2024年08月

小さなユートピア

 台風は消滅し、横浜は普通の雨降りで済みそうです。いやあまたもや感謝ですよ、アマテラス。

 昨日は降ったり晴れたりの晴れ間を狙って金沢文庫近くの遊歩道へ。イメージ通りに、例年通りに、トラノオが始まっていました。ワクワクっとする、秋の始まりを告げるファンファーレのように。



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 厳しかった夏を乗り越えた昆虫たちが、我先にと食事にやってきます。



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 蝶はこれから晩秋までが人生を謳歌する季節。幼虫→蛹→羽化→交尾→産卵を2〜3回繰り返します。そして命を終える者あり、身を潜めて冬越しする者あり。



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 そのライフサイクルに合わせるが如く毎年咲く花たちの存在がうれしく、昆虫と植物との共生システムが機能しているこのささやかな散歩道が、大きな自然を象徴する小さなユートピアに思えるのです。



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 昆虫たちが必要とする時期に、有り余る食料を提供する草花たち。花はストランに押し寄せる来客によって受粉し、無事に代を繋いで枯れてゆく。双方ともに満足できる関係性が維持されている小宇宙を、これからも、ファインダー越しに見つめていきたいなあと思っています。小さなユートピア、イーハトーブ。台風を恐れ、地震におののき、仕事や家庭のあれこれで悩みながら、ぼくもあなたも究極的に突き詰めれば、きっとその実現のために生きているのだと思うのです。狭いながらも楽しい我が家と私の青空を。



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 それにしても何が素敵って、虫たちの食欲の猛烈さです。レンズが10センチまで近づいても逃げるそぶりはありません。ひたすらに蜜を吸っては次の花へと移動することを繰り返しています。食欲を満たすことが、彼らの脳内でどれほど大きな快感となっているのか。



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 ぼくも中坊の頃はそうでした。学校から帰ったら夕飯までのつなぎで、チャルメラ2個に野菜をたっぷり入れたのを祖母が煮てくれて、それを夢中で平らげたことを思い出しました。
 今は1個で腹一杯です。










Garden Re- Quest 時代は変わる

 ウッドデッキが壊れてきたので、というご相談。



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 ええっと、このデッキはこれまでどのように使っていたのですか?

 特に使ってはいなくて、まあ、通路として役に立っていたという感じかな。数年でご覧の通り、歩くのが怖いくらいに壊れてしまいました。

 なあるほど。もっと丈夫な材木を使って、頑丈な構造で、目隠しを施して、日々洗濯物を干したり、気が向けば庭の書斎、過ごす場所として長く使えるデッキを設計しますね。ぼくと同年代のようですから、ご存じですかね、「 時代は変わる(THe Times They Are A-Changin' )」。

 ボブ・ディランですね。

 はい。


Plan A
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Plan B
松本邸PlanB


 これを元に検討を重ね、折衷案プラスアルファで新たなウッドデッキが出来上がりました。



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 コモディティー化(一般化)。ウッドデッキに限らず庭全般に言えることとして、それがほとんど意義を持たないレベルで一般化してしまうと、そこに価格競争が始まります。価値を望まない要望ならできるだけ安い方がいいわけですから、当然の流れとして提供側は価格競争のレッド・オーシャン(血の海)状態となり、どこまで安く、デッキの体裁を整えるかという一点にのみ努力するようになります。やがて共倒れで業界そのものが消滅しまう、という流れを誰も止められない。価値ではなく物質を売ることの悲しい結末です。いろんな業種で起こったこの悲劇を、きっとあなたも目撃したことでしょう。たった数年前に吹き荒れたコモディティー化の嵐。過ぎてしまえば笑い話ながら、当時もがき苦しんだ人たちの多くは、その後どのような道を辿ったのでしょう。がんばれがんばれ!時代の変化に置き去られないために必要なことは、物事に価値を求め、それを判断する感覚なのですよ。提供する側も、受け取る側も。
 デッキ屋さんにもそんな苦難の時代がありました。わずかに生き残った業者は、安さではなく、素材、構造、構成、意義、そのデッキの価値の創造に懸命です。こうして絶滅の中から次なるニッチ(ブルーオーシャン)にたどり着いた者が、まともな提案と施工をするようになる。これが進化なんですよね。






仲間を探しておきなよ
どこにいたって
君の周りでは流れが渦巻いてるんだから
だから気をつけろ
でないと溺れるぞ
もし君に未来があるとしたら
ちゃんと泳ぐことが必要だ
沈んでしまわないようにね
時代は絶え間なく動いていくのだから




