今回は北原さんのバースデーライブですので、いつもにも増して熱いギターとすてきな話が聴けるのではないかと期待がふくらんでいます。
ゲストの渡辺かおるさんは、ワイルドワンズの鳥塚しげきさんが「オールディーズを歌わせたら日本一です」と絶賛している方です。いやあ、楽しみ楽しみ。
ではまいりましょう、前回のライブの写真をご覧いただきながら、北原照久ミュージアム。
その日は久しぶりにそういう絶不調の日でした。どうにもこうにも調子が出なくて、あきらめて、夕飯でもつくろうとスーパーで食材を買い込み少し早めに帰宅しました。
買い物袋をドサッと置いて、テレビのスイッチを入れたら、画面に北原さんと旬子さんが映っていました。「レディス4『コレクション大好き夫婦!北原照久夫妻』」。
これですよこれ。これぞシンクロニシティ! ぼくが調子悪いときにはいつも北原さんに引っ張り上げられるのです。
「レディス4」より
長年ご夫婦おふたりで、コツコツとコレクションしてきたわけですけど、これからもコレクションしていかなければいけないし、金銭的なこととか、どうやってやりくりしようとか、そういうことって考えますか。
北原さん/ぼくは二十歳からコレクションしているわけですよ。てことは44年間集めっぱなしですから、今さらくよくよはしないし、それとねえ、コレクションて、どんな大コレクターでも一時預かり所なんですよ、実は。人間は寿命があるじゃないですか。でも物は大切に保管すればずっと残っていくわけですよ。だから自分が持っている間はちゃんとね、大切にしています。
旬子さん/よくそう言いますよ、ほんとに、今自分が所有しているに過ぎないって。いつか必ず次の世代にバトンタッチするって。
北原さんはいつもポジティブですけど、それを奥様は支えていかなければいけないんですから・・・。
北原さん/(笑)ぼくよりもっとポジティブですよ!
何とかなるわよって、いつもそういうような感じですか。
旬子さん/うん、そうですね(笑)。
では次の写真。
ーーーステージでバンドをバックに旬子さんが熱唱している写真ーーー
これはどう見ても奥様が主役のお写真なんですけど、これはどういうときのものなんですか。
北原さん/これは2年前のぼくの還暦パーティーのとき。杏里や中尾ミエさんや、森川ユカリさんだとか、ワイルドワンズの鳥塚さん、小松久さんだとか、いっぱいお祝いに来ていろいろやってくれて、そして最後、一番最後の大トリで、女房が歌ったんでございますよ!
そのパーティー、すごかったそうなので、今回映像を入手しました。
ーーー石坂浩二さん、朝倉匠子さんらの祝辞。杏里さん、中尾ミエさんの歌と続き、鳥塚しげきさんの歌でダンスを踊る北原ご夫妻、北原さんのギター演奏。そして旬子さんの登場です。
北原さん/今日は最後にですねえ、北原旬子が、心を込めて皆様にお贈りします。ワッツ・ワンダフル・ワールドです!
そして登場したのが旬子さん。4分間の熱唱。そうそうたる顔ぶれの中で堂々たる歌いっぷり!みごと、フルコーラスを歌い上げたのでした。ーーー
イヤー大喝采でしたねえ!
北原さん/一番ウケましたね。ぼくの還暦だったのに、みんなに旬子ちゃん旬子ちゃんって言われてね、これは旬子ちゃんの還暦かい!みたいなね。もう主役を完全に奪われたって感じでした。
いや、でもほんとに、そうそうたるゲストの方たちが、それぞれにスピーチされたり、歌を歌ったり、演奏されたりしたあとの大トリで、奥様は緊張されなかったんですか。
旬子さん/主人がいっつも、五十を過ぎたら、マイクを向けられて歌えって言われたら下手でも何でも一曲歌わなければかっこ悪いって、ずっとそう言われてたんです。でも始まったら途中で泣いちゃうかと思ったんですけど、歌い終わったら「歌ったか!」とかって言われちゃって(笑)。
北原さん/安藤和津さんだとか、仲良しがいっぱい来ていて、もし女房が途中で感動で喉を詰まらせたら、みんなでカバーしようって言ってくれてたんですよ。それが全然。完璧歌い上げて。もうワンマンショーですよ(笑)。
そういうところを見ても、旬子さんは相当キモが座っているというか、女性としても大したもんだって、北原さんもあらためてそう思われたんじゃないですか。
北原さん/そうですねえ・・・一見シャイなのかなって感じだけど、でも、ちゃんとやるときはやるな(笑)。
それでは、次のコーナーにまいりましょう。
おふたりにはお互いに内緒で、それぞれに宛てたメッセージカードを書いていただいています。
