昨日の『黄昏流星群』の続きです。

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中高年を扱ったヒューマンドラマですから、話の中心には熟年夫婦や夫婦じゃない熟年のカップルがいます。その人たちの人生の一場面、長い一生のひとかけらを描いていて、古い話ですけど村上龍の『限りなく透明に近いブルー』のラストシーンで路上に光っているガラスのかけらにたいな、他の人にはまったく意識に入らないゴミくずが、それが朝日に輝く一瞬をとらえている、そんな話が続きます。「人間っていいもんだなあ」と、「人間って愚かなもんだなあ」という感慨が入り交じってわき上がってきます。

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それを読んでいるせいでしょうか、仕事をしていて、夫婦や家族についてのことがふだん以上に引っかかる、気になる場面が多くて。例えば家族の中でのお父さんの位置や役割りのことです。
30代の頃なら『父権復活』、お父さんも頑張っているんだから家族は茶の間の父の席に座るな!となっていたと思うのですが、今は違います。父親の役を果たさない(果たせない)父親が目についてしかたがない。

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「これじゃあ子どもはまともに育つはずがない」と余計なお世話を言いたくなったり(言いませんけど)、「奥さんとしても打つ手がないんだろうなあ」とご夫婦の先行きを案じたり(何も言いませんけど)してしまいます。どういうお父さんがそうなのかというと・・・、よそ様のことなのであまり突っ込んではいけない話題な気がしますので躊躇してしまいますが・・・、昔、離婚の危機にあったご夫婦を見て妻がズバリ言ったことがありました、「ご主人がオコチャマ過ぎるから、家族の中に父親がいないのよ。父親役をやっている大きいだだっ子がいるだけだから、奥さんがそれに気付いていれば何とかなるかもしれないけど、やっかいなのはそのだだっ子が給料もらってきたりお酒飲んだり、そういう人に限って理屈っぽい。一回放り出さないとわかんないんだよ、大きいだだっ子は」当然私のことを言われているような部分を感じますので、その時はシュンとなったものでした。

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世のお父さん方、大きいだだっ子やってたらいつかは放り出されますよ。熟年離婚ってそういうことですよねきっと。子どもが自立して、男が稼いでこなくなった時点で必要が無くなる、それどころか今までひたすら我慢してきた奥さんの恨みつらみを一気に仕返しされるのですから、だだっ子のその後の人生は悲惨を極めます。

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まっ、とにかく夫婦仲良く、喧嘩もしながら仲良くやっていきましょうよ。特にご主人方、奥さんのいう愚痴や不満や不安を理屈ではねのけることは危険です。奥さんをこちらの理屈で言い負かしてしまったら、もう奥さんはあなたに何も言わなくなってしまいます。それは従順な妻になったのではなくて、あなたに対して人生を掛けた戦いを決意しているということなのかもしれませんから。
小沢昭一的こころ風に言うと「げに恐ろしきは従順な妻、くわばらくわばら」。「あしたは『男の脳みそはふたつしかない』のこころだ~」。