HI 田部井くんも業界が長いから、コモディティー化の悲劇は目撃してきたよね。

田部井P ほんとに、過ぎてしまえば笑い話ですけど当時は笑えることではなかった。みんなこぞって、安くて価値が無い庭をつくり続けていましたよね。そして誰もいなくなった。

HI アガサ・クリスティー。

田部井P はい。



根っこは何処にありや

 ホームセンターのパートさんたちが、休憩所で「お米買えた?」と盛り上がっていました。どうやら世の中は米騒動らしいですね。ニュースでそんなことを言っていましたが、まさか実際にそうなっているとは。どこのスーパーでも棚から米袋は消えていて、売れ残りのカリフォルニア米を買ったら美味しくなくて食えなかったとか、うちはソーメンとラーメンで食い繋いでいるとか、なかなかに深刻な状態に陥っているようです。しかし予想としては、すぐに新米が出回って、何事もなかったように世の中は進んでゆくのでしょう。



実家が用意してくれた宿は、かつてふるさと創生事業の1億円で建てられた温泉施設でした。
驚いたのは、石組みや、写真や絵画や、至る所にアートがあったこと。
どれもなかなかのクオリティです。
これって浮世離れした山奥で暮らす人々の、健全な豊かさだよなあと感じました。
ほぼ農民と公務員で構成されている魚沼で、ごく普通にアートが暮らしの中にある。
なんかね、暮らし方として、ここの人々の日常はとても真っ当な気がして。
こんなカタチで、こんなことで故郷に励まされ感謝するとは、思ってもいませんでした。

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 台風が、今度こそは列島直撃、九州方面で人的被害が出始めているとのこと。予報図では自転車程度の速度で、じわりじわり横浜に向かってきます。まあ、予報はどうであれ長時間陸地の上にいるのだから、こちらに到着する頃には風は弱まり、雨もそこそこで終わることでしょう。そして台風一過の秋晴れで、何事もなかったかのように穏やかな暮らしが続いてゆくと思われます。



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 次の騒ぎを煽り立てたくて仕方ないマスコミに、人々はうんざりしているのかもしれません。それはそうです。コロナも、ジャニーズも、特殊詐欺やら迷惑メールやらその他諸々、メディアに煽動された日々の気味悪さ、不快感が日本中に沈澱して、もう誰も慌ててそっちを向くことがなくなっているのを感じます。その流れで、能登の復興は遅々としている気がするのですが、これも民意というもの。元プロレスラーの知事が無能だからとか、昔みたいにそんなことを言う人もおらず、総裁選は茶番としか思えないし、とうとう「愛は地球を救うのか?」と、サライの空に「?」マークがついてしまいました。ぼくがズレているのか???置き去られているような、淋しいような、悲しいような。



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 きっと、時代は過渡期なんですよね。急速に変化を続ける世の中が、早く脱皮を完了し、美しき完全変態を遂げることを信じつつ、さてさて、ぼくはコロナ以前と何も変わらず思いを込めて、設計設計また設計。世の中についてゆけず、戸惑うばかりのポンコツ昭和頭。されど考えあぐねた末にですが、変化の時代で変化しない、というポジショニングも必要だと、思っているのですが。



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 久々の故郷での時間で、自分の根っこが越後にあると実感し、けっこう真剣に、生えた場所に張ったその根っこを大事にしなければと、そんなことをつらつらと。根っこが切れたら流れを漂う根無草になってしまいますからね。
 あなたの根っこは何処にありや。
 さ、横浜で、仕事仕事。











念願の魚釣り

 孫に魚釣りをさせたい。これがここ数年のぼくの念願でした。父の法事を機に娘がそれを叶えてくれて、大袈裟かもしれないけど、彼女たちにひとつの役割を果たしたような、安堵にも似た気持ちになっています。



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 自分の幼い日の記憶の中で、叔父が連れて行ってくれた魚野川での釣り初体験が、後年とても貴重な思い出として残っていて、あの時の、竿から伝わってきた振動が、もしかしたら生まれて初めて物事に感動した瞬間だったのかもしれません。



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 あのビクビクッとした瞬間が契機となって、ぼくの「感動したがり屋」の人生が始まったような。



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 孫たちがどう感じてくれるかは別として、最高に楽しんでくれたようで、うれしい時間でした。



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 娘は、次は雪解けの頃に山菜採りを計画してくれるようです。



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 自然を遊び相手にできることが、これからとても大事になる。子育て中のお宅の庭を思い描きながら思うことです。



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 ああ楽しかった。二年ぶりの新潟で生き返ったような気分になり、やはりぼくの根っこは越後の自然に張っているんだなあと思った、一白二日の家族旅行でした。



