2013年10月

微細な仕掛け( 山根邸 4)

フロンヤードから庭に入って行って「植物を育て、眺め、自然を感じながら暮らすためのエリア」をご覧いただきました。
その先に進んでいくと、こんどは「眺望を楽しみながら過ごすエリア」です。



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レンガに囲まれた石張りのテラス。



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奥側に目をやると広いそれと街並が見えます。



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レンガ塀と空、目の前のレンガと遥かな景色、このように2方向で視覚の焦点距離の差をつけることで、感覚的なコントラストが生まれます。
椅子に腰掛けて横を向くと強い存在感を持ったレンガの質感を感じられ、視線を外すと流れる雲に意識は飛ぶ。

「閉じる」と「開く」の組み合わせで「居心地」が生まれます。

とても微細な心理的効果のための仕掛けです。
誰も気づかないようなこういう仕掛けを組み合わせ積み重ねていく先に「いい庭」が出現するのです。



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テラスと風景の間にも植栽スペースを設けました。
ここはバラでもいいし野菜を植えてもいいし、数本の雑木が茂っていてもいい。
これも微細な仕掛けです。



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眺望が開けている庭の場合、景色と自分との間に何か植物があることで気持が落ち着きます。
「高層住宅シンドローム」ってあるでしょ、何だか毎日空を飛んでるみたいで落ち着かなくて、それが原因で心身に不調をきたしてくるというもの。
庭も同じで、高い位置にある庭からの景色は一種の緊張状態を引き起こします。
吊り橋の上にいるような、飛行機で飛んでるときのような。
その「非日常的な状態」が魅力となりますが、その魅力に「やすらぎ」を加えて「日常」にするための仕掛けを施さないと、いつのまにかその景色を楽しまなくなってしまいます。
そうならないために、自分と景色の間に植物を配することがとても有効。

花や葉っぱや枝越しに見える景色は庭の魅力になります。



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何も遮るものがなくてただ見晴らしがいいだけだと、たぶんすぐに見飽きちゃいます。
高台の家や高層マンションに暮らす人から「見晴らしが魅力でここを買ったんだけど、住んでみたら景色なんてすぐに何とも思わなくなっちゃった。それどころか風が強いし眩しいしで失敗だったかもしれない」という声をよく聞きます。
もったいないなあって思うんですね。それは仕掛けが足らないだけなんだけどなあって。

場の設定を整えないと、どんな好条件の場所でも「いい庭」にはなりません。



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植栽スペースから2階のベランダへと盛大にツルが伸びていました。



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こういうのを見ると、もううれしくてうれしくて。庭がちゃんと暮らしの場所として機能している証拠ですからね。



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ツルの正体はメロンでした。



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なかなかこんなに見事に育てることはできないものです。
ぼくにはご夫婦が毎日庭に出ている様子が感じられ、うれしさがこみ上げていました。
庭に込めたたくさんの微細な仕掛けが奏功して、この実を生らせたんだと、ひとり悦に入りながらシャッターを切っていました。 



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見晴らしがいい、日当りがいい、広い、土質がいい、どれも庭の好条件です。
でもどれもこれも、庭を楽しめなくなっている人たちの「楽しめない理由」になっています。
見晴らしがいいと風が強くて、日当りがいいと暑くて、広いと持て余して、土質がいいと雑草だらけになって・・・。

微細な仕掛けを丹念に積み重ねることによって、好条件は活かされます。



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もう一度、あなたの庭の設定を見つめ直してみてください。
目隠しは?出やすさは?ゾーニングは?立体構成は?閉じると開くのバランスは?植物の配置は?椅子の座り心地は?照明は?

すっかり見慣れた庭を、もう一度興味津々に捉え直してみてください。
そこから、思ってもみなかったような素敵な暮らしが始まるかもしれません。




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これは庭だけじゃなく、暮らしのあらゆることに当てはまります。
あなたの身近に存在している「すっかり見慣れた◯◯」を、もう一度、興味を持って捉え直してみてください。
あなたの想像力と創造力で、日常はどこまでも輝いていきます。

 
 


 

鏡の法則・佐島

 昨日のミラーニューロンのことを、もう少しだけ続けたいと思います。



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ミラー、鏡、心理学や自己啓発の分野で「鏡の法則」ということがよく語られます。あなたもこの言葉を聞いたことがあると思います。
その法則とは・・・深く突き詰めて、枝葉をそぎ落として、ものすごくシンプルに言うとこういうことです。



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あなたは、あなたではない。



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???突き詰め過ぎるとここに行くんですけど、意味不明でしょ。
もしもこのことに興味のある方は、声をかけていただければ一時間かけてじっくりと解説します。



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まあそんなことよりも、一昨日、ぼくのミラーニューロンはリミットまで活性化し、鏡の法則によって最高に幸せな自分を感じていました。



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幸せの渦に巻き込まれることで「幸せな自分」になる。



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自分よりも良質で高い波動を持つ人に囲まれていると、鏡の法則によって、その場にいるだけでぼくの波動は上がるわけです。



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ライブからの帰り道、しみじみと、こういう時間の必要性を感じていました。
脳が活性化し、もうウズウズして、早く次の庭の設計に取りかかりたくなっていました。



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仕事に追われていると感じたら、あなたの鏡に素敵な人たちを映し出してください。
その姿があなたに投影されて、あなたはイキイキと仕事を追う人になります。




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海辺の高波動の庭で、素敵な人たちと過ごす至福の時。



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これでまたしばらく、ぼくは仕事に、神がかり的に(笑)集中することができそうです。



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鏡の法則/あなたの周囲の事象は、あなたをそのまま映し出している。



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自分が笑顔だと相手も笑顔になる。笑顔の人に囲まれていると自分も笑顔になる。
その不思議な現象を積極的に活用して、あなたの実態を組み立てていきましょう。



