
いい気になれ。

いい加減にしろ。

セセリチョウ。
この時期、住宅地で最もよく見かける蝶です。
蜜を吸い始めると夢中でまったく逃げません。
地味目ですが、
レンズ越しに話しかけたくなるほど親しみを感じます。
荒れ地に暮らしていたら、人生は荒れたものになってゆきます。
水面の乱反射を受けて夢見心地の花たち。
この地に根付いて咲けたことを
幸運に思っているに違いありません。
ぼくら人間は、
自分の意志で水辺に行くことができます。
理想郷を思い描くことをやめてはいけない。
現状を嘆く人も、今の幸せを噛み締めている人も、その先にすばらしい世界をイメージし続けることが必要なのです。
イメージできたらできたも同然。
イメージしなければ、暮らしは荒んでゆくばかり。
イーハトーブはユートピアでありながら天国とは違います。
そこには自然があり、命の営みがあり、だから葛藤や苦しさや悲しみもあり、だからこそ感動と愛情に満ちているのだと、ぼくはそんなふうに解釈しています。
ぼくが思う理想の庭(家庭)と宮沢賢治が思い描いた理想郷は、たぶん同じなんじゃないかなあ。
秋の夜長に「よだかの星」を。
ぼくはこのお話、何度読んでもじんわりとするんですよね。
秋風が吹き始めるとやたらに空腹感が増します。
これは食事によって夏の疲労を回復させるためであり、次にくる冬眠への備えなわけです(冬眠しないにしても、気温が下降傾向に入ると身体は皮下脂肪を蓄えようとします)。
河口湖の空気は秋本番でした。
ちょうどそういう時期に植物界は実りの季節を迎えるのですから、自然の営みってうまくできているものですよね。
秋の食欲は、心身が自然のサイクルに合致していることの証し。
実りの秋を存分に楽しんで、しっかりと栄養を溜め込んでおきましょう。
シュウメイギク(秋明菊)を見ると
ぶどう狩りに行ってジンギスカンが食べたくなることの不思議。
そんな思い出はなかった気がするんですけど、
なぜかぶどうとジンギスカンが、
秋の味覚として
セットで記憶されています。
秋は太って、冬は維持して、春にデトックスして、夏にまた痩せることが、健康体を維持する自然なサイクルです。
これは決して、春から夏にかけて7キロ落としたのに現在3キロ回復してしまっていることの言い訳ではありません(サイズを落として買い揃えたジーパンがきつくなってきました・笑)。
レジリエンス( resilience )という心理学用語があります。
それはストレス(外力による歪み)に対して(外力を跳ね返す力)とされ、「困難な状況においても正常な平衡状態を保てる能力」と定義されています。
犬ってたくましく健全な生き物ですよね。
年老いても、怪我や体調を崩したときでも
心は常に健康そのものです。
不健全な飼い主としては
その姿はまるで天使のようであり、
神様のようであり、
彼らのおかげでずいぶんと
人生の軌道修正ができていると感じています。
ぼくも家族に対して
常にそう在らねばならないのですが、
・・・・なかなか。
ドッグキャンプから帰って、
犬たちは一段とパワフルになりました。
彼らもぼくら人間同様に、
自然からエネルギーを吸収するんだなあ。
この能力の特徴的なこととしては、レジリエンス因子は脆弱因子と対極にあるものではなく、いかに脆弱な性質の人であってもレジリエンスを高めてゆくことができるというものです。
つまり、ヨワヨワな性質であることとストレス耐性は別物だということ。
ぼくはこのことに「やっぱりね」と納得しました。
それは普段花を見ていて思うことがあるからです。
か弱い花はしぶとさを併せ持つ。
例えばコスモス。
肥料分が少なく乾いた土地でも発芽し成長し、一本ならすぐに折れてしまうのに、群生することでお互いを支え合って咲いている姿に、弱いからこそ身に付いた強さを感じていました。
ではいかにしたらそのすばらしい能力、レジリエンスを得ることができるのかを並べてみます。
自尊心(自己肯定観)
愛情
楽観的であること
安定的な愛着対称
ユーモア
肯定的未来志向
これらの精神的な在り方に加えて、生活習慣によって得られる要因もあります。
早寝早起き(規則的に良質な睡眠をとる)
腸にいい食事
適度な運動
こうして並べてみるとうなずけますよね。
健康的な環境と思考と行動によって困難に強い人になれる、考えたら当たり前のことなのです。
健全な暮らしが逆境に負けない心を育む。
