2021年10月

投票ぼん太

庭の草花にも流行があります。コキアやシュウメイギクなど数年前にはマニアックだった品種が、ごく普通に秋の風景に馴染んでいます。このように、職業柄か花を撮るのが習慣化しているからか、何年かを跨いでよそ様のお庭を覗き見る怪しい人ながら、明らかな種類の増加がうれしい散歩道。てくてくてく、さてと明日は投票日。



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誰に入れるか迷うよりも先に、いつもこの「見えない」感じをなんとかして欲しいなあと思うわけです。これも一種の愚民化政策なのか、そうは行くかと今風に、主義主張をネット検索してみてもやっぱりわからない。各党各候補の空気感というか、上っ面の言葉だけで何をどうジャッジすればいいというのでしょうと、愚痴ってみてもせんないことなので、まあいっか、行かないよりは行ったほうが。というわけで自分としては、何年か経ってその世界が百花繚乱、さまざまな花が咲き乱れている、そんなイメージを持っていそうな人に投票しようと思います。当てにもならない近々の政策よりも、こっちこっちと、その花風景へと進む旗振り役が欲しいので。



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花の数と幸せは比例する。幸せの花は、苗床に種を蒔いて発芽させ、間引きをしながら植え替えて、肥沃で水捌けの良い土壌で、風通しと光と適度な水やりをして育て、ようやく開花する。そして虫や動物や風の助けを借りて結実し、次の世代に種を残す。その一連の営みに参加し見守ることができるありがたさよ。心身が弱っていたり、世の中に絶望していたら選挙どころじゃないですからね。皆さん押し並べて大変な局面ですから、元気な人は元気を失っている人のために、家族の元気が来年も続いているために、花いっぱいの春を迎えるイメージを持って、清くて小さな一粒の種を。



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え、そんな旗振り役になりそうな人がない?ですよねえ〜。でもね、思いがけず素敵な花が咲くことは、庭ではよくある出来事ですから。とにかく種を蒔かなきゃ芽は出ない。イマジネーションが不足した空き地に雑草が蔓延るばかりの庭のままだと、東京ぼん太風に言うなら「ああ、夢もチボーもない!」となってしまいます。明日は投票ぼん太で種蒔きをしに参りましょうぞ。バタフライ効果ってのもありますから。
バタフライ効果:ブラジルの蝶の羽ばたきが、巡り巡ってテキサスに竜巻を引き起こす(かもしれないし、そういうことは確かに起こり続けている。日本ではそれを「風が吹けば桶屋が儲かる」と申します)。1億分の1票の羽ばたきが夜の速報でどんな現象となりますか、凪か雷雨か竜巻か、楽しみ楽しみ。


カレンの羽ばたきが巻き起こしたトルネードは、今も世界中で発生し続けています。
もう38年も経ったんですねえ。



信じられない。リアルに今もどこかで歌っているようで、
永遠に羽ばたいてくれているような。
カレンに1票。


 
 

庭のことだま

もったいない。

秋が深まるこの時期は、朝霧(あさぎり)、朝靄(あさもや)、朝霞(あさがすみ)。



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とばりが晴れれば一瞬輝く朝露(あさつゆ)の花。



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半刻ほどで水滴消えて、昨日と変わらぬ日常となる。



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ご来光や月明かりや花の香や、その一瞬を捕まえないともったいない。



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え、五里霧中?それはそれは楽しみなことですねえ。



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いやほんとに、とばりが消えたその時が。



本日の出囃子はこれ、宗次郎さんで。


 
土の楽器と人の息吹が奏でる庭をイメージしつつ、
設計設計また設計。




 

モノクロームの色彩

人はなぜ夕焼けにグッと来るのか。その回答をチコちゃん風に言うなら、それは色彩が単一化されるから〜。



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今朝は色彩、色のお話です。
物が何色に見えるかは目で捉えた光の反射を脳が判断しているだけで、実際には色というものは存在していない。りんごは赤ではなく、赤く見えているのであって現実的にはリンゴは無色だそうな。



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人(霊長類)は三色型色覚を有していて、赤・青・緑の三原色の混合と照度の強弱であらゆる色を感じている。それに対して霊長類以外の哺乳類は二色型色覚(青・緑)で、人の感覚で言うなら世界の何もかもが青〜水色〜緑に見えている 。鳥類は三原色に加えて紫外線や磁場まで見えるそうですから、これまた人の感覚だとカラー写真にシアンを滲ませたような世界で、磁場がどう映っているのかは不明ながら、砂嵐みたいに漂う粒子として捉えているのかもしれません。昆虫はモノクロームの中に黄色だけが際立って見えているとされてきたものが、研究が進み、もう少し多い色彩の世界にいるらしいとのこと。



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リンゴは赤いのではなく無色です、とするとですよ、無色とは? 黒なのか白なのかはたまた透明なのかと疑問が浮かびますよね。庭の夜なべであれこれ調べたところ、その疑問自体が色という概念に縛られているので意味をなさないらしいのです。あえて言うなら無色とは無彩色ですから黒から白のグラデーション、つまり世界はモノクロームなのである、となります。さらに、モノクロームを黒から白と定義するのも変で、それが赤の濃淡であっても、青の世界であってもいいわけで、つまり単一色の濃い薄いで構成されている状態をモノクロームである、ということになります。