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ミラーニューロンの働きを理解しそれを活性化させることで、あなたはどんなあなたにでもなることができます。



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ここに集っている人たちは、ぼくみたいに理屈っぽくああだこうだと考えなくても、そのことをよ〜くご存知です。



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いつもそういう人たちを引き寄せ、見事な鏡の部屋を仕立ててくださる北原照久さんに、心から感謝しています。



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北原さんという、大きくてよく磨かれた鏡の存在に感謝しつつ、ぼく自身もまた、誰かの美しい鏡でいたいものだと思いながら帰路につきました。



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素晴らしい時間を共有させていただいたみなさん、ありがとうございました。



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またお会いしましょう。








作詞家の岩谷時子さんは亡くなられましたね。97歳の大往生でした。

ぼくはずっと、このすてきなおばあちゃんのことが気になっていました。それは、大好きな加山雄三さんのヒット曲の多くがこの方の作詞だったからです。

作詞 岩谷時子、作曲 弾厚作の名曲の中で、ぼくが最も影響された一曲がこれです。







そしてもう一曲、歌詞の内容に衝撃を受けたのがこれ「夕映えの恋人」でした。






風が立つ 波が立つ しぶきがあがる
港でかもめが啼くときは
夕陽が大空染めるのだ

背中に寄りそう恋人よ
本当に好きならついて来い

俺とならこの海も越えても行ける
わかればこの手を離すなよ

星が降る 月が出る 心が騒ぐ
遠くで漁火燃えるとき
男は船べり叩くのだ

甘えて見上げる恋人よ
そんなに好きならついて来い

お前なら幸せを約束しよう
いつでもこの手を離すなよ
嵐が来たときすがるのだ



何年か前に、北原照久さんとのやり取りの中でこの曲が話題に上りました。
「この歌詞のような男って、実際にはなかなかいないですよねえ」というぼくの言葉に、北原さんは即座に「いるよ!」と、きっぱりと、やや強めに返して来られました。
ぼくが問うた瞬間に、北原さんの頭の中にそういう人物が浮かんだのかもしれません。それはそれこそ加山雄三さんだったのかもしれません。
あるいはこの曲の人物像がご自身の「理想の男」だったのかもしれません。

その時から、ぼくにとっての理想の男性像ができあがりました。
あまりにカッコ良すぎて「そんな男はいないよ」と思っちゃってたのが一転、「それこそ男のあるべき姿である」というふうに。

たくさんの人の心を震えさせ熱くさせた作詞家、岩谷時子さんに心から感謝いたします。
あんなにたくさんの名曲を生み出せる人生、偉大です。







 

ミラーニューロン

毎晩夜の庭でこのブログの原稿を書き、その後に本を読んでいます。
読書の秋とはよく言ったもので、いやあ楽しい楽しい。朝からすでに夜の読書タイムが待ち遠しいほどです。
で、何を読んでいるのかというと、お医者さんと学者さんの本を数冊ザッピングしています。
今はまっているのが腸の話と脳科学。身体っておもしろすぎです。
何で庭屋が医学なの?と思うかもしれませんけど、身体の仕組みを知ることで物事の捉え方や考え方が整うということがあって、つまりは医学系の本を読むことで、いい感じの暮らしに役立つ庭づくりが実現してゆくというわけです。 
ぼくが目指している庭の設計は、その「いい感じの暮らし」を探求をしているようなものですから、身体の探求にも興味が尽きないのだと思います。



秋の陽射しっていいですよね。
光が濃い感じがします。

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例えば「ミラーニューロン」。
これはここ最近10年ほどで発見されたというか認識が確立された脳の働きです。
ニューロンとは脳内の神経細胞で、木の根っこみたいな形をしています。ざっくり言うと刺激を受信するアンテナとアンプがセットになったようなものです。
ミラーニューロンは主に視覚から情報によって他者を認識する機能で、これによって人は他の人の感覚や感情を捉えることができ、さらにそれを自分のことのように感じることができる。よろこびを分かち合うとか他人の痛みを知るということは、ミラーニューロンの働きによることなわけです。
この機能が低下するとどうなるかというと、・・・これがけっこう深刻な事態を招きます。
他者の内面を感じられず他人の痛みがわからないわけですから、平気で人を嫌な気持にさせる言動に出たり、もっとひどい場合は自分勝手な理屈によって他者に傷を負わせてしまうこともあります。



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もう一つ、ミラーニューロンの機能不全で起こることがあります。
自分を肯定できなくなる。
人間はこのミラーニューロンによって他者を感じ取り、そこに自分を投影することで自分を感じるということが発達して「ほぼサル」から「人類」へと進化しました。他の動物にはない濃くて相乗的に幸福感を得られるコミュニケーションを生み出し、社会を発展させてきました。
ところが、それがその脳の機能が発達し過ぎてしまったのか、今では他者を通してしか自分を認識できない動物になってるといいます。
「他者を通してしか自分を認識できない」とは、つまり、幸せな状態の他人の姿を受信して、その幸福感に共感しそれを共有することで自分が幸せな存在であると思える。受信感度が弱まると、幸福感が弱まるとともに自分を認識できなくなってゆくということ。
幸福感を得られずに自分という存在をうまくつかめなくなると・・・徐々にそんな自分のことが嫌いになってゆくわけです。
嫌いな人からは目を背けますよね。それが自分だった場合、自分で自分から目を背けてしまって自分が見えなくなってゆく。「自分探し」って言ってる人の多くはそういう状態にあると思われます。
「自分探し」って、一時やたらに流行りましたけど、どうもぼくは馴染めなくて・・・「じゃあその自分探しをしているあんたは誰?」って訊きたくなっちゃうんですよねえ。
ま、いいです。現実にそういう人も大勢存在しているわけですからね。



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自分探しには他者を感じ取ることが必要。
自分は他者の中にある。