ではまず奥様の旬子さんから、北原さんへのメッセージをお願いします。
北原照久様
ジャットコースターみたいに上がったり下がったり、
おっと、・・・ここで旬子さん、声を詰まらせました。
こみ上げてくる気持を押さえ込みながら続きます。
あっという間に過ぎて、ふたりとも還暦を越えましたね。(もう涙がこぼれそう)
いつも新しいことに チャレンジして、 飽きない 時間の 連続でした。(泣かないように、鼻の奥に力を入れているので声が切れ切れです)
いつも一緒にと、パパを通して沢山の人に出会えたことに感謝しています。(涙腺の堤防が決壊しないうちにと、こんどは読み方が速くなりました)
これからも健康で二人で素敵に歳を重ねて行きたいですね。
これからもず~♡とよろしくね。
旬子
なんとか最後まで読み終えた旬子さんは、クスッと笑って胸を押さえて「どうしちゃったんでしょ!(笑)」って。えくぼで照れ笑いしている旬子さんの瞳はウルウルでした。
北原さん/感動的だねえ!これって大事なんですよ、感心・感動・感謝って言ってね、やっぱり感動型がいいですよね。ワッツ・ワンダフル・ワールドのときは全然平気だったのに、今ここで、こんなにねえ・・・。でもうれしいですね。
いろんなことを思い出されて感極まったんですね。
じゃあこんどは北原さんから奥様へのメッセージをお願いします。
旬子ちゃんへ
還暦のパーティーで歌ってくれた“ワッツ・ワンダフル・ワールド”のように、いつも、なんていい人生なんだろうって思うように、歳を重ねようね。
照久
こちらはスラスラと。
しかし、ぼくの耳には北原さんのメッセージはほとんど入らず、先ほど旬子さんがグッとこらえた涙が、電波を通ってぼくの眼から溢れ出してしまってもう大変なことに。にじむ視界の中を手探りで、ティッシュの箱を探しまわっていました。
いい夫婦だなあって。お会いするたびにいつもそう思ってはいましたが、ほんとに、いい夫婦だなあって。
それと、旬子さん、むちゃくちゃかわいらしいです。
放送数日後のテミヤンライブで、北原さんは「いやあ旬子ちゃんにいいとこみんな持ってかれたよ」と笑っていました。
おふたりをお手本、目標としている夫婦はものすごく多いと思います。ぼくもそうです。しかし妻と喧嘩するたびに(レクリエーションのようなものですけど)、いつも、いったいぜんたい何をどうすればそうなれるのか、何を心がければおふたりに少しでも近づけるのかと考え込んでしまうのです。ただ、そのヒントは発見しました。
ある日、北原さんと話していて、加山さんの曲の話題になりました。ぼくも加山さんが大好きで、中学生の頃に聴きまくっていました。ぼくは北原さんよりも12歳年下ですから、周囲には若大将ファンは皆無。それでも夢中で聴いていました。
毎日毎日聴きながら、一曲だけ???と、魚の小骨が引っかかったように気になっていた曲があったのです。
「夕映えの恋人」です。
〈 夕映えの恋人 〉
風が吹く 波が立つ しぶきがあがる
港でかもめが啼く時は
夕日が大空染めるのだ
背中に寄りそう恋人よ
ほんとに好きならついて来い
俺とならこの海も越えてもゆける
わかればこの手を離すなよ
箸が降る 月が出る 心が騒ぐ
遠くで漁火燃えるとき
男は船べり叩くのだ
甘えて見上げる恋人よ
そんなに好きならついて来い
お前なら幸せを約束しよう
いつでもこの手を離すなよ
嵐が来たときすがるのだ
ぼくはその小骨のことを北原さんに打ち明けました。
「加山さんの『夕映えの恋人』の詩はすごすぎますよね。ああいうタイプの男とか、それについてくる女の人なんて、現実的にはいませんよね」と。
すると予想外の反応。北原さんはぼくの問いかけに、間髪入れずに「いるよ!」って。その「いるよ!」がすごく力が入っていて、ぼくは「夕映えの恋人」が北原さんにとって何らかの意味を持つ曲なのだと感じました。
その後北原さん旬子さんとのお付き合いが続くうちに、気がついたらぼくにひっかかっていた小骨は取れていました。「そんな男はいるはずがない」と思っていたことが嘘のように消えて、「そういう男にならきゃなあ」って。
北原さんは旬子さんに出会えて、旬子さんは北原さんに出会えて、幸せですよね。ぼくもカオリさんに出会えて、幸せです。
いやあそれにしても、「レディス4」の旬子さんは、最高に素敵でした。
それではみなさん、明日午後6時30分に、横浜人形の家でお会いしましょう。