あなたのレジリエンスは良好でしょうか。
心の状態や生活パターンをチェックして、このすばらしい能力を高めていってくださいね。
ストレスなんぞでバランスを狂わすことなく、ストレスが強いほど心身のポテンシャルが発揮されるような状態にまで持っていきましょう。
強さとは健やかさ。
レジリエンス、大事です。
苦難に遭ったときに思い出してください。
毎日いろんな状況の人と庭の話をしながら思うのは、「みんな頑張ってるなあ」ということです。
夏の終わり。
秋の始まり。
この時期に読み返したくなる本があります。
ロバート・B・パーカーの「初秋」。
人生に秋を感じ始めた私立探偵スペンサーが、
これから青春を迎えるひ弱な孤児の少年
ポールを鍛えてゆく物語。
ハードボイルド的子育て術がカッコいいのです。
「どうしてアイスクリームを食べなかったの?」
アイスクリーム屋に連れて行ったあと、
ポールにこう尋ねられたスペンサーは答える。
「自分で決めた交換条件だ。
ビールを飲んだらデザートは食べない。
男は、こうと決めたことは守らなきゃならないんだ」
このやせがまん。
男の美学。
読書の季節が始まりましたね。
種まきが遅かったものはまだ元気に咲いています。
幸せは歩いてこない
だから歩いて行くんだね
今現在の自分に幸せを感じつつ、さらなる幸せへと向おうとする人がぼくを訊ねてくださるわけです。
そしてぼくはそれに適う庭を思い描いて、その庭からはじまる世界に踏み出していただきます。
でも、ぼくにできることはそこまで。
初秋の色。
これを見つけると、画板と絵の具が思い出されます。
一日一歩 三日で三歩
三歩進んで二歩さがる
とにかく歩を進めること。
せっかく踏み出した一歩を、何が起ころうとも二歩三歩と踏み出し続けてください。
虫食いの穴からのぞいているのはこの人です。
人生はワン・ツー・パンチ
汗かきべそかき歩こうよ
花が枯れたら植え足して、雑草は引っこ抜いて、熱くても寒くても庭に出て、その季節を味わってください。
のどか。
あなたのつけた足跡にゃ
きれいな花が咲くでしょう
時間の積み重ねが庭の存在を大きく育てていきます。
ほんの小さな庭が、幸せな人生の大舞台へと変貌していきます。
さわやか。
腕を振って足を上げてワン・ツー!ワン・ツー!
休まないで歩け
自然の速度に置いていかれないように、季節の変化に歩調を合わせながら。
秋のスズメバチはとても凶暴なので、
こんなに近づいてはいけません。
良い子はまねをしないように。
しあわせの 隣りにいても
わからない日もあるんだね
一年三百六十五日 一歩違いでにがしても
人生はワン・ツー・パンチ
歩みを止めずに夢見よう
千里の道も一歩から
はじまることを信じよう
サルスベリはアップで見るとこんな花。
ひと夏存分に楽しませていただきました。
い〜い夏でした。
年々庭を美しく進化させるコツは立ち止まらないこと。
物事がうまく運んでいる時には意識しなくての足は前へと出ます。
しかし突然何かが立ち塞がったり疲労で気力が落ちてくると、そうはいかなくなるものですよね。
でもそこなんですよ、勝負は。
「キツい時に頑張ることを『頑張る』というのだ」
できるだけそれまでのテンポを維持すること、それが無理なら、ほんの1ミリでもいいから足を出してみることをです。
それも無理ならしっかりと休憩を取りましょう。
照る日曇る日嵐の日、凪ぎもあれば台風も来ます。
その不安定な状況下で目的地へとたどり着くことは容易ではありません。
容易じゃなくてもあきらめるわけにはいかないのですから、とにかく頑張りましょう。
さあ、今日も思いっきり腕を振って足を上げて。
花いっぱいの未来を思い描きながら。
ひとりで庭に出て、ゆったりと腰掛けてみてください。
目の前にある風景が、あなたの心の状態です。
河口湖周辺は
どこに行ってもコスモスだらけでした。
春から夏にかけて種をまくだけで、
ほとんど手入れをしなくても咲いてくれます。
簡単なのに感動的。
来年は「レノンの庭」を
コスモスでいっぱいにしようと決めました。
庭は自分を映し出す。
もしも荒れていたら整え、潤いが不足しているなら水を撒き、花が少なければ植え足してください。
そうやって自分と向き合う時間を持てば、疲れを癒すことも、軌道を修正することも、夢を思い描くことも、庭から聞こえてくる声に気づきを得ることもできます。
姿は鏡に映り、心は庭風景に映し出されます。