2021年10月

ダーウィン→福岡→カモメのジョナサン

ニッチとは、生存に適した限られた居場所のこと。草花も昆虫たちもそれぞれの特性と合致する居場所を見つけて生きている。それは長い時間に幾多の困難に見舞われ、逃げ惑い、変化し、何とかかんとか生き延びた時にたどり着いていた安住の地です。ホモサピエンスも南アフリカから始まる何万年もの長い旅の果てに地球全体に分布して、それぞれがニッチを獲得して暮らしています。
ニッチを獲得するに至る道のりはどの生物にも共通で、最初は食料と交尾をめぐる仲間内での闘争、次に外敵との闘争、さらに天変地異や変化する環境との闘争。この闘争の最中に弱い者は逃走します。強い者たちは闘争を続けて互いに傷つき滅んでゆく。闘争か逃走か。社会から弾き出された弱い者は生きるために旅に出る。旅先の環境は様々ですから、そこで暮らすために苦悩し、自らを適合(変化)させてゆく。その変化が進化です。
ということは、弱き者のみが変化せざるを得なくて進化を遂げて出来上がったのが、現在の生態系ということになります。と、ここまではダーウィンの説で、ここからは生物学者でこの頃ではナチュラリストと自称している福岡伸一教授の考えに基づきます。



鮮やかなランタナに溶け込むコハナグモ。
華やかな世界で、個性を発揮するバランス感覚。

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ではようやくニッチを獲得した弱者は安泰なのか。そうではありません。相変わらず食料と交尾をめぐる闘争も、外敵も、天変地異も止むことはなく、ミミズだってオケラだってアメンボウだって、日々必死のパッチで生きている。つまり「闘争か、逃走か」という課題は永遠の命題なわけで、常にさっさと逃走すればいいような気もするわけですけどそうはいかない。今ある安定と幸せを守りたいし、そのために自らを変化させるということは最良の闘争の手段ですから、ニッチに居座りながら自分を変化させて耐え忍ぶ、という選択が正解であるというのがサピエンスの考え方。



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その選択は他の種族を見ても正解で、終わりなき苦悩に対して変化しながらニッチの地固めをする、世界中のオスがそのことのために命をすり減らしているのです。そしてその愛情に基づく聖戦とも言える闘争で傷ついたオスを、メスはねぎらい、いたわり、ご褒美をあげて励ます。オスの脳はこの点に関していたって単純ですから、またもや頑張って、変化しながら家庭というニッチの存続に全力を尽くすのです。ある者は任務を果たして笑ってメスに食われるし、ある者は道半ばで息絶える。ごくごく一部の賢者(愚者)のみが書斎でダーウィンの『種の起源』を読み、もっと良い待遇を期待して次のメスへの逃走を選択する。
どれも正解。みんなみんな生きているんだ友達なんだ。いいんですけど、できることなら逃走することなく人並外れた進化を遂げて成功し、現在横にいるメスに最高の幸福感をもたらしたいわけです。 それがサピエンスに限らず多くのオスが持っている特性。もともとそのためにオスは生み出されたわけですしね( 福岡伸一著『できそこないのの男たち』より )。



コハナグモ人面グモ



オスたちよ、逃げてもいいし闘ってもいいし、いずれにしても心は自由であれ、と福岡教授は唱えます。福岡説、「オスはメスの使いっ走りである」、あるいは村上龍が言うように『すべての男は消耗品である/集英社文庫』という真理は納得はできますが、わざわざ深く頷く必要などはないし、メスたちとその件について話すことも不要。孔雀を見たらいい。メスを魅了する美しい羽根を持っているではありませんか。鹿のオスはたくましいツノを、パンジャは威厳あふれるたてがみを持ち、グッピーはオスの方が派手な身なりをしているし、その理由はメスを虜にするためであり、そのメスと子どもを他のオスから守るための誇り高き姿。彼らは使いっ走りでも消耗品でもない、悠然たるオスなのです。



