石富さんちの最終日、デッキ・テラスゾーンの植物といつもの船舶ライトです。

ヨーロッパゴールド
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グリーンコーン
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ブルーエンジェル
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トキワマンサク
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ハナミズキ
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 今回は久しぶりの和風仕立てで、設計施工ともに楽しませていただきました。楽しんだと言っても、それは庭屋の端くれとして「変な仕立てはできないぞ」という緊張感と「ありきたりにはしたくない」という気負いと、そして普段はそれほど強く意識しない 情感 をかき立てる場所にしたいという・・・和の庭となるとこのようにやや構えてしまうのは、私がその昔、庭の勉強を和から初めたからかもしれません。教えを乞うた造園家の先生方に添削されているような気がして、ダメ出しされそうなプレッシャーが付きまとうのです。
 ガーデンデザインを学ぼうとするときに、やはり和の庭から始めるべきだと思っています。先日おじゃましたE&Gアカデミーの生徒さんたちにも伝えたいことで、機会があればお話しようと思っていますが、きちっとつくられた茶庭や坪庭や石庭からは、庭づくりの基本や作法はもちろん、それ以前の庭って何なのかとか、庭を創造するという作業の本質的な事柄がこれでもかと迫ってくるのです。そしてそれらの事が、現代の庭、家族が楽しむ場所づくりにもそのまま使えます。
 連日の設計作業のほとんどは洋風、あるいは今風ですが、和の知識抜きでのガーデンデザインでは片手落ちになってしまうと思うのです。例えば、街でジュラストーンの乱張りをよく見かけますが、まともに張れているところがほとんどないのが現状でして、これは和風の庭では考えられないレベルの低さです。いくら洋風だといっても乱張りは乱張りです。何でもありではいけません。ほんの一時期でも和の庭で延べ段や石組みや鉄平石の乱張りを経験した職人さんは、洋風の石でもきちっと理にかなった仕上げをするものです。内路地外路地、つくばい、灯籠、飛び石の打ち方、庭木の配置、見せ場のつくり方、軒打ちの木、垣根、州浜、流れ、回遊式・・・。これら全てがファミリーガーデンでも生かされますし、イングリッシュガーデンにも応用できます。

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 格式張って取っ付きにくい和の庭ですけど、京都や奈良を歩き回ると、だんだん庭が入って来て(身体に馴染んでくる感じ)、気がつくとどっぷりとその世界にひたっているものです。「深いなあ」と一言の感慨で片付けるにはもったいない。ちゃんと知識として感覚として自分の中に蓄積しておきたい、そんな魅力があります。

 E&Gアカデミーの生徒さんたち、卒業したら就職する前に関西方面の庭を巡ってください。最低一週間。もし時間に余裕があったら京都の町家や神戸の住宅地も歩いてみてください。きっと一生の宝に出会えると思いますよ。