Up in the mornin'
Out on the job
Work like the devil for my pay
朝に起き
仕事へと向かい
亡者のように働く 金のために
But that lucky old sun got nothin' to do
But roll around heaven all day.
けれど運のいい年老いた太陽は 何もせず
天国で 一日中 ただ転がっている
I got to work for my family,
toil for my kids
Sweat till I'm wrinkled and gray
家族のために働き
子供のために苦労を重ね
汗をかき続ける 皺だらけで白髪になるまで
While that lucky old sun got nothin' to do
But roll around heaven all day
運のいい年老いた太陽が 何もせず
天国で一日中 転がっている間も
Good Lord above,
don't you see I'm pining,
tears all in my eyes
主よ 見えませんか
涙で一杯になっている私の目が
Send down your cloud
with a silver lining,
lift me to Paradise
届けて下さい 貴方の雲を
銀の光と共に
引き上げて私を 楽園へと
Show me that river,
take me across
Wash all my troubles,
wash them away
見せて下さい 川を
導いて下さい 対岸へと
私の抱える困難を
全て洗い流して
Like that lucky old sun, give me nothing to do
But roll around heaven all day
私に何もしてくれない 運のいい年老いた太陽のように
ただ転がっていたい 天国で 一日中
Good Lord above,
can't you see I'm trying,
tears all in my eyes
主よ 見えませんか
藻掻いている私が
涙で一杯になっている私の目が
Send down your cloud
with a silver lining,
lift me to Paradise
届けて下さい 貴方の雲を
銀の光と共に
引き上げて私を 楽園へと
Show me that river,
take me across
Wash all my troubles away
見せて下さい 川を
導いて下さい 対岸へと
この困難を全て洗い流して
But that lucky old sun got nothin' to do
But roll around heaven all day.
なのに運のいい年老いた太陽は 何もせず
天国で 一日中 ただ転がっている
ようやく峠を越えた今年の灼熱を振り返り、思うことがふたつあります。ひとつは「今後はこれが夏のスタンダードになるのかな?」で、もうひとつは「適応の仕方やいかに?」。昭和の夏を知る人たちは、もしかしたら黄色いツバメか戸惑うペリカンか、適応のシナリオが描けないまま耐え続けた夏だったのではないでしょうか。
ぼくがそうでした。暑さ寒さに対してファイティングポーズで挑んでゆくタイプですから、それはもうヘロヘロで、結果的にはノックアウト寸前でロープに逃げ、最終ラウンド終了。ジャッジメントで負け。そんな感じでした。負けとはつまり、仕事の成果が上がらなかったとうことです。設計、現場作業共に通常の半分も行かない体たらくで、体感的には「暑さに耐えてよく頑張った。感動した!」と、毎日美味しいビールを飲んでいたのに、いやはや。
職人さんたちもキツかったと思います。植木、大工、土木、電気、タイル、塗装と、ぼくの設計を具現化してくれる人たちの職種は多岐に渡ります。そのすべての人が外仕事ですから、10分動いたら5分休み、30分動いたら15分日陰で座り、1時間動いたら30分冷たい飲み物で休憩を取る、といった具合。サボっているわけではなく、気力が弱っているのでもなく、そのくらいにしないと体がもたないのです。そして作業が一区切りついたらまだ早めの時間でも引き上げます。そんなのが2ヶ月続いたのですから、我がチームに誰一人勝者がいない夏でした。
本当に、やり方を変えないといけません。条件が許せば夜間に仕事をするとか、すっぱりと夏休みにしてしまうとか。昭和の感覚で夏と対峙するばかりでは仕事が成立しない、そんな気候になったんだなあと実感しました。はてさて来年はどうしたものかと思案中です。適応せよ、という理屈は百も承知。では如何にして?現場に日除を設置したり、大型扇風機を使ったり、重機を多用して(コストが上がります)人が楽できる段取りに切り替えるなど、すでにあの手この手でジタバタしています。さらなる新手を模索するジタバタが、唯一ぼくらにできることなのだと、上の方から、諭すように、励ますように、老いた幸運な太陽は言っているのです。
冒頭のゴスペルチックなブルース「 That lucky old sun 」は、レイ・チャールズの他にアレサ・フランクリン、ルイ・アームストロング、レオン・ラッセル、日本人では忌野清志郎も歌っています。ぼくが好きなのは久保田真琴と夕焼け楽団のこれ。そんな有名な曲だと知らずに、かれこれ40年前から、夏の現場でこれを口ずさんできました。もしかしたら、こういう昭和的な嘆き節では、次の手を見つめることができないのかもしれません。
それはそれとして、この曲は素晴らしいですよ。嘆きとは、言ってしまえば愚痴ですが、それをゴスペルにまで昇華すれば心震える応援歌になるんですよね。ぼくが現場で大汗かいている時は脳内にこれが流れていますので、「ああ、いわふちは体力勝負を挑む自分に酔いしれて、暑さを楽しんでいるんだな」とご解釈ください。もしも汗まみれの姿から悲壮感が出ていたら、それは誤解ですから。昭和生まれは時代が変われど、苦労を快感に変換する性質を持っているのです。いやほんとに、夏が大好きなんですよ。