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だらから人は夕焼けを認識するそのオレンジ系の単一色に、霊長類となる以前のネズミやトカゲや魚だった頃に見た、シンプルな色数の世界にいた頃から続く DNA が刺激されて無意識に感覚が過去方向へ、太古へと先祖返りするのかもしれません。それともうひとつ、色数が少ない状態は情報量が少ないということなので、危険を回避するために脳が補色作業始めます。夕焼けの中で赤いマムシに出合ったらそれは危機ですから、模様や形から判断して、塗り絵をするようにマムシの色を察知して逃げる、あるいは攻撃するわけです。



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先祖返りにしろ補色作業にしろ、夕焼けに染まった風景に遭遇した時に脳は活発に動き出します。その一環としてロマンティックになり、家族の元へ帰りたくなり、夕陽に向かって走り出したくなる、というわけ。だから人が夕焼けにグッとくるのは、色彩が単一化されているから〜、となる。その作用は夕焼けに限らず、霧の中、サーファーがパドリングで沖へ出て見る海と空だけの青い世界、ぼくが今いる夜明け前の庭でも同じことで、少ない色によって心がセンチメンタルジャーニーに出発するのです。



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写真でもモノクロはグッときますよね。映画もそう。写真でその感じの最高峰を味わうなら山形県酒田市にある土門拳記念館へ行ってみてください。感動で震えますよ。中庭の流れに突っ立つイサム・ノグチの彫刻『土門さん』と、ギャラリーから眺める見事な現代庭園(勅使河原宏)も込みでぜひ一度は。


芸術の秋の散策にふさわしい、こんな曲でも聴きながら。



気難しいマイルス親分のお守りから解放されたガーランドは
穏やかな性格のポール・チェンバース(bass)、
お茶目で腕利きのアート・テイラー(drums)など気の合う仲間を集めては、
リラックスした、モノクローム的に心地よい音を奏でます。
薬の影響もあり(当時は普通のことで、酒か麻薬がジャズメンの常備薬)
その後何度か浮き沈みしたものの、
どこまでも自分らしく幸福に満ちた演奏を続け、
1983年(61歳)心臓病で亡くなるまで
その演奏スタイルはまったく変わることがありませんでした。
ん?享年61ですかあ!ぼくは現在61歳。
まだまだ自分らしさのままに幸福な庭を奏でます。




 

犬が西向きゃ尾は東

ぼくには職業上の特性というか習慣となっていることがいくつかあります。住宅地を歩きながら、通り過ぎる庭を次々に仮想設計することや、そこに人影があったらつい声をかけてしまうこと、季節の花を見かけたら撮影せずにいられないし、庭で朝日を待ち、夕方帰宅したらすぐに庭へ出てその状態を確認しないと夕飯とかの家事並行できないなど。このブログを庭で綴ることもそうで、室内ではそれほど書く気にならないのに庭で腰掛け続きを読もうと本を開いても、先にその時に庭で感じている何かを文字にしておきたくなってパソコン開きます。
もうひとつ決定的に思考に組み込まれているのが空想することで、レノン風に言うなら「想像してごらん」となるわけですけど、それは想像から逸れて妄想の範疇となってしまうこともしばしばです。今朝もその症状から夜明けを待つ庭時間が始まりました。起き抜けに庭に出た瞬間、ああ、娘夫婦と同居できたらどんなに楽しいだろうかと唐突に。それは現実的には現実離れしている展開なので、明け始めた空に意識を移行し、よく冷えた空気を吸い込んで、妄想は妄想のまま消滅させてしまおうとコントロール。今はそれでいいのです。もしも実際にそんなことを提案しても、お爺さんがまた面倒なことを言い出したと思われるのがオチですから。



今朝も上機嫌なりココの尻尾。

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ところが意思とは逆にコントロール不能のダッチロールに突入。朝日に輝き始めたセイタカの黄色のせいか妄想を希望に変換してみたっていいのでは?とか、機首を立て直してこのイマジネーションを前進させる気になったりして。でもそれは、今はほんの少しにしておこうと思ったりの行ったり来たり。経験上、妄想を想像に変化させてからはそれを懐に納めて、ほのかに温めておいた方が実現しやすいということを知っている。そうやって孵卵器(有精卵を孵化させる保温機)で温存させていた庭への思いを孵化させるために来店してくれる人たちに、見事にかわいいヒヨコがうろつく庭を提供し続けているわけですから、と、慌てない慌てない、一休み一休み、一休さんの心持ちで。



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今何時?そうねだいたいね、まだ出かけるまでに30分の余裕あり。すっかり空が明るくなり、セイタカの黄色が照度を増して目を細めるほどになってきました。もしも娘夫婦と同居して、その家にこの庭のような庭があったとして、背景にセイタカが泡立っていたとしたら、すぐさま孫を起こしに行くだろうなあ。「ミチョ〜(みそら)、ピッチャ〜ン(ゆうひ)、朝だよ〜。お庭お庭!見てごらんよこの黄色い花の綺麗なこと」 などと。きっと迷惑そうに目をこすりながら、それでもお姫様たちは庭に出れば歓声を上げてくれることでしょう。あるいは「ジイジくん、ウザいんですけど」と言われるかも。でもその時ぜったいに彼女たちは笑っている。ぼくも口をへの字にして笑っているに違いない。



