うラッシュアップ(原田邸 2)

 A・ B の2プランをご覧いただき、検討を経て出来上がったのが次の Plan C です。



Plan C

平面
原田邸 C 平面



リビング側からの立面
原田邸 C 立面 2



庭から隣地方向の立面
原田邸 C立面 3



道路からの立面
原田邸 C 立面



 お客様に、最初にご覧いただくプランはあくまでも叩き台なので、多くの要素を織り込んでいます。それに加えてぼくの脳内では、ひと足早く理想の庭に辿り着いて描いていますから、あれもこれもと様々な庭の魅力をお伝えしたいという思いが募り、少々力んだ仕上がりになってしまいます。その重厚なプラン(A・B)から気に入った要素をピックアップしていただき、整理整頓しつつ価格を抑える工夫と、検討中に出た新たなご要望を織り交ぜながら出来上がったのがこれです。
 ここからさらに調整を重ねて、施工図(工事のための図面)を作成して設計作業が終了。達成感と安堵感、そして自己満足なれど、自分で自分を褒めてあげたいような感動に似た感慨で帰宅。満ち足りた気分で庭に出て飲む一杯のビールの旨いこと旨いこと。慢性的に忙しく慌ただしい日々なれど、ビールが美味しく感じられるうちは大丈夫だなあと、よくそんなことを思います。
 こうして設計が完了し、お客様の瞳に新たな庭へのワクワク感が輝いていることを確認できた日の夜、庭を渡る風と星空に祝福されているようで。この心地よさ、庭ってこういう場所になり得るのだということを、多くの人に伝えたいんですよね。庭をご自分の理想的なテリトリーとして成立させることができたら、確実に人生のクオリティが上がりますから。

 次回は Before-After 。ものすごいですよ。










庭がある暮らしをイメージする(原田邸 1)

 なんとなんと、5年ぶりに「新築住宅の庭」を綴ります。故あってちょっとだけ休んでみようかなあ、などと思っていたら五年以上が経過していました。光陰矢の如し。このあっという間の時間の中にはコロナがあったし、さまざまな事件や災害や紛争で、世の中のお作法は様変わりしました。できるだけそれに則りながら、世間様とのズレが生じないよう心がけつつ、しかし庭への思いは昔のままに、熱く語ってゆきたいと思っています。
 5年・・・1825日・・・ぼく自身は孫ができ(現在3.5人)、犬が増え(現在4匹)、娘夫婦が新築を果たし、ナイキのスニーカーが10足になり、各種メガネが6個になり、「変化させ続ける」ということを庭と人生における理念のひとつに掲げている身としては、大いなる変化を遂げることができたという感があります。その変化が成功か失敗か、良かったのかそうではないのか、という検証はしません。なぜならその都度の不満や不出来な自分を改善するために「とにかく変えてみる」ということで変化する(生物の進化の早回し)わけでして、振り返ることにはあまり意味がない。反省なんか始めようものなら性質上どこまでも落ち込んでゆくだけですから。そうではなくて、さらに変化することで、今現在の不満と自分の不出来を改善していく方が楽しいですから。あ、つまり、羊男のアドバイスになぞらえるなら「踊り続ける」ってことなのですが。


「踊るんだよ」
「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言っていることはわかるかい?踊るんだ。踊り続けるんだ。何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。そんなこと考えだしたら足が停まる。一度足が停まったら、もうおいらには何ともしてあげられなくなってしまう。あんたの繋がりはもう何もなくなってしまう。永遠になくなってしまうんだよ。そうするとあんたはこっちの世界の中でしか生きていけなくなってしまう。どんどんこっちの世界に引き込まれてしまうんだ。だから足を停めちゃいけない。どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。きちんとステップを踏んで踊り続けるんだよ。そして固まってしまったものを少しずつでもいいからほぐしていくんだよ。まだ手遅れになっていないものもあるはずだ。使えるものは全部使うんだよ。ベストを尽くすんだよ。怖がることは何もない。あんたはたしかに疲れている。疲れて、脅えている。誰にでもそういう時がある。何もかもが間違っているように感じられるんだ。だから足が停まってしまう」
「でも踊るしかないんだよ」
「それもとびっきり上手く踊るんだ。みんなが感心するくらいに。そうすればおいらもあんたのことを、手伝ってあげられるかもしれない。だから踊るんだよ。音楽の続く限り」 
オドルンダヨ。オンガクノツヅクカギリ。 『ダンス・ダンス・ダンス/村上春樹著』より


