脳に作用するホルモンの代表格は3つ、アドレナリン、ドーパミン、セロトニン。アドレナリンは外部からの危機やストレスに対して最善の行動(闘争か逃走か、など)を選択するために必要で、ドーパミンは快楽や意欲を高める働きがあり、心地いいと感じることや感動で産生される。もうひとつのセロトニンは精神を安定させるものでありまして、これが不足すると暴力的になったり、逆にひどく落ち込んだりします。
ここ数年はセロトニンブーム、そこから派生したオキシトシンブームもあり 、ひっくるめて腸内フローラブームとなり、何を食べたら腸内環境が整い長生きできるという番組が立て続いて、フローラ好きのぼくとしてはチェックしているうちに「そんなに体に良いものがたくさんあるなら胃がもたない、こりゃあ体に悪そうだ」となり、野菜と発酵食品をそこそこ、くらいにとどめている次第。この頃では次なるムーブメントの睡眠ブーム到来でありまして、睡眠負債が流行語大賞にノミネートされるなど、人々の興味はどうやらすっかりダイエットから健康へと移行したもようです。
かくいうぼくも時流に乗って勉強中。何たって生まれ持っての悩み多き脳ミソを頭に乗せつつ年齢的には還暦直前となりましたので、仕事上、体力気力の維持が大問題。その手の本を買いあさっては夜の庭で熟読しています。そんな数冊の中で特に面白く、腑に落ちたのがこれ、根来秀行著『眠っているうちに病気にならない体をつくる本』。
『人の体内時計は25時間』
人体を構成している細胞のすべてに時計遺伝子が存在し、それを制御するマスター時計は両目の奥の視交叉上核にある。困ったことにその時計の文字盤は25時間で、24時間の実時間とズレがあるため、毎朝マスター時計を調整する必要がある。マスター時計のリセットは強い光を浴びることでなされる。
『セロトニンとメラトニンの連動』
マスター時計のリセットがセロトニン(幸せホルモン)の分泌を始めるスイッチで、それが夜に睡眠と心身の修復を行う成長ホルモンであるメラトニンの産生に連動している。セロトニンが出始めてから15時間後にメラトニンが出る仕組みで、朝光を浴びてセロトニンを出さないとメラトニンの出も少なく、したがって寝起きにぐずぐずしていると睡眠障害や様々な病気になりやすい。良好な睡眠を得るには朝日を浴びることが大事で、それは毎日決まった時間に行われることが望ましいため、寝不足の日であっても起きる時間は同じにした方が良い。休日の寝だめは体調を崩す原因となる。
『寝入りばなの2時間に熟睡を』
人を眠らせ、身体の修復と脳内記憶の整理整頓を行うメラトニンの仕事は、入眠から2時間の最も深いノンレム睡眠時に活発に行われる。それを得るためには就寝の1時間か2時間前に入浴して体を温め、徐々に冷めてゆくタイミングで部屋を暗くする。アルコールに頼って眠るとノンレム睡眠が浅く短くなりメラトニンの産生が阻害されるので要注意。
ざっとこんな感じです。ゆえにぼくは毎朝起き抜けに庭に出て、光を浴びることでセロトニンのスイッチを入れ、夜は庭で本を読みながら、メラトニンのスイッチが入るのを待つという生活パターンを続けていて、実際これを始めてから毎日熟睡で好調を維持できています。
心身の不調、ことに思考の不具合(くよくよ、イライラ、虚無感、マイナス思考、自信喪失など)は毎朝同じ時間に庭に出ることで改善される。どうりで、庭好きの奥様方は皆さん早起きで、朝飯前に花がら摘んで、水やりをして、イキイキと暮らしていますよね。
ちなみに根来教授によるアメリカでの統計調査では、夜11時に寝て朝は6時に起きる(7時間睡眠)という人が最も長生きしているそうですので、ご参考まで。
今朝の放送、なかなか良かったですよね。今後は滑舌と丁寧な言葉使いの研鑽に励みます。
聞き逃した方は radiko のタイムフリーでどうぞ。