「幸せな、夢みたいな仕事だなあ」ビフォー・アフターを見るたびに思うのです。こんな庭ができたらお客さんがよろこんでくださるだろうなあと思いながらプランしたものが、ある日この世に出現する。イメージが現実になる。そんなマジックのようなことを繰り返し繰り返し経験できるのですから。

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私が感じているこの幸せ、イメージが実物の庭になるまでの時間には『熱意』があります。職人さんの熱意です。

この庭を施工してくれたのはカズくんとシュンくんという福島から出てきた兄弟です。田舎育ちの純朴でまっすぐな気持を持った働き者。幼い時に両親が離婚してお母さんとの3人暮らしだったといいます。そのお母さんを田舎に残して兄弟で横浜に出てきて働いているのです。で、この現場が始まる直前にそのお母さんが亡くなりました。突然死、私と同じ年齢でした。私としてはかける言葉もなくて・・・、でも葬儀を済ませた2人は笑顔で現場に現れて、「よく次々こういうつくりづらいもの設計するよなあ」と私に憎まれ口をたたきながら、いつものように淡々と熱心に現場を仕上げてくれました。男の子が20代で母親を亡くすってことがどれほどつらいか、私の想像の外。ふたりの仕事ぶりを眺めながら繰り返しつぶやいたのは、かつて私がいろいろとつらかった時に父が言った言葉、「仕事してればいいんだ。とにかく仕事してるときは他のこと考えなくてすむから。いいから、仕事してろ」。
あれから1年半が過ぎて、兄のカズくんは今になって淋しさに押しつぶされそうになってもがいているようですけど、弟のシュンくんは一皮むけた感じで力みなぎらせて現場をやっています。まっ、時間がかかるでしょうけどカズくんは大丈夫。田舎育ちの長男同士なので私にはわかるのです。最後の最後に折れない自分を知りつつ、そこに自信があるから今は少しだけ自分を休ませているのだと思っています。
いろいろありますよ。お客様にもそれぞれの人生があって、職人さんにも、私たち夫婦にも。いろいろある人たちがいろいろある人たちにエールを送るような仕事をするときに、すばらしい庭が出現する。この庭もそう、私には感じます。タイルの目地や柱の基礎やペンキの仕上げ方から、カズくんとシュンくんのまっすぐな気合いが伝わってくるのです。

気合いだ!気合いだ!気合いだ~!! 今日も張り切って仕事だ~!!