すっごくわかり辛いと思いますけど、ミラーニューロンの機能を踏まえると、そういうことになります。

自分を好きになれない人は他の人を好きじゃない状態。
会う人会う人を大好きになれば、自分を大好きになれますよ。


おもしろいでしょ、ミラーニューロン。



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ミラーニューロンの機能が低下し始めると、あるとても顕著な症状が出現します。他人を批判するようになるのです。
何でもかんでも批判する人っているでしょ。よ〜く観察すると、そういう人って満たされていない、自分のことが好きじゃない人なんですよね。つまり自己肯定感の欠如です。
政治や社会問題を批判するくらいならまあまあいいとして、もっと進むと自分の身近な人を非難し始めます。子どもや連れ合いや友人のことを悪く言う人っているでしょ。
言葉とは恐ろしいもので、言っているとその言葉に羽交い締めにされるように、本当に言葉通りに近親者を嫌いになっていきます。
親が嫌い、連れ合いを愛せない、もっと悲惨なのは子どもを好きになれない。
その迷路に迷い込んでしまったら、その後の人生は幸せとは逆の悲しい展開しか待っていません。
多少出来が悪い子どもであっても、家庭でグータラな亭主であっても、良妻賢母とはいえない妻であっても、他人様の前でその価値を下げるようなこが口をついてでてしまうってのは・・・脳科学的にはよくある些細な症状ですけど、人生上では、不幸を招いてしまう可能性大の深刻な状態であると思った方がいいんです。
大丈夫ですか?あなたは他所様の前で、そんなこと、言っていませんよね。



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ミラーニューロンという、実際には見ることのできない身体の仕組みのことを知ることによって、ずいぶんと思考が整うでしょ。こりゃあ人前で連れ合いのことを愚痴れないなあって。

ここでひとつ、庭屋としての見解を述べさせていただきます。

物事に批判的になっているとき、庭の花は少なくなる。

ミラーニューロンが活性化していると、きっと人だけではなく庭とも呼応関係が成立するんですよね。だから庭は花だらけになってゆく。逆だと庭は愚痴の対象になって、当然花は少なくなってゆく。
ミラー(鏡)ニューロン、ぼくが前々から繰り返している「庭はあなたを映します」「庭が輝くとあなたが輝きます」ということの脳科学的な裏付けができたようで、軽く興奮しました。



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ついついパートナーのことを愚痴ってしまう、社会や他人を批判してしまうのは、ミラーニューロンの機能不全。

もしも自分がそうなりつつあると気づいたら、すぐに軌道修正しましょう。
その方法はとても簡単で、誰にでもすぐにできます。

幸せに暮らしている人と時間を過ごすとミラーニューロンが活性化します。

ようするにこういうこと。

人間は、賢く幸せに暮らしている人に囲まれていると幸せになってゆく。  



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その逆もあり・・・、注意しましょうね。

あ、それと、庭が荒れたまんまで暮らすことも危険ですよ。









 

夢追い人には「いい庭」が必要( 山根邸 3)

庭の全体像をご覧いただきます。

まずはフロントヤード、玄関先から。



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続いて駐車スペースの脇です。



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5年もしたらこれらの木が盛大に育って、建物を引き立ててくれることでしょう。

木を植えるときには数年後、数十年後の姿をイメージします。

では、庭に入って行きます。



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目隠しパネルと生け垣の隙間から入って行くと円形のレンガ通路が現れます。

図形は見る人にインパクトを与え、場を活気づけます。 



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ここは植物を育て、眺め、自然を感じながら暮らすためのエリア。

自然を感じられる庭があれば、自然によって気持が整い、気持が整うと暮らしが整い、暮らしが整うと人生が整っていきます。
自然を感じられる庭は人生を整えます。
 


 
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振り返ります。


 
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朝に夕に、四季折々に、このエリアはご家族にメッセージを送り続けてくれることが確信できる仕上がりとなりました。

庭の声を聞きながら暮らすことは、大自然と交信しながら暮らすということ。

それがどれほど大事なことかを、ぼくは庭を通して知り合ったたくさんの人たちの人生から感じています。

ここでちょっと脱線して、一つの言葉をご紹介しようと思います。

本当に大事なものを犠牲にしてまで
やらなければならないことなんてない。


武田双雲


人は夢を追います。それが有意義な人生であるとされています。
でも時々、自分の夢のために家族を犠牲にしてしまう人を目撃するんですよね。あるいは逆に、家族のために夢をあきらめてしまう人も。
もともととても愛情深く家族思いの人なのに、その人の中で夢のウエイトが家族を上回って家庭崩壊とか、夢を捨てないと家族を養っていけないとか、これってよくある話です。

でもぼくには、それとはちょっと違ったロジックが思いが浮かんでいでいます。

「夢の実現」と「家族の幸せ」を天秤にかける必要などない。
そのふたつをひとつのことと捉えればそれで問題はなくなる。
どちらか片方だけを追うと、両方を実現することは難しいんじゃないかなあ。


夢か家族かではなく、「家族のための夢実現」というふうに夢を設定しておけば、どちらか片方が重荷になったり邪魔になったりはしないですよね。

人一倍家族思いだったはずの人が、夢を追うことによって家族を苦しめてしまうというケースがあります。きっと何かのタイミングで「家族思い」という設定からズレてしまったんでしょうね。
もしもその人の人生に「いい庭」があったら・・・そんな事態に陥ることなく家族と一緒に夢を実現させる人生になっただろうにと、ぼくはこれまで何度かそう思う場面がありました。

「いい庭」とは家族の幸せのためにある場所出あり、家族や友人と夢を語り育む場所。

いやほんと、もしも彼に(彼女に)「いい庭」があったら、あんな辛いことにはならなかったに違いないと思うことが、あるんですよねえ。

庭の声を聞きながら暮らしていればズレは生じない。
人生観のズレは不自然は心の状態から発生してします。
庭に調整されて自然な心持ちで暮らすことで、夢は自然なカタチで実現してゆきます。


