異次元空間にいるような非日常の世界となる。これはリゾート感の演出に重宝する手法です。



1:8 

1:8



さらに超絶応用編として天地をひっくり返すと世界は一変。店舗やイベントの仮設庭園、商業施設の庭づくりに使う奥の手です。



空が湖面になる

湖面になる



仕掛けをもう一歩進めて、上下はそのままに、左右を1:1にしてみます。すると世界は視覚から心の内へと広がってゆき、そこには河口湖の水面を見つめて物思う人の心情が浮かんでくるのです。



物思う



おしまい。
秋から冬へ、こういうことをつらつら考えるのが楽しくて仕方ない今日この頃。


 

 

家康ダリア

早朝、現場へ向かう道すがら、農家みたいな風情の庭の木陰に隠れるようにしているのを見つけました。コウテイダリア、今年お初です。



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動乱の嵐に巻かれて孤高の皇帝たちが次々倒れ行く中、したたかに、寄らば大樹で生き残り、ここぞとばかりに咲き誇る姿麗し。



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家康的だなあ。
家康が有名な健康オタクだった訳は、五歳年上の秀吉よりも長生きすることに天下取りの目を見出していたからだと言われています。意識がその一点に向かっていたから戦仕事を無難にこなしつつ、織田が餅をつきは羽柴がこねている間、不条理な扱いにもカッカすることなく耐えてその時を待った。ついに秀吉がこの世を去るや一気呵成に関ヶ原で勝利し、大坂夏の陣・冬の陣で豊臣家の息の根を止め天下人に。さらにその後264年も続く天下泰平の基礎を築き上げてから人生を終えました。



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人の一生は重き荷を背負いて遠き道を行くが如し、急ぐべからず。しかしただ忍耐していたのではなく、狸親父とあだ名されたように大樹の影に身を置きつつも、時には人が変わったように先陣を切って見せ、かと思えばのらりくらりと時間を稼いだりと、その都度都度の虚心坦懐な分析力とポジショニングのうまさが光る人だったのであります。



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そんなことを思いながら道路から見上げてパシャパシャ撮っていたら、パジャマ姿の家人が庭から声をかけてきました。一瞬、盗撮をとがめられるのかと思いきやさにあらず、奇跡のリンゴの木村秋則氏のような笑顔にほっと一安心。

あんたあ、なんだい花撮ってんのかい。

ええ、見事ですねえ。

何本も伸びてたんだけんど、こいつが一本だけ残ったんだ。ひどかったねえ今年の台風は。庭がめちゃめちゃだったよ。倒れた奴らは刻んで転がしといた、ほら、節から根が出るじゃんか。来年は全部に支柱して盛大に咲かすから見に来なよ。

ありがとうございます。楽しみにしています。

おーいばあさん、来てみなあ。この人花撮ってんだてさあ。

はいはいと遠くから聞こえたが出てはこない。きっと朝げの支度で話好きな亭主などかまっていられないのでしょう。

お茶でも飲んでくかい?

いやいや先を急ぎますので。

そうかい、忙しんだ。いつでも寄んなよ、こっちゃあ暇で暇で庭いじりばっかやってっからさ。野菜もやってるし、春んなったら菜の花だらけでそん次はバラだらけ。ばあさんが花が好きでね、よろこぶんだよ。

江戸っ子みたいな浜っ子じいさん。花きっかけで始まる会話は気分が上がります。いい感じいい感じ、ぼくも暇で暇でと言いながらせっせと庭に出る暮らしをしてみたいものです。さながら男版ターシャみたいに。
そのためには広大な庭が必要。それと庭の野菜で朝げの支度をしてくれるばあさんが。
・・・時を待つか。





 