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 そうそう、孫がもうひとり出現しまして、お爺さん役の期間が長されました。こりゃあ長生きせねば。



純佳(じゅんか。わかりづらいけど女の子です)。

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「穏やかというか、ボケーっとしてるねえ」と言うと、
ぼくの妹が「ゆうちゃん(息子・純佳の父)の小さい時とそっくりだ」と。

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すると脇から親戚のおばちゃんが
「ヒデ坊(ぼくの呼び名)はゆうちゃんより、もっとボケーッとしてたよ。
ひたすらボーッとしてるからヒデボーになったんだから」。

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う〜ん、まだ言われるか。
なんだか、ありがたいというか、うれしかったなあ。



 気がつけば、子や孫に導かれている自分。愛情あふれる親戚・家族に、今更ながら感謝です。
 さ、仕事仕事。束の間の夏休みでエナジーチャージした分スピードアップを図ります。首を長くしている皆様、ひとつひとつのプランに思いを込めて、丁寧に仕上げてゆきますので、どうかご容赦のほどを。



久々の新潟で、夏の情緒の濃さに癒されました。
大きな自然の懐にいると、人は自然体になり、
やさしく、愛情豊かな時間が与えられるんでしょうね。
食べ物、方言、行動、考え方など、
うかつに忘れていた山村のお作法を思い出し、
いろんなことが整った気がしています。
夏には夏を楽しむ暮らし方を。
都会にいても、日々自然を感じる暮らし方を。





Lucky Old Sun





Up in the mornin'

Out on the job

Work like the devil for my pay


朝に起き

仕事へと向かい

亡者のように働く 金のために


But that lucky old sun got nothin' to do

But roll around heaven all day.


けれど運のいい年老いた太陽は 何もせず

天国で 一日中 ただ転がっている


I got to work for my family, 

toil for my kids

Sweat till I'm wrinkled and gray


家族のために働き 

子供のために苦労を重ね

汗をかき続ける 皺だらけで白髪になるまで


While that lucky old sun got nothin' to do

But roll around heaven all day


運のいい年老いた太陽が 何もせず

天国で一日中 転がっている間も


Good Lord above, 

don't you see I'm pining, 

tears all in my eyes


主よ 見えませんか 

涙で一杯になっている私の目が


Send down your cloud 

with a silver lining, 

lift me to Paradise


届けて下さい 貴方の雲を 

銀の光と共に

引き上げて私を 楽園へと 


Show me that river, 

take me across

Wash all my troubles, 

wash them away


見せて下さい 川を

導いて下さい 対岸へと

私の抱える困難を

全て洗い流して


Like that lucky old sun, give me nothing to do

But roll around heaven all day


私に何もしてくれない 運のいい年老いた太陽のように

ただ転がっていたい 天国で 一日中


Good Lord above, 

can't you see I'm trying, 

tears all in my eyes


主よ 見えませんか 

藻掻いている私が

涙で一杯になっている私の目が


Send down your cloud 

with a silver lining, 

lift me to Paradise


届けて下さい 貴方の雲を 

銀の光と共に

引き上げて私を 楽園へと 


Show me that river, 

take me across

Wash all my troubles away


見せて下さい 川を

導いて下さい 対岸へと

この困難を全て洗い流して


But that lucky old sun got nothin' to do

But roll around heaven all day.


なのに運のいい年老いた太陽は 何もせず

天国で 一日中 ただ転がっている




 ようやく峠を越えた今年の灼熱を振り返り、思うことがふたつあります。ひとつは「今後はこれが夏のスタンダードになるのかな?」で、もうひとつは「適応の仕方やいかに?」。昭和の夏を知る人たちは、もしかしたら黄色いツバメか戸惑うペリカンか、適応のシナリオが描けないまま耐え続けた夏だったのではないでしょうか。



暑さ知らずのアメンボウ。
ファインダー越しに見つめていると、時を忘れます。
なんと楽しそうな。

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 ぼくがそうでした。暑さ寒さに対してファイティングポーズで挑んでゆくタイプですから、それはもうヘロヘロで、結果的にはノックアウト寸前でロープに逃げ、最終ラウンド終了。ジャッジメントで負け。そんな感じでした。負けとはつまり、仕事の成果が上がらなかったとうことです。設計、現場作業共に通常の半分も行かない体たらくで、体感的には「暑さに耐えてよく頑張った。感動した!」と、毎日美味しいビールを飲んでいたのに、いやはや。