 たまたま20年ぶりに再読したらハマった「風の歌を聴け」→「1973年のピンボール」→「羊をめぐる冒険」→「ダンス・ダンス・ダンス」の4部作。その連作の核心にあるのがこの言葉です。

 ちょうどそんな時期に設計し施工したのが原田さんち。その時に読んでいる本から仕事が影響を受けることはままあります。っていうか、それが楽しくてAmazon探検がやめられずに、「読んどく→積んどく」が十数冊あり、無駄使いにも程がある、不適切にも程がある、ふてほど〜!と反省しつつ、では、春樹ワールドが反映された庭をお楽しみください。

 新築です。庭は更地で、外構は住宅メーカーからピンと来る提案が出なかったため、ぼくが設計をしてメーカーさんが施工する、ということになりました。

 

玄関アプローチ Plan A
原田邸 アプローチ A


玄関アプローチ Plan B
原田邸 アプローチ B


 続いて庭の提案です。外構提案の時点で当然庭のこともイメージしますので、スラスラと2プランが出来上がりました。


Plan A

平面
原田邸 A 平面


リビング側からの立面
原田邸 A 立面 2


庭から隣地方向の立面

原田邸 A 立面 2 2



Plan B

平面
原田邸 B 平面


リビング側からの立面
原田邸 B 立面 2


庭から隣地方向の立面
原田邸 B 立面 3


 両方とも考え方は同じで、ポイントはカーテンを開けて暮らせるようにすること。それに加えて庭に出て過ごし、ガーデニングも楽しみながら生活する、そんなコンセプトです。
 Plan A はウッドデッキ+タイルテラス+植栽エリアで、Plan B はウッドデッキ+ウッドデッキ+植栽エリア。双方共に庭の外周に目隠しを施して、視線を気にせず庭を楽しむ、つまりは庭を生活空間として成立させることを強く意識しました。
 あの手この手で目隠し効果は妥協せずに施すこと。このことの重要性に気づくかどうかで、概ね庭の出来・不出来が決まります。カーテンを開けることなく暮らすことに疑問を持ってみると、そこから庭がある暮らしが展開してゆくのです。

つづく










しもやけ

 冬来りなば・・・ようやく冬らしい朝がやってきました。このまま春になるのでは?などと現実化してきた温暖化を危惧したり、そんなことより寒くない方が現場が捗るからありがたいわいなと、小春日和を幸運と捉えたり。けれどもやはり、冬の朝はキーンと冷たい空気に気合を入れて始まる方が調子が上がる気がします。思えば若かりし頃の新潟時代では普通のこととして、吹雪の中で現場仕事に汗を流していたのですから、きっとこの感覚は、身に染みついたものなのでしょう。



軒下のヤツデの花に花アブが
喉を鳴らして食事中
冬の貴重なご馳走なのでしょう

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 26歳で上京した当時、東京に冬がないことに驚きました。雪が降らないだけでなくとにかく連日暖かくて、6畳の古いアパート暮らしで、最初の冬越しでは暖房器具を買わないままで春になったことを覚えています。さすがに翌年からは体が関東仕様になり、それなりに寒さを感じて小さな電気ストーブを買いましたが、いまだに寒さには強いという自負があります。同時に暑さへの耐性もかなりなもので、つまりは暑さ寒さの両極に対しての耐性がある、あるいは鈍感なのかもしれません。



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 新潟時代は、今振り返って思えば気候との闘いの日々でした。闘いというより、対峙するという感じかな。とにかく関東よりも自然の圧が強く、四季折々に自然界からの濃密にして強烈な刺激を浴びながら生活していた気がします。積雪が4メートルを超える豪雪地、陸の孤島と呼ばれる山村、農業と土方仕事(冬は出稼ぎ)で得た収入で、家族寄り添い質素に暮らす人々。昭和時代では、それが越後人の平均的な暮らしでした。