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大谷翔平がシーズンを終えました。つくづく素晴らしいというか、ものすごい男ですよね。打っても投げても見ていて惚れ惚れする。孔雀ですよね。
何年前だったか息子とのLINEのやり取りの中で「お父さん、俺はいつも大谷をイメージしているんだよ」と言っていたのを思い出しました。かつて「尊敬する人は父です」なんぞとこそばゆい作文を書いてくれた彼が、気がつけば肩を並べて人生を云々する一人前の男になり、さて父は・・・。カモメはカモメ、孔雀や鳩やましてや大谷にはなれないわですけど、息子を見習いオオタニサ〜〜〜ンをイメージしてみるくらいならできるので、笑ってメスに食われるためにももうひと頑張り、自己イメージを高めて進化を遂げてみせましょう。
そうだ、カモメはカモメでも、あの偉大なるジョナサン・リヴィングストンをイメージすればいい。もっと高く、もっと早く、ハヤブサの飛行を目指そうと思います。描く、描く、描く。理想の庭を、家族の幸福な庭風景を思い描く。そして、やがては遥か天空の神の領域にまで。 


さっ、翼を広げて設計設計また設計。
BGM はこれで。
カラヤンと大谷は、タイプは違えどマエストロとしての本質はとても似ている。
才能とは独自性の表出である。
誰の言葉だったか忘れましたが、ふたりとも独自性で勝負の人。







 

ユーカリポポラス

ベランダで5年育てているユーカリが、この夏に元気がなくなってきたような気がして、写真を見てもらえますか?

どれどれ。

ユーカリポポラス(丸葉ユーカリ)の鉢植えでした。とてもいい感じの樹形で高さは1メートルほど。5年にしては小ぶりで奥様が心配している通りに、葉っぱの3分の1ほどが落ちて葉無しの細い枝が目立っています。

植え替えは?

していません。時々水をやるのと、あとはハイポネックスを何度かあげたけど。枝が茂ったら切って生け花に使っていました。

さすがはお花をやられているだけあって、切り方が上手ですね。いいい感じです。

ポポラスが元気をなくしている原因は写真とお話から推測できました。たぶん根詰まりです。見るからに鉢が小さくて、おそらく内部は息ができないほど根っこでパンパンになっていることでしょう。

植え替えをしたらいいと思いますよ、できればひと回り大きな鉢に。

土が足らないんですか?

そういうことです。土っていうより根が伸びる余地がなくなっていると思われます。抜いたら外周を少しだけほぐしながら髭根を切って、観葉植物用の培養土を使って大きな鉢に植えなおしてください。

ああそうなんだあ、根詰まりですかあ。鉢は小さいかなって思っていたけど、植え替えなんて考えたことがなかったわ。
でも元気がない状態でそんなことして枯れちゃいませんか?根も切るんでしょ。


問題ないと思いますよ。こうやって自分で葉っぱを落とす木は100%回復します。枯れた葉っぱが落ちずにぶら下がっていると、だいたい枯れてしまいますけど。水不足とか根のトラブルで危機を感じた時に、自ら葉っぱを切り離して水分の蒸発を抑えて頑張っているんです。根が伸びる余地ができたら大喜びで復活しますよ。

なるほどねえ。すぐにやります。ええっと、大きめの鉢と培養土でしたね。肥料は?

植え替え時はあげない方がいいです。しばらくは養生期間ですからいきなりステーキを食べさせるよりも、お粥だけで安静にしておいた方がいいです。何週間かして根が動き出せばすぐに葉っぱの新芽が出てきますから、そうしたらあげてください。あ、間違った、あげないでください。追加する培養土に、やんわりとワンシーズン分の肥料が入っているので、あげなくていいんでした。様子を観察して、動き出してから励ます程度に少しだけ。それと三年経ったらまた植え替えをして下さい。



ユーカリポポラス(丸葉ユーカリ)
ハート型で薄青の葉っぱが可愛らしく、
寄せ植えの芯として人気の植物です。

DSC05050

乾燥に強く、その点も鉢植えに向いています。

DSC05051

注意すべきはこれも巨木になりがちなユーカリであるという点。
地植えにする場合は、数年後の姿をイメージして配置して下さい。
うっかりフェンス沿いに植えたらあっという間に大きく育って、
道路やお隣さんの敷地に張り出しているのをよく見かけますので。

