ウッドデッキが壊れてきたので、というご相談。



松本邸Before3



 ええっと、このデッキはこれまでどのように使っていたのですか?

 特に使ってはいなくて、まあ、通路として役に立っていたという感じかな。数年でご覧の通り、歩くのが怖いくらいに壊れてしまいました。

 なあるほど。もっと丈夫な材木を使って、頑丈な構造で、目隠しを施して、日々洗濯物を干したり、気が向けば庭の書斎、過ごす場所として長く使えるデッキを設計しますね。ぼくと同年代のようですから、ご存じですかね、「 時代は変わる(THe Times They Are A-Changin' )」。

 ボブ・ディランですね。

 はい。


Plan A
松本邸PlanA


Plan B
松本邸PlanB


 これを元に検討を重ね、折衷案プラスアルファで新たなウッドデッキが出来上がりました。



Before 1
松本邸Before1

After 1
松本邸After1


Before 2
松本邸Before2

After 2
松本邸After2


Before 3
松本邸Before3

After 3
松本邸After3


Before 4
松本邸Before4

After 4
松本邸After4


Before 5
松本邸Before5

After 5
松本邸After5




松本邸1

松本邸3

松本邸4

松本邸5

松本邸6



 コモディティー化(一般化)。ウッドデッキに限らず庭全般に言えることとして、それがほとんど意義を持たないレベルで一般化してしまうと、そこに価格競争が始まります。価値を望まない要望ならできるだけ安い方がいいわけですから、当然の流れとして提供側は価格競争のレッド・オーシャン(血の海)状態となり、どこまで安く、デッキの体裁を整えるかという一点にのみ努力するようになります。やがて共倒れで業界そのものが消滅しまう、という流れを誰も止められない。価値ではなく物質を売ることの悲しい結末です。いろんな業種で起こったこの悲劇を、きっとあなたも目撃したことでしょう。たった数年前に吹き荒れたコモディティー化の嵐。過ぎてしまえば笑い話ながら、当時もがき苦しんだ人たちの多くは、その後どのような道を辿ったのでしょう。がんばれがんばれ!時代の変化に置き去られないために必要なことは、物事に価値を求め、それを判断する感覚なのですよ。提供する側も、受け取る側も。
 デッキ屋さんにもそんな苦難の時代がありました。わずかに生き残った業者は、安さではなく、素材、構造、構成、意義、そのデッキの価値の創造に懸命です。こうして絶滅の中から次なるニッチ(ブルーオーシャン)にたどり着いた者が、まともな提案と施工をするようになる。これが進化なんですよね。






仲間を探しておきなよ
どこにいたって
君の周りでは流れが渦巻いてるんだから
だから気をつけろ
でないと溺れるぞ
もし君に未来があるとしたら
ちゃんと泳ぐことが必要だ
沈んでしまわないようにね
時代は絶え間なく動いていくのだから




HI 田部井くんも業界が長いから、コモディティー化の悲劇は目撃してきたよね。

田部井P ほんとに、過ぎてしまえば笑い話ですけど当時は笑えることではなかった。みんなこぞって、安くて価値が無い庭をつくり続けていましたよね。そして誰もいなくなった。

HI アガサ・クリスティー。

田部井P はい。