中国からやって来たおじいさんの言葉シリーズ、最終回です。



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辛いことが起こったら、そこにこそ次の幸せの種が芽吹くのだと思いなさい。
物事が順調なときには、注意深く災厄の芽を摘みなさい。
落込んだり、いい気になったりしていてはいかんよ。



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水のような人のことを優れた人と言う。
水は器に馴染み、低きに流れ、天に昇り、その状況に合わせて自分を変化させる。かと思えば石を削り砕くこともできる。
水のように生きる者となりなされ。




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安請け合いをしてはいかん。引き受けたからには全力でそれに打ち込むことじゃ。
無責任な人間に徳のある者はおらんぞ。




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どんなに才能があろうとも、人と仲良くできん者は幸せにはなれんよ。
自分よりも劣る者にも合わせることができなくてはならん。
才走るばかりではダメなんじゃ。




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幸せになるコツはな、物事をあるがままに捉えて、それに感謝して、私欲を無くすことじゃよ。



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あんまり熱を入れすぎると失敗する。
物事を成し遂げるには気張らずに、ほどほどの力で、じっくりと打ち込みなされ。




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せっかく才能がありながら、なかなか日の目を見ない者には共通点がある。「出しゃばりすぎる」ということじゃ。
真に有能な人間というのは、慎み深く、一見すると愚か者のような顔をしておる。




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白い鳥は水浴びをしたから白くなったんじゃなくて、最初から白い。
あんたも最初からあんたなんだから、ありのままでいることが大事。
ありのままのあんたが一番美しい。




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苦手なこと補うよりも、得意なことを伸ばした方がいい。
苦手なことなどすべて忘れてしまいなさい。







老子は2600年前の中国の人です。その言葉が今日まで語り継がれているわけです。
こうして老子の言葉を並べてみると思うんですけど、その教えはイエス・キリストやブッダとリンクしますし、アメリカインディアンの教えともダブりますし、ブリキのおもちゃ博物館の北原照久さんの言葉とも通じます。
つまり「人間は洋の東西を問わず、(少なくても)2600年前から同じ悩みを抱え、同じ気づきに救われながら生きてきた」ということになります。

もうひとつ「学びや気づきは遺伝子情報に組み込まれない」ということも思います。
親が苦悩の末に得たよりよく生きる知恵を持っていても、子どもはやはり同じように悩みながら答えを探し求めて生きますよね。

いくら科学が発達しても、心の苦悩は解消されることなく繰り返される。

例えば結婚です。いくら親が「恋愛感情に酔うことなく、性格や収入や将来設計などを吟味して理想のパートナーを捜しなさい」諭したところで、子どもは盲目の恋に落ちて結婚をし「何でこんな人と・・・」と悩み苦しむことになります。

これはつまり、失敗や悩みや苦しみを乗り越えるところに人生の意味がある、神様がそのように設定しているということなんです。だから科学技術は代々積み重なって高度になっていくのに、心のことは一代限りで子どもに伝えることができないよいうになっている。

悩むから人間。
悩みの森に道を見出すことが生きるよろこび。


人間の脳はそのように設計されている、と思えば、どうです、よりよく生きるためにはもっと悩めばいいってことになりますよね。でしょ。

このシリーズの最後に、老子のこんな言葉を。

神様は善行を見逃したりせんから、心配せずに徳を積みなさい。
道に迷って悪事に走らなければ必ずいい人生になる、そう信じて大丈夫。このじいさんが保証するよ。
だからいろんなことがあるだろうが、今日を正しく懸命に生きなされや。


タオイズムは、神様が人間に与えた「試練の中でよりよく生きよ」という命題を学ぶための、普遍的で絶対的な哲理。
その根本が自然の流れやリズムと合致しているところが、いいんだよなあ。
自然は厳しく、そして優しい。
だから人間もまた、そのように生きなさいということなんですよね。