茶庭(茶道)の言葉で結界というのがあります。界を結ぶ、つまり異なる世界をつなぐということです。今の言い方だとパーテーションがそれに近いんですけど、パーテーションだと区切る、切り離すというニュアンスなので少し違ってきますから、やはり馴染みの無い言葉ですけど結界を使うことにします。
 この木製アーチが結界です。アーチの手前と右側は洋風の仕立てが広がっていて、アーチをくぐると和テイスト。その異なる2つの世界を違和感無く結び付ける役割りをこのアーチが果たしています。くぐることで別の部屋に入る感じや、奥への期待感を演出してくれるのです。
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 その結界を通過すると和の世界。そもそも何をもって和とするのか、現在の住い方で和をどうとらえ、どのように扱えばいいのかについては後日にまわして、ここではこの和空間を演出しているふたつのアイテムをご紹介します。
 まずは縁側の正面に建てた木製パネルです。タカショーのe-ウッドフェンス、EUPー1118。穴が大きめ(15センチ)の縦横格子パネルで、モダン和風を立体構成する時に重宝しています。このように目が当たる高さに和テイストを持ってくることで、平面や点では無く空間が意識されるようになるのです。・・・ほうら今日も理屈っぽくなってきました。

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 そうやって場に厚みを持たせた上で、今度は点。この場所のフォーカルポイントは中央のヤマモミジで、そのことをさらに強調する意味も込めて根元近くに照明器具を置きました。

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 タカショーの和風LEDライト『宵待ち』です。これが優れものでして、ローパワーLEDモジュール(1/F庭ゆらぎ)という装置によって障子の中でろうそくの炎が揺れているように光がゆらぐのです。数カ月前に展示会で現物を見て一発で気に入って、いつか使ってみたいと思っていた製品なのです。

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 夜はいいですよこれ、和室の雪見障子から縁側越しに見えるゆらぎの光。特に今の時期、虫の声をBGMに、風呂上がりにどっかりとあぐらをかいて、上質な酒をクッと。気分は幕末の京都へワープです。世を憂い、高邁な理想を語り・・・、高杉か竜馬か、はたまた近藤か。照明器具一個からイマジネーションは時空を駆け回るのです。