image-polyanthemos01

鉢植えなら何年経ってもほとんど幹が太らず、
枝の出方は旺盛な割に暴れないので扱いやすい。

DSC07862

大木になりたがっている木を鉢に閉じ込めるのは
可哀想な気もしますけど、盆栽と同じくで、様子に気を使いながらの、
そんな付き合い方も楽しいですよね。




その後もしばらくベランダガーデニングの話が続いてわかったことは、奥様は何の花でも売っていた時の鉢のままで育てていたとのこと。生産者は販売期間に枯れないギリギリの土の量で出荷します。ですから購入したら庭の土に植え直すか、ひと回りかふた回り大きな鉢にしてあげないと無理がある。そのことをお伝えしたら、目を丸くして、軽く飛び上がる感じで「うっそー、誰もそんなこと教えてくれなかったわよー」という反応。その表情があまりに可愛らしくて、ああ、こういう奥さんなら家庭円満だろうなあと思った次第。たかが草木のことで、新たに得た知識に小躍りするチャーミング。可愛らしいって偉大な才能ですよね。あの鬼もねえ、昔は、それはそれは可愛らしい女性でした。あ、いや、なんでもないです。ぼくと同年代のその奥様は、「またいろいろ教えて下さいね。あっりがとう!」と笑顔で去っていかれました。めでたしめでたし。是非とも、またのお越しをお待ちしております。


可愛らしいと言えばこの人、スザンナ・ホフス。
ぼくよりひとつ上だから現在62歳。
YouTubeをチェックしたところ、
今も現役で、相変わらずの可愛らしさで活躍中。
バークレー校を出た才女だからでしょうか、
或いは天性のものなのか、
はたまたよっぽどできた旦那様なのか、
いくつになっても歌声から清らかさが消えないんですよね。
可愛らしさと清らかさが熟成してゆくって、
シャンパーニュ・ピノ・ノワールのイメージ。
秋の夜長にワイン、かあ・・・。
久しぶりに買って帰ろうかな。
とりあえずは、コンビニに売ってる安めのメルローで。
今宵はいつまでも枯れない花を聴きながら、
今頃になって香ってきたキンモクセイの夜風とワインのマリアージュ。





永遠の炎

目を閉じて 手を握って ダーリン
この鼓動を感じる?
 どう あなたも同じ気持ちなの?
私だけが永遠の炎を夢見ているのかしら

きっとこれは運命なのよ ダーリン
あなたの寝顔を見ている私
わかるかしら あなたも同じ気持ちなの?
私だけが永遠の炎を夢見ているのかしら

名前を呼んでくれたら 悲しみの中でも光が差す
孤独な人生に現れて 痛みを癒してくれたあなた
この気持ちを失いたくないの 

目を閉じて 手を握って ダーリン
この鼓動を感じる?
 どう あなたも同じ気持ちなの?
私だけが永遠の炎を夢見ているのかしら

目を閉じて 手を握って ダーリン



そして永遠の炎を得た彼女は、
チャーミングな家庭人となって歌い続けているのでありました。
めでたしめでたし。






 
 

庭が揺れた夜のこと

日があるうちに帰宅してお爺さんは庭へ芝刈りに。横須賀の軍人さん向けレンタルハウスなら作業にたっぷり1日を費やすところだが、猫の額の我が家は30分で完了。それから一通りの家事をこなして再び庭へ。至福の時間の始まり始まり。

この頃ハマっているレモンサワーを2回おかわりしながら、ノーベル文学賞の発表を意識したわけではなく、ハルキストでもないわけですが、村上春樹をペラペラやってたらすぐにサワーの味はビールに変容して、村上ワールドへ没入。何度も読んでいるデビュー作なので、その日の気分で章をチョイスできます。



Before

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After

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とはいうもののやはり冒頭は欠かせないので、神社に詣でて最初にお賽銭を投げて礼をするように、そこから始めることに。

「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」僕が大学生の頃に知り合ったある作家は僕に向かってそう言った。僕がその意味を理解できたのはずっと後のことだったが、少なくともそれをある種の慰めとしてとることも可能であった。完璧な文章なんて存在しない、と。