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 今はあれこれと都会的になったので、もっとおしゃれでスマートに生活しているものの、それでも自然の圧は昔と変わらないわけです。スマホを手放せないゼット世代がまだ暗いうちから家の前の雪をかき、休日は屋根に登って雪下ろしに息を上げる様子に、この子たちは大丈夫、少なくともホワイトバイトなどとは無縁の人生を送ることでしょう。ふとそんなことを思った早朝散歩のひと時で体が温まり、今日も設計作業に、鬼の如くの集中力が発揮できそうです。

 物心着く前から、時に命懸けなくらいな自然の中で成長することが、実は健全に、自然体で人生を送る原資となる。



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 子育て中の方々へ。子どもたちに、せめて庭遊びくらいは、冬にはしもやけの経験くらいは提供した方がよろしいのでは、などと、要らぬおせっかいではありあすが。いや本当に、無自覚のまま闇バイトで人を殴ったり殺したりしてしまう若者たちには、何かしらの、とても基本的な、当たり前すぎて見落とされがちな、そんな欠落があるとしか思えなくて。多分、ですけど、彼らにはしもやけの経験など一度もないんだろうなあと。










秋好きから庭好きに移行

 前回「夏好きから秋好きに移行」宣言をして、さてさて秋だ秋だとはしゃいでみたものの、待てど暮らせど秋がやってこない。ひと月遅れでキンモクセイが香り、これまたひと月遅れで(少しだけ)マツムシが鳴いてくれました。でも、体感的にも情緒的にも秋が来ないままで、今日は木枯らし1号が吹くそうな。



季節感が当てにならない時代になったのですから、
自分がアマテラスとなって、季節を想像し創造するのが良いでしょう。
植え替えの季節です。

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 仕事柄、意識を季節と並走させることで、いい感じの心身をキープすることを旨としブログにも繰り返しそのような視点で書いてきました。ああそれなのにそれなのに、秋がここまで存在感を失うとは・・・いやはやどうにもこうにも、にっちもさっちもどうにもブルドッグ。



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 本当に世の中の、というか外界の変化が激しすぎてついていけないなあと思う場面が多く、例えば何がどうなってもあの顔つきの人が総理大臣になることなどあり得ないと思っていたのが、あっさりと。いくら何でもあの乱暴者が大統領に返り咲くことになったら世も末だ、という考えもゴミ箱へポイ。能登の復興が遅々としていることに、「あれれ、津波の時にあれほど被災者を励まし力を出した同じ国民が、今回はどうなってしまったのだ。人々のマインドにどのような変化があってこんな事態が続いているのだ」と首を傾げるしかない自分に戸惑うペリカン。闇バイト?ホワイト案件?悪童はいつの時代にもいるが、無自覚にインターネットに操作されてお年寄りを殺害って、アンポンタンにもほどがある。フィッシングメールが毎日50ほど届くし、怪しいだけの迷惑営業電話は連日掛かってくるし、田部井Pからインスタグラムを勧められ半年ほどウダウダしてたら、「残念なお知らせです。インスタの時代は終わりました」と。ソモサン、で次は?と問えば「セッパ、それは誰にもわかりませんね」。インボイス制度って何?誰も説明してくれないし、マイナ保険証は来月から始まるそうで、これまたぼくには理解不能だし、女房の機嫌はとても悪いし(あ、これは前から変わらない安定的な事象ですが)、昭和生まれの頭脳では未来を先取りすることなどできない事態に陥りました。



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 「時代の半歩先を提案するのが設計者の使命である」と教えられ育った自分から、気づけばその能力が失われているわけでして、超個人的な感慨ながら落ち込んだのですよ。5分ほど。



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 レジリエンス。へこんでも落ち込んでも、カンヴァスを取り替えて再び絵筆を振り回す。何度でも何度でも違うアプローチから理想郷を組み立ててゆく。これも設計者の特性で、そうしないことにはお客様が感動してくれる領域の庭世界に辿り着けない。つまり、仕事になりませんからね。



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 10分後には新たな思考回路が完成。そうか、自分の頭脳から未来予測能力が失せてしまったなら、予測などせずに自分が信じる理想の未来を思い描けば良いではないか。ナイスですねえ〜!と自画自賛し、このポンコツOSのバージョンアップを完了させました。