「自然な◯◯」ってすごく大事。自然とはネイチャーでありナチュラルです。
その微妙にして絶妙なバランス状態から足を踏み外さないための調整装置として庭を捉えてみてください。

とはいっても、抱いている夢が家族とは無関係という場合もあります。家族を持つ前から追いかけ続けている夢とか、そういう種類の夢を持ってがんばっている人も大勢います。
それはそれでいいとして、でももしあなたの夢が家族共々幸せになるためのものであるなら、夢実現の準備として、日々自然を感じ自然からメッセージを受け取れる庭を用意してください。それが先です。
願っていたはずの幸せが、心の設定のズレによって壊れてしまうなんてのは、ねえ、悲しすぎますから。

庭はあなたの夢実現をサポートし、ナビゲートしてくれます。

ひとりの例外もなく、人間は幸せになりたいわけです。
それは神様が人間に与えた最高の贈りものであり、同時に最高の試練でもあります。
そんなことを思わずにただ本能のままに命の時間を使うなら、庭などという場所はまったく必要ありまえんよね。他の動物には庭という概念すらない。
つまり、こうなります。

庭は、人間が人間らしく幸せを追求することで価値が生まれる場所。

でしょ。

夢を追うことで何かを失うことって、現実的には回避できないことなのかもしれません。かく言うぼく自身もそういうことを積み重ねてきましたから。
でも、できることならそうならずに夢を実現させていただきたい。
実際どの分野においても、幸せな家庭と夢を同時に実現させている人の方が多いのですから。

そうなるために「庭」が役立つことをぼくは知っています。もしかしたらこのことに気づいている人間はまだ希なのかもしれませんけど、でも自信を持って、これは確かなことです。

庭ですよ庭、いい庭があれば大丈夫。
夢追い人にはいい庭が必要です。


話が脱線したまま今日はおしまいにします。続きはまた。
 



 
 

テミヤンライブ vol.87/北原照久ミュージアム

台風は遠ざかり見事な秋晴れになりました。
明日28日、 87回目のテミヤンライブは佐島の北原さんちで開催されます。



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ゲストは渡辺かおるさん。



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そして茅ヶ崎のフラチーム「カロケメレメフラスタジオ/トカリガ」のみなさん。
もちろんダンサー宮本さんも・・・もしや、フラとの競演もあるかも(ムチャ振り)。







ライブに加えて、大きな楽しみが夕陽です。
佐島の夕陽は、いつもたまらなく魅惑的なのです。



では、北原照久ミュージアム。
言霊の伝道師、北原さんから溢れ出る言葉を拾い集めています。



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海が目の前なんですけど、マリーンスポーツもやられるんですか?

そうですね、ダイビング、シュノーケリングとか、56歳からサーフィンも始めました。



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56からですか!

ほんとそれはね、やってよかったなって思いますよ。



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なんでまた56からサーフィンを始めようと思われたんですか?

たまたまです。何でもちょっとしたきっかけってあるじゃないですか。ゴルフもそうですけど、サーフィンもダイビングもちょっとしたきっかけでたやってみて、やってみたら「おもしろいね」って。
「始めたときが一番いとき」って感じです。
そうやって始めて、そこで出会う人たちがいて、世界がすごく広がりました。
やってみてほんとによかった。




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だいたいみんな50を過ぎると何か新しいことを始めるのはちゅうちょしがちですけど、そんなことないんですね。

うん、そんなことはないです。
だって伊能忠敬だって56歳で仕事をやめて、それから17年かかって日本地図を描いたりだとか、そうでしょ。
やはり気持の持ち方だなあってぼくは思うし、中国のことわざでね「木を植えるのにいちばんいいのは30年前。次にいいのは今だ」っていうのがあるんですよ。だから、始めたときが一番いいとき。
後で「あのとき始めておけばよかった」と思うよりも、今始めればいい。




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ギターを始められたのが51歳、サーフィンが56歳、ゴルフも56歳、なんか50を過ぎてからエネルギッシュですね。

それまでねえ・・・、ぼくは37歳で独立したんですけど、それから47までいち日も休んでいないんです。まったく休みなし、無休。病気もしなかった。
それは好きなことを仕事にしてワクワクしてやってたからだと思うんですけど、でもあんまり仕事ばっかりやってたもんだから運動しなくなっちゃうわけですよ。
そしてたまたま声帯ポリープができて手術したときに、お医者様から中性脂肪が高過ぎだっていわれてね。運動不足と高カロリーのものをとり過ぎだって。




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そこからです、運動をし始めたのは。
運動を始めたらいろんなことができるようになっていって「これはまだまだやれるぞ!」って思ってね、それからギター、ウクレレ、ゴルフ、ダイビングって。



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ポリープの手術をしたおかげですごく楽しい展開になっていった。ほんとによかったなあって思いますよ。
あれがぼくにとって人生の大きなチャンスだったんだなあという気がします。



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病気になったことをきっかけにいろんなことを始めて、世界が広がって、さらに楽しいことが増えたってことですね。

そういうことです。
人間万事塞翁が馬、まだまだやりますよ。まだまだいろんなことを始めます。




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北原照久さんを観察していると「人間万事塞翁が馬」という言葉の意味を実感することができます。
例えば何か思い通りに進まない事態が起こったときには必ずそれを「チャンス」と捉える。そういう場面を何度も目撃してきました。常人には考えられないほど何ごとにもポジティブな姿勢を保っています。
それは自分のことだけにとどまらず、友人が苦難に直面しているときにもすかさずそういうアドバイスをします。
人が人生につまずいたとき、多くの人はその人を批判するか遠ざかるものです。でも北原さんは自分がいったん信じると、その人に何が起ころうと、何をしでかそうと、とことん付き合うようなところがあります。

ぼくはそういう北原さんの姿勢に、「順風満帆な人生などない」ということを身を以て知る人の、強さと、優しさを感じています。


では明日、幸運にもプラチナチケットを入手できた皆さん、佐島の庭でお会いしましょう。





 

もう一度、楽しいことしかやりません!