冒頭の決め打ち。この時点ですでに、大いなる旅を経ながら偉大なる小説家へと至る人生を送るために、考えに考えたオープニングだったことが今になってわかる。次の行からは違う。あふれるままに、流れるように、ブルーノートレーベルのベスト盤を流しっぱなしにしているバーカウンターでの会話と妄想が、途切れなくエンディングまで展開するのです。春樹さんにしろ龍さんにしろ、他の多くの文章書きも、デビュー作の瑞々しさは永遠に消えない。



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楽しい。楽しいし、心地いい。だがそろそろ寝ないとね。完璧な夜などというものは存在しない。馬車がカボチャにならないうちに、この甘美な夜会からトンズラせねば。 と思ったところで携帯がけたたましく鳴って、間髪をいれずに庭が揺れ出した。犬たちが吠えながら庭に飛び出してきて、芝生に伏せて身を固くしている。



DSC04984



何秒間だっただろう。10秒は続かなかった気がするが、その間に10分以上に匹敵するシーンが脳内を巡った。そうだった、あの日から、こうして夜の庭で時を過ごすことが習慣化したのだった。計画停電の闇の中で、異様に澄んだ月明かりでできた自分たちの影が、くっきりと芝生に落ちていたあの夜。



DSC04989



いいことも、よくないことも、感動も退屈もあったが、庭を暮らしの中心的な居場所にして過ごした、過ぎていった時間を、完璧とは言えないが、まあ、上出来と評価する。完璧な絶望が存在しないようにね。
てなわけで、本を閉じで書棚へ戻し、熟睡す。


一夜が明け、本日も晴天なり。
昨夜の余韻を刻んでおくためにも、
今日の設計 BGM はこれで。

 


 

朝イチの企み





ヘィ ミスター・タンブリンマン 1曲演ってくれよ
まだ眠くないし行く場所もないから
なぁ  ミスター・タンブリンマン 1曲聴かせてくれ
その音が響き渡る朝には 君についてゆくから

夜の街への警告は砂に還って一握の砂
俺はポツンと取り残されて突っ立っているが まだ眠くはない
じっとしていた嫌な疲れが足に焼き付いて 出会う人はまだまばらだ
通りを行く人のマスク姿は 夢を見るにはそぐわない光景だし 

ヘィ ミスター・タンブリンマン 1曲演ってくれよ
まだ眠くないし行く場所もないから
なぁ  ミスター・タンブリンマン 1曲聴かせてくれ
その音が響き渡る朝には 君についてゆくから

ゴートゥーのチケットは持っているから 旅へ連れてってくれ
自分じゃもうどこに行きたかったのかも忘れてしまったよ
歩き出すことに少々の勇気がいる 生まれたての動物になってしまった 
どこへでもついてゆくさ 俺自身の中にだって行ける気がする
行く先々で踊りの呪文をかけてくれ 見事にかかってみせるから

ヘィ ミスター・タンブリンマン 1曲演ってくれよ
まだ眠くないし行く場所もないから
なぁ  ミスター・タンブリンマン 1曲聴かせてくれ
その音が響き渡る朝が来たら 君についてゆくよ

それと 心に浮かぶ煙の輪っかを消し去ってほしい
靄が立ち込める廃墟 木の葉が凍る過去 呪いの警鐘 怯え
狂おしくねじれちまった悲しき支配から抜け出して
冷たく乾いた風が吹く砂浜から遠く離れて
そう ダイヤモンドの空の下でタンバリンを振って踊ろう
海面に白い航跡を描き 甲板のサーカス広場で輪になって
波の底深くに沈んだすべての記憶や運命や悲しみを忘れさせてくれ
朝日ともに真っ新な日常を迎えたいんだ

ヘィ ミスター・タンブリンマン 1曲演ってくれよ
まだ眠くないし行く場所もないから
なぁ  ミスター・タンブリンマン 1曲聴かせてくれ
その音が響き渡る朝が来たら 君についてゆくよ



ウディ・ガスリーやビクトル・ハラが、フォルクローレを進化させたフォークソングというジャンルを築きました。続いてボブ・ディランがフォークをフォークロックに進化させました。1960年後半から70年代にかけて、フォークロックは反戦を歌い、不条理を歌い、愛と青春と旅を歌い、そのステージが四畳半であれ、カレッジであれ、中津川であれ、歌い手も聴衆もその心は平和でした。不安はあったが怯えてはいなくて、貧乏だったが希望に溢れていた時代。

