今宵は12番目の月

 2023年、イブの早朝。庭に浮かぶ月は少しだけ満たない、ほぼ満月。ほぼ。



幸せ達人、後藤さんちのクリスマス風景を並べつつ、
今年も年末だけのクリスチャン。


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 つぎの夜から欠ける満月より、14番目の月が一番好き。



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 月カレンダーを検索したら、満月は27日で、十四夜は26日。クリスマスの翌晩。月夜見尊よ、なかなか粋な計らいではないか。



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 例年通りに孫へのプレゼントを悩む。彼女たちに一生の思い出になる品を、と。他の家族が豪華で楽しいゲームやら何やらを用意するであろうから、ジイジくんの打つ手はどうしたものか。



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 昨年も、一昨年も、考えに考えた挙句に『逆張り』で、コンビニのレジ横に並んでいたクリスマスブーツを購入した。これが昭和時代からの定番なのだ。これこそが幼い日に、自分が一番嬉しかったプレゼントなのだから。三角帽子、アイスケーキ、お菓子入りの長靴。何歳くらいの記憶なのか、とにかく大人たちがみんな笑顔で、子供たちを囲んで過ごすあの感じが、幼心に「シアワセってこういうことなんだ」という実感を生み出した気がしているのです。



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 人はいつ、思考の中に幸せの定義が出来上がるんだろう。さんざん苦労をして、その対比的に安泰を幸せとする人もいるが、どうやらそれでは遅いのかもしれない。もっと早くに、有り余り、溢れている幸せにどっぷり浸かる時期に、つまりそれは空気のようなものだから自覚などしないし、ただやたらに周囲の大人が幸福感に輝いている、そんな記憶を後年、最高に幸せだったんだと思い起こす。そういう幸せ体験が、彼女、彼らには絶対に必要なのである。それが一生を支えることになるのだと、すっかり大人になったヒデボーくんはそのように確信しているのです。



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 で、故に、今年も逆張りでクリスマスブーツ(できるだけ昭和っぽいやつ)。少し見栄えが地味だから、デパートの地下に寄って、可愛らしい花束を添えてプレゼントといたしましょう。女の子だし、花束は反射的に喜んでくれるし。



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 メリークリスマス。メリークリスマス、ミスター・ローレンス。そうだ、坂本龍一にはイブの夜の月をプレゼントしよう。ありがとう、坂本さん。あなたは最後の最後まで、14番目の月的に音と言葉を届け続けてくれました。高橋幸宏さんと一緒に細野さんの到着を待って、絶対に、あっちで再結成してくださいね。そして家族が集う家々の庭に、星空から、満ちてゆく月光のようなメッセージを送り続けてください。



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 それにしても、なんて立て続けに人が召されてゆくのでしょう。人類史としては当たり前な現象であるわけなんだけど、でも戦争で奪われる子供たちの命だけは、それを当たり前と片付けることなどできない。世界中の子供の枕元に、明日の朝、ワクワクの包みが置かれていますように。サンタさんたち、お父ちゃんも、お母ちゃんも、お爺ちゃんも、お婆ちゃんも、一致団結して、Love & Peace 。



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 さてと、そんな思いを胸に、プレゼントを買いに出かける時間まで、設計設計また設計。逆張りはぼくの設計でも常套手段。人生の裏に道あり花の山。裏っ側に物事の本質がひそんでいるのはままあることだから。庭においてありきたりな設計は、大概の場合、上っ面に流れてしまうものなのであります。そんなものは庭っぽい空き地に過ぎない。



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 庭っぽい空き地、家族っぽい他人、平和っぽい地獄。逆張りすれば空き地っぽい幸せな庭、他人っぽい幸せな家族、地獄っぽい幸せな平和となります。「幸せな」を無理に付け加えたわけではなく、前者には馴染まないそれを、後者にはすんなり付けることができるから。これが裏表のマジックなり。



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 メリークリスマス。今宵は12番目の月。裏道を照らす、冴え渡る月明かり。










さてと、抱負

 さてと、ちょっと落ち着いて、メインの作業である設計・施工をスローダウンしましょうか。メリークリスマス&ハッピーニューイヤー。猛烈に突っ走ってきたこのスピードのままでは、年の瀬に味わうべき情緒を振り切ってしまいそうで。



師が走り回る年末進行っ真っ只中。
そう言えば年末進行って言葉、使わなくなりましたよね。
世の中、穏やか方向にシフトしているようで、何よりです。
静かに、家族仲良く、豊かな気持ちを大切に。
まだの方は、あと数日の間に草花の植え替えを。
パンジー・ビオラ、プリムラ、ラナンキュラス、
ガーデンシクラメン、エリカ・・・
花の数と幸せは比例する。


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 大掃除、年賀状、忘年会、おせち作り、いつの頃からかやらなくなりました。行く年を振り返りつつ希望に満ちた新春を寿ぐ、そんな心のお作法も薄らいだ気がする2023年の師走です。クローゼットの整理整頓くらいは(年末であることとは無関係に)やってしまおうと思っておりますが。



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 これでいいのかなあ・・・誰に迷惑をかけるわけでもないし、まあいっか。いや、待てよ、これじゃいかんのではないかしら。お爺さんとして、孫たちに年末年始のワクワクを演出する役を、きっちりと果たさねばなるまいて。うん、そうだ、それがあったんだ。