闘争と逃走のエチカ

一昨日「忙しい時こそお散歩を」ということを書きました。それはバランス調整という意味で。
ところがだんだんお散歩だけでは仕事と反対側の分銅が足らなくなってきて、昨日、設計のお礼にとお客様から頂戴して大事に取ってあったクーポン券を使い、前々から欲しかった本を7冊まとめ買い。これははたして良いことなのか、あるいは現実逃避という、いけないルージュの魔法の誘惑に乗ってしまったことなのか。もしかしたら期末テストの前になると、勉強以前に無性に部屋の掃除をしたくなるアレかもしれません。いつも教科書まではたどり着かず、されど掃除をし終えた達成感と爽快感でけっこう上機嫌になってテストに向かう体たらく。まあ気分がよくなるんだから悪いことじゃないですよね。忙しい人ほど本を読むと申しますし、気分がいいこと以上にいいことはないわけですから。
とはいうものの、さて、読みたい誘惑で気が散りそうな・・・いやいや、読みたくてウズウズする本が手元にあることによるニンジン効果で設計がはかどるのです。とは・とはいうものの今にも天秤が本側に傾げそうで・・・。とは・とは・とはいうものの、夜の庭時間までグッとこらえて。



逃げろっ!

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逃げ続けなければ生きていけない。
優しくなければ生きている資格がない。



ポールもウィングス時代からずっと「俺たちは逃げまくる」と歌い続けています、世界中のコンサートで毎回必ず。きっとそれがポールにとって欠かすことのできないエチカ(論理・哲学)なのでしょう。それは逃走ではなく熱き革命分子の闘争。変革は混迷の現状を打破することから、現在の殻を突き破って突っ走ることから始まるのです。
かつてインタビューで、ジョンは「生まれ変わったらエルヴィス・プレスリーになりたい」と言い、ポールは「バッハの左手になりたい」と言いました。左手と限定したのはサウスポーだったポールが音楽を学ぶ上で、ひどく不自由を感じていた時に聴いたバッハの概念に感動し、救われたから(やはりサウスポーの坂本龍一も、バッハとの出会いで同じ経験をしたそうです)。ピアノを筆頭に楽器の多くは右利き用にできていて、作曲のセオリーも同じく右利き、右手でメロディーを、左手で和音をというのが彼の周囲にある楽曲のスタンダードでごく当たり前の組み立て方でした。しかしJ・S・バッハだけは違った。左右に優劣をつけることでは成し得ない、右翼も左翼も総動員させた音の理想社会を奏でていたのです。これこそが、平均律の確立と並んでバッハが成し遂げた偉大な革命でした。





四方を壁に囲まれた牢獄に送り込まれて
気の遠くなる歳月が過ぎた
誰にも会うことができないってどんな気持か
想像できるだろうか
もう再び会えないのかもしれない
いとしい君にも ああ 母さんにもって思うことが

もしここを出ることができるなら
俺の持ってるものの何もかもを
慈善団体に寄付したっていいと思っている
俺には酒がたった一杯だけあればいいんだ
もしもここを抜け出せたらね

やっとの思いで牢獄から外に出たら
チッなんてこった
アマテラスは隠れて土砂降りになっちまった
でも先頭のヤツがびしょ濡れで次の仲間に言う
なあ、最高の気分だな!って

俺たちバンドは逃げる
俺たちバンドは逃げまわる
看守や船乗りのサムは
脱獄した俺たちを探しまわっているようだ
俺たちバンドは逃げる
俺たちバンドは逃げまくる

俺たちは指名手配中
葬儀屋は大きなため息だ
誰も来ねえし姿も見えねえって
村の広場ではけたたましく半鐘を鳴らして
俺たちうさぎの逃走劇を知らせている

俺たちバンドは逃げる
俺たちバンドは逃げまわる
看守や船乗りのサムは血相を変えて
脱獄した俺たちを探しまわっているぜ
俺たちバンドは逃げる
俺たちバンドは逃げまくる
 
俺たちバンドは逃走中
逃げおおせた頃には夜が更けた
街じゃあちこちを探しまわっているだろうが
俺たちは見つかりやしないぜ
俺たちバンドは逃げる
俺たちバンドは逃げおおすよ
俺たちを捕まえられずに
州の裁判官もさぞかしきやしがっているだろう
そしてきっと言うよ
やつらを必ず探し出せってね
俺たちバンドは逃げる
俺たちバンドは逃げまくる
俺たちバンドは逃走中
捕まってたまるもんか