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孫たちの魅力と威力はその笑顔です。親にはそうそう笑ってばかりはいないでしょうが、お爺さんには常に笑って飛びついてきてくれることのありがたさよ。家と庭で家庭ですよ、だから庭は清く正しく美しくあれ、などと連日言いながら、庭よりももっと素敵なことは笑顔なり。家族の中にいつも笑っている人がいたら幸せは保障されますよね。おやおやそろそろ支度をしなければ。とそこへココがきて足にまとわりついてくる。そうか、しまった、朝ごはんがまだだった。空腹を訴え、いつもながら見事に尻尾が回転しています。猫のミーの機嫌は耳の方向(前向きだとリラックスしていて、後ろに向いている時は緊張している)と、喉を鳴らすことと鳴き声のトーンと、犬ほどではないが尻尾の揺らし方で判断できます。犬の場合は猫よりも表情筋が発達しているので顔つきとか、吠え方の違いなどで心情が伝わってきますけど、とにかく尻尾です。尻尾の動きで機嫌がわかる。



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ココは四六時中優美な長い尻尾を振っている。そうか、こいつは基本的に笑っているんだなあと気がついて、ありがたい家族だなあと、見習わなきゃなあと思いました。されば朝からご馳走を給仕いたしましょう。今朝はドッグフードに上等なランプステーキを添えて差し上げることに。おっといけねえもう時間が。本日は晴天なり、本日は晴天なり、ワンツー、ワンツー、本日はまごう方なき晴天なり。今日は尾骶骨のあたりに仮想の尻尾を生やして、それを回転させながら設計設計また設計。犬が西向きゃ尾は東、セイタカとココの尻尾にアフォードされた朝の庭でした。さてと、わかったわかった、ご飯ご飯。




 

月を詠む

歴史上に残る和歌を集めた本『国歌大観』には42万首が収められています。それを解析した研究者によれば、和歌の題材で一番多いのが「月」で6万首以上、続いて「風」が5万首弱、印象的な和歌が多い「桜」は1万首で、桜を加えた花全般で5万4千首、「心」が4万2千首、「涙」とそれを連想させる「雨」「露」を合わせて5万2千首だそうです。その他の事柄に対してこれらが突出していて、つまり和歌とは月、風、花、心、涙を詠む傾向というかお作法がある文化だったのか、あるいは純粋にこれらが人々の情感や思考の中心にあったのでしょう。



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月、風、花、心、涙、どれも庭で過ごしていて気持ちに引っかかってくることばかり。



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古事記ではイザナキとイザナミが生み出した3人の子供(三貴神)が日本列島を形作り、そのまた子孫の神々が暮らし方や文化を広めて出来上がったのがこの国であるとされています。

三貴神。
天照大御神(アマテラスオオミカミ)/ イザナキの左目から生まれた神。太陽の神。
月読命(ツクヨミノミコト)/イザナキの右目から生まれた神 。月の神。
須佐之男命(スサノオノミコト)/イザナキの鼻から生まれた神。海原の神。 

アマテラスとスサノオはご存知の通り、数々の逸話が伝説となって全国の神社に語り継がれています。それに対してツクヨミノミコトのその後は古事記・日本書紀に出てきません。これはもしや、と、月明かりの庭で思うのは、アマテラスとスサノオはそれぞれに生身の人間的な苦悩を抱え、もがき苦しみ、ついには偉大なる神になったのに対し、ツクヨミは生まれてすぐさま人々と同化したのではないかと。太陽神となったアマテラスの輝きは民に収穫の恵みを与え、スサノオの大海原は畏怖と共に海の幸をもたらした。では月は。月は地上に人が出現する以前からすでに天空で微笑んでいた。存在自体で人々に家族の健康と幸せを、個人には希望の明かりをもたらし、月を見上げるその人の内面からアマテラスとスサノオをフォローする役回りに徹したのではないかと思うのです。



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興味深いことに、ギリシャ神話の月の神セレーナー(ローマ神話ではルーナ)は、ゼウスをはじめとする他の神々がドロドロの人間模様を繰り広げるのに対して、ただ静かに美しく輝いているだけで、スキャンダルやら恨みつらみとは無縁の存在になっています。これはツクヨミと似た扱いです。やはりいきなり庶民側に居場所を用意され、人々の心の中で希望を灯し続ける役を与えられた神だったのでしょう。



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月読命(古事記)、月夜見尊(日本書紀)。思えばこうして毎夜毎夜庭で時を過ごすようになったきっかけは月明かりでした。震災後の計画停電の夜に、女房が「あれ、外が明るいわよ」と。キーンと冷えた空気に光る眩しいほどの満月でした。芝生に落ちた影法師にハッとして、それから11年、ツクヨミに導かれるままに続いている庭時間。よろしければあなたも、秋の夜長を庭で、暖かい格好で、月に照らされて過ごしてみませんか。もともとそういうことに暮らしを支えられて生きてきた民族なんですし、月を見る習慣はついこないだの昭和まで、秋の庭での風習として行われていたわけですから。



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そういえば月に一度、仲間が集っては庭で『月を見る会』を開催しているというお客様がいらっしゃいます。そのお庭は木々が茂る傾斜地の中腹にあり、空に突き出すようなデッキがあります。下の道路から見上げるといつも夜は明かりがついていて、今宵も庭で夕飯を召し上がっているんだろうなあと、いい感じだなあと思いながら通り過ぎています。



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高機密・高断熱・全館空調・Wi-Fi完備。職業選択の自由があり、恋愛の自由があり、思想信条の自由がある。徴兵はなく、暴君はおらず、餓死の心配もない。有史以来こんなに恵まれた時代はただの一度もなかったのに、心が満たされている人の割合はいかほどのものか。時々は静かに美しく微笑んでいるツクヨミに、その不満の理由を問うてみることが大事なのかもしれません。庭ですよ庭。今宵の月はいかな光を放つでしょう。