以前やたらに言い続けていたことがあります。

楽しいことしかやりません!

それはさんざん考え続けた末に出てきた結論でした。



植物がある暮らしを楽しんでいるお宅を並べます。

後藤邸
後藤邸



人は毎日いろんなことに煩わされます。それによって気持が落込んだり、不安や焦りや空しさなどのマイナスな心理状態になります。
そのマイナスから、どうやったら一気にプラス域へと自分を持っていけるかということを考え続けました。

よくよく自分の毎日を検証してみると「絶好調!」な日は少ない。

あなたはいかがでしょうか。上機嫌で心が躍っていている日がどれくらいの割合でやってくるでしょうか。
ぼくは数年前の一時期、週一くらいでした。調子がいい日は一週間にいち日だけ。・・・少なすぎますよね。



猪俣邸
猪俣邸



楽しいことしかやりません!と言いきれるときは、間違いなく絶好調です。
調子が悪いときには、とてもじゃないけどそんな傲慢なことは考えられないし、まして口に出すことはできません。
でも調子が良いときのぼくは(いい気になって)そういうことを言っていますし、気分が落ちそうになると、無理矢理にでもそう宣言して自分を鼓舞しています。

今が充実していると何もかもが楽しく、何もかもが好きになる。

だからそこを目指すというわけです。



酒巻邸
酒巻邸



ぼくは、決意するって大事だなあて思うわけです。
毎日を充実させたいと思うなら、なにを考えどう行動することで充実の今日を得ることができるのかを、よくよく考えた方がいいですよね。
ぼく自信が自分のコンディションをいい状態に持っていくために、考えに考えてたどり着いた結論である「楽しいことしかやりません!」という宣言、けっこうな威力があります。



木村邸
木村邸



一般的には不本意なことや楽しさを感じられないことも、まあ我慢して頑張るというのが立派な社会人なわけです。ぼくはそれを卓袱台返しみたいひっくり返して、わがままいっぱいに時間を過ごすことを目指しました。
それはなぜか。
調子が整っていないと設計がつまらない仕上がりになってしまうからです。おまけに時間がかかるし。
そういう仕事が積み重なってゆくと重苦しい精神状態になってしまって、当然お客様とのいい出会いも少なくなり(こんなに自己肯定感が強いぼくが)自信も減退していってしまう。

調子を崩すと一気に負のスパイラルに入ってゆく。
調子よくいることが大事。
日々自分の調子を上げる努力が必要。


「楽しいことしかやりません!」はぼくにとっては画期的なフレーズで、そう言い始めてから設計ははかどり、クオリティーもお客様の満足度も「感動」のレベルまで上がるよになりました。仕事以外のこともいい感じに展開して正のスパイラルへと入って行きました。



田中邸
田中邸



ところが、ところがです。この黄金のフレーズの賞味期限が切れてきたのか、このごろ負のスパイラルの入り口がチラチラと・・・。
冗談じゃない!そんな寄り道をしている余裕はありません。真っすぐに突っ走らなければ。
ここはひとつ、再度気合いを込めて言い切っていまいます。

宣言します。
ぼくは楽しいことしかやりません!


いいでしょ、こんなこと言い切っちゃう人がいても。
あるいは、・・・別の宣言を用意する時期に来ているのかもしれないなあと思ったりもします。
とにかく自分のいち日いち日を、最高の日にしたいという気持ちが消えることがありません。
もう二度と嫌なんですよね、あの苦しいばかりで成果の上がらない不調の日々。



高橋邸
高橋邸



あなたも、あなたの今日を充実させるために、あなたなりの宣言してみてください。

口角を上げっぱなしで過ごす。

絶対に愚痴を言わない。

感謝の言葉を100回言う。

批判や非難をしない。

一万歩歩く。

腹八分目にする。

自分から挨拶をする。

毎日本を一冊読む。

・・・・




わが家
わが家



漫然と暮らしていて調子が上がるのも待っていても、なかなかそんな日はやってこないものです。しあわせだなあ〜!絶好調!そんな日があったことすら忘れて不調が常態化している人も大勢います。
絶好調の今日を手に入れることは自分との戦いであり、意欲と努力なくしては実現しません。
食事と睡眠に気をつけ、イマジネーションをプラス域から外さないで、スッと立って、気持はやや前のめりに、素晴らしい出会いを期待して、感動を求めて、宣言の旗印を掲げて、さっ、今日も出陣!

楽しいことしかやりませ〜ん!

もしもあなたが、ぼくと同じく根がわがままな人なら、その(こまった)性格を逆手に取って突っ走りましょう。







 

タオは普遍的絶対的哲理( 名言・格言コレクション )

中国からやって来たおじいさんの言葉シリーズ、最終回です。



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辛いことが起こったら、そこにこそ次の幸せの種が芽吹くのだと思いなさい。
物事が順調なときには、注意深く災厄の芽を摘みなさい。
落込んだり、いい気になったりしていてはいかんよ。



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水のような人のことを優れた人と言う。
水は器に馴染み、低きに流れ、天に昇り、その状況に合わせて自分を変化させる。かと思えば石を削り砕くこともできる。
水のように生きる者となりなされ。




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安請け合いをしてはいかん。引き受けたからには全力でそれに打ち込むことじゃ。
無責任な人間に徳のある者はおらんぞ。




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どんなに才能があろうとも、人と仲良くできん者は幸せにはなれんよ。
自分よりも劣る者にも合わせることができなくてはならん。
才走るばかりではダメなんじゃ。




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幸せになるコツはな、物事をあるがままに捉えて、それに感謝して、私欲を無くすことじゃよ。



