『見解の相違』

このブログを読み込んだ奥様が、「眺める庭から過ごす庭に変化させたい」と思い至り、ワクワクとイメージを膨らませて、ご主人に「庭用のイスとテーブルを買いたいんだけど」と相談を持ちかけました。
ご主人は、妻がイスとテーブルを欲しがっているのだと理解し、真剣にイスとテーブルについての考察を巡らしてアドバイスをしてから、自分の好みのイスとテーブルを主張します。それは、折りたたみ式で、物置に収納しやすいという利点がありました。
奥様としては、「お部屋の家具と同じく座り心地が良くて、庭に置きっぱなしで使いたい」という意向ですから、徐々にイライラしてきてしまい「やっぱり私たちは好みが違うわね」という結論に達して相談は決裂。
庭は「眺める庭」のままで、奥様に一瞬湧き上がった「過ごす庭」のイマジネーションは、きれいさっぱり消えてしまいましたとさ。



イスを持ち出して腰掛けてみることから
「過ごす庭」のイマジネーションが広がる。

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意見のズレは視点のズレ。
同じ方向を向いてから語り合うべし。



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奥様は「庭に腰掛けて過ごすシーン」をイメージしていて、ご主人は「物質としての椅子とテーブル」をイメージしているのですから、交渉決裂はやむを得ないことだったのでしょう。
仮に、奥様が「毎晩庭で、あなたとワインを飲みながら過ごしてみたいんだけど。お友達が来た時も庭で。朝食も庭で。そういうの、素敵でしょ」と、シーンでアプローチしていたら・・・。


キャンプに出かけましたシャーロック・ホームズとワトソン医師。美味しい夕食とワインを楽しみ、ふたりは眠りにつきました。
数時間後ホームズは目を覚まし、誠実な友をつつきます。

ワトソン君、上を見たまえ。
そこから何が言えるだろうか。


ワトソンは答えた。

何百万もの星が見えるねえ。

ホームズは言った。

ではそこから何が引き出せるだろうか。

ワトソンはしばらく考えてから言った。

そうだなあ、占星学的には土星が獅子座に入っていることが認められる。時計学的には現在時刻はおおよそ三時十五分くらいだと推察できる。気象学的には、明日はいい天気だろう。神学的には、神はただひたすら強く、我々はこの世の中の取るに足らない一部分にすぎない。
君はどう思う、ホームズ。

ホームズは、一瞬沈黙してから言った。

ワトソン君、わかっていないねえ。何者かが我々のテントを盗んだのだ。


本質の一致、課題の共有、共通の目的意識など、新婚時代なら1ミリのズレもないこれらのことが、夫婦も古くなってくると、合致することの方が少なくなるようです。
でもですね、世の中には、歳を重ねるほどに理想の関係へと成長するご夫婦は多く実在するわけですから、そこを目指す気持ちは失いたくないものです。

例えば夫婦間のあらゆる課題に対して「ふたりの幸せを築いてゆくために」を枕詞にするというのはいかがでしょう。

理想の夫婦なら、「過ごす庭」の実現など、チョチョイのチョイです。
「眺める庭」であっても、おふたり揃って理想の夫婦像を目指す気持ちを失っていなければ、そのカンヴァスに描かれてゆく絵は、ルノワール級に美しく、感動的に仕上がることでしょう。

それ以前に、失われてゆく恋心をいかにして取り戻すのか。庭よりも、そっちの方が重大な課題。
冷めてゆく恋心をレンチンするために、庭をリニューアルするケースは多々あります。
そんな場面が来たら、見慣れた庭を見つめ直してみてください。