Mr. Moonlight をオリジネーターのロイ・リー・ジョンソンで。



ミスター・ムーンライト
あなたはある夏の夜に現れた
そして月明かりで俺の夢を叶えてくれたんだ
あなたのおかげで勇気が持てたんだよ
今も空から俺たちを見守り愛してくれている
あなたのおかげで彼女と結ばれることができた
あなたは大切な恩人だ
ありがとう ミスター・ムーンライト

ミスター・ムーンライト また出てきてくれないか
俺はこうして膝をついて祈っている
お願いだ またあなたに会いたい
あなたが現れない夜は
欠かさずにお祈りをしている
俺たちはあなたを愛してやまない
あなたが来てくれない夜は
欠かすことなく祈りを捧げている
なぜならあなたを信じているかから
ミスター・ムーンライト

ミスター・ムーンライト 頼むからまた出てきてくれ
俺はここで膝をついて祈っている
お願いだから出てきてくれ
あなたが現れない夜は
こうして必ず祈っている
親愛なる ミスター・ムーンライト

ミスター・ムーンライト

ミスター・ムーンライト

ミスター・ムーンライト

 

おやおや雨が降ってきた。まあいっか、No rain, no rainbow. 雨が降らなきゃ虹は出ない。ミスター・ムーンライト、今宵も庭へのお越しを。





 

レノン=マッカートニー

ある日きみは気づくんだろうな ぼくが去ってしまったことに
明日は雨降りみたいだから お日様を追っかけに行くんだよ
そのうちぼくのことが必要だったんだって気づくと思うけどさ
でもきっと明日は雨になるから そろそろお日様を追って出かけるよ 

よし 出発だ
親愛なる人よ ぼくはもう行く
大事な友だちをなくすことになるけど
いつかきみもわかってくれると思うし





16歳のポール・マッカートニー君は、風邪をひいてリヴァプールの自宅で寝込んでいた。いくらか体調が良くなった昼過ぎに、ぼーっと、レースのカーテン越しに見える景色を眺めながら書いたのがこれ『 I'll
Follow The Sun 』だそうな。



駐車場からの富嶽四景

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夕暮れが早くなりましたねえ。
秋が深まるにつれ空は劇的に変化してゆく、
人の心と秋の空。




ポールとジョンが出会ったのはこの1年前で、家庭環境に恵まれずいくらかやさぐれて、革ジャンにリーゼント姿でロックンロールをやっていたジョン・レノン。当時の彼のアイドルはエルヴィス・プレスリーですから、ギターを掻き鳴らしながら腰を振っていたのでしょう。しかしギターの腕前は(当人曰く)ひどいもので、コードを3つしか知らず、おまけにチューニングは母親が教えてくれたデタラメなものだったそうですから、ブームだったとはいえライブでの人気はゼロ。ところがあるステージの演奏中にかぶりつきで目を輝かせて聴いているヤツがいる。長身でスマートなおぼっちゃまタイプの男の子。よろこんだジョンが演奏終了後に声をかけたらいきなり意気投合します。それがポール・マッカートニーでした。ポールの父親がはャズミュージシャンで、そこそこ裕福で平和な家庭で育った彼は、クラシックとジャズの教育を受け、ギターとピアノが弾けてトランペットまで吹けたそうです。



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最初、ポールの父は「ジョンは不良だから付き合ってはいけない」と警告しました。ところが世の常で、若者にとっての親の苦言はワクワクする反発力となり、そこから二人は、親に隠れて落ち合ってはギターで作曲をするという日々を始めることになります。なんかいいですよね、トム・ソーヤーとハックル・ベリーフィン。ある日ジョンが「権利とかは関係なくさあ、これから生まれる曲のクレジットは『レノン=マッカートニー』にしよう」と提案します。ポールは「なんて素敵なことなんだ」と同意する。数年後、その友情が世界に革命をもたらすことになり、革命も友情も、今でも色褪せることなく続いているのです。



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そんなわけで、この曲『 I'll Follow The Sun 』のクレジットもレノン=マッカートニーになっています。他愛もない歌詞ながらメロディーは印象的で、いかにもポールらしい仕上がりです。実質ポールがつくったのでしょうけど、その背景に「ヘイポール、具合はどうだい?」と尋ねてきたジョンの声が聞こえるようで、ふたりの男の子が共有している幸福な時間がある気がして、そんな想像が、いかにもポールらしいj.s.バッハのチェンバロを思わせるギターのイントロに重なります。もしもジョンが生きていたら、という地球上で何億回も繰り返されてきた問いに、「おいおい、ジョンはまだ生きているぜ、ポールの中に」と言いたくなる。これもポールという人のやさしさというか魅力で、コンサートでは欠かすことなく、ジョンのこと、ジョージのこと、そしてリンダのことを語り歌っているのです。



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実は最近、ビートルズに関してちょっとした事件がありました。こないだのオリンピックの開会式でも演奏され、教科書にも載っているジョンの代表曲イマジンも『レノン=マッカートニー』だったのに、ディズニーから配信される最新映画『ザ・ビートルズ GET BACK』では『レノン=ヨーコ』に変更されたとのこと。おいおいヨーコさん、あなたには若かりし日の男の友情など関係ないということなんですかねえ。いやはや。もちろんヨーコの影響なくして生まれなかった曲ですし、ジョンによる作曲でポールは関わっていないようだし、ジョンは「ぼくにもやっとポールのイエスタデイみたいな曲ができたよ」と言っていたそうですから、まあ、仕方のない成り行きですかね。いやあそれにしても・・・まあいっか、そんなこともありますよね。
さあ昨夜の雨も上がったし、ぼくはお日様を追って、もう出かけることにするよ。 