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 では手始めに、サンタクロースからですな。今年もイブには呼んでくれると思うから、プレゼントと、あとは輪ゴムを使った手品のひとつやふたつは完璧にしておくことといたしましょう。



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 もういくつ寝るとお正月。お正月には凧あげて、コマを回して遊びましょう。早く来い来いお正月。今年も通例、たくさんの方が亡くなり、思いの外、その死を悼む声のボリュームが小さい気がして仕方なし。コロナを経験したからか、みんなそれだけ死に対して、とても穏やかに受け入れることを学んだのかもしれません。学び?あるいは弱体、衰退かも。戦争報道とか狂気の事件とか、まともに食らっていたら自分を保てなくなりますからね。それでいいのかよくないことなのか、年が改まれば人々の精神はさらに健全へと向かうことでしょう。そうあってほしいし、きっとそうなる。健全な精神礼賛こそが、様々な窮地からの復興を図る人たちが目指すべき到達点、約束の地なのですから。



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 その兆しはあるのです。ぼくにしか見えない光であったとしても、それは確かに、暗闇の奥に、微かに開いた扉から漏れる薄ぼんやりとした明かりが存在する。その扉の向こうには羊男が座っていて・・・『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』『ダンス・ダンス・ダンス』の4部作で空き時間を塗りつぶすこと半年余り、とても思考のバランスが良好だったことが、2023年にあった良き事でした。二十歳の頃に一度読み、再び買い揃えてじっくりと。繰り返し繰り返し、現在3回目の途中なり。なんで今更、と思いつつ、やってみたらやめられない止まらない。若い頃に読んどいて本当に良かった。このようにして、若さいっぱいだった頃の自分をなぞってみれば、なあんだ、俺ってほとんど変わっていないんだ、と実感して、そうだ、これでいいのだバカボンボン。変わっていないということは、これが俺なんだという証なり。良くも悪くもこのまま突っ走るしかないのであると、そのように決着するから、迷いが消えて調子が上がるのかもしれません。自己確認、アイデンティの統一、レゾンデートル。



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 2024年は踊ります。ダンス・ダンス・ダンス。羊男が言ったように、とびっきり上手く踊るんだ。
オドルンダヨ。オンガクノツヅクカギリ。



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 結局のところ、せっかくまだ生きているんだから、踊りまくるぜ、ってことで、新年の抱負といたします。皆様、良いお年を。シャル・ウィ・ダンス?

「踊るんだよ」
「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言っていることはわかるかい?踊るんだ。踊り続けるんだ何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。そんなこと考えだしたら足が停まる。一度足が停まったら、もうおいらには何ともしてあげられなくなってしまう。あんたの繋がりはもう何もなくなってしまう。永遠になくなってしまうんだよ。そうするとあんたはこっちの世界の中でしか生きていけなくなってしまう。どんどんこっちの世界に引き込まれてしまうんだ。だから足を停めちゃいけない。どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。きちんとステップを踏んで踊り続けるんだよ。そして固まってしまったものを少しずつでもいいからほぐしていくんだよ。まだ手遅れになっていないものもあるはずだ。使えるものは全部使うんだよ。ベストを尽くすんだよ。怖がることは何もない。あんたはたしかに疲れている。疲れて、脅えている。誰にでもそういう時がある。何もかもが間違っているように感じられるんだ。だから足が停まってしまう」
「でも踊るしかないんだよ」
「それもとびっきり上手く踊るんだ。みんなが感心するくらいに。そうすればおいらもあんたのことを、手伝ってあげられるかもしれない。だから踊るんだよ。音楽の続く限り」 
オドルンダヨ。オンガクノツヅクカギリ。

 







ジャネーの法則

 今年の秋はいつもの秋より、短くなりそうな、そんな気がして。夜の庭でパソコンページにこの一節を書いたのが10月10日、野田で暮らしている息子の誕生日でした。息子はぼくの誕生日が近づくと「お父さん、欲しいものある?」とメールをくれて、ぼくは遠慮なく、カニ、とか、肉、とか、野田のホワイト餃子(開店前に並ばないと入手できない、日本で一番おいしい代物)とか返信すると、丹念に上物を選んで宅急便に乗せてくれる。全くもって、好もしい青年に育ってくれたものだと、感心と不思議が半々になるのです。それはもちろん幸せな感情で、送られてきた好物は、すぐに食べてしまうのが惜しくて冷凍庫に入れ、ちびちびと解凍してはつまみにする。あるいは孫たちに食べさせたくなり娘のところに持っていくか。息子がイメージしているであろう、歓喜してバクバク食べる勇猛な父の姿を空振りさせているのかもな、などと思いつつも、離れて暮らす者同士に、同士と思っている最愛の身内は上手に理解してくれるであろうと、まあ、親の甘えかもしれませんが。甘えさせてもらえる立場になったのだなあという感慨を味わいつつ。


いきなり鳴り響いた、冬を告げるファンファーレ。
見上げる皇帝の姿を肯定し、
木枯らしに向かって歩を進めるのみ。
冬きたりなば、冬を楽しみまくる暮らしを全力で。
いいじゃないですか、なんかシャキッとして、冬。