ちなみに今回の闘争的逃走先は次の7箇所。
「戯れの魔王/篠原勝之」「天才/石原裕次郎」「わたしを離さないで/カズオ・イシグロ」「ダ・ヴィンチ・コード/ダン・ブラウン 上・中・下」「ロング・グッドバイ/レイモンド・チャンドラー(訳:村上春樹)」。七つのアジトを転々としながら七つの顔を持つ男となって年を越す。
ふっ、カダフィーみたいなドジは踏まねえ。でもとうとうエントロピーの追っ手に捕まっちまった時のセリフは決めている。無粋にも、コーヒー色の美女たちとマリファナをやっている最中に押し入ってきた、親米バチスタ軍の兵士に取り囲まれたゲバラの辞世を、そのままパクるのだ。「俺だ俺だ、チェ・ゲバラだ。殺すな殺すな、殺したらもったいないぞ」と。そして真珠の涙を落とす美女の腕の中、虫の息でこう続ける。「さよならは別れの言葉じゃなくて、再び会うまでの遠い約束。それまで、ロング・グッバイ。右向いて左向いてバイちゃバイちゃ」ってね。





 
 

まほろば

カメラを持つ手がかじかむ季節となりました。あの異様な猛暑も、異常な動きの台風も実感を失いはるか昔の物語。散歩の道すがら、澄んだ空気のひだまりに思うは白鳥になった男の言葉なり。
大和の国はまほろば。



ふた月前、天空の暴れん坊
スサノオの草薙剣によって倒されたコスモス、
しぶとく起き上がり、咲く。

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アマテラスに見守られ、美しい往生際。 



ああ、なんということか。あんなにひどい目にあったのに、タケルさん、やるだけやったという清々しさがあの言葉になったのでしょうか。 「ま」は真に、「ほ」は素晴らしき、「ろ」は場所を表す接尾語で、「ば」は場所。



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スサノオが封印していた三種の神器のひとつ、草薙の剣があなたに受け継がれたことは何を意味していたのか、などとつらつらと。



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あなたは最後の最後に得た白い翼でどこに翔んで行ったのでしょう。今はどこの空を羽ばたいてるのでしょうか。もしかして、時々上空からぼくんちの庭を見下ろしているのでは?もしそうならうれしいなと都合よく妄想しつつ。



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折りしも今日は藤沢の高台に新築を果たした、とっても素敵な若夫婦の庭を設計すべく現地を測量に行く予定なりせば、あなた様を祀っている御嶽大神に立ち寄りますので、もしよろしければ、しばしぼくの相も変わらぬ、愛も変わらぬ繰言にお付き合いいただければと。あといくつ生み出せるかは定かでないながら、往生際まで「まほろばの庭」を追い続ける決心もお伝えしておきたいので。
それとですね、ご報告。あなた、草薙剣を貴乃花に渡したでしょ。おかげで彼はクマソ征伐の頃のあなたのように鬼神の働きで大横綱となり、引退後は、帰郷してすぐさま苦難の遠征に追いやられたあなたと同じく辛い日々を過ごしました。でもどうやら、剣を捨てたようです。最後の戦に向かう時あなたが剣を姫に預け、丸腰で出かけて行ったよいうに。彼に長らくまとわりついていたやヤマタノオロチの怨念が解けたような、憑き物が落ちたような、小学生以来の屈託のない自然な笑顔を見ながら、白鳥に姿を変えて遥かに飛んで行ったあなたの心境を思っています。
ところでタケル様、あの剣、次は誰にお授けになるおつもりで?進次郎?海老蔵?イヤイヤ奴らにはもはや必要ないでしょう。できうれば才能に溺れて溺死しかけた者たちへ。清原、アスカ、・・・あるいは私めに。え、お前じゃダメだ。はは、そうですよね。でもまほろばの庭を世に広めるためなら「我に七難八苦を与え給え」と山中鹿介の気概です。先日、天孫降臨の地で起こったあの悲劇だって、もしもそこに庭が存在していたなら、日々夫婦で語らい、家族で集い、自然を感じ、アマテラスの祝福によって心身を健やかな自然体へと調整してくれる、そんな庭があったなら起こり得なかったと、ぼくはそう思っているのです。 
では後ほど、御嶽大神にて。  

 

 

檸檬

桃栗三年柿八年。では、レモンは?