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 職人さんたちもキツかったと思います。植木、大工、土木、電気、タイル、塗装と、ぼくの設計を具現化してくれる人たちの職種は多岐に渡ります。そのすべての人が外仕事ですから、10分動いたら5分休み、30分動いたら15分日陰で座り、1時間動いたら30分冷たい飲み物で休憩を取る、といった具合。サボっているわけではなく、気力が弱っているのでもなく、そのくらいにしないと体がもたないのです。そして作業が一区切りついたらまだ早めの時間でも引き上げます。そんなのが2ヶ月続いたのですから、我がチームに誰一人勝者がいない夏でした。



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 本当に、やり方を変えないといけません。条件が許せば夜間に仕事をするとか、すっぱりと夏休みにしてしまうとか。昭和の感覚で夏と対峙するばかりでは仕事が成立しない、そんな気候になったんだなあと実感しました。はてさて来年はどうしたものかと思案中です。適応せよ、という理屈は百も承知。では如何にして?現場に日除を設置したり、大型扇風機を使ったり、重機を多用して(コストが上がります)人が楽できる段取りに切り替えるなど、すでにあの手この手でジタバタしています。さらなる新手を模索するジタバタが、唯一ぼくらにできることなのだと、上の方から、諭すように、励ますように、老いた幸運な太陽は言っているのです。



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 冒頭のゴスペルチックなブルース「 That lucky old sun 」は、レイ・チャールズの他にアレサ・フランクリン、ルイ・アームストロング、レオン・ラッセル、日本人では忌野清志郎も歌っています。ぼくが好きなのは久保田真琴と夕焼け楽団のこれ。そんな有名な曲だと知らずに、かれこれ40年前から、夏の現場でこれを口ずさんできました。もしかしたら、こういう昭和的な嘆き節では、次の手を見つめることができないのかもしれません。








 先日、庭の打ち合わせで訪問したお宅のご主人が、東京でイベントの運営を仕切っている方でして、つまりぼくらと同じ現場仕事の人でした。しかしぼくとは正反対に、スマートで、おしゃれで、物事をスカッと爽やかに思考し判断をしてゆくタイプ。大好きになりました。そんなこともあって、近未来的に悲惨を連想しがちな環境の変化に適応するには、明るくて、スカッと爽やかな次の手を打った者が勝者となる、という気がしたものですから、今日はこのような内容となった次第です。
 それはそれとして、この曲は素晴らしいですよ。嘆きとは、言ってしまえば愚痴ですが、それをゴスペルにまで昇華すれば心震える応援歌になるんですよね。ぼくが現場で大汗かいている時は脳内にこれが流れていますので、「ああ、いわふちは体力勝負を挑む自分に酔いしれて、暑さを楽しんでいるんだな」とご解釈ください。もしも汗まみれの姿から悲壮感が出ていたら、それは誤解ですから。昭和生まれは時代が変われど、苦労を快感に変換する性質を持っているのです。いやほんとに、夏が大好きなんですよ。



Garden Re- Quest 80センチの庭

 リビングの外が隣地と80センチしかなかったら、そこを庭にしようなんて誰も思わないことでしょう。でもその奥様は、当たり前のことのようにそう思っていました。なぜ?
 80センチをイメージしてください。あなたの横幅は50センチ。ビルの工事現場で労働基準監督署から指導される作業通路幅が70センチです。

 その場所の建物からの出幅はどのくらいですか?

 ええっとお、たぶん3メートルくらいかな。

 だったらどんな庭でも作れますよ。過ごす庭も、眺める庭も、ガーデニングを楽しむ庭も。

 私はお花が好きだから。

 承知いたしました。楽しみにお待ちくださいね。

 ということで現地へ伺ったところ、なんと奥様がおっしゃっていたのは出幅3メートルは駐車場スペースで、庭にしたいリビングの外は・・・80センチ。どう見ても薄暗い通路です。



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 あのお・・・

 あら嫌だ、私ったら。設計図とか数字とか苦手で、変なことお伝えしちゃったみたいですね。


 しかしその奥様の、数字抜きの頭の中では、漠然と、この狭い場所が当然のこととして庭になるもんだと思っていたのです。家を建て替えてこれから始まる新たな生活、リビングの外には美しい庭があり、その庭風景を感じながら過ごすのが、主婦の権利としてというか、暮らしってそういうものでしょ、と信じて疑うことなくご来店されたのです。建築会社の担当者には、きっと奥様が抱いていたそういう庭へのイマジネーションが伝わらないままに引き渡しとなり、奥様的には「あれれ、ところでお庭はどうしたらいいのかしら?」となった。可愛らしい!天然奥様。しかし80センチですから、さてさて、どうしたものか。