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あんまり熱を入れすぎると失敗する。
物事を成し遂げるには気張らずに、ほどほどの力で、じっくりと打ち込みなされ。




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せっかく才能がありながら、なかなか日の目を見ない者には共通点がある。「出しゃばりすぎる」ということじゃ。
真に有能な人間というのは、慎み深く、一見すると愚か者のような顔をしておる。




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白い鳥は水浴びをしたから白くなったんじゃなくて、最初から白い。
あんたも最初からあんたなんだから、ありのままでいることが大事。
ありのままのあんたが一番美しい。




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苦手なこと補うよりも、得意なことを伸ばした方がいい。
苦手なことなどすべて忘れてしまいなさい。







老子は2600年前の中国の人です。その言葉が今日まで語り継がれているわけです。
こうして老子の言葉を並べてみると思うんですけど、その教えはイエス・キリストやブッダとリンクしますし、アメリカインディアンの教えともダブりますし、ブリキのおもちゃ博物館の北原照久さんの言葉とも通じます。
つまり「人間は洋の東西を問わず、(少なくても)2600年前から同じ悩みを抱え、同じ気づきに救われながら生きてきた」ということになります。

もうひとつ「学びや気づきは遺伝子情報に組み込まれない」ということも思います。
親が苦悩の末に得たよりよく生きる知恵を持っていても、子どもはやはり同じように悩みながら答えを探し求めて生きますよね。

いくら科学が発達しても、心の苦悩は解消されることなく繰り返される。

例えば結婚です。いくら親が「恋愛感情に酔うことなく、性格や収入や将来設計などを吟味して理想のパートナーを捜しなさい」諭したところで、子どもは盲目の恋に落ちて結婚をし「何でこんな人と・・・」と悩み苦しむことになります。

これはつまり、失敗や悩みや苦しみを乗り越えるところに人生の意味がある、神様がそのように設定しているということなんです。だから科学技術は代々積み重なって高度になっていくのに、心のことは一代限りで子どもに伝えることができないよいうになっている。

悩むから人間。
悩みの森に道を見出すことが生きるよろこび。


人間の脳はそのように設計されている、と思えば、どうです、よりよく生きるためにはもっと悩めばいいってことになりますよね。でしょ。

このシリーズの最後に、老子のこんな言葉を。

神様は善行を見逃したりせんから、心配せずに徳を積みなさい。
道に迷って悪事に走らなければ必ずいい人生になる、そう信じて大丈夫。このじいさんが保証するよ。
だからいろんなことがあるだろうが、今日を正しく懸命に生きなされや。


タオイズムは、神様が人間に与えた「試練の中でよりよく生きよ」という命題を学ぶための、普遍的で絶対的な哲理。
その根本が自然の流れやリズムと合致しているところが、いいんだよなあ。
自然は厳しく、そして優しい。
だから人間もまた、そのように生きなさいということなんですよね。






 

庭の宴

ひと月ほど前の出来事です。



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旭区のお店「レノンの庭」は小さな小屋の外にサンプルガーデンがあり、ぼくはその小屋で設計作業しつつ、日に何度か庭に出て掃除をしたり、椅子に座ってコーヒーを飲んだりして気分転換をします。
ある時庭に出ていると、ふとリンゴジュースの香りがしました。ほんの一瞬だけ鼻先に感じました。
周囲を見回しても誰もいない。いつも庭に遊びにくる子どもがジュースをこぼしたのかなあと思いました。



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翌日またいい香りが、今度は前日よりも甘く、強く香っていました。タルッとした桃のネクターのような香りです。
香りの出所が気になりつつも、そよ風に飛ばされて、すぐに香らなくなってしまいました。



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次の日、庭全体に果実酒をぶちまけたように甘酸っぱい香りが。
「これはただ事ではない、何かが起こっている」と思い、庭中を隅々まで歩いてその発生源を探りました。



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ありました。
これです。



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ヤシの木に咲いた花が結実して房状に実をつけていて、それがボトボトと落下して木の下のアイビーの茂みの中に溜まり、発酵していました。
写真を撮ろうと盛大にたかっていたコバエを払うと、強烈な香りが目にしみるようでした。
強烈ですけど、何とも魅惑的な香りです。



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ヤシの子孫繁栄戦略。一カ所に集中的に実を落として、発酵させて香りを出し、動物よ呼ぶ。その実を食べた動物が種を他の場所へと運んでくれるわけです。
そう言えば数日前、庭に転がっていた実を散歩に来た犬がかじっていました。まあ毒ではないだろうと思い放っておきました。



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小動物に向けたその戦略は、昆虫たちも惹き付けます。実に群がるコバエだけじゃなく、香りに誘われてたくさんの昆虫が集まってきました。



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庭全体が虫の宴会場であるかのように、花の蜜を吸い、飛び交っています。



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もう完全に酔っぱらってる感じで、カメラを近づけてもまったく逃げることなく宴を楽しんでいます。



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翌日、もう宴会はお開きとなり蝶も蜂もいません。香りもなくなっていました。



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人間社会と全く別の、ほとんどの人が気づかない世界で、植物主催の宴会が開かれていた。何だか夢のひと時に立ち会えた気がします。



DSC00315

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もう何年も、このヤシの葉が揺れるのを眺めながら仕事をしています。
いいヤツです。
自宅の庭のジューンベリーと同じく、いつもぼくに素敵なメッセージをくれます。
こういう木が庭にあったら、人生はより楽しく、豊かなものになるんじゃないかなあ。



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あなたも、木を感じる、庭を感じるということを、日々の楽しみの一つとしてみてはいかがでしょうか。

ヤシの木の大宴会、まるで絵本の中にいるようないち日でした。







 

植物寄生生物( 山根邸 2)