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 今年の秋はいつもの秋より、短くなりそうな、そんな気がした夜風の予感は的中し、秋の情緒を楽しむことなく昨日からは冬の風。誰も気づいていないと思うけど、今年はマツムシがほとんど鳴かなかった。あの灼熱の影響なのでしょう。クマ目撃の多発も、後を絶たない「包丁のような物」による殺傷事件も、あの灼熱の影響なのでありましょう。ノ、ヨウナモノ。



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 あの夜、ぼくは息子に宛てて、誕生祝いのメールすら送らないまま、そろそろ寝ようかなと迷っていました。理由は、なんとなく恥ずかしかったから。昭和の親父が絶対にしないことだから。言わなくたってわかるだろ、そんなこと。当たり前だろそんなこと、と。
 この頃の家族はそうではないわけで、フランス人の如くに愛情表現を欠かさないし、仲良く暮らす、朗らかに過ごすことは家庭人のお作法となっている。気づけばそんな世の中に進化しました。おもはゆいとはこのことで、そのお作法について行けていない、行けていない親父に成り下がってしまったのかもしれません。かもしれないじゃないくて、そうなってしまった。やれやれ、ってやつです。反省し、改善すべきなのか、あるいは昭和を貫いたまま朽ちてゆくのが老人の役回りなのか、わかりませんけど。
 チチオヤノ、ヨウナモノ。



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 まあ、いいですよね、さして特殊なことでもないし。素直に言葉を使って伝える、喜ばしい、かつては幻想だった世界へと進化した反作用なのか、現実的な世の中には「・・・の、ようなもの」がいたるところに散乱しているのです。「家族のような集合体」、「幸福のような時間」、「庭のような場所」、ありとあらゆる物事を否定的に捉えては、だから自分は不幸だったのであると嘆き続けている「すでに終わっているような老人(絶対に避けたい近未来の自分)」。
 いかん。遺憾に存じます。命とは、人生とは、家族とは、庭とは、もっともっと遥かにもっと、ドラマチックで感動的なものなのだ。などと「父親、のような者」が叫んだところで、ねえ、意味ないじゃ〜ん。つまりは「の、ようなもの」とは時代に置き去られた状態なのでしょう。起き去られたら、あらゆるものが、旬をとっくに過ぎた、「の、ようなもの」になってしまう。秋が短かったように感じる現象も、体感に伴う思考が鈍かったか、遅かったか、薄かったか、ということなのでしょう。猛暑によって山の食料が不足すれば、命懸けで、子連れで郷に入り込むクマ必死さに比べ、「人のような者」たちが上げる命の炎の何とか弱いことであるか。
 チチオヤノ、ヨウナモノ。ノヨウナモノを取り払って、息子たち世代が身につけているお作法に準じなきゃね。老兵は大いに愛を語るべし、消え去る前に。フランス人のように。じゅって〜〜〜〜む。



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 若い頃よりも時の経過を早く感じるのは老化現象である。ジャネーの法則。

 ジャネーの法則・・・人生のある時期に感じる時間の長さは年齢の逆数に比例する。10歳児の1年は0.1、60歳の1年は0.0167ですから、還暦親父は少年の6倍速で時間を体感していることになります。では、なぜそんなことが起こるのでしょう。生物学者は「時計遺伝子の老化」であると説き、心理学者は「人は新たな経験から生まれている実感を得る。だから経験値が積み上がった老人には100日生きても、それを1日にしか感じられないのだ」という説を唱える。

 人生の秋を迎えた我が心身。長かろうと、短かろうと、我が人生に悔いはなしと言えるように。そのために必要なことなど100年前から知っている(つまり、遺伝子に組み込まれているのでしょう)。それは変化することなのです。大事なのは変化し続けることなのであ〜る。庭を美しく保つコツと同じく。「音楽が続く限り、踊り続けるんだ。しかも誰もが感心するくらい上手に」羊男の言う通りなのであります。
 では、今日も美しい炎を上げて、設計設計また設計。ダンス・ダンス・ダンス。
 優一朗よ、誕生日おめでとう。ずいぶん遅くなってしまったが、とにかくおめでとう。君ももうすぐ父になるんだし、ますます張り切って、どこまでもジャネーの法則に抗い、美しく燃焼するのだぞ。
 じゃあね〜〜〜。



離れて暮らす息子に、
贈る。
頑張れよ。 







海辺のカラスとサルのお話

 あまりに急激な秋の到来に、戸惑うペリカン海辺のカフカ。カフカとは、チェコ語でカラスの意なり。オーディオブックで『海辺のカフカ』を朗読しているのは木村佳乃で、これがとってもいい感じ。い〜い仕事してますなあ〜。ところが旦那の東山新社長は嫌な感じ、苦難の日々が続いていますねえ。人生どこで何が待ち受けているかわからないものです。どうか頑張って、早くいい感じの活躍をしていただきたい。いい感じを配っては幾らかのお足を頂く、それが古来よりの芸能であり、芸能人の仕事でしょ。聴衆を嫌な気持ちにさせるようでは食いっぱぐれるだけのこと。あんなにカッコよかったのに。確かに、飛び切りカッコ良いかったのに。
 人々は、恩恵を受ける何の仕事に対しても、自分と自分の愛する人をいい気持ちにしてくれることだけを求めているわけです。豆腐屋、花屋、タクシーの運転手、各種工事業者、そして宗教かや政治家にもね。