 この場合、設計のポイントは部屋から見える景色です。お部屋の掃き出し窓を大きなカンヴァスに見立てて。


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 地面を持ち上げタイルを張り、出やすさと共に部屋との一体感を出して、材木の柔らかい質感と植物で庭空間を仕立てました。気が向けば鉢をどかして、コンパクトなイスとテーブルを出し過ごせます。出幅80センチであっても過ごす庭は可能なのです。
 完成後、駐車場周辺にも小物や植木鉢が増えてゆき、奥様の漠然とした庭がある暮らし、草花を楽しむ暮らしが実現。ほんと、ホッとしました。



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 狭くても、庭をあきらめてはいけない。「無理だよねえ」と思わず、理屈抜きに想像したガーデピア(ガーデン・ユートピア)は現実となって出現するのです。



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 イメージすること、あきらめないで、漠然とでいいから理想のイメージを消さないこと。イメージできたらできたも同然。




HI どうだい田部井くん、すっごいだろ。

田部井P 出幅80センチですかあ。誰もそこを庭にしようなんて思いませんよね。奥様の純粋な庭へのイマジネーションが素晴らしい!

HI そうなんだよ。図面や数字が苦手だっておっしゃってたけど、そういうこととは別世界で生きてるんだろうなあ。女性的というか、可愛らしいよね。理屈じゃなくて「私は幸せに生きて当然なの」というのが、男には絶対に辿り着けない、女性特有の究極の人生観だよ。

田部井P わかります。その感じにぼくら男は茫然自失、わけがわからず論理立てて真意を探ろうとする。ところが論理なんぞは一切通用しませんよね。意味不明なままで女性の意向に沿えるよう試行錯誤する。でも、やってもやっても機嫌が悪くなる。苦行です。

HI 君もけっこう苦労してるんだね。

田部井P いわふちさんが昔ブログに書いていた「美味しい・楽しい・美しい」ってあったじゃないですか。あれですよ。

HI そう。意味不明であっても、男は「美味しい・楽しい・美しい」を女性に供給し続けなければならない。体細胞生物の頃に雌雄が分かれた段階から、オスは、メスが創り出したサーヴァント、使いっ走りなのだ。運命を呪ったところで無駄だから、せいぜい自分をすり減らしてオスの役割を果たすしかない。

田部井P 悲しい話ですね。

HI いやほんとに。でもね、それを男のロマンと言うのだよ。・・・たぶん。









クリープを入れないコーヒーなんて・・・

 クリープを入れないコーヒーなんて・・・、昭和の懐かCMの名作です。違いがわかる男、う〜んマンダム、野坂昭如ソクラテスの唄。まだ白黒テレビも生き残っていた頃にブラウン管から流れてくるコマーシャルは、今思えば、子供たちに絶大な影響力を持っていました。番組では全員集合!、ウルトラマンや仮面ライダーなどのヒーローもの、子供ながらに金曜ロードショーなど。そうそう、アランドロンが亡くなりましたね。ヨーロッパ映画、アメリカンニューシネマ、東映ヤクザ映画、それら名作のほとんどはスクリーンではなく、ブラウン管からぼくら世代の記憶に刻まれました。



ちょっと、ふと、時折、秋風!?
そんな折に振り返り、散らばっている夏の花を拾って記憶しておけば、
2024の灼熱を良き思い出へと変換できます。
強烈だった分、それが今後の思考の強い土台になるのです。
若い衆、年寄りの凄さは土台の頑丈さなのだよ。
「頑固」とも言いますけどね。

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 「テレビばっかり見てるとバカになるぞ」と嗜められながら、いわふち少年は家にいる間はずっとテレビの前にいて、忠告通りにすっかりバカになりました、という結末。しかしですね、親の言うことよりも、ぼくだけでなく昭和のテレビっ子は、当時吸収したコマーシャルや映画や人気番組からのメッセージに従って、大人の階段を登って行ったのです。



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 それでよかったんじゃないかなあと思うんですよ、このバカさ加減も込みで。立派なレールに乗る人生にしろ、ぼくみたいに荒地にレールを敷いてきた人生にしろ、お利口さんにはできないことをやり続けて生き延びてきたんですから。この頃同世代と話す機会が多く、当時の音楽や映画や文化について盛り上がるのがとても楽しいのです。

クリープを入れないコーヒーなんて・・・
ネギを入れないかけ蕎麦なんて・・・
パイナップルが入っていない酢豚なんて・・・
ゴム手袋で握った寿司なんて・・・
ネットが繋がらないパソコンなんて・・・
翼の折れたエンジェルなんて・・・
ラブラブじゃなくなってしまった夫婦なんて・・・
椅子とテーブルが置かれていない庭なんて・・・