広さも環境も抜群の庭スペースに加えて、奥様の笑顔からいただいた「いい感じ」でノリノリで設計した2プランをもとに、さらに検討を重ねてできあがった変更プランがこれです。



Plan C
山根様C 立面1

山根様C



左側から「季節を感じるエリア」「景色を楽しみつつ過ごす外の部屋」「植物を楽しむガーデニングエリア」となっています。

解説は追々するとして、ビフォー・アフターをご覧いただきます。
この庭の他に玄関周りの植栽もやりましたので、まずはそこから。



Before 1
ビフォー9

After 1
 アフター9



Before 2
ビフォー10

After 2
アフター10



いつも思うんですけど、新築の家に植物が入ると建物も引き立つし、風景が和むし、何だかほっとしますよね。
これって考えると不思議なことです。なぜ人は植物を植えたがるのか。

人間は植物という生物に寄生して生きている。

そうとも言えます。

ぼくらが呼吸で出している二酸化炭素を一手に引き受けてくれている植物が存在しなかったら、人間は生きていけない。

そのことを本能的に知っているから、人は植物に癒され心惹かれるんでしょうね。

では、庭に入って行きます。

 
Before 3
ビフォー1

After 3
アフター1



Before 4
ビフォー2

After 4
アフター2



Before 5
ビフォー3

After 5
アフター3



Before 6
ビフォー4

After 6
アフター4



Before 7
ビフォー5

After 7
アフター5



Before 8
ビフォー6

After 8
アフター6



Before 9
ビフォー7

After 9
アフター7



Before 10
ビフォー8

After 10
アフター8



庭を設計するときに、多くの場合「手入れが楽なように」というご要望があります。なるべく土の面積を少なくして、手間がかからない植物を植えたいと。
それはそれで、庭を楽しむために大事なことではありますが、今回の場合はまったく逆に「植物を楽しみたい、庭から季節や自然を感じたい」ということでした。

暮らしの中に植物が多いほど、人は幸せになりやすい。

雑草取りや庭木の手入れにうんざりしている人には賛同できないことかもしれませんけど、でもこれって、生物学的な正論なのです。
何たって我々は、植物に寄生して生きているんですから。
それはホモサピエンスだけじゃなくて、酸素を必要とするありとあらゆる生物がそうなわけで、その頂点に君臨している者が「芝生は手入れが大変だから・・・庭木はなるべく少なく・・・雑草取りが楽なように・・・」というのは・・・どうも・・・ねえ・・・。

ぼくは思うんですけど、要するに「庭には植物を植える場所」と思い込んでいるとそうなってしまうんじゃないかなあ。庭があるから木を植えて花を咲かせなければならないという既成概念が「手入れが大変」ということの根本原因。
逆説的に考えてみましょう。
木も花もない庭があったとします。そこは植物の手入れに煩わされることなく家族で楽しい時間を過ごせる場所です。
そこにジューンベリーが植わっていたら、バラが咲いていたら、イキイキとした芝生があったら、その楽しい庭はさらに楽しく、幸せな場所になりますよね。

庭は植物を植えるための場所ではありません。人が幸せを感じるための場所なのです。
木や草花は、あなたの幸せを演出し、幸福感を増幅してくれます。


庭木や草花のことをそんなふうに捉えると、あなたの暮らしに植物が増えていって「植物寄生生物」としての幸福感が増大してゆくと思います。

緑豊かな環境は、ホモサピエンスのDNAを刺激して、心を豊かにしてくれますよ。





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全国のたくさんの方から(なんとパリからも)たくさんの「いいね!」やうれしいコメントが届いて、とても励みになっています。
ひとつひとつお返事を返したいところですけど時間的にそうもいかず、いつも申し訳なく思っています。
「いいね!」を押してくださるたくさんの方に、コメントを入れてくださる皆さんに、こころから感謝しています。ありがとうございます。






 

第一印象( 山根邸 1)

見晴らしがよく、広さも十分な庭スペースです。
一目見るなり「最高!早く設計させてください」って感じでした。 



ビフォー1

ビフォー5

ビフォー8



お向かいさんの宅地は下がっていて空は広いし、出幅もゆったりしているし、なかなかこんな好条件の庭スペースには出会えません。

「さあ、どういたしましょう。ここならどんな庭でもつくれますよ」と話し、奥様とあれこれと打合せを進めるうちに、いくつかのテーマが浮かんできました。
  • 景色を楽しみながら庭で過ごす
  • 木や草花がふんだんにある庭
  • リビングから庭の自然や季節を感じられるように
  • 日々植物を楽しみながらの暮らし

山根さんちを初めて訪問したときに、とても印象的なことがありました。
ピンポンを押してすぐに、家の中から「ハーイ」という明るい声。出てこられた奥様は最高に素敵な笑顔でした。もう旧知の友人を出向かえてくれるような、何ともいい感じの表情。ハグこそしませんでしたけど(笑)ぼくは一瞬でふわーっと舞い上がるような、とてもいい気持になっていました。

出会い頭に関係性はできあがります。

今回の庭は、奥様のすてきな第一印象、素晴らしい笑顔とフレンドリーな雰囲気から生まれたものです。

設計作業に入っても奥様から受けたいい感じが続いていて、ぼくは上機嫌でした。
上機嫌だと、プランは楽々と、次々浮とかびます。

いい出会い方ができる人は得をする。

出会う人をいい気分にさせられるって、凄い才能だなあと感じました。

気分上々のままに描いた2つのプランがこれです。



Plan A
山根様A 立面1

山根様A



Plan B
山根様B 立面1

山根様B



この2つのプランを携えて再度訪問すると、またもや奥様は素晴らしい笑顔で向かえてくださいました。
ぼくはうらやましくなりました。出会う人、訪れる人を、一瞬で心地よくさせてしまうその才能があれば、人生は間違いなくいい展開をしますからね。

出会いは突然やってきますから、そうするためにはいつもいい笑顔でいる必要があるわけです。それといつでも相手を歓待する気持の態勢が必要。
できそうでできないことです。

今日出会うすべての人を、一瞬でいい気分にさせることができたらいいなあ。

こうしてまた、お客様との出会いによって学ぶことができました。
自分に欠けていること、気づかなかったこと、知らなかったことを、いつもお客様から教えられながら歩んでいる感じです。
お客様ってありがたい。人と会う仕事って、ありがたいなあ。

明日はこの2つのプランを、ご主人を交えて検討していただいてできあがった最終プランと、ビフォー・アフターをご覧いただきます。



今日出会うすべての人を、一瞬でいい気分にさせる。
そんなことを考えていち日をスタートするのもいいですよね。きっと素晴らしい日になりますよ。
「出会い頭に、何人の人を笑顔にできるか」というゲーム。
さっ、やってみましょう!