今年はキンモクセイの香りが猛烈に強い。
あの夏が影響しているのでしょうか。
異様な暑さに危機感を抱き、
何くそ、負けてたまるかと、そんな咲き方のように感じます。
コンチクショウパワーは、植物によく見られる現象です。
人生で何度か、人にもその力が宿ることがあり、
奇跡に次ぐ奇跡で窮地を脱する、のみならず、
信じ難い成功体験をするのです。


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『1973年のピンボール』より

 金星は雲に覆われた暑い星だ。暑さと湿気のために住民の大半は若死にする。三十年も生きれば伝説になるほどだ。そしてその分だけ彼らの心は愛に富んでいる。全ての火星人は全ての火星人を愛している。彼らは他人を憎まないし、うらやまないし、軽蔑しない。悪口も言わない。殺人も争いもない。あるのは愛情と思いやりだけだ。
「たとえ今日誰が死んだとしても僕たちは悲しまない」
 金星生まれの物静かな男はそう言った。「僕たちはその分だけ生きているうちに愛しておくのさ。後で後悔しないようにね」
「先取りして愛しておくってわけだね?」
「君たちの使う言葉はよくわからないな」と彼は首を振った。
「本当にそう上手くいくのかい?」と僕は訊ねてみた。
「そうでもしなければ」と彼は言った。「金星は悲しみで埋まってしまう」


 金星人たちが、そのような完璧なる平和主義者となった理由、プロセスを考えてみる。地球人の感覚では、そうなるに値するだけの大きな悲劇と膨大な悲しみを経験した末に達した、達観、進化だったのかもしれない。いや、待てよ、人類にそんな進化があろうはずはない。道徳の教科書や各宗派のバイブルでは割り切れないのが社会であることを、否定できる者はいないから。気が違ったような、まるで意味不明な言動を繰り返しながら残酷な苦しみを連鎖させてゆくのが人間なのだから。だとしたら彼らは・・・そうか、金星人は植物から進化した人類なのかもしれないなあ。完璧な平和主義はとても植物的だから。
 猿からではなく植物の末裔。悲しみで埋まってしまうことを避けるために愛する、という思考を持てない、それが猿の悲劇なのだ。故に戦争がデフォルトなのだ。あの映画のラストシーンを、遺跡と化した女神の姿を、悲しいかな、もう地球上で誰一人覚えている者はいない。猿だから仕方のないことではあるが、とほほのほ、子供を殺された人の悲しみを、地球上で誰一人、真に共有することなどできないのかもしれない。猿だから。猿だから。植物に学ぶこともできない猿だから。

 さてと、猿者は追わず、火星人に向けた我が仕事に一意専心、猪突猛進。人をいい気持ちへと誘なう庭を、設計設計また設計。金木犀の香りに包まれつつ仕事に意欲をたぎらせる、これが幸福ということなり。苦悩の中にある人は、花の香りなんぞに気づかないですからね。

 谷村新司は、いつもそんな自然からの細やかな恩恵に強く感動する人でしたね。昔々のそのまた昔、大湯温泉の湯治場で、谷川のせせらぎとカジカガエルの声を聞きながら読んだエッセイ『蜩 ひぐらし』のことが、あの時間が忘れられないのです。「ああ、こんなにやさしい気持ちで夢を追ってもいいんだ」と、そんな感慨が、中二病のぼくに、カチ、カチ、カチとウインカーを出してくれました。チンペイさん、安らかに。そして感謝しています。


この頃ハマっている動画。これが芸能でしょ。
何よりも、この若者の健全さが心地よし。
コロナ以降、清々しい芸能事に飢えているのだ。








家族の庭のつくり方 11

広い庭は背景を広く使う

庭が広いと全体をどう扱っていいかわからないままで時が過ぎ、手入れも追いつかず、結果的に何も楽しめない荒地と化してしまうケースがあります。



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誰もが憧れる広い庭の住人は、広いがゆえに持て余してしまう。



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過ごすために必要なエリアを心地よく仕立てて、その周辺は背景としての雑木林や果樹園や畑にすれば、奥行きのあるゴージャスな庭が出来上がります。


コスモスは群生する。

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細い茎を横に広げ隣の茎と絡んで、
互いを支え合って咲いているのです。
それってなんか、人っぽいなあと。

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十数種類いたと言われる人類の中で、
唯一生き残った我々ホモ・サピエンスは
とてもか弱い種族だったそうな。

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身を寄せ合って暮らすこと、つまりは家族と隣人との愛情を育むことが
生存の基本なんだよなあと、
秋風にそよぐ花を擬人化しつつ、
今宵の庭で開く本は、『サピエンス全史』にしようかな。
あるいは『超訳・種の起源』か。

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どちらでもいいし、通読する必要もない。
著者の理念は同じで、それを脳内に、フレッシュに上書きしたいだけなので。

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愛情という曖昧で特殊な思考形態を見失ったら、
いくら頑張っても、家庭も、企業も、絶滅は免れない。

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庭ですよ、庭。愛なき世界の住人には存在すら知られていない、
曖昧で特殊な場所が庭なのです。





ポール・マッカートニーがまだ音楽好きな少年だった頃に作り、
後に恋人の兄がやっていたピーター&ゴードンから楽曲提供を依頼されてプレゼントした曲。
この頃からすでに、ポールの音楽理念は完成形だったことがわかります。
少年は、そのままの気持ちで人生を突っ走り、
今も立ち止まることなく走っている。
見事な人生ですよね。