 何かが違う気がする。何かが足りない。誰もそのことに疑問を持ったふうではなく「まあそんなこともあるさ。別にたいしたことじゃないよ」と見過ごしている事柄が、ぼくには気になって仕方がありません。改装を済ませたパッパパスタの壁の黄色が微妙に濃過ぎて、あっちゃーと思ったり。きっと誰も気に留めないであろう事柄が引っかかってしまう。その思考癖が、こと仕事となれば活かされて、現状の不備を察知しそれを改善する、という手法で庭を描いてゆけるのです。



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 では水野晴郎風に、「庭って本当にいいもんですね」。金曜ロードシューからは、作品とは別に、ひとつの分野(映画)にのめり込めば、多くの人と感動を共有する人生になるんだと教わりました。映画評論家って本当にいいもんですね、と思ったものです。



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 多感な時期に吸収した言葉や出来事などの刺激がその後の人生の土台になるのである、とするならば、孫たちに素敵な庭をプレゼントしなければ。いい庭があれば人生は上々に展開する。時代が変わろうと、何が起ころうとも、これは間違いないことですから。



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 それでは今日はこの辺で。暑さが峠を越えたし、張り切っていち日頑張りましょう。
 では淀川長治調で、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。









Garden Re- Quest ときめく庭

 家を建てて数年が過ぎ、最初から外構も庭も、門扉・表札・ポスト・インターホン、通路や物干場や植え込みなど、一般的に必要と思われる構成ができ上がっていいます。ええっと、植物の整備をすればいいのかな?くらいに思いつつピンポンを押しました。



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 音楽家のご夫婦は、ヨーロッパの暮らしが長かったこともあって、日本的に(和風ではなく)まとめられている家の周囲に、「もっとどうにかできるのではないか」という気持ちが膨らんできたと言います。そしてぼくを探し当ててご連絡をいただきました。
 現地に伺いさっと外を眺めてから、促されるまま室内に。そこはグランドピアノとチェロがそれぞれ数台並ぶ、広大なリビングなのかスタジオなのか、ぼくの日常では見たことのない空間です。
 ヨーロッパのアンティークであろう心地の良い椅子に腰掛け、紅茶をいただき、庭の話に入る前に話題は
フェルメールとその時代背景、バッハとピアノとチェンバロのこと、弾厚作のゴーストライターは山本直純説など、まあ楽しい楽しい。時を忘れて盛り上がりまして、「ごちそうさまでした」と挨拶をして帰宅の途に。
 車中で、さてと、ところでご要望は何だっけ?
 これ、よくあることなんです。肝心な話を何もしていない。でも大丈夫、おふたりはときめきがある外構と庭にリフォームしたいのだと解釈しました。具体的にどうこうじゃなくて、暮らしの場を、気分が上がる仕立てに変身させたいのだと。
 アーティストならではのその欲求は理解できます。ぼくも似たようなところがあって、日々自分の心のコンディションが勝負の、精神的アスリートのような職業ですから。大谷翔平やオリンピアンがトレーニングを怠らないように、日常的に想像と創造を繰り返していないと自分が機能しなくなってしまいます。



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 Hampstead とは、ロンドン北西部にある一地区の地名で、カムデン特別区(大英博物館・英国図書館・ロンドン大学などがある)に属する。詩人、音楽家など歴史的著名人が暮らした家や、ビクトリア朝時代の邸宅が並ぶ高級住宅街だそうです。
 このように、住人の苗字ではなく、家にニックネームをつけてそれを表札とするのがイギリス流。イングリッシュガーデンブームの頃に「イギリス人は家を人格を持たせ家族だと位置付けて名前をつけるんだ」ということを、話には聞いていたものの初めて目にしたました。



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 庭が完成し、ご夫婦から夕食にお呼ばれしました。もちろん庭でのバーベキューです。



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 その後も何度か店に遊びにきてくださって、ほとんど打ち合わせしないままで完成した庭に、とても満足していただいているご様子で、嬉しい限りです。



カムデンタウンといえば、藤原ヒロシが18歳で渡英し住み着いた場所です。
お金もない若者が、最初から一流の地域に向かうあたりが藤原流。



ぼくなんか、上京して上野・浅草はウキウキ歩けたものの、
渋谷周辺は、ダサダサの田舎者には場違い感が強過ぎて、何年も馴染めませんでした。
スクランブル交差点で足がすくんだことを覚えています。

今はなんともないですよ。松濤地区を怪しまれることなく散歩できるほどになりました。





風の歌を聴け poko a poko rit.