ひとつふたつ実ががぶら下がっている苗木を買って植えたが、何年経っても実がつかないという相談がありました。これ、よくあることで、苗木に実がぶら下がっているのは売るための農家のテクニックでありまして、来年から・・・とワクワクしながら庭に植えても実はつかず、木が背丈以上に育って成熟するまで収穫は無理なのです。だから実を楽しもうと思ったら3~5年待つか、最初から大きく成長したものを植えてください。




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背丈以上になっているのに実が生らない場合は日照不足(花が咲かない)、肥料のやり過ぎ(枝葉が伸びるばかりでいつまでも育ち盛り子供のままみたいな状態のため、子孫を残すマインドが始まらない)、こまめに枝を切りすぎ(花芽が切り飛ばされている)などが考えられます。



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みかん農家はプロなので年間を通して上手に手入れをし何度か肥料をやり収量を上げますが、一般的にはあまり手をかけずに、収穫後に感謝を込めて、少しだけ果樹用に配合された遅効性肥料(お礼肥と言います)を埋めるだけであとは放置するのがいいようです。子育てと同じで、かまい過ぎ、いじくり過ぎは良い結果を生まないのです。



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旦那育ても同じで、せっせと世話を焼いてパッチンパッチン剪定し過ぎると、せっかくの花芽を損ないますので要注意。それ咲けやれ咲け、もっと実をつけなさい!とばかりに尻を叩けば、せっかくついた実が太る前にポロポロ落ちてしまうし、ましてや「早く芽をだせ柿の種、出さぬとハサミでちょんぎるぞ」などと責め立てたら、夜中に足が生えてよその庭に逃げ出すかもしれませんぞおー。



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柑橘類全般、他にはカキ、カリン、クリ、アンズ、スモモなどの果樹は日当たりの良い場所に植え、収穫後にご褒美の肥料をあげて、あとは基本的に放置しとくのが得策かと。お知り合いを観察してみてください、うまくいってる夫婦って、だいたいこのパターンですから。




 

妻の爆買い

灯台下暗し、紺屋の白袴、医者の不養生、蕎麦屋の出前、自宅の庭の植え替え作業を開始しないぼくに業を煮やした女房が花苗を買い込み始めました。



秋冬のバラ開く

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買い込むとはつまり数鉢ではなく数十鉢の爆買い、その豪胆さはいつも感心することながら、実はこれが植え替え作業のコツなのであります。



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数鉢を植えて丹念に育てたら、そのひとつが思うように伸びなかったり枯れた場合しょんぼりしちゃいますよね。ところが数十鉢となるとひとつひとつの花よりも庭全体の風景に意識が行くため、少々のアクシデントは気にならないし、作業完了時にはフレッシュに一変した庭が気分をアゲアゲにしてくれます。



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家計を預かり節約を旨としている奥様方、花苗くらいは贅沢三昧に買い込んでいいんじゃないですかねえ。費用対効果、それによって起こる変化がどれほど価値あるものかを一度お試しあれ。



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「ああ、またもや食費を切り詰めなきゃ」と言いながらかカートいっぱいに苗や肥料を買い込む庭達人、後藤さんの笑顔、いいんだなあ〜。来年もまた、あのオープンガーデンの感動が楽しみ楽しみ。





 