今朝は4時にミーが起こしに来たものの、犬はまだいびきをかいていたし、ぼくはある理由であと2時間後に目覚めたかったため、寝返りを打って二度寝。
昨夜庭の書斎で思いついた企み、起き抜けの頭で今日最初の光を受ける花を撮りたかったのです。



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コロナが自壊し、園芸売り場もファミレスも公園も、しばらく感じたことのなかった人々のよろこびの感情が満ちている気がして、間違ってもこの空気感に乗り遅れてはいけないと、はしゃぐわけではなくごく普通に、今日が希望の日であるという実感が欲しかったもので。



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気づきました?今頃になって横浜全体にキンモクセイが香っています。彼らなりの企み通りに、二度寝から覚めたのでしょう。



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あれだけ徹底的なネガティブ合戦をしていた専門家は、賢い人から順に姿を消しつつあります。大丈夫、もう誰もあなたを脅したり、怯えされたりしないから。



DSC04919



この期を逃さず普通を取り戻しておきましょう。普通に、花いっぱいの庭で迎えるフレッシュな朝を。



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季節は違えど、散る桜、残る桜落ちる桜。今日を笑って過ごせれば、終わりよければそれで良し。そんなイメージ胸に、今日も今日とてトテチテタ。進軍ラッパをタンバリンに持ち替えて、設計設計また設計。



 
 

庭のセットアップ

あまりの天気の良さに早めに帰宅し、犬たちと散歩を楽しんでから、庭の手入れに2時間ほどを使いました。



Before
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After
DSC04706



連日「草取りや手入れが大変で」という前提から始まる相談事に、いかにすれば楽になるかのあの手この手を話しているのに、当人はほとんど大変だと思ったことがない。それどころか贅沢な時間だなあと、今日のように仕事を少々サボってでもやりたいお楽しみなのですから、変なもんですよね。



DSC04685



自分の感覚のままに「雑草取りって楽しいですよ」などと言ってみたところでいぶかしげな顔をされるのがオチだし、どうしたものかと思うんですけど、考えたら庭仕事が楽しいタイプの人は、庭に関して何も困りごとなどないわけですから相談にはやって来ない 。来るとしたら「もっと楽しくしたいけど」という類いの相談で、これはもう、こちらとしても楽しい楽しい。その心持ちに引っ張り上げられるし、ぼくよりも高いエネルギー値を感じれば、即座にその人のハートに見えないコンセントを繋いで、無断でエナジーチャージです。



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しかし大体は自分のエネルギーを消耗しながら、お客様のストレスを取り除くことが通常業務ですから、まずは「庭の手入れはストレスである」という立場に自分を置くことから会話は始まり、そのポジションのままで無事に任務を果たして、そして我に返って、さあ明日は夜明け前に雑草を引っこ抜いてしまおう。そうそう、芝生の肥料を買って帰らねば、となる。庭に関してとても裏表があるわけです。どっちが表かはメビウスの輪で不明ながら、本当は「庭の手入れは快楽である」という立場でのみ仕事がしたいなど、慢性的にそう思うわけです。言ってしまえば雑草にストレスを感じている限り庭を楽しむことはできない。苦労を減らしたところでそれが楽しさには直結しない。なぜそんな困ったところに立って、呆然と庭を見つめているのか、たぶん、ですけど、庭と対峙する心構え、設定がズレているんじゃないかなあ。でもまあそれが多数派ですから、いいんですよ、その感覚のままご来店くだされば。ご希望ならメンテナンスフリーの庭も提案できますし、とにかく庭を楽しむ暮らしを実現して欲しくて毎日庭でコンディションを整え、朝から気合を入れて店にいるわけですから。



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ただ、わざわざうちに来なくても、設定のズレを修正できれば簡単に「手入れが楽しい庭」になりますから、雑草を見てはうんざりしているあなた、ちょっと脱力して、リラックスして、もうしばらく付き合いください。「そもそも論」で行きますので概念的ですけど、もしかしたらハッとしてGoood になるかもしれないので。