『ダンス・ダンス・ダンス』より

「踊るんだよ」
「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言っていることはわかるかい?踊るんだ。踊り続けるんだ何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。そんなこと考えだしたら足が停まる。一度足が停まったら、もうおいらには何ともしてあげられなくなってしまう。あんたの繋がりはもう何もなくなってしまう。永遠になくなってしまうんだよ。そうするとあんたはこっちの世界の中でしか生きていけなくなってしまう。どんどんこっちの世界に引き込まれてしまうんだ。だから足を停めちゃいけない。どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。きちんとステップを踏んで踊り続けるんだよ。そして固まってしまったものを少しずつでもいいからほぐしていくんだよ。まだ手遅れになっていないものもあるはずだ。使えるものは全部使うんだよ。ベストを尽くすんだよ。怖がることは何もない。あんたはたしかに疲れている。疲れて、脅えている。誰にでもそういう時がある。何もかもが間違っているように感じられるんだ。だから足が停まってしまう」
「でも踊るしかないんだよ」
「それもとびっきり上手く踊るんだ。みんなが感心するくらいに。そうすればおいらもあんたのことを、手伝ってあげられるかもしれない。だから踊るんだよ。音楽の続く限り」 
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猛烈な暑さに喘いだ姿勢のまんまで秋にワープ。
え、半袖じゃ変ですか?ですよね。
でも何だか、もうしばらく、強烈だった夏を名残っていたいような。
鮮烈な、い〜い夏だったなあ〜。

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 故あって、ここ数日村上春樹の初期4連作を再読。僕と鼠と羊男をめぐる冒険譚の末に、主人公の『僕』は失いかけていた自己を回復させた。そのきっかけとなった羊男の言葉がこれである。
 故あって、泣けた。とても気持ちの良い出来事だった。村上春樹で泣けるなんて、誰もそんな予想を立てるわけもなく、自分でも驚きながら泣いた。もしかしたらぼくも自己を失いかけていて、この羊男からの啓示により、それを免れたのかもしれない。生き延びたような、とても清々しい出来事だったのだ。だから書き留めておこうと思った次第。
 故あって・・・人生は故だらけだ。でも踊るしかないんだよ。それもとびっきり上手く踊るんだ。みんなが感心するくらいに。そうすればおいらもあんたのことを、手伝ってあげられるかもしれない。だから踊るんだよ。音楽の続く限り。

 オドルンダヨ。オンガクノツヅクカギリ。・・・ソウスレバオイラモアンタノコトヲ、テツダッテアゲラレルカモシレナイ。ツマリ、モシヨカッタラナンダケド、シャル・ウィ・ダンス?マダオンガクハナリヒビイテイルノダカラ。





 これは村上春樹だったか、片岡義男だったか判然としないまま。

 音楽を奏でるように言葉を綴れたらいいよね。

 ぼくは30年前からずっと、「図面から風が吹くような設計ができたらいいなあ」と思っていたのです。何事も修練によって成し遂げられる。今日の設計図からは、金木犀が香っている。その秋風にアフォードされて、アフォーダンス・ダンス・ダンス。設計設計また設計。




 

美空6歳

 美空が6歳になりました。古今東西のクリシェながら、もう6年経ったんだと、俺も歳を取るわけだよなあと、健やかに育ってくれている姿に愛おしさを覚えつつ、着実にお祖父さん界を進んでゆく自分とのコントラストに一抹の・・・。



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 一抹の爺さん感情。一瞬浮かぶ、一握の砂を掴まえる。悲しさではなく、嬉しさの中にいて、そこにさほど長居ができないであろう我が年齢の加速度たるや、星雲を次々追い越す銀河鉄道のようである。



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 歌集『一握の砂』より何編かを。



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 東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたわむる



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 砂山の砂に腹這ひ初恋の  いたみを遠くおもい出る日



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 たわむれに母を背負いて そのあまりに軽きに泣きて 三歩あゆまず



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 はたらけど はたらけど猶わが暮らし楽にならざり ぢつと手を見る



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 ふるさとの訛りなつかし 停車場の人ごみの中に それを聴きにゆく



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 不来方のお城の草に寝ころびて 空に吸われし 十五の心



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 いいねいいねえ〜、まさか還暦過ぎに石川啄木が沁みるとは、思えば遠くへ来たもんだ。啄木くん、素敵だ。



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 まわるまわるよ時代は回る 喜び悲しみくり返し 今日は別れた恋人たちも 生まれ変わってめぐり逢うよ



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 めぐるめぐるよ時代は巡る 別れと出逢いをくり返し 今日は倒れた旅人たちも 生まれ変わって歩き出すよ



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 ハッピー・バースデー美空。美しく回転を続ける君の姿に、ジイジくんは、つられてくるくる踊り出す。ありがとね。



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 澱みなき循環の一役を果たせれば、それが君への恩返し。倍返しだ!いやほんとに、美空よ、いつもありがとね。来年の誕生日も大騒ぎで、大笑いで過ごそうぜ。





 

 

家族の庭のつくり方 10

居場所を決める

最初にイス・テーブルを配置し、人が過ごすための「居場所」を設定してから、その周辺に居心地のいい環境を仕立てましょう。



高野邸 Before(出幅2メートル)

