魚沼産コシヒカリの美味しさには、他の地域にはない3つの理由があります。

1、魚沼人が生真面目だから

 今となっては信じられないことですが、かつて(ぼくの親が生まれた頃)新潟米はまずい米の代表格だったそうです。
 それを打開すべく県の農業試験場が開発したのがコシヒカリ。ただしその栽培は、それまでの稲作の常識を超える繊細さと根気を必要とするものでした。毎日欠かさずに田んぼに行って、葉の色を観察しながら水を調整する。純朴にして頑固で、生真面目一本槍の魚沼人だからこそ為し得た収穫だったのです。



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2、錦鯉の産地だから

 貧しい農村が山と山との間に点在しているような地域に、昭和40年代から始まった国の減反政策はとてもキツいものでした。
 そこである知恵者が始めた苦肉の奇策、休耕田を使っての錦鯉養殖が大当たりし、魚沼は一大産地となりました。この出来事がコシヒカリに奏功します。田園風景に養殖池が点在していたため、田んぼの農薬の使用を極力抑えることとなったわけです(水路は繋がっているので)。農薬を極限まで減らしたことが微生物を旺盛に繁殖させて、土を肥やし、米に滋味をもたらしました。



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3、山間の田んぼだから

 魚沼盆地には広大な平地がありません。
 越後三山が従える山々の隙間に切り拓いた小さな田んぼへは、清らかで、濃厚な自然のミネラルを含んだ沢の水が注ぎ込まれます。地元でも最上級と称される田んぼは、必ずその山の水を最初に取り込む場所にあるのです。



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 雪国の豊かな自然から、黙々と真面目に暮らす人々の営みに与えられた恩恵が、わが故郷魚沼産コシヒカリの味。焼き鮭で、野沢菜で、生卵で、塩むすびで、どうぞご賞味あれ。



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 ちなみに、昨年は暑さにやられてそこそこの出来だったそうで、それを克服すべく今年は丹念な水の調整が行われ、かつてないほどの特上米になったとのこと。お天道様任せじゃじゃなくて、お天道様の恩恵に報いる努力が予想以上の成果をもたらすんだなあと、何だか、大谷の大活躍とダブるような感慨を持ちました。コシヒカリ農家と大谷翔平、何となくですけど。
 魚沼産コシヒカリの新米、今しか味わえない、いわば旬の味です。ぜひ。