 

 

初秋→晩秋

現在夜明けまで3時間ほど待たなければならない真っ暗な庭で、テーブルに設置してあるアームスタンドを灯して書いています。誰だったか昭和初期の詩人が、このような時間に目覚めては懐中電灯で森を歩いて言葉を探していたというのを思い出します。ぼくの場合は夜警任務を終えて退屈したミーが起しにきたので、たまには付き合ってあげようかとこうして庭へ出た次第。時々やるんですけど、静寂、湿気が沈殿した濃いめの空気、遠くの江ノ島灯台の点滅、森を行く詩人を気取ってYouTubeで選択したジョン・デンバー、なかなかいい感じです。
いい感じなんだけど、う〜〜〜さむ。昨日から急激に冷え込んできましたね。うっかり八兵衛は半袖で出勤し、たまらずホームセンターでウィンドブレーカーを購入しました。感覚的にはついこないだまで夏だったのに、そうか、もう10月の後半なんだから寒くて当たり前かなどと、ついつい季節に置いていかれる癖を反省し、今日は心してほっかほかで過ごすことにします。



初秋は昆虫が、
晩秋には鳥と小動物が活性化する。
人は少々ロマンチストになってゆく。
宮沢賢治は秋が好きだっただろうなあ、
などと思ったりする。


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秋が深まり冬の入口を思わせるこの寒さも、毎度のことながらひと月ほどで体が慣れて何ともなくなる。そうなってしまえば、かじかむ手でカメラを握っての撮影散歩が楽しい季節。公園のモミジが鮮やかになる頃には寒さは爽快さに転じ、逆に陽だまりの暖かさをうれしく思うようになります。



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そんなイメージで、今日は厚着で設計設計また設計。帰ったらしっかり長湯をして血行を促進し、庭に出る時は冬の装いで。飲み物はホットワインで。音楽はもちろんレッド・ガーランドで、などと夜明け前から夜の庭時間が楽しみなんだから、つくづくこの庭の定位置がありがたい。 



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さてと、日が昇るまでしばし徒然なるままに。
そろそろ始まる晩秋のお楽しみはバードウォッチング。枯葉に赤い実が目立つようになると、食料が不足する冬に備えて野鳥が活発になるのです。そして葉っぱが少なくなるのでリスの姿も見つけやすくなる。運が良ければタヌキにも遭遇するし、公園や里山をひたすら歩きながら、ふと、宮沢賢治らしき人の後ろ姿を見つけて、失礼のない程度に距離を取りつつ後を追ってみたりして。ファンタジーもまた深まる秋の娯楽なり。



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さらに季節が進めば霜柱を踏む音や枝を鳴らす木枯らしの音を楽しめる。草むらには待望のホトケノザが咲き出して、「早いなあもう師走か」という感慨が。されどもはや、そういうのも繰り返しすぎて少々薄くなりましたけどね。それよりも今をしっかり楽しもうと思う62歳。あれ、まだ61だっけ?まあいっか、年齢などどうでもいいような気になるのは老化によるボケなのか、あるいは老人力なのか。おいおい俺はすでに老人か? 老人・・・それまたどうでもいいような気がしてくるのです。今日ですよ、今日を楽しむことが何より大事な気がする62歳。あれ、61だっけ?う〜〜〜ん、やっぱ加齢によるボケが始まったかな。



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そう言えば、かけている眼鏡の在処を探すという例の症状も、繰り返すうちに普通のこととなり気にならない。これは確実にボケですな。まあ、どうでもいいか。設計だけは冴え渡ってボケ症状は出そうもないので、つまりはとにかく仕事をしなさいという、アマテラスのありがたき思し召しかもしれません。老人、老人、何歳から老人?磯野波平さんより10歳ほど上だから、逃れようもなく老人と分類されるんだろうけど。



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まあいっか、とにかく設計だ。感動の庭をひとつでも多く生み出すこと、そんな気持ちでいることが楽しいのだから。だから太陽を背に受けて、歩く、歩く、歩く。歩くと足が疲れます。でも心が疲れるよりはいい。
う〜〜〜さむ。いったんキッチンへ戻ってホットワインを。あ、朝だった。熱々のカフェオレにしておきましょう。そしてまた庭へ出て日の出を待つ。お爺さんはちょっと早起きしすぎました、の巻。





 太陽を背に受けて

北を目指して進むぼくの肩に、陽射しは励ますように幸せなぬくもりをくれる。振り向くと光が強すぎて泣けてくるから、前だけを見つめて。水面はキラキラと手招きをしている。ぼくはいつもいつも、こうして太陽に従って歩いている。

この感じをきみに贈れたらいいのになあ。こんなふうに、お日様みたいな庭のプラン図が仕上がったら届けるよ。

北へ向かって進むぼくの肩に、陽射しは励ますように幸せなぬくもりをくれる。振り向くと眩しすぎて泣けてくるから、前だけを見つめて。水面はキラキラと手招きをしている。ぼくはいつもいつも、太陽に押されて歩いている。

きみに話せる庭物語が出来上がったら届けるよ。この同じ太陽の光が、きみにも降り注いでいることを願う。

肩に感じる陽射しはぼくを幸せな気持ちにしてくれる。でも振り向かない、泣けるから。水面に映る光に導かれて進む。太陽を背に受けて、とてもいい気分で。






 

夕方フレンド

猫の鉢植え。



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プランターの植え替えをサボっていたらミーに占拠されてしまいました。庭に出てはちょこんと座って西陽を眺めています。