  

二者択一

先日の「十年に一度の大型台風」は横浜にはさしたる被害もなく、わが家の庭は植木鉢がひっくり返った程度でした。
ところが、伊豆大島の地滑り。



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何で自然ってのはこうも残酷なことをするんでしょう。
テレビでは避難勧告を出さなかったことを非難する報道が続いていましたが・・・被災された住民の方が「まさかこんなことになるなんて、まったく考えたことがなかった」と話している通り、予見することは難しかっただろうなあと思います。
誰かのせいにしたい気持はわかります。でないと、悲しさを通り越した怒りのような感情の持って行き場所がないですからね。
でももしもあの自然災害を責任追及するとしたら、糾弾されるべきは人類です。地球人全員が招いた災害なのです。



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以前「地球カレンダー」という本を紹介しました。



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地球の誕生からの歴史を一年間のカレンダーに置き換えてみると、人類が登場するのは12月31日大晦日の夜、紅白歌合戦の頃です。地球上のすべての生物の中で最も遅く現れたホモサピエンスはその発達した脳を武器にして驚異的に繁栄しました。そして除夜の鐘が鳴り出す寸前に(禁断の)化石燃料に着火して二酸化炭素を爆破させました。
それは産業革命から今日までの200年間の出来事で、地球カレンダーではほんの1、2秒の出来事です。
だからまさに爆発で、その火の粉を鎮火させようとする地球の防衛策が異常気象なのです。
つまり異常なのは気候ではなくて人間のしでかしたことであると、ぼくにはそう思えます。



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二酸化炭素爆弾を爆発させてしまったぼくら人間は、どうしたらいいと思いますか。
化石燃料を使わないために原子力?いやいやそれは論外。石油を燃やすこと以上のキツいしっぺ返しがあることは明らかです。
やっぱり、風力、水力、地熱、太陽光などのナチュラルエナジーを使った暮らしに切り替えるべきですよね。
多くの人はそれでは発電量が足らないと言います。自然エネルギーでは今の社会システムや暮らしを維持できないと言います。
足らなくたっていいじゃないですか、そうしなきゃならないんだから。



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ぼくらは今、二者択一を迫られています。
拡大か、循環か。


どっちを選べばいいかなんて、小学生でもわかることですよね。



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より早く、より大きく、より便利に、より快適に、「より」が拡大を招くキーワード。

人類はなぜ地球を痛めつけてまで「より」で進んできたのか。・・・ただひたすらに、一生懸命に、幸せを追求してきたんですよね。
でももうそれは止めにしなければなりません。
唯一これからも「より」をつけていいのは「幸せ」だけです。「より幸せに」だけは持ち続けていい。というか、これまで以上に真剣に、これまで以上に必死になって「より幸せに」を追求しなくてはなりません。
どう考えても、自然からのしっぺ返しはまだほんの序の口なんですから。



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このことを口にする人はまだ少ないんですけど(いろいろと差し障りがありますから)、「もはや手遅れである」と考える専門家がたくさんいます。あと100年は大丈夫かもしれないけど、300年後に人類が存続できているという予測が立て辛い状況にあるそうです。
「じゃあどうするんだ。あんたは今日からどうやって暮らすんだ」と言われると、・・・きっと、それに答えられる人はいません。それと、たったひとりが何かをやってどうにかなることではないですからね。
でも、それでも、ぼくらはきっぱりと「循環」を選ばなければなりません。
「もっと幸せに」の「幸せ」を、これまでの「拡大」ではなく「循環」の中に見出さなければなりません。

拡大か循環かという問いに、全会一致で循環を選んだ上で、どうやったらもっと幸せになれるのかを、必死になって考え追求していかない限り、ホモサピエンスは地球から排除されます。



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それにしても、伊豆大島のことは切ないですね。
あんなに自然豊かな場所で、三原山のこともあって他の地域よりも自然を敬い、自然に歩調を合わせて、純朴な笑顔で生きてきた人たちなのに、その命を奪うとは・・・。
しかもまた次の台風が勢力を増しながら近づきつつあります。

自然って・・・。

島民たちは、それでも自然を恨むことなく、自然に仕返しをすることもなく、また一生懸命に自然と共生しようとするでしょう。

人間って・・・。



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これから世界中で起こるであろう予測不可能な悲劇を、人類は耐え続けなければなりません。
苦難に耐えるために何が必要か。・・・愛情です。
家族はもちろん、家族以外の人への愛情、友人への、故郷への、地球への愛情が、苦難に耐える力と知恵を与えてくれるはずです。
過去や現状を悔やんだり悲観的になったりすることに、あまり意味はありません。そんな暇があったら、せっせと愛情を膨らませましょうね。
ホモサピエンスが愛情の生き物になったとき、きっと運命を好転させる出来事がやってきます。今はそう信じて進むしかない。



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とにかく、もう大きさや早さや便利さを賞賛することは止めにしませんか。理不尽に、自然に奪われてしまったたくさんの命に報いるためにも。






 



 
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