All my loving

ラブ・ストーリーは突然に、アマテラス降臨も突然に、アアわかっちゃったわかっちゃった、「人はなぜ山の登るのか?そこに山があるからだ」は納得だけど、では、「人はなぜ庭に花を咲かすのか?」の答え。
それはですね、愛ですよ、愛。誰にでもあることですけど、自分のことしか考えられなくなった時は庭どころか、野に咲く花にも意識が向かなくなりますよね。猿人が原人へと進化した頃から、人は誰かのことを思った時に花を見つめ、花を育て、花を贈り、花咲く日々を願うものなのです(われらホモ・サピエンスの喧嘩相手であり最後の同胞であったネアンデルタール人の発掘現場で、埋葬の際に花を供えた痕跡が発見されたそうな。植物を食物ではない祈りの供物と捉えることが、ママ〜、ドゥユリメンバ〜、人間の証明)。



誰を思うかパイナップルセージ。
その歌声は香りとなり、
風に乗ってその人のもとへ。
 

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パラディーゾへ、ニライカナイへ、イーハトーブへ。理想郷を目指して頑張っているあなた、あるいは半ばあきらめかけているあなた、いつかたどり着けるといいですね。
でもよくよく考えると、あなたはすでにそこに行ったことがあります。しかも何度も。そうじゃなかったらイメージできませんから、憧れることも、目的地として設定することもないのです。
そこは夢でも幻想でもなく、行こうと思えばいつでも行ける、とても近い距離にある。もしかしたらその入り口は、あなたが今いるリビングの外側にあるのかもしれません。だから急ぎカーテンを。




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パラディーゾへ、ニライカナイへ、イーハトーブへ。カーテンを開けて暮らしている人にとって、それは歯を磨くとことと同じく当たり前のこと。ところがそうでない人には、一体全体どうやったら開けることができるのか皆目見当がつかないし、そもそもなんでカーテンを開けた方がいいのかもわからない。いや、わかりたくないのかもしれません。歯磨きしなさい!と叱ってくれた人のことが今でも大嫌いなのか、あるいはわざとそうしていることで、やさしかったその人がやって来てくれるのではないかと、無意識領域で甘ったれているのかもしれません。もしもそうなら、やめませんかそんなこと。素直になれないなんて、つまらないだけだから。



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パラディーゾ、ニライカナイ、イーハトーブ、そこにたどり着けない理由を並べ立てることに一生を費やす人の、なんと多いことか。
モネの庭を想像し、ゴーギャンのように出かけて行き、ルノワールのように見つめ、セザンヌのように感じ取り、苦難の時はゴッホとなり、恋したらドガのように思いの丈を描けばいい。そのお絵描きはとても簡単。カーテンを開けるという、たったそれだけのことができるなら、それがごく普通の暮らしなのだと思えるようになれたら、その庭がカンヴァスになります。



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パラディーゾ、ニライカナイ、イーハトーブ、そこはいつも花がいっぱいで、住人たちには「誰かのために」が暗黙のルール。かつてそこにいた時は、もしかしたら、あなたのためにと思ってくれる人の愛情に浸っていただけだったのかもしれません。ぼくらはすっかり大人になり、今度は愛情を注ぐ役回りになりました。



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パラディーゾへ、ニライカナイへ、イーハトーブへ。行き方が分からなくなっちゃった方はポールの歌声を、歌詞を噛みしめながら。






あるいはぼくにご連絡を。

All my loving, I will send to you.