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猫は太陽と親しい動物で、基本は夜行性でありながらも朝日が射しこむと庭の警備に出掛け、日中はひだまりを見つけては昼寝をし、夕暮れ時には飽きることなくオレンジ色の光に目を細めて、いったい何を思っているのか。



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犬はどうかというと、さほどではない。一応は天気がいい日に芝生でまったりもするけど、ものの数分で室内へ戻っておやつをせがむか、滑り止めのタイルカーペットを敷きドッグランと化している廊下から、ボール投げを要求して吠えている。庭にボールを投げれば嬉々として追うのですが、すぐにまたドッグランへ。太陽の存在には興味がないご様子。 



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猫の方が野生に近いのか、あるいは性格的に内向性が強いので、お日様にロマンめいた何かを感じているのかもしれません。



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ぼくも内向的なのでミーにシンパシーを感じるわけです。対して実存主義というか刹那的というか、今現在のみに生きるエピキュリアンな犬たちには尊敬と憧れを抱いている、ような気が。



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「猫好きは犬タイプ、犬好きは猫タイプ」と言われたりします。自分と違う性質の生き物と暮らすことで、気づきや癒しを得られる。つまり自分のマイナス面と動物のプラス面によって発電が起こり心にあかりが灯る、という現象なのでしょう。これはヒトの男女でも同じくですよね。

どうしてそんなに奥さんと仲がいいんですかって言われるけど、きっとタイプが違うからでしょうね。
所ジョージ

うちみたいに犬猫混合だとその発電機会が2倍になるわけで、それに加えて彼らの攻防戦、付き合い方からも学ぶことだらけで、たまたまの成り行きでこうなった同居生活に感謝感謝。おかげで毎日が楽しく刺激的。たぶん彼らのおかげでオキシトシン(愛情ホルモン)の分泌量も増えているのでしょうし、ありがたいことです。



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ただそれぞれにひとつだけお願いがある。ココよ、ストレスが溜まると変なところでオシッコをするそのやり方はよろしくないぞ。不満があればテロではなく、ちゃんと話し合おうじゃないか。
ミーちゃんは、気持ちはありがたいのだが、獲物を持ち帰ってはドヤ顔をするのをやめてほしい。トカゲの尻尾くらいならいいのだが、スズメとネズミは、ぼくはそれほど好きじゃないんだよ。



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トムとジェリーならぬミーとココ、今日も仲良く喧嘩して、互いの平和を尊重しながら暮らしています。犬と猫の両方と暮らすぼくは、やはり平和主義のサーバントに徹し、食事、トイレ、運動、グルーミング、せっせとお世話をさせていただいてます。ご両人、末長く健やかに、よろしく。



『 ユーガッタフレンド( You've Got A Friend )』の語感は『夕方フレンド/黄昏時の友』みたいですよね。




落ち込んで苦しい状況にいるとき
温かな言葉が必要なとき
何もかもうまくいかないようなとき

そんな時には目を閉じて 僕のことを思い出してほしい
すぐに君のところへ行くから
経験がないような暗い夜でも明るくしてあげるよ

ただ僕の名前を呼べばいい
僕はどこにいたって気づくから
走って君に会いに行く
冬であろうと 春・夏・秋であろうと
呼びさえすればいい
必ずそこに行くから
君には僕がいる

かなたにある空が暗くなって
たくさんの雲を呼び込んでも
そしてあの冷たい北風が吹き始めても

慌てないで 落ち着いて考えてほしい
そして大きな声で僕の名前を叫んでくれよ
すぐさま君のドアをノックしに行くから

友だちって必要なものさ
人は冷酷になることもあるけど
君を傷づけたり 見捨てたり
魂までも奪ってしまいかねない
だけど それはさせないでね

ただ僕の名前を呼べばいい
僕はどこにいたって気づくから
走って君に会いに行く
冬であろうと 春・夏・秋であろうと
呼びさえすればいい
必ずそこに行くから
君には僕がいるんだから


「庭の友だちっていいわよね、競わないし、勉強になるし、自慢しあいながら笑っていられるから」と、これまで多くの庭人から同じような声を聞きました。
さてと、今日の設計は、すでに来年のオープンガーデンに向けて花を育てている奥様の庭。植物に関してはプロ級ながら、構成的に招き入れる工夫を、というご依頼です。『招き入れる工夫』とは素晴らしきインスピレーション!人が集う庭は理想です。アーチ(結界)、狭めてから開く(隠してから見せる)、アイキャッチとアイストップ、香りで誘う、色で誘う、光で誘う、座らせる誘惑、居心地の演出などアイデアは限りなし。
 
 


 

冬が来る前に

こんばんは。ひとつページがめくれたように庭の空気が冷たく硬くなりました。それでも半袖で過ごしています。まだ痩せ我慢というレベルではなく、次の季節には冷たさに逆らうことなくホッカホカの身なりで過ごすのだから、今はまだこの冷えた空気を楽しんでおこうと、そんな感じです。目の前には照明に浮かぶ庭、バラが赤い新芽を出し、その奥には黄色くセイタカアワダチソウ。夜長の季節にロマンチックが止まらないのです、なんてね。



散歩道の木々が色づき始めました。
落ち葉のコンチェルト/アルバート・ハモンド
グッバイ・イエロー・ブリック・ロード/エルトン・ジョン
アローン・アゲイン/ギルバート・オサリヴァン
この季節、カメラ片手に歩いていると口を衝く3曲。


