3つのバラバラの事柄が、ひとつにつながる瞬間。それは庭の声によってもたらされました。

1、人は幼子のような、好奇心に満ち、しなやかな感性を持っている、優しい生き物である。

2、
人は人間関係上の感情について、それを学習で修得することができない。

3、
人間関係は上書きが可能。



DSC_0863



寒くて部屋に入ろうとした瞬間、庭は言いました。

つまりさ、こういうことさ。
例えば青春ってさ、みんな悩むだろ。結婚したらしたで、苦しいことが起こるよね。子育ても、仕事も、何もかも、辛いことが付きまとうよね。
理想を追う、夢を思い描く、恋をする、ぜーんぶ苦しみの種。そんなことは親も同じことに苦しんできたことだし、ちょっと本読めば、さんざん繰り返されてきたことだってわかること。それでも、ワクワクしながら自分で苦しみの方へと歩いていってしまう。童心、幼いんだよなあ。



DSC_0869



自分でそうしなくたってさ、病気になったり、会社がつぶれたり、いじめにあったりさ。大雨で土砂崩れに巻き込まれたり、津波だってやってくるんだから。苦しいよねえ。
何でだと思う?何でこんなに苦しむんだろうって。

「上書き可能」にその答えがあるんだよ。

辛いこと、苦しいことのあとに、必ずその辛さ苦しさよりも大きな楽しさ、うれしさが用意されているって、気がついているかな。ネガを反転するとポジになるってこと。そしてポジの方がネガよりもリアルに鮮やかに見えるってこと。
亡くなった人のことって、嫌いだった人のことでも、いやな思い出が消え去るだろ。楽しかったこと、幸せだったポジティブな思い出だけが印刷される。

人はネガフィルムを反転させて印刷するように仕組まれているんだ。

夫婦でも、喧嘩するほど仲がいいとかって言うだろ。喧嘩して、喧嘩して、その分愛情が強固になってゆく。それが上書き機能さ。



DSC_0882



つまりね、
人間関係や感情のことを学習できないようにしておいて、苦しむことがわかっているのに、夢を追うとか恋するように仕組んであるんだ。通過儀礼だね。
どこに向かって通過するかというと、・・・幸せだよ。
お母さんが帰った夜、言っただろ「幸せを次に繋いでいくことが、生きてることの意味なんだよ」って。
大きな幸せを感じるために、愚かを承知で夢を追うんだ。ジョブズも言ってたじゃん「Stay hungry. Stay foolish」って。
ジョブズって、チンパンジーから最も遠い人間、つまり、子どもだったよね。子どものまんまで遊び倒した人生だった。仕事を仕事だなんて思ったことなかったんだよ。全部遊び。



DSC_0879



はい、つながっただろ、3つのこと。
人は、優しく好奇心にあふれて、なおかつ苦しみを回避する学習能力を与えず、全ての人に悩みや苦しみが訪れるようにプログラムされている。そのプログラムを有効なものとするために欠かせない機能として、上書き、ネガを反転する能力を持たせてある、ということさ。
だから、いろんなこと起こるけどさ、それはぜ―んぶ、大きな幸せを掴むための前振りなんだよ。苦しんで、幸せになって、それを次に繋いでいくことのために奇跡の命を与えられたんだ。
だからね、恨むな愚痴るな。
キリストくんは言ってたよね「許しなさい」って。ブッタくんは「考えるな」って言ってたし、ジョンは「イエスって言ってごらん」って言ってた。みんな同じことなんだよ。



DSC_0876



なんだか、突然の庭の言葉に、感動したのです。「人は幸福になるべく生まれてきて、人生は幸福感を次世代へと運んでゆく航海」ということです。苦しみや辛さはその航海の燃料ということ。



DSC_0872



感動しながら、これが聞こえたのは、きっと今、自分が大きな幸せの中にいるからだろうなあと思いました。理屈じゃなく、さすがに苦しみの中にいるときにはこの声は聞こえないだろうなあって。それが苦しいということですからね。
ぼくがもし、苦しみから抜けられずにもがいていたら、きっと「語りかけてくる庭」は設計できないだろうと思います。だから、幸せの中に居続けることが、ぼくの仕事の核なのです。
その幸せってね、派手じゃないんですよ。地味に見える幸せ。何気ない感じ。
朝起きて、妻が庭に居て、朝日を浴びながらバラの手入れをしている様子に、起き抜けの表情筋がゆるむとか、そういう感じ。
ぼくはおしゃべりな庭を生み出し続けたいので、何が起こっても、そんな、静かだけど確かな、小さいけれど強い、幸せを感じ続けたいと思っています。・・・デクノボーみたいな幸福感かな。





明日は「上書き機能と庭の存在」について書きます。