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庭は畑でも花壇でもはなく外の部屋、あなたが過ごす特等席です。



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大勢でテーブルを囲むなら直径3メートルの円、半円形に座るなら出幅が2メートル、向かい合うなら1メートルを、庭の主役であるあなたとご家族のために確保してください。


 雨台風ですね。いいぞいいぞ、汚れっちまった悲しみを大量の真水で洗い流してくれ、アマテラスよ。ビッグモーター、ススキノ事件、ジャニーズ、裁判が始まった京アニ、要するに気が違った人に周囲が巻き込まれて異常性が広がり悲劇が広がった、という構造。ではその犯人、中心にいる狂人はいかにして狂気に至ったのか。誰も触れないことながら親のせいですよ。プーチンも、スターリンも、アドルフも、共通するのは幼少期に親から受けた暴力と愛なき支配。他にもありとあらゆる事件の犯人が陥った狂気の元凶はその親にあるのです。
 中学の歴史の授業で、日本にはかつて連座制という酷い制度があり・・・と習ったものです。しかし、ですね、ネオ連座制みたいなことを誰か考案してほしい。愛情豊かに普通の子育てができない親は取り締まるべきだと思うんですけどねえ。こんなことは知恵者が考え尽くしていることでしょうから、まあ、庶民の戯言でしかないのですが。
 歴史を振り返っても、世界中の人がこの「狂気の元凶は親にあり」をわかっているのに、どうすることもできないでいる。だからきっと、そこは踏み込んではいけない領域なのでしょう。それをやったら世の中が大きくバランスを欠いてしまう、ってことなのだと、悪い頭で納得するしか道はなし。
 道がなければ探せばいい。八方塞がりなら九方目を探せ、ハードルが高かったら潜れ、どん底まで落ちたら・・・掘れ。
 掘る。穿つ。不出来な親を取り締まることはできないが、親が自分の不出来を改善することならできるはず。っていうか、それこそが親業なり。つまり、いつもそこに辿り着くのです。幸せな家庭を築くことは人類の構成員としての重大な義務なのだ。いろいろあるけどね、夫婦円満、家庭円満、を、目指す。これが社会人の資格なり。家庭円満・・・家庭・・・家と庭で家庭です。
 庭ですよ庭。常に正常な自然と呼応して暮らせる正常な庭があれば、人は正常性をキープできるのだ。


「汚れつちまつた悲しみに……」中原中也

汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる

汚れつちまつた悲しみは
たとへば狐の革裘(かはごろも)
汚れつちまつた悲しみは
小雪のかかつてちぢこまる

汚れつちまつた悲しみは
なにのぞむなくねがふなく
汚れつちまつた悲しみは
倦怠(けだい)のうちに死を夢む

汚れつちまつた悲しみに
いたいたしくも怖気(おじけ)づき
汚れつちまつた悲しみに
なすところもなく日は暮れる……



 

 さ、ゴージャスな雨音を楽しみながら仕事に集中します。ぼくに声をかけてくださったすべてのご家族が、円満家庭を築けますようにと願いを込めて、設計設計また設計。



 

神のみぞ知る

 庭をお持ちの人の半数は、漠然と庭を眺めながら、そこをどう変化させれば素敵な場所になるのかを考えます。残りの人は、どうやったら雑草取りをせずに庭らしさを維持できるかを考えます。前者は庭の未来に希望を持っているのでいくつかのヒントをキャッチすれば、そこに驚くほど幸福な庭が出現し、後者はそもそも庭を厄介な場所と捉え、その厄介さを軽減しようという発想なので、何をどうやっても、そこは庭っぽい暮らしの余剰地以上になることはないのです。それはなぜか、なぜそのように言い切れるのかを解説いたしましょう。



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 そもそも、庭に対する発想がプラス域にあるのかマイナス域なのか、プラス域を目指すのか、マイナスを少なくしたいと思うにとどまるのかが問題なのです。現在がマイナス域だとして、そこをプラマイゼロに近づけようと思うのではなく、一気にその場所をプラス域の世界として想像できるかどうかが、その庭空間から安らぎや感動を得られるか否かの分岐点なのですから。どうか落ち着いて、自分は何のために庭を改良しようとしているのかを確認していただきたいなあと思う次第です。



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 では、マイナス域から脱することを考えたこともないお客様からの依頼があった場合、どうするか。もちろんお受けいたします。雑草対策大歓迎。まずは気を楽にしていただくために。そして完了後に必ず「もしよかったら、もっと庭を楽しむ仕立てを提案しますよ」と添えて立ち去ることにしています。数%の方が、後日、マイナスから脱してプラス域の庭をイメージすることに成功し、ご来店くださいます。そこからがぼくの本領発揮。夢中で考え設計し、夢の中へ、夢の中へ。



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 提案・設計プランの内容がどうであれ、お客様はその後一生、プラス域の庭がある暮らしを手に入れます。これは大きな出来事です。そしてその成果を生むのはぼくのデザイン力ではなく、お客様の意識が、それまで存在すら知らなかったプラス域の庭にたどり着いてくれたから。そうか、庭って幸福な場所なんだって、生まれて初めてイメージできたからなのです。



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 これは庭に限ったことではなく、仕事でも暮らしでも、プラス域をイメージできるかどうかがその人の行く末を決定する。プラス域で人生を送る人にとっては、呼吸をするくらい簡単で当たり前のことなのに、なぜかそこに高いハードルを設定する癖がついている人の何と多いことか。曰く「虫が苦手だから」、曰く「日に当たりたくないから」、曰く「家族の理解が得られないから」、曰く「お金が・・・」。これはもしかして、人間界のシステムなんですかねえ。椅子取りゲームみたいに、幸せの席数は限られているのであろうか。だから常に幸福から遠い世界で喘ぐ人が絶えないのか。どう思います?



