持ち上げた庭スペースを「特上の外の部屋」にするために、魔法の高さの目隠し、バーベキュー炉と解説してきました。今日は「シエスタベンチ」です。

ただのベンチじゃなくて、昼寝ができる寸法のベンチを、「過ごす庭」をプランするときには、可能な限り設計に入れています。


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数年前、お客様にアンケートしたことがあって、その結果、ご主人方が庭でやりたいことはバーベキューと昼寝でした。
バーベキューはわかるとして、庭で昼寝?と、意外に思う方もいらしゃるかもしれませんけど、考えたら海外の庭ではハンモックがつきものですからね。世界中の人が庭での昼寝を楽しんでいるということです。

庭で昼寝、というよりも、昼寝すること自体、今の日本では珍しいことですよね。でも、昭和の時代には、日本人は昼寝していました。ぼくが小さい頃は、昼食が終わると子供はもちろん、家族も近所の大人たちもみんなお昼寝タイムで、町中がシーンとしていたような記憶があります。よく大人が言っていました「親が死んでも食休み」と。

昼寝。
毎日終電近くまで仕事を頑張っているご主人方に、休日くらいは庭で昼寝していただきたいなあって思うのです。

昼寝。
ご主人だけじゃない、奥様も。美容と健康に、昼寝はいいのです。今でも昼寝の習慣がある地方に行くと、おばあちゃんたちが元気で笑い皺が美しいですからね。美容と健康には昼寝なのです。

庭に寝っ転がって見上げる空。


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まぶしくて眼を細めているうちにウトウトと夢の世界に。そしてパッと目覚めた瞬間に、外の空気と光で充電されたように、体中にフレッシュなエネルギーが満ちている状態になります。そして、自分が宇宙の中にいることに気がつくのです。

人は視線を向けた方向に世界を見いだします。そしてそっちへ向かって進みます。これはウインドサーフィンをやると気がつくことです。水面に立って風を受けて、視線を向けた方向にボードが進んでいきます。不安定な足下に視線をやっている限り、うまく乗ることはできません。
だから、身体を横たえて空を見上げていると、空、宇宙へと世界観が広がって「アァ、おれは宇宙空間の中の惑星地球号に乗っているんだなあ」って。小さなことにクヨクヨしたり、実はどうでもいいようなことに思い煩ったり、起こりもしないことを不安に思ったり、そういうことから解放されるのです。伸びやかではつらつとした宇宙の中の自分に戻れるのです。そう、子供のころのあなたに。

昼寝。
会社でも人生でも、目標を設定したらそこに向かって水平に突き進む。失敗したり、疲れてくると、うつむいてとぼとぼと歩く。水平、時々下。
休日に、ゴロッと身体を横たえて空を見上げることで、バランスが保たれる気がします。
水平、時々下、一時空。

昼寝。
昼寝ができない庭なんて、クリープを入れないコーヒーみたいなものです。



さあ、仕事を始めるか!と気合いを入れたところに妻がやってきて「ねえねえ、今朝のテレビで美樹さん(ワタミの渡邉美樹会長)がね、あなたがブログに書いてたことと同じこと言ってたよ。『過去と他人は変えられないが、未来と自分なら変えられる』って」。
そうかあ、美樹さんがねえ。何だかうれしくなりました。
家族やスタッフや周囲の人が自分のイメージ通りに動いてくれないと、ついつい愚痴ってしまいがちになりますけど、いくら愚痴ってみても、また次の愚痴につながるだけです。だから、そうです。愚痴ってないで自分が変わればいいんですよね。あの美樹さんが心がけていることなんだから、間違いありません。

過去と他人は変えられないが、未来と自分なら変えられる。

これは北原さんのラジオから拾った言葉。北原照久、渡邉美樹、尊敬するおふたりから出た同じ言葉。
これを、ぼく自身の来年のテーマにしようと思います。

2011年、いわふちひでとしは、カ・ワ・リ・マ・ス。