 ポコアポコリット(徐々に遅くする)。
 基本的に、とても前のめりな性格なものですから、この夏の暑さにも嬉々として日焼けし大汗かくような段取りで仕事をしてきました。灼熱に真正面から対峙するのが修行時代に身につけた仕事の流儀で、それがいちばん楽しいのです。早朝のテレビから「今日は熱中症にご注意ください」と言われると、ワックワクするんですよ。



晩夏の主役はトンボたち。

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トンボの祖先は3億年前のシダ類の森を飛び回っていたメガネウラで、
その姿は現在のトンボとほぼ同じです。
ただし大きさは30センチ以上だったそうで、
恐竜の頭上でバサバサと羽音をさせていたのでしょう。
ちなみにゴキブリもその頃から今の形で、大きさは50センチとのこと。
その頃の恐竜はまだまだ大型化していなくて、体長60センチくらい。
60センチの恐竜、50センチのゴキブリ、30センチのトンボ。
なんだかイメージしづらいけど、その風景、ワックワクしませんか。


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 台風が行き、ようやく気候が通常の晩夏っぽくなったようなので、ここでひとつ、意識的に前傾姿勢をすっとまっすぐに、スカイフック(空から下げられた糸を頭頂部のフックに引っ掛けて、吊るされている姿勢)に正して、仕事と暮らしのペースをポコアポコリット。

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 この頃お客様と庭の打ち合わせをしていて、ぼくの方が力んでいて、少し変な印象を持たれているかも、と感じることがありました。庭を熱く語っている自分が、もしかしたら暑苦しくなっていたのかもしれないと、庭の書斎で反省しきり。季節と上手に並走している賢者(お客様・ご夫婦)たちの感覚に同期して、ズレを調整しなければいけない。で、
ポコアポコリットのタイミングだなあと思い至った次第です。

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 庭にイマジネーションを広げる人たちは、概してぼく(わが夫婦、いわふち家)よりも上質に、丁寧に暮らしています。思い起こせばかれこれ30年前から、そういう人たちの思考や生活感覚に引っ張り上げられることを繰り返して、庭を熱く語りながら生活ができる現在に至っているのです。



 余談。音楽用語を使うと自分を整えやすいのです。
ポコアポコリット、響きが可愛いですよね。他にはグランディオーソ(壮大に・堂々と)、ヴェローチェ(速く)、リゾルート(決然と)、レガート(なめらかに)、ドルチェ(優しく、柔らかく)、エスプレッシーヴォ(表情豊かに)、ダ・カーポ(はじめに戻る)、アダージオ(ゆるやかに)、アンダンテ(歩く速さで)、カンタービレ(歌うように、表情豊かに)、モデラート(控えめに、節度を持って、中くらいの速さで)。
 設計とか考え事をするときにこれらを引っ張り出してくれば、自分が自分のマエストロ、そんなイメージに立つことができます。





風の歌を聴け La Dolce Vita

 近ごろ話題のオタク系昆虫学者、小松貴氏によれば、虫はぼくらと違い感情的な感覚を持っていないそうです。外界の刺激を受け、それをDNAに照らして行動をするだけ。だから暑かろうが寒かろうが不満や不安を抱かずに、ただその時々の環境に適応して暮らしている。迷わないし、悩むこともないその思考の優位性によって、彼ら虫族は、地球上で最大級の繁栄を獲得したのでしょう。
 「虫を擬人化するのはナンセンス」とも仰っていますけど、しかし小松先生、虫に学ぶことは多いですよ。何より夢中で蜜を吸う姿の美しさ、楽しそうな様子に、人生かくありたし、といつも思います。学術的には感情を持たないのかもしれませんけど、明らかに、羽をゆるりと震わせ全身で歓喜していことが伝わってくるのです。



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 きっと神様はそういう、ピュアというかシンプルというか、脳がコンパクトな生き物が可愛くて仕方がないのでしょう。だから酸素の供給を担う生態系の基盤である植物たちの相棒に、昆虫を据え、相思相愛(苛烈な攻防戦とも解釈できますが)の関係性が、かれこれ1億年も続いているのです。



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 人が花に癒される理由は、蜜を求める昆虫と似た感受性を持っているからかもしれません。虫たちの命の糧である蜜の在処を示す、色と形と香りに反応する人は、昆虫同様に神様に可愛がられて安定的な居場所を与えられ、運に恵まれた生活を送れるようになっているのだと、ふと、そんな理屈が浮かびました。