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 ぼくははっきりと思っています、幸せの席は人数分以上に用意されていると。間違いないのです。どんなキツい境遇であっても、その人の性根が健康であれば人は夢を抱き、理想を思い描き、幸せな未来を願うはず。イメージすること、イメージすること、幸福な自分をイメージすること。オリンピックで金メダルを獲れる人は限られているわけですけど、自分の人生はオリンピックではない。勝ち上がりシステムはゲームの仕組みであって、個人の単位、ひとりの人の幸福はその人次第で頂点に辿り着ける。そのプロセスには驚くことに、努力とか、忍耐とか、一切関係ない。その人が思う、セルフイメージ次第なのです。



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 ああ、何だか一昔前の自己啓発みたいな怪しい話に展開してしまいました。しか〜し、これは日々庭を思い描き、理想の庭を出現させ、それによってクラクラするほどの幸福な暮らしを実現させているたくさんの人たちのことを知っているぼくには、怪しくも何ともない、呼吸をするように普通のことなのです。庭ですよ庭、手始めに。イメージすることですよ、幸福な暮らしを。いやほんとに、あなたにとっての理想の庭を、庭は抜きにしてもいいので、あなたの幸福な世界を思い描いてみてください。



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After

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 さあ、どうですか?できましたか?できそうですか?これがですねえ、できない人がとっても多いのですよ。自分で自分の幸福を否定する癖がついてしまっているんですよね。いちいち自分に言い訳しながら、夢を打ち消すことに命がけみたいな。・・・椅子取りゲームで弾き出されて怪我をしたくない、という感覚でしょうか。失恋の痛手で、もう恋なんかしない、みたいな。・・・もしも庭がきっかけにして、そういう思考から脱したい、マイナス域に居続けることを止めにしたい、と、そんな気になったらぜひご来店を。ぼくが全力で、あなたをプラス域の世界へお連れしますので。



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 ああ、どうしたんだろう今日は、今時流行らないのにこんなことをつらつらと。ようやく風が秋めいてきたからかもしれませんね。おっといけねえ、つらつら話はこれくらいにして、設計設計!時間は有限、仕事で生み出す幸福感は無限大。神様、どうか1日でも長く呼吸をさせてください。この仕事が、庭づくりのこのロジックが、何らかの形で後世に受け継がれる、そんな成果が出来上がるまで。中途半端のままでは、自分自身が思う幸福な世界へ至れぬことになってしまいますので。イメージすること、理想の人生をイメージすること、イメージできたらできたも同然。ただひとつ、時間切れだけが心配なり。しかしですね、こればっかりは神のみぞ知ることだから、心配するより今日に集中するしかないわけですが。そういうもんでしょ、仕事って、きっと。


やめてけれ、やめてけれ、やめてけーれゲバゲバ。
1975年1月14日、ケルンのオペラハウス。 
この日、マネージャーのスケジュール調整のミスで、
キース・ジャレットは寝不足、体調は最悪だったそうな。
おまけに希望していたピアノは手配されておらず、
調律すらできていない。
キースは中止を申し出たもののなだめられ、
ピアノは数時間かけて調律され、渋々演奏に臨んだとのこと。
ジャズ史上最高と言われるこの奇跡の演奏は、そんな状況下で生まれました。
神様は気まぐれ、としか言いようがない。
でも神様、ぼくは、だからあなたが好きなのですよ。
オオ神様、神様、助けてパパーヤー。
そんな気持ちになったら必ずこれを聴いています。





この名盤中の名盤が、最近YouTubeで聴けるようになっていて、
いや〜ありがたい限り。
途中やたらに広告が入りますが、それくらいは我慢せねばなるまいて。
ちなみに、ニコニコ動画だとコマーシャルなしで全編聴けますよ。
ぼく、少なく見積もっても1000回以上は聴きました。
つまり1000回近くピンチがあったわけで、
よく倒れずにここまで来れたもんです。 




夏の終わりのハーモニー

 明け方にザッと降ったせいもあり、庭に出たら風が夏の終わりを告げているような気がしました。見上げれば青空半分、雲半分。待ちに待ったこの朝の空気を味わうべくキッチンへ行き、インスタントコーヒーでつくったアイスカフェラテを手に再び庭へ。



灼熱の夏、今朝終了いたしました。
い〜い夏だったなあ〜。


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 草むらで泣くコオロギかなにか、早起きな虫の音を聴きながらしばしのぼーっとタイム。そうか、故郷の魚沼では夏祭りだ。ということは、ヤバ!宿題が終わっていない。還暦過ぎても、こうしてお腹が痛くなるような焦燥感に襲われるのだから、いやはや。優等生たちがやっていたように、先に宿題を終わらせて夏を楽しみまくる戦法をなぜとれなかったのかね、イワフチくん。



