この庭の特等席、バーベキューテラス。
バーベキューテラスと呼ぶと「バーベキューするための場所」みたいな印象になりますが、そうではありません。「外の部屋」ということです。
リビング・ダイニングで過ごしているのと同じ感覚で、境界無く行き来する場所、室内と同じ「暮らしの場所」なのです。その暮らしの中のひとつのシーンとして、ここで心置きなくバーベキューを楽しめる、そういう場所として設計してあります。

この場所を「外の部屋」として成立させているいくつかの要素があります。今日は基本となるふたつの要素を、明日はそれを前提として付随する3つの要素を解説します。


まずひとつ目。地面を玄関ポーチと同じ高さまで持ち上げて、部屋との段差を小さくし、出やすくしてあります。



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基礎の通気口は確保しつつ、部屋との段差を小さくする
これによって、庭に出やすくなることはもちろん、部屋のフローリングと外のタイルがひと部屋の張り分けのように感じられて、広がりとともに、リビングがゴージャスな雰囲気になります。

ちょっとイメージしてください、あなたの家のリビングの外に、段差なくタイルの広場があるって。
・・・ゴージャスでしょ。そして、出やすくなるし、部屋がグンと広くなった感じになりますよね。

玄関ポーチと平らにするというのもポイントです。
これはお客様が玄関ドアを開けて家に入るのではなく、インターホン越しに「お庭へどうぞ」と声をかけて 、左折して直接庭へ来てもらうことをイメージしてのことです。ポーチからフラットなら誘われるままに入っていきます。
昔の日本家屋ってそういうものでした、お客様は庭から来て縁側に腰掛ける。ぼくの田舎の魚沼市では、まだそういうつくりの家が多く残っています。

実家もそうで、・・・でも、縁側から入って来た近所の人たちの何人かはもうあっちへ行ってしまって、縁側ににぎやかな茶飲み話が響くことも少なくなりました。だからなおさら、時が経つほどに、縁側の記憶が鮮明になる気がします。
縁側は昭和の風景ではありますが、そこにあった豊かな人間関係を復活させるのも大事。
(百歩後ずさりして)復活とまでは行かなくても、そんな時代があったということを子どもに語り継ぐためだけにでも、こういう「庭へどうぞ」というつくりにしてみるのもいいんじゃないかなあと思っています。
ごく親しい人だけでも、昭和な庭の使い方に参加してくれると、楽しいんだけどなあ。

昭和時代、庭は玄関であり居間でした。


基本となるふたつの要素のもうひとつは、「目隠し」です。



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テラスの周囲にまわした目隠し塀、これ無しにはここに「外の部屋」は成立しません。

道路から見るとこうです。



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塀の内部とリビングをしっかりと目隠ししています。

中からはこんな具合です。



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塀の2カ所にスリットを入れて、アイアンの飾りを取り付けてあります。
これは塀を必要な高さまで上げると、やや圧迫感があるような気がしたのと、ばの雰囲気づくりを考えた演出でした。



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目隠し効果を損ねない、ほんの小さな隙間からでも外が覗けると、場の開放感がグッと増します。

お隣側は、板塀で目隠ししました。これも場を和らげる効果がありました。



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木材の質感というのは、日本人には特別馴染むのかもしれません。
3面を目隠しするときに、このように1面を板塀にすると、その板塀の1面が全体の印象を支配するのです。



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お日さまの光を溜め込んで温かくなっているような木の質感。思わず触りたくなりますよね。もし床面なら、寝っ転がりたくなります。それが木材の魅力なのです。コンクリートやプラスチックや金属だと、そういう衝動は出てきません。

材木の魅力は陽の光を溜め込んだ温もりです。


2方向をスリットが入ったコンクリートの塀、1方向を板塀にして目隠ししたこのテラス。椅子に座るとこんな風景です。



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この場所が道路沿いにあるなんて思えない、中庭か裏庭に居るみたいな落ち着き感が得られました。


庭が道路沿いにあると、それだけで「過ごす庭」をあきらめてしまう人が大半です。
あきらめてはいけません。必要なところに目隠しをするだけで、前庭を中庭や裏庭みたいにすることができます。