サクラ

サクラ



故郷の魚沼ではそろそろ越後三山の頂が白くなり、あとひと月で人々が暮らす盆地は初雪に覆われます。雨がシャーベット状になってゆく時のつべたさは、いかな豪雪に慣れた原住民であっても身体にこたえるもので、それは単に温度の問題ではなく、否が応でもやってくる長い長い雪との闘いの日々が思い浮かんでくる。その前に、冬が来る前に終えねばならない大根の収穫、柿を焼酎にさわして親戚縁者に発送、野沢菜を漬け込むこと、家の周囲と庭木の雪囲いなど結構忙しいのです。それは先祖代々行ってきたことだからやるだけのことで、楽しい作業とは言えない。雪国全体がその楽しくもない労働に追われるこの時期の記憶が、こうして横浜に移住した身には豊かな文化だなあと懐かしく思えるのだから、ずいぶんと身勝手なものだと自嘲するばかり、なんてね。



モミジバフウ

モミジバフウ



故郷を離れてかれこれ40年近くを、豪雪とは無縁の暮らしの中で泣き笑いしながら、秋のこの時期には必ず思い出されるあのつべたさ。長男でありながらわがままを通して常春のような地にいるのだからもっと頑張らねば、と気合が入り、横浜にいたら実感が薄れがちな「暮らしとは、逃れようのない苦労の積み重ねなのだ」という実感が残っている限り、あの除雪作業を免除されていると思えば大変なことなどひつもない、毎日が天国にいるようなもんだとマインドコントロールすることができる。ありがたき、有り難き記憶の源泉掛け流し、なんてね。



カキ

カキ



昭和時代の東京では、豆腐屋と風呂屋は新潟出身者が多かったそうです。過酷で地道な仕事に越後人の辛抱強い気質が適合して、集団就職で上野駅に到着した内の幾人かが、丁稚奉公を経て都会に一国一城を築いたのだなあと、今でもお爺さんとお婆さんがやっているような豆腐屋を見つけると、ふらっと立ち寄って豆腐と油揚げを買い求め、庭時間のオードブルにする。多分このまま、故郷は故郷としたままであと何年かわからないけど、夢中で庭を思い描いて終わるであろう物語の、そろそろ最終章もイメージしておかなければ、などと思ったり思わなかったりしつつ、つるべ落としの秋の深度に身を委ねる夜の庭、なんてね。



ハナミズキ

ハナミズキ



郷愁は晩秋に向けてのお楽しみなり。故郷未だ忘れがたく、俺のことなど忘れておくれ。故郷いまだ忘れがたく、手紙を抱きしめ泣きました。そんな歌がありましたねえ。遠くで汽笛を聴きながら憧れた都会暮らしという、当時は「戯言」、今思えば「夢」のようなものを見事に実現したのだから良しとして、本日思い描くは郷愁を誘う庭。縁側・柿の木・金木犀、黙々と畑仕事をする母の顔。この頃では故郷が四川省だったり、アーカンソーにいるおばあちゃんちの庭が忘れられないとか、シンガポールで生まれ育ったお客様もいらして、たまたま流れ着いた港横浜のこのゴージャスもまた、我が幸運です。いやほんとに、思えば遠くへ来たもんだ、なんてね。



ハウチワカエデ

ハウチワカエデ



なんてね、なんてねって何だよそれ!と言うなかれ。これも昭和喜劇役者のノスタルジー。今時はYouTubeで手軽に昭和へワープが可能で、当時はよろしくないこととされていたテレビっ子だったことが幸いし、夢の機械のタイムマシンに乗った気分にもなれる。なんつったて、うっしっし。なんちゅうか本中華。みじかびの、きゃぷりきとりてすみちょびれ、すぎかきすらのはっぱふみふみ。ゲバゲバ、ピ!なんてね。 


冬が来る前に、秋の庭を存分にお楽しみあれ。
お飲み物はビールではなく、ウイスキーで。


 





 
 

花のチャペル

夜半に雨が上がり、水滴を付けたニチニチを撮ろうとピント合わせをしていたら、花の上に枯葉か何かがくっついている。



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見ると、ぎゃ!蛾が交尾中。蛾は蝶との分類が曖昧で、羽を立てて止まるのが蝶で、開いたままなのが蛾であるというのが通説ではあるものの、例外だらけでなのです。他に、日中に活動するのが蝶で蛾は夜行性、幼虫時代の青虫が蝶で毛虫が蛾、しかしこれも一概には言えない。どうせ曖昧なら、美しいのが蝶で、エグい姿のが蛾であるという解釈がしっくりきます。ちなみに日本の蛾は5000種類で、蝶は200種くらいですから、考えようによっては蛾が主流で蝶は蛾の亜種であるとも言えるわけで、見た目で毛嫌いするのは蛾族に失礼。とはいうものの、やはり蝶を見るようにはうっとりできないですよね。



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でもどうです、この様子。何でよりにもよって華やかな花の中央で始めちゃったのでしょう。目立ちすぎで鳥に狙われるし、ロマンティークな秘め事は隠れて行ったほうがいいのでは?というのはヒトの考えで、他の昆虫でも花に囲まれて交尾する姿はよく見かけます。その心情は知るよしもないことながら、彼らが思いっきりのロマンチストであることは察しがつきます。ヒト以上に、虫にとって花は魅惑の存在でしょうし、ちょこっと羨む気持ちにもなった朝でした。ニチニチソウの白いチャペルで結ばれたふたりに幸あれ。



今日の出囃子はこれで。



曲は蝶のように美しいのに、歌詞は賛否の声が尽きない問題作。
ぼくは否ですけど、これもまた恋のカタチと思えば賛ですかね。
蝶の調べに蛾の詩をのせて、っと、蛾に失礼か。
とにかく曲はこの上なく美しい。