天蓋の空

ぼく的に菊地成孔の最高傑作「嵐が丘」。これほどまでに難解なポリリズムの嵐に翻弄される快感は、シェリタリング・スカイの頃の坂本龍一以来なのであります。





この頃はやたらに設計が濃密になって、時間もかかるし、気力も眼精も消耗するし、ともするとトゥーマッチかな?とブレーキペダルに足がかかることがありますが、目指すはあくまでこの感じ。あまりに複雑過ぎてその意図がお客様に伝わず、膝から崩れ落ちながら時間のロスを悔やむことままあれど・・・そんな時にはこの曲をヘヴィーローテーションして意識を上げています。
結果がどうであれ、受けた仕事に手を抜くわけにはいかないのだ。伝わらないのは力量不足、複雑さが乱雑さとなりナマリやノイズになっているからなのだ。だからさらに緻密に組み立てなければならないだ。うん、やはりそう、これでいいのだバカボンボン。
プロフェッショナル・我が仕事の流儀は「やるとなったら徹底的に。やり過ぎは注意事項ではなく必須事項。なぜなら世の常として、恋愛がそうであるように、熟年夫婦の会話がそうであるように、思いは1%しか伝わらなのだから。しかして100%伝えるためには10000%の発信が必要なのであ〜る」。
それとですね、空を覆う雲を突き抜けた高みに行かない限り一切見えない世界があるのですよ。ぼくがご案内しなければ、その人は一生その世界の存在も知らずに吹き荒れる嵐に怯え、カーテンを閉め切った洞穴で身をすくめて暮らすことになるやもしれず、と思ったら、そりゃあひとつひとつの庭に本気モードの必死のパッチとなりますわいな。
いやあそれにしても、音を奏でるような庭、メロディアスな設計は以前から目指していたものの、まさかポリリズムの領域まで来ようとは。ふふ、いよいよ楽しいことになってきたものだ。というわけで、今日もアクセルベタ踏みで、理想の庭を思い描きます。



仕事帰り、港南台の嵐が丘から望む
シェリタリング・スカイ(天蓋の空) 

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不思議な空だ。物体のようにぼくらを覆い、外側にあるものからぼくらを守っているように見える。

外側には何があるの?

虚空の闇だよ。虚空だから何もない。何もないという事実がある、つまり「空あり」ということだ。駐車場の看板みたいな言葉ではあるがさにあらず、これこそが色即是空空即是色ってことさ。
ところで、きみは観光客?


わたしは旅行者よ。

どう違う?

着いてすぐに帰ることを考えるのが「観光客(ツーリスト)」、帰らないかもしれないのが「旅行者(トラベラー)」。わたしは、そうねえ、半々かしら。

半々、なるほどね。みんなそういうものかもしれないな。

男は視線を雲に向け、独り言のように言葉を続けた。

人は自分の死を予知できず、人生を尽きせぬ泉だと思っている。だが物事はすべて数回起こるか起こらないかだ。人生を左右したと思えるほど大切な子どもの頃の思い出も、あと何回?たぶん5回くらいだ。あと何回満月を眺める?せいぜ20回だろう。だが、人は無限の機会が与えられていると思い込んでいる。その思い込みが外にある世界へいざなってくれることもある。そこにまでたどり着き、闇の世界から見下ろしたときに、初めて地上の明るさに気づくことができる。

天蓋の下、あといくつの庭を生み出し、何人の人の手を取って天空へとお連れできるだろう。 せいぜい「無限の機会がある」と思い込むことにする。でないとセンチメンタルに筆が鈍ってしまうので。 
ぼくはツーリストではなく早足のトラベラー。まだ遥かな旅の途中なり。




 

Rainy Days And Mondays

お客様との打ち合わせは土日に集中します。ひとつひとつの庭に強い思いがあるので、現地調査にしろプレゼンテーションにしろ、気合が入り、とても濃密な二日間となります。そして月曜日の朝はフレッシュに、気力充実で設計に取り組むという運びに。運良く雨降りならさらに集中力が増して、レノン降臨、クラクラ&ドキドキする創作ゾーンに突入。
何年も繰り返しているこのスペシャルな月曜の高揚感を、できることなら永遠に反復したいなあと思うのです。永遠の・・・止まない風のように。




地球の隅々まで何周もしてきた
風を見つめる散歩道。

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ずっと昔わたしは「決して止まない風がある」と言ったけど、気がつかなかったわ、その風があなただったとは。

オノ・ヨーコ




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ジョンは止まない風、ポールは沈まぬ太陽。
ぼくはしがない庭絵描き。なれど思いは All You Need Is Love。


おっ、ポツポツと降り出した。


 
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