では下の庭に下りましょう。
庭からデッキを見上げるとこうです。当初この場所は芝生というか雑草というか、まあほとんど来ることのない場所でした。たまに下りては雑草を駆除する場所。それも5年の間に少しずつ庭らしくなっていって、今では花とハーブがいっぱいで、静かに過ごす隠れ家的な庭として、大勢集まる時には、山の雑木林のキャンプ場にいる雰囲気でバーベキューを楽しめる、そんな庭になりました。

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中央に円形の通路を設けて、その中はハーブ畑、今はタイムとミントがはびこっています。
その周囲は雑草取りの手間を省くために砂利敷に。周囲の雑木林に馴染む自然な感じを保つために、あえて普通の川砂利を使用しています。気が向けば砂利を掘って木を植えてもいいし、畑にしてもいいし、後の展開も含めてのとりあえずの砂利敷きスペースです。

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家から見て左側のスロープは、木杭と板で段々の花壇になりました。

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最初に打ち込んだ杭が数年の間に朽ちて単管パイプで打ち直したり、土が流れるのを防ぐために板を積み足したり、何度か手を加えながら現在に至っています。

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庭の反対側の木陰にはいい感じに古びたベンチがあって、そこは軽井沢にいるような風景です。

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そしてその横に置いてあったウサギの親子、これがものすごくいい!その前にしゃがんでファインダーをのぞきながら「つげ義春の漫画に出てくる親子みたいだ」と思いました。つげ義春って、今では伝説の漫画雑誌のガロで人気だった人で、最もガロらしい漫画家で大好きでした。そのつげ義春の『無能の人』に出てくる河原で石拾って暮らしている(暮らせてないんですけど)夫婦と子供に表情、たたずまい、感じがそっくりで、これを買って来てこういう配置にした市丸家の奥様かご主人か、きっと同じイメージを持っているんじゃないかなあって思うほど、そのまんまあの親子の感じです。

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「男は遠くを見つめ、女は足下を見つめていた。男は実際には見えもしない、遥かな、夢とも幻ともつかない未来を思い描き、そして女は、今日の現実を、夕げの食材のことを考えていた」 という感じ。

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おとうさんは尖ったスコップをしっかりと握っていますけど、お母さんが持っている鍬はさきっちょが一本折れ曲がっていて、何ともドラマを感じさせます。これわざとなんじゃないかなあ、誰だろこの演出、ご主人かなあ。
遠くを見つめる男と足下を見つめる女、うちみたいだなあ。「かあちゃんすまんのう、苦労かけっぱなしで。おらあ明日からちゃんと足下見て仕事すっるからよぉ・・・」。

このウサギの親子からも伝わって来ますけど、ほとんど来ることもなかったこの下の庭は、今では生活を楽しむための大事な場所になっています。宮沢賢治の看板みたいに「下の庭にいます」ってこともあるんじゃないかなあ、きっと。


 
 
さて、ほんとに仕事仕事!設計が溜まりに溜まってます。お待たせしている皆様、もうしばらくのご辛抱を。さっ、気合いを入れて、今日も入魂の設計しますよ!