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 つまり、ええっとですね、大谷翔平ですよ。この混沌とした数年間で感動と希望の光を放ち続けた偉人、大谷翔平。彼は世の中がどう変わろうが、気候がどうなろうが、通訳があんなことしでかしても、アンチから批判やブーチングを浴びせられても馬耳東風で、ひたすら理想の自分を思い描きながら、今日いち日にベストを尽くして生きている。邪念とか駆け引きゼロで、夢のような自分の姿を思い描くことに余念がない。誰もが「信じられない活躍」と思う成果を上げた原動力は、地球上でひとりだけ、その成果を思い描いていた人がいたということなんですよね。



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 「イメージできたらできたも同然」というぼくの名言がありますよ。ほんとに、大概の人は幸せに寄与する庭の姿など想像することがないままに人生を終えてゆく。ぼくは逆に、そのことばかりを思い描いて生きている。なあんだ、これでいいじゃないか。ガーデンデザイナー人生は上々だよ、イワフチくん。



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 というわけで、秋好きから庭好きに移行します。さあてと、どんな冬になるんでしょうかねえ。これは予想ではなく、来るなら来い!と、暖冬だろうが豪雪だろうが、天変地異、戦争、何が起ころうとも大切なことはひとつだけ。ぼくが思う理想の庭があれば、あなたとご家族が、日々を健康で美しい気持ちを失うこなく暮らしていけます。いやほんとに、それが庭という場所の役割なのです。自然を感じ取りつつ不自然になりがちな自分を調整する場所の重要性は、この混沌が続くほどに重要になりまので。あ、いや、庭じゃなくてもいいですから、お天道様を意識して、季節ごとの美しさをキャッチしながら暮らしてまいりましょう。


闇バイトに絡み取られる若者には、
思春期にこういう音楽との出会いがなかったんでしょうね。
歌は世に連れ・・・と申しますけど、
ぼくら昭和生まれは、歌によって大人へと導かれた世代です。








夏好きから秋好きに移行

 今朝、赤トンボがいっせいに大量発生しました。早朝出発で八王子から来てくれた職人さんに話したら「そうなんだよ。相模原も今朝、急にトンボだらけでビックリしたよ」とのことなので、横浜から八王子までの一帯が同じタイミングで羽化したことになります。花の開花と同じく、打ち合わせもなしにある種が全体的な変化を遂げるというのは、人間には計り知れない神秘ですよね。



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 蝉時雨が聴かれなかった夏がようやく終わり、マツムシは遅れているのか、あるいは今年の交尾は諦めたのかまだ鳴いていなくて、マンジュシャゲは数日前に爆発するように咲いて、いつもなら香りまくっているキンモクセイはまだ蕾もついていなくて、ギンナンは豊作。
 悲喜交々というか、植物や虫たちはきっと悲も喜もなく、懸命に、ひたすらに、環境への適応の道を探って生きているのでしょう。



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 夏好き(夏休み好き)だった自分に変化が起こっている気がしています。キツい夏の次に来る季節に繰り広げられるドラマが、とても面白く興味深くて、夏好きを返上して「秋好き」に移行しましょうかね。秋空はドラマチックだし、人生の季節的にもそろそろ、秋、ですしね。



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 皆さんおっしゃっている通りに(女房殿の見解も同じく)、もう夏休み的な情緒のある夏は味わえないのかもしれません。女房曰く「絶対ムリ。夏嫌い。もう夏はああなるんだから、来年は河口湖か湯沢か館山か、私は涼しい場所に別荘を建てて犬たちと過ごすことにする」と。おお、なんとキッパリとした前向きな思考であろうか。ただしそれには続きがあって「だからあなたはしっかり仕事して稼いでよ」だってさ。



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 ・・・秋、ですね。さ、仕事仕事。










魚沼産コシヒカリが美味しい3つの理由

 魚沼産コシヒカリの美味しさには、他の地域にはない3つの理由があります。

1、魚沼人が生真面目だから

 今となっては信じられないことですが、かつて(ぼくの親が生まれた頃)新潟米はまずい米の代表格だったそうです。
 それを打開すべく県の農業試験場が開発したのがコシヒカリ。ただしその栽培は、それまでの稲作の常識を超える繊細さと根気を必要とするものでした。毎日欠かさずに田んぼに行って、葉の色を観察しながら水を調整する。純朴にして頑固で、生真面目一本槍の魚沼人だからこそ為し得た収穫だったのです。