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 まあいい、そんな些細な傷などは行く夏の情緒を彩るエディブルフラワーとなっている。それとですね、2023年の夏は、幼い日の感傷的な記憶を遥かに上回る情熱と感動の時間が続いたのだから、良しとしときましょう。いやほんとに、素晴らしい夏でした。よく頑張ったよ、俺。誰も褒めてはくれないので、得意技、自分で自分を褒めちぎる。



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 さあてと、次は素晴らしき秋を実現すべく段取りをする、切り替えの時。素晴らしき秋とは如何なものであるか。・・・素晴らしき夏と同じく、自分の燃焼が、誰かの喜びにつながるように。あ、つまり、自己満足でもいいから感動しつつ、その炎に感動していただける仕事をすることなのであります。そのためには秋を味わい尽くしながら、つまり、季節と並走することが大事。仕事であれ、家庭であれ、何かがうまくいかない時は、季節などどうでもよくなっている。あるいはどの季節であっても、暑いの寒いのと、自然の営みに背を向けて文句しか言わなくなっているものですから。



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 はしゃぎの時間からもの思う時間へ。大丈夫か?もの思うことは気分を沈ませるだけではないのか?ハハハ、そんなことはない。立ち止まるポイントで、きちっと立ち止まって、庭でゆったり腰掛けて、越し方と行く末に思いを致す、これが秋の扉を開ける人のお作法なのである。だからいつもこの曲を聴きたくなる。っていうか、聴こうと思う。中原中也をパーソナルカラー診断すれば、間違いなくオータム・ウィンターの人。目の前に現れた扉の錠前に、差し込む鍵は O・W 。



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大事ですよ、このダウナー感覚。なかなかにキツい人生だったわけで、30年の生涯とは、神様、あまりに短すぎるでしょうと文句のひとつも言いたくなりますが、まあ、故に突出した詩をいくつも紡いだのだから、それはそれで美しき燃焼だったのでしょう。ゆあーん、ゆよーん、ゆやゆよん。宮沢賢治に似て、自然と歩調を合わせ、いち日いち日を刻むが如く、懸命に生きた人だったのしょう。







 暗いですか、こういう話。でもですね、自然とは明るいばかりではない。人はポジティブの鎧に閉じこもるだけでは不自然に陥ってしまう。不自然になってしまったら、庭の設計なんぞできっこないのだ。できっこないと困るので、僕は自然と歩調を合わせて進むのだ。青空半分、雲半分が夏の終わりのハーモニーなのだ。ゆあーん、ゆよーん、ゆやゆよん。ゆあーん、ゆよーん、ゆやゆよん。

 

エレガントな隔世的覚醒

 孫の美空と結陽が通うバレエ団の発表会に行ってきました。新宿文化センター大ホール、まさしく大舞台です。美空は結構複雑な振り付けを、緊張いっぱいでこなし、妹の結陽は緊張感ゼロでニコニコと飛び跳ねている、それぞれ年相応の精一杯な姿に胸が熱くなりました。チビはチビなりに、日々頑張っているんだよなあ。



着替えて出てきた二人は、大役をこなし満足げ。
ロビーが混雑するため、ちびっ子たちは道路に出ての化粧落とし。
お祭りみたいで楽しいひと時だったなあ。


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 これはどのように表現しても、ただの贔屓目にしかご理解いただけないと存じつつ、美空には天性の素質がある、と思わざるを得ない。スカイフック、上半身がスッと上に伸びてブレることがない。それと手の表情が素晴らしいのです。女房曰く「あれは私の血筋だ」とのこと。おばあちゃんが日本舞踊を舞うと、手の動きが飛び抜けてエレガントだったそうで、その才能は私から娘の詩織に受け継がれ、そして見事に美空へと受け継がれているというのです。



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 まあそんな気もするけど、「ところで、あなたの動きがエレガントだったことをぼくは一度も見たことがないんですが」と言いそうになり、グッと堪えてやり過ごしました。暑いしね、せっかく浸っている清々しい感動を消さないために、口は慎むべきであろうという制御機能が働きまして。



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  あ、そうか、隔世遺伝ってやつだ。う〜ん、ぼくのいくつかの才能も尊敬する祖父からの継承だと思っているし、確かにそういうことはある。で、あれば、エレガントさを見事に飛び越された女房の存在は、遺伝的にはそれなりに、作用・反作用とか、支点・力点・作用点しての何らかの意義があるのかもしれませんなあ。



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 そういえば、女房が発揮する軍師官兵衛的な才覚は、両親を飛び越えた祖母からの伝承のようだし、面白いものですね。だとすれば、ぼくに開花しなかった何らかの才能が、子供たちの人生で花開いているはず。・・・そうか、そうだったのか。夫婦円満、家庭の幸せを築き上げる能力を、隔世遺伝で彼らは見事に実現させている。間違いない。



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 お盆にご先祖へ手を合わせる意味合いは、たくさんの素晴らしき隔世の覚醒を仕掛けてくれた人たちへの、感謝なんですよねえ。ありがたやありがたや。な〜〜〜む〜〜〜。



今回は発表会ながら、途中からバレエそのものに魅了されました。
10年後には、こんな感じに成長しているかも。




 
 
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