DSC04709



ではまいります。そもそもですよ、庭って何のためにあるのでしょう。これは庭をお持ちじゃない人たちは瞳をキラキラさせながら即答しますが、不幸にして、曖昧な概念のままで庭付きの家に住んでしまった人たちは即座に嫌な顔をする問いなのです。人は痛いところを突かれると疲れてしまう。疲れたくないから考えない。考えないから庭は楽しい場所にならない。楽しくないだけならまだしも、やがてストレスが積み重なって「ったく、なんで庭なんて場所があるの?もう嫌、こんな生活」と、中世ヨーロッパのお姫様のごとき悩みを抱えて、侍従に文句を言い、慌てた侍従長(ご主人)が「姫君、即刻この忌まわしき庭から草木を引っこ抜いて、防草シートを敷いて人工芝にいたしますゆえご安心を」となってしまう。珍しいことではありません。で、庭って何のためにあるのでしょう。答えはズバリ、「幸せな人生を送るため」です。



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ではなぜ多くの人が庭によってもたらされる幸せを感じていないのか。繰り返しますけど、設定が合っていないから。パソコンみたいなもんで、セットアップしないことには役に立たないただの箱のまま。では設定方法は?このブログのアーカイブ『家族の庭のつくり方』をお読みください。あるいは姫君、図面と写真を持ってご来店を。毎日庭でコンディションを整えて、朝から気合を入れて、ワックワクで店におりますので。


コロナが不思議な減り方をしていますよね。
自壊?
されどこの現象は庭ではよくあること。
人の思惑とは違う世界で、バランスが保たれている。
そのバランス感覚から離脱したら、サピエンスは自戒してしまいます。
というわけで、今日の出囃子はジョージ・ウィンストンで。
秋には秋を奏でる音楽を流しながら、
今日も設計に没頭。




 

 

初秋のレチタティーヴォ

夏が過ぎて秋風が吹くこの頃は、高齢者の元気さが目立つようになってきました。男性はマニアックに盆栽の育て方とか野菜の連作障害についてとか、土のpHを計る道具は置いていないのかとか、パソコンからプリントアウトしてきた紙を片手にしたそんな相談が続いています。女性からはシンプルにどの肥料を買えば花がいっぱいに咲くのか(やっぱりお高い方が効果があるわよねって)、ハーブティーのおいしいブレンドを知りたい、別荘の庭にバラ用のアーチがほしんだけど、軽井沢まで取り付けに行っていただけるかしら、というのもありました。あまりに経費がかかるのでその方には現地の園芸店を紹介して、残念ながら軽井沢行きは消えました。
皆様、明らかに活性化しています。当然のこととして2回の摂取を終えている人ばかりで、これはもしや、語られることのないワクチンの副反応なのかも、などと。まあありえないことですけど、騒動の最初に危機に立たされた高齢者が、小春日和にこうして庭に意識を向けて立ち上がる姿は、なんとも言えずうれしい限りのパンデミック。



秋のバラが始まりました。
台風はテレビの大騒ぎを鼻で笑ってそれてくれたし、
今朝は爽やかな晴天で、予報もしばらくは穏やかな日々、
なかなかいい感じです。


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亡くなった主人が庭担当だったんですけど、私は全然興味がなくて、木がたくさん繁ってるし、雑草だらけだし、どうしたらいいですかね。全部引っこ抜いて庭中をタイルかコンクリートにしたいんですけど。

ふむふむ、ご主人は庭好きだったんですね。

ええそれはもう、毎日庭に出ては何かしていました。昔はそんな人じゃなくて仕事仕事で家になんかいなかったのに、定年してからは人が変わったようで、とても楽しそうでしたよ。私はお友達と遊びに行くのがいそがしくて庭なんてどうでもいいっていうか、主人の遊び場だから放っときましたけど。

一緒にお出かけとかしなかったんですか?

