栄区のオープンガーデンが開催されました。今年はバラとのタイミングがよく天気もまずまずだったので、たくさんの方が花咲く庭を巡る素晴らしい時間を過ごされたことでしょう。ぼくはといえば、仕事が立て込んでいて後藤さんちに行っただけ。残念無念でした。来年はしっかりスケジュール調整をして、二日間たっぷりと、丹精した庭の感動を浴びまくろうと思っています。



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 ぼく自身、庭を思い描き、それを現実の空間として出現させることが仕事なわけで、常に目指しているのは「感動」です。感動する設計、感動する庭、感動的な人生の舞台となる庭の実現。そんなぼくが後藤さんちを始め、お客様方の数多くの庭から感動を得ながら、その感動を糧に次の設計へと向かっている。つまりは感動が仕事であり、ぼくの暮らしであるとも言えます。



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 故に、ぼくは感動の達人と申しましょうか、あるいは感動中毒かもしれません。毎朝その目的地へ向かって進めるように、起きたらすぐに庭に出て今日の組み立てをする(やること、やりたいことは山のようにあるため、その中からシンプルにひとつかふたつの事柄を選んで、それに集中するための助走に入る)。夢中で仕事をし、夕方帰宅したらこれまたすぐに庭に出て、ストレッチをしながら明日のことをイメージする。それが済んだら頭を切り替え、仕事以外の事柄を耳から入れつつ(タイムフリーのラジオか音楽)、軽くビールを飲みながら家事(主に料理)。そして食事が済んだらまた庭に出て、眠くなるまで本を読む(この頃はずっと、川勝正幸著『丘の上のパンク:時代をエディットする男:藤原ヒロシ半生記』を繰り返し。面白過ぎてなかなか眠くならない)。それからベッドに入ってくるココ(愛犬)とミー(愛猫)と一緒に心地よく熟睡して、目覚めたら庭へ。数年間これをひたすら繰り返しています。全ては感動の庭づくりのために。あるいは感動的ないち日を怠りなく積み重ねてゆくために。



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 というようなことを時々ですが人に話すと、きょとんとされるんですよね。きっと感動って、そうそうやってくるものではなく、人生に何度かしか遭遇しない感情だと捉えているのでしょう。ぼくも以前はそうだったかもしれません。でもですね、若い気のままで仕事に熱中していて、ある日ふと気がついたら還暦を過ぎ、孫がなついてくるお爺さんになっていたという、そんな年齢になったら誰だって恥ずかしげもなく感動を追い求めるようになるんじゃないかなあ。他に何かありますか?悔いなく人生を仕上げて去ってゆくために必要なことって。父が天寿を全うし、気の早い友人がコロナで逝き、当たり前だけど命には限りがあるんだなあと呆然としながら、ぼくには仕事に感動すること以外見つからなかった。だから単純に、それに集中しているのです。ぼくはそもそも物事を複雑に考えすぎるきらいがある。もうそんなタイムロスはもったいないのであります。



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 庭から降ってくる感動。毎年後藤さんちの庭は、欠かさずそれをぼくにプレゼントしてくれます。もう20年以上も、毎年必ず。ぼくはバラの香りに包まれながら、きっと後藤さんの暮らしぶりというか、後藤さんご夫婦の人生に感動しているのだと思います。庭は人を映し出します。そして花の数と幸せは比例します。庭という、どこにでもあるありきたりな場所が、どこにもない特別な、感動的な空間として存在できることを、リアルに教えてくれたのがこの庭、後藤さんちの庭なんだよなあと、そんな感慨に浸りつつ撮影しました。



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 感動ですよ、感動。庭ですよ、庭。他にないでしょ、素晴らしき人生の舞台として人を励まし導いてくれる生活空間って。リビング?寝室?バスルーム?トイレ?あるいは車?・・・・やっぱり庭じゃなきゃ、って、ぼくは思っているのですが。



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 後藤さん、来年も楽しみにしています。今年もたくさんのバラを咲かせてくださってありがとうございました。あ、佃煮も。