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2、錦鯉の産地だから

 貧しい農村が山と山との間に点在しているような地域に、昭和40年代から始まった国の減反政策はとてもキツいものでした。
 そこである知恵者が始めた苦肉の奇策、休耕田を使っての錦鯉養殖が大当たりし、魚沼は一大産地となりました。この出来事がコシヒカリに奏功します。田園風景に養殖池が点在していたため、田んぼの農薬の使用を極力抑えることとなったわけです(水路は繋がっているので)。農薬を極限まで減らしたことが微生物を旺盛に繁殖させて、土を肥やし、米に滋味をもたらしました。



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3、山間の田んぼだから

 魚沼盆地には広大な平地がありません。
 越後三山が従える山々の隙間に切り拓いた小さな田んぼへは、清らかで、濃厚な自然のミネラルを含んだ沢の水が注ぎ込まれます。地元でも最上級と称される田んぼは、必ずその山の水を最初に取り込む場所にあるのです。



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 雪国の豊かな自然から、黙々と真面目に暮らす人々の営みに与えられた恩恵が、わが故郷魚沼産コシヒカリの味。焼き鮭で、野沢菜で、生卵で、塩むすびで、どうぞご賞味あれ。



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 ちなみに、昨年は暑さにやられてそこそこの出来だったそうで、それを克服すべく今年は丹念な水の調整が行われ、かつてないほどの特上米になったとのこと。お天道様任せじゃじゃなくて、お天道様の恩恵に報いる努力が予想以上の成果をもたらすんだなあと、何だか、大谷の大活躍とダブるような感慨を持ちました。コシヒカリ農家と大谷翔平、何となくですけど。
 魚沼産コシヒカリの新米、今しか味わえない、いわば旬の味です。ぜひ。









月夜見

 中秋の名月。



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 お月見は、ぼくの年齢でも幼い日に「昔はお団子とススキを供えて、庭でお月様を眺めたんだよ」という話を聞いただけで、実際に経験した記憶はなく、絵本やマンガ日本昔ばなし出てくる風習でした。



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 それはもしかしたら、生まれ育ちが越後だったからかもしれません。十五夜の頃は稲刈りが真っ盛りで、大人たちは湧き立つように農作業をする時期ですから、のんびりとお月見をする家などなかったんだろうなあと、そんな気がしています。関東や他の地方では、普通にお月様を見上げて、うさぎが餅をついている姿をネタに、家族でいろんな話をしたのでしょう。



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 昨日、田舎の母から「米を送ったから、受け取ったら半分を詩織ちゃんところに届けてくれ」と電話あり。魚沼産コシヒカリの新米です。



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 三貴神のひとり月夜見尊は、農耕、漁猟の暦を司るため月齢を数える神で、それが転じて月の神と言い伝えられるようになったそうな。



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 庭でお月見、孫たちにしてあげたいことのひとつです。








豊年満作

 いつまでも秋めかなくて「今日も暑いですねえ」が挨拶の定型句。ところが散歩道で見上げれば、イチョウは例年以上に実を付け、実りの秋の準備万端なのです。



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 農協にお勤めのお客様によれば、今年は茄子の出来がとても良かったとのこと。稲刈りが始まった故郷魚沼のコシヒカリも、今年は最高の出来だったそうです。



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 ぼくらは天候不順をついつい気候変動と結びつけてイメージしがちなだけで、植物にとってはあの猛暑も、終わらない夏も平気の平左、ごくごく普通のことと捉えているのでしょう。つまり、状況の変動に対する対処の幅がぼくらよりも大きいんですよね。アマテラスの尺度と申しましょうか。「ちょっと暑いくらいで、何をオタオタしとるのだ人間どもよ」と、草花に笑われているかもしれません。