ぜんぜん。男の人はひとりが好きなんでしょう。それとね、歳がいくほどいい具合にボケが来ちゃって、そこそこ苦労しましたよ。耳も遠くなるし、その分声が大きくなるしでもう邪魔で邪魔で。あら、こんなこと言ったらバチがあたりますね。庭仕事のせいか足腰は達者でしたけどね。

いつ亡くなられたんですか、ご主人。

この夏です。コロナじゃないですよ、心臓。突然でした。トイレから出てこないから見に行ったら、もう。お医者様は「きっとご本人も気が付かないほど、痛くも苦しくもなかったと思います」って。貧血みたいに意識が遠のくんですって。気休めでしょうけど、そう言われるといくらかほっとするような。

検死医のたしなみかも知れませんが、女房のお父さんの時にもそう言われました。まあひどいことじゃなかったということで良しとしましょう。ピンコロピンコロ、理想的です。苦しいのはこっちも辛いですからね。さ、生きてるうちに楽しみましょ!
で、庭をどうしましょうか。コンクリートにしてしまえば楽は楽でしょうけど楽しくはないですよね。苦労を減らすのは大事なことなので、庭以外に楽しみは山ほどあるでしょうし、まあそれもいいと思いますけど。

そうねえ、・・・お友達はバラを植えなさいよって言ってくれるんだけど、バラって難しいんでしょ。

もしもお友達もバラをやっているなら伺ってみてください。全然難しくなんかないですよ。

あらそう。だったらやってみましょうかねえ。主人は和風が好きだったからバラはなかった。私は洋風の方がいいから。でもその前に、あのジャングルガーデンをどうにかしないと。

大丈夫ですよ、ちょっと整備して、手のかからない庭に仕立て直して、それから思いっきり花を増やしてください、まるで極楽浄土みたいに。なんならバラはうちで植えましょう。

あらやだ、土を無くそうと思って伺ったのに、すっかり園芸おばあちゃんを目指す気持ちになっちゃった。あなたは不思議な方ね。他のお店で相談したら、何坪だからタイルにするといくらですって、いつやりましょうかって、すぐにそんなことになっちゃって、なんとなく違うかなあって思ったのよねえ。

ぼくって不思議ですか。ははは、よく言われます。よかった変な人って言われなくて。とても頻繁にそう言われるもので。でも、たぶん、最初からそんな庭にしたいっていうイメージがあったんでしょ。きっとそうだと思いますよ、ご主人がいつもそこにいるような庭を、今度は自分好みにして暮らしたいって。いいご夫婦だったんですね。

まあ、ねえ。

奥様がちょっと潤んできたのそこまでにして、庭のリニューアルについてあれこれ話し、後日、現地を見ながら次なる庭のイメージを相談することになりました。
いやあそれにしても、葬儀が終わって2ヶ月で庭へと意識が行くんですから、ご婦人は強くできています。男の場合は2〜3年は、下手するとそのまま落ち込んで最後まで、クヨクヨと、懺悔と後悔の時を送る人が多いのに。
これから季節が巡るたびに、庭で、夫婦の本音の会話が続くことでしょう。いい夫婦って、きっとそういうものですよね。



マイルスを聴くときに、ぼくは脇役のレッド・ガーランドを聴いています。
歌だとレチタティーヴォ(前口上)に当たる部分をささやくガーレンドのピアノ、
いいんだなあ。




基本気難しく、陰鬱になりがちなマイルスのロングトーンに絡む陽だまりの鍵盤が、
まるで初秋の散歩道のようで心地よし。
第1期黄金カルテットにおける不動の女房役、レッド・ガーランド。
その後進化を止めない皇帝マイルスはピアノにギル・エヴァンスを迎え、
伝説の名盤『カインド・オブ・ブルー』で
モードジャズという新ジャンルを確立しました。
ガーランドは微笑みながら独立して、生涯ビバップに則り、
優しく軽やかなる陽だまりの音を奏で続けたのでした。
陽だまり、熾火のような温もり、
人の真ん中にはそんなエネルギーがあるのだと思うのです。
熾火を消さないように、時々は炭を追加して、
家族が憩える温もりで、最後まで行きたいですね。


ちなみに奥様にお話しした、庭のリニューアルのポイントは次の6つです。

◇ 植える場所を限定する。
◇ 庭木の数を減らすか、大刈り込みで軽くする。
◇ 必要な箇所に目隠しを施す。 
◇ 土の面積を減らしつつ、くつろいで過ごせるテラスかウッドデッキを設ける。
◇ トレリスやアーチで空中に花が咲くようにする。
◇ ガーデンライトを設置する。





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