 

 

ブタクサとセイタカ

セイタカアワダチソウが咲き出しました。一般的にこれをブタクサと称し花粉症の元凶であるとして、風景に黄色を見た途端にクシュンクシュンと症状が出る方も多いと聞きますけど、それは気のせいです。ブタクサとセイタカは見た目は似ていても全く違う植物で、ブタクサが花粉を飛ばす風媒花であるのに対し、セイタカは虫媒花(昆虫によって受粉する)ですから花粉は飛ばさない。そもそもブタクサは里山近くの荒地など、限られた場所で細々と生息している草ですから、住宅地で普通に暮らしていたら目にすることも稀です。ああそれなのにそれなのに、あちこちで盛大に咲くセイタカに言われなき汚名を着せてしまったことで、「あ、ブタクサだ!」ってんで、逆プラセボ効果で秋の花粉症が広がっている、という気がして仕方ないのですが。



今年も庭の背景に黄色が加わりました。
またいち年が過ぎたんだなあと、
年々草花との再会が早まるようで、
いやはや。


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逆プラセボ、思い込みで病に入ってしまうケースは確かに多い。コロナコロナで騒いでいたら感染者数が増え続け、一方でこれまで毎年コロナと同じほどの死者数を出していたインフルエンザがほぼゼロだったという事実。花粉症に関しても一切騒ぎにはならなかった。専門家は皆さんがマスクをしていたからだって言うんですけど、そんなはずないと思うんですけどねえ。仮に、マスクをするだけでインフルがゼロになるなら、今後「風邪の季節は国民全員がマスク着用で」とおふれを出せばたくさんの命が救えるわけで、ぜひそうして欲しいものです。



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しかし花粉症は感染症ではないし、自分がマスクをしていればいいわけで、でもマスクの中で鼻水が止まらず、くしゃみをしたり目の周りを真っ赤にしていたのですから、「マスク着用の効用である説」は破綻。コロナ以前は花粉症薬のコマーシャルが始まった途端にグシュグシュが始まっていた女房にもこの2年は症状なしで、あの高価な空気清浄機やら薬やら、マスクも毎年大量に買っていたのは無駄遣いだったのではないか。それどころか花粉症の原因が私であるかの如くに不機嫌顔で文句を言われまくった日々はなんだったのかと、やはり気のせいが大きかったのではという疑惑が確信に傾きました。しかしこのことを言うと猛反撃に合うので言いませんけど、絶対に。気のせいや思い込みによって、心配したことが現実になりやすい、という現象があるということも、散々危機を煽ってきた先生方に語っていただきたいなあと思うんですけどねえ。



庭から飛んだアスクレピアスも仲間入り。

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プラセボ効果とは、プラシーボ・エフェクト、偽薬効果。コロナ接種薬の治験でも偽薬を使って検証することが繰り返されたといいます。プラセボがあれば逆プラセボも当然起こるわけです。
思い込んだら試練の道を、行くが男のど根性。この歌詞が前々から気になっていました。試練と思い込むから試練の道になるわけで、大谷をご覧なさいな、愉快な日々をイメージすればそうなるし、自分は成功すると信じ切っている者だけが成功者となる。逆プラはその逆で、もうダメだ、無理だよ、俺にはできない、と口に出した者は次元下降で失敗が続く。おいおいいったいどこまでダメになれば気が済むんだい、と言いたくなるところまで落ちてゆく。だからですね、良くない未来のイメージを持ってはいけないのです。この頃減ってきましたが、日に何度もがん保険のコマーシャルを流すことでがん患者が増えているのではないか、などと思っていたものですけど、どう思います?でしょ。情報は的確なものを少しで十分。

知識よりも大切なものはイメージだ。
知識には限界があるが、イマジネーションは世界を覆う。

アルベルト・アイ〜〜〜ンシュタイン

庭に関しても「芝生は手入れが大変で」とか「木を植えたら大きくなって困るわよ」とか「薔薇って難しいわよねえ」など、昭和のご婦人方が井戸端で繰り広げた何気ない愚痴が広まり、結果、そのご子息世代が庭アレルギーや庭コンプレックスに陥ってしまったような。この頃ではそのまたご子息世代が、検索から知識を得て人工木と人工芝を選択する始末。やれやれ、それって全部気のせいと勘違いなんですけどねえ。



ちなみに、これがブタクサです。

ブタクサ



人はイメージした方向にベクトルが向き、物事は見つめた方向に進む。有り余る情報を的確に取捨選択して、希望に満ちた明日を思い描きましょう。あ、何か大きなことが起こった時には、テレビは消してラジオにしといた方がいいかも。コロナ騒動で得たひとつの結論、テレビはマイナス世界へ煽動する。何が違うのか、ラジオには美しい発言があるしイカした音楽が流れてくる。そう、音楽ですよ音楽。
おっといけねえ、庭ですよ庭。ブタクサの話でした。ブタクサは風媒花、セイタカアワダチソウは虫媒花。


さてと、今日もまだ見ぬ未来を多い描きながら、
設計設計また設計。
出囃子は、セイタカの開花を祝してこの曲で。



懐かしきかなファーストアルバム『思い出は美しすぎて』から。
聞こえてきますねえ、あのサンタナ調のイントロ。
ニッポン放送、大石吾朗のコッキーポップ、よく聴いていました。
八神純子、世良公則&ツイスト、谷山浩子、小坂明子、因幡晃、高木麻早、N.S.P・・・


 


 
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