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 気候がどうであれ、ぼくらにできることはその変化に適応することだけ。散歩道ですれ違う顔馴染みの奥様が「これが普通の夏になるんですかねえ」と声をかけてきました。「うちらは死んじゃうんだからどうでもいいけど、子どもたちに悪いことした気がして・・・」。奥様、素敵!何という美しい見解でしょう。全くその通りです。ぼくら世代がしでかしたこと、あるいは修正できなかった(しなかった)ことなんですよね。それでも今さら何ができるわけじゃなく、ただ賢くこのタイプの夏を楽しむ姿を子どもたちに見せておかなければ、という結論で、じゃ、と、それぞれの方向に歩きました。



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 縁側で食べたスイカ、素麺、シャービック。蚊帳を吊って、夜風を入れて寝たお盆の頃の記憶・・・孫たちに夏の情緒を伝えたい、などと思うは昭和生まれのノスタルジー。彼女たちには今風の、夏の幸せな記憶が積み重なってゆくのでしょう。ただ、その演出くらいはしてあげたいなあと、折々に夏野菜を届けたり、外遊びに誘い出すジイジくんなのであります。



ノスタルジーとは、個人的な幸福の記憶。
その貴重さが、年々重みを増してゆく。







TERRITORY

 草木は昆虫を集めるために色と形を工夫した花を咲かせます。
 昆虫は、広い野山で同種族を見つけ出して交尾をするために、種ごとに独自の姿形をしています。
 これはつまり、見た目によってテリトリー(ニッチ)が与えられるということです。人は無意識にそのことを知っていて、それで毎日身だしなみを整えおしゃれをして出かけるのでしょう。
 綺麗な靴を履くと、その靴が美しい場所に連れていってくれる。イタリアの諺だったかな。
 テリトリーを意識する、大切なことですよね。



ハツユキソウに紛れるモンシロチョウ。
奇跡とも思える組み合わせです。
植物と昆虫の相思相愛。
ほんの十数秒、ニッコニコしながらシャッターを切りました。

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風の歌を聴け 五感→第六感

 秋のガーデニングシーズン到来。園芸店は大混雑で、たくさんの笑顔が広がっています。これが豊かさだよなあと、現場で使う庭木の仕入れに立ち寄ったその店で、こちらまで豊かな気持ちになりました。

 野菜と花苗の植え替え時期に、なぜ人は笑顔になるのか。それは手にしている野菜苗が、1ヶ月後、2ヶ月後に大きく成長し、収穫して食べるときのメニューと味わい、そこで交わされる会話まで想像しているからです。合理的に考えれば、野菜はスーパーで買った方が安いわけですから、単に食材としてではなく、それを育てる時間に浮かぶ幸福な未来をイメージできる、という点が人を家庭菜園へと誘なうのです。草花もそうで、数ヶ月後に花いっぱいになった庭で繰り広げられる家族の時間を、未来予想図として、ワクワクと思い描くことが楽しいから植えているのです。

 そうやって庭仕事をしながら得られるのが、五感への刺激。視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚が活性化します。経験者はご存知の通りで、五感が整うと第六感が研ぎ澄まされてくる。ご主人方、ドキッとするでしょ。奥様が庭好きだと、理屈じゃなくて、感覚的に鋭い指摘の矢が飛んでくることがありますよね。理屈脳の男たちには太刀打ちできない女性の第六感。あな恐ろしや恐ろしや。
 男性諸氏、ガンジーのように無抵抗主義を貫くのもいいけど、本当は奥様の第六感を褒め称え、一緒に、というか率先して庭仕事をするのが正解なのです。ぼくの見る限り、その偉業を成し遂げた男性は全員カッコいい。夫婦共々、庭で五感を活性化させ、理屈の応酬ではないノンバーバルな幸福を築く。これが理想の夫婦像だと、ぼくは思うのですが。
 庭ですよ庭。秋の植え替えに一汗かきましょう。夫婦円満のためにも。


昆虫にとって五感のセンサーは命の綱。

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人間のような感情は持っていないにしても、
今頃の彼らは、とても心地よさそうで、
見つめていると、こちらまで気持ちが安らかに整うのを感じます。
これでいいんだよなあと。
これがいいんだよなあって。

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虫を見ると悲鳴をあげるあなた(困ったことに娘がそうです。なぜ?ぼくの娘ですよ)、
まあそう反射的に決めつけないで、その姿と行動をじっと見つめてみてください。