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 虫が嫌い!という人は多く存在します。驚いたことに、こともあろうにうちの娘がそうなので、虫嫌いを責めることはできません。しかし花嫌いの人には会ったことがないわけで、せいぜい皆様、庭の花や野に咲く花に近づいて、しゃがんで、昆虫の視線で見つめてみてください。きっと癒され昆虫脳が活性化し、神様に好かれて、運(蜜)に恵まれる La Dolce Vita 、甘い生活になってゆくでしょうから。








Garden Re- Quest 暮らし方を思い描く

 広い庭スペースがある家を購入し、生えていた昭和的な庭木をきれいさっぱりと処分して、さて、どうしたものかと、半ば途方に暮れてご来店。



今福邸Before 04



 ご夫婦に、初対面でお話しした事柄は以下の通りです。

⚫︎ カーテンを開けて暮らせるようにすること(目隠し)を前提として、庭をどうするか考えてください。

⚫︎ 敷地が長方形なので、ロールケーキを切る方向で分割すれば二つか三つのエリアを生み出せます。

⚫︎ ぼくは「庭は生活空間である」と思っていますので、眺める庭ではなく過ごす庭を提案します。

⚫︎ リビングの前は段差をなくして、部屋が外に広がる感じで。もしくは外にひと部屋できた感じに。

⚫︎ 芝生のある暮らしと畑を楽しむ暮らし、どっちを選びますか?それとも両方欲しいでしょうか。

⚫︎ 夜の庭を楽しんでいただくために、暗くなったら自動で明かりが灯るようにします。



Plan A
今福邸A


Plan B
今福邸B


 このふたプランをご覧いただいて、意見をお聞きし、出来上がったのがこれ。

Plan C
今福邸C


 さらに打ち合わせを重ねて細部を整え、最終プランに辿り着きました。

Plan D
今福邸D


左側アップ
今福邸D-2


右側アップ
今福邸D-1



Before 1
今福邸Before 1

After 1
今福邸After 1



Before 2
今福邸Before 3

After 2
今福邸After 3



Before 3
今福邸Before 4

After 3
今福邸After 4



Before 4
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After 4
今福邸After 5



Before 5
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After 5
今福邸After 6



Before 6
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今福邸After 7



Before 7
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After 7
今福邸After 8



 ガーデンデザインとは単に庭の構成を考えることではなく、庭がある家の暮らし方、庭の楽しみ方を提案するのが仕事です。



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 庭の楽しみ方とは、例えばこういうこと。起きたら庭に出て外気を浴び、天候を確認し、太陽の位置を把握しながら日中を過ごし、日々季節の移ろいを知り、夜空を見上げ、光と風を感じて静かに自分を見つめること。集うこと、植物を育てて収穫し食べること、読書、バーベキュー、昼寝、ストレッチ、趣味のあれこれ、と限りなし。水やりや草取りも庭のお楽しみです。



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 あなたは暮らしの中で何を楽しく感じるでしょうか。庭をあなたのテリトリーにして、その楽しみの舞台と捉えてみてください。









 田部井くん、台風はいい具合に逸れてくれたし、予定通りに暑気払いをしよう。ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナを喰らって体力回復だ。明日はフェーン現象で暑いらしいけど、その後は平年並みに落ち着くみたいだから、秋に向かって晩夏を駆け抜けるイメージでいこうぜ。

田部井P 晩夏を駆け抜けるイメージ、いいですね。元気が出ます。

HI 元気が出ますって、きみはいつも元気じゃないか。

田部井P そうでもないですよ。だいたい空元気です。

HI おれもそう。でもそれでいいと思うんだよね。元気なふりをすれば元気になってゆく。笑っていれば楽しくなるし、背筋を伸ばせば頭が冴えるし。

田部井P ああ、それわかります。しかめっ面でうつむいていると、限りなくストレスが溜まっていきます。自滅しそうにうなりますよ。

HI 基本的に仕事も暮らしも、けっこう大変なことの連続なんだよなあ。でも実はそれが普通でさ、だから元気を出して乗り切るしかない。繰り返し繰り返し空元気で課題を乗り越えると「いつも元気で楽しそうですね」と言われるようになる。庭仕事と同じだよ。草取り、水やり、植え替え作業を積極的に楽しめる人だけが美しい庭を維持できる。あのほら、前に撮影を手伝ってもらった原田さんはそういうタイプだね。毎朝5時には庭に出て作業しているらしい。楽しくてしょうがないんだって。

田部井P あの庭はいいですよね。庭が人を手招きしているあの感じ。原田さんの生活感覚と合致していることがわかりました。

HI そうだ、原田さんちもブログで紹介しなきゃ。楽しみにしてくれてたし。さ、元気なふりして、今日も頑張ろ!






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