思い内にあれば色外に現る。
いつも希望を失わない人の、何と美しく眩しいことか。その姿から見えてくる希望の持ち方、携え方は柔らかく気負いがない。大切な卵が冷えないように、懐に入れて温め続けているような。
これはガーデンリフォームを成功させる人たちから何度も感じてきたことです。そして今回も。けっこう内気で物静かな奥様なのに、変更設計をしながらプランを煮詰めてゆく段で、回を重ねるほどに秘めていた豊かな庭へのイマジネーションが花開いて、静かな印象の奥に広がる幸福感に満ちた庭世界が見えてきて、ちょっと心打たれました。きっと性格が穏やかな分、夢の種の育て方が上手なんですよね。
慌てない慌てない。まずは土づくりから。そして種を蒔いて双葉を間引いて植替えをし、あとはゆっくりと成長を待つ。そのタイミングでぼくを探し当ててくださる人たちの、庭での夢実現率はほぼ100%。それはぼくの想像力や設計力だけでたどり着ける地点ではなく、お客様が懐で大事に大事に抱えていた夢の卵が健康だったからに他なりません。故に、くれぐれもそんなふうに、揺らぎ続ける不滅の灯明を見つめるような心持ちで、庭のことをイメージしていただきたいなあと思う次第。
そうそう、ゴリラってヒトが及びもつかない繊細なタッチを駆使して子育てや愛情表現をするそうですよ。あのマッチョな身体からは想像できない、やさしい触感で愛情を伝える。それと争いごとを好まない。社会において家庭でも、主張を貫くよりも白黒つけずに、つまり相手を追い込まずにことを済ませて、問題解決は時に委ねるのです。
外見上ゴリラっぽいお客様も多くて、あ、もちろん最高にいい意味でです。そういう人ほど内面には深淵な湖をお持ちで、その静寂の湖面に映る森と逆さ富士に見惚れたり、人って、あるいは霊長類ってのは家族と自分の幸福を高める能力によって生き残ったんだなあと、すごい種族だなあと感心しきり。
内に思いあれば色外に現る。柔らかく、柔らかく、やさしく、やさしく、揺れながら決して消えない炎のように。