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造物主は生態系の基礎として、毒の海に植物という命をもたらしました。
シアノバクテリア。アオミドロのような、藻のような生命体。
やがてそれらが海藻となり、浜に打ち上げられてコケやシダとなり、
陸地は緑に覆われます。その緑から大気に酸素が供給されて、
自ら移動する生物が繁殖して地球は海と森と恐竜の惑星となる。

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その後に訪れた生物絶滅の危機に際し、造物主は植物に新たなシステムを提供します。
被子植物の誕生です。
そこから始まった画期的な受粉システムのパートナー、
働き手として昆虫を指名しました。
生態系の中で最も繁栄しているのが昆虫たちであることには、
そんな理由があるんですよ。
だから、娘よ、虫嫌いのままだと・・・。
少なくとも、ちびっ子たちは、昆虫大好きに育ってもらいたいなあ。
ま、これはお爺さんの役目かな。



秋の始まりに聞きたくなる、この曲。



ジャクソン・ブラウンは超がつく理屈屋(哲学者的な詩人)なのに、寡黙で、
その溢れ出てくる理屈を胸に沁みる音楽に昇華していった人です。

この技を身につけることができたら、悩めるご主人方・・・
他人事じゃないんですがね。






美空さんが7歳になりました

 美空さんが7歳になりました。おめでとう、美空。



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 時の経つのが早すぎて、この調子だと気がついたらもうジイジくんは消えていて、いい人だったよね〜みたいな。



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 まあそんなこと考えても仕方ないので、やーめたっと。ただそれほど、ぼくが感じている時間と孫たちが成長する時間との落差が激しすぎなのです。



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 古今東西、この不可思議な感覚は全人類が抱いたことで、総括するならば、「幸せだなあ〜」となるのでしょう。



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 もうひとつ、その幸福感を胸に「頑張らねば」と思います。



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 何を頑張るのか?よくわからないけど、とにかく頑張って、その姿を彼女らの記憶に刻まねばなるまいて。



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 ぼく自身がそうだったんですよ。生涯現役で家業と民生委員の役に励んで、世間様から感謝され、大家族の幸福を築き上げた賢一爺さんの姿が、ぼくの人生を支えてくれました。



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 記憶の中で、休むことなく動き回り働いていた祖父は、笠智衆に似た老人そのものでした。ところがよくよく考えると、今の自分と同じくらいの年齢です。



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 健康寿命が延びたのか、あるいは老人の概念が変化したのか、昭和と今では老人像が全く違います。よく言われることで、磯野波平は54歳ですよ。それであの姿。ぼくなんか頭が古いものだから、歳取ったらそれなりに老人化して、好々爺となるのが人生上の勤めである、くらいに思っていたのに。



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 もうやーめたっと。こうなったら美魔女ならぬ美魔王を目指しますよ。フォーレバヤング(ボブ・ディラン)、ビバ〜ヤング・パヤパヤ・ビバヤング!(オールナイトニッポン)。



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 てなことをウダウダしていたら、いい感じのご夫婦がご来店。庭に目隠しが欲しいとのこと。横浜から鎌倉の海辺に移住されたそうで、やっぱり海を見ながら人生を仕上げたいと、一大決心で家を建てたそうです。さすがに湘南の一等地ですから、空気感も、生活感も、横浜とは違うとおっしゃっていました。本当に、決心して良かったと。
 そうか、人生を仕上げる意欲を持って、理想を思い描いて、お爺さんはそこに向かって頑張ればいいんだと気付かされた次第です。何を頑張るの?理想的な人生の仕上げを頑張る。



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 とにかく素敵なご夫婦だったんですよ。ぼくよりひと回り下らしいけど、仲良しでいるということだけでも素晴らしいのに、二人で理想の暮らしを実現してゆくその感じが眩しかった。
 こうしてお客様に導かれる人生の素晴らしさを、ジイジくんはそういう人だったんだよと、娘よ、後年孫たちに伝えておくれ。
 さ、頑張る方向が見えたので、設計設計また設計だ。いろんな仕上げ方がありますが、仕事は全力で、生涯現役が理想ですから。


 

 



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