キング・オブ・ロックンロール、エルヴィス・プレスリーは、兵役を終えて帰国し、見事なテレビショーを展開します。そして、例のあの衣装を身につけ、キング・オブ・エンターティナーとなりました。その頃ラスベガスのステージでよく歌っていたのが、 S&G の「明日にかける橋」です

そのことを、アメリカの音楽評論家たちは、「巨万の富と名声を得たキングは、貪欲にもさらなるマネーのために、ロックとは真逆にあるフォークソングのヒット曲にまで手を出してしまった」と酷評します。






そんな声に対して、ポール・サイモンが「世の中が何と言おうと、ぼくが心からのエルヴィスを尊敬していることに何の揺らぎもない」というメッセージを込めて発表したのがこの曲、「Graceland」でした。


ミシシッピー州ティペロの川沿いに、小さな掘っ建て小屋がありました。その家で慎ましやかに暮らす、純朴で親思いの少年が、神様から「音楽文化のページをめくる大天使」に指名されたのです。

少年は青年となり、神から授かったその大役を果たしました。
その後にテネシー州メンフィスに建てた白亜の豪邸(アメリカではホワイトハウスの次に有名は建物と称された)の通称が「Graceland」。現在はエルヴィスの記念館として、世界中から信者が訪れる聖地となっています。

ついでに付け加えると、神様から「庭文化のページをめくるのだ」と指示された男が運営する、掘っ建て小屋のような小さな店の名称でもあります。
その小屋は、30年経っても掘っ建て小屋のまま。男は「俺の才能とエネルギーは、エルヴィスに遠く及ばない微少なものだったのだ」などと、今頃になって気づきました、とさ。

でもね、神様、精一杯頑張ったんですよ。そしてまだまだ、これからも神の啓示に従い精進いたしますので、どうか見守っていてくださいませ。アーメン。






ミシシッピーデルタ(三角州)は
ナショナルギターのように輝いて
ぼくは川に沿って道を下ってゆく
南北戦争の跡を目の当たりにしながら

ぼくはグレースランドへ行くんだ
テネシー州メンフィスのグレースランドへ
貧しい少年も放浪者たちも
皆グレースランドへ向かっている

ぼくの相棒は若干9才
初婚の時に授かった子だ
きっと受け入れてもらえるさ
グレースランドに

ある日彼女が戻ってきて
「もうお別れね」とぼくに告げた
まるでぼくが別れに気づいていなかったかのように
あなたは自分の居場所をなくしたのよというように
彼女の髪のとかし方も知らない男であるかのように

彼女は続ける
「愛を失うことは、心に風が吹くようなもの。
あなたが吹き飛ばされる様を眺めながら、
その風を清々とした気分で感じているわ」

ぼくはグレースランドへ行くんだ
テネシー州メンフィスにあるグレースランドへ
貧しい少年も放浪者たちも
皆グレースランドへ向かっている

こうしてぼくの財産は幽霊と燭台だけになった
でもぼくらをきっと受け入れてくれるよ
グレースランドは

ニューヨークには
自分を「人間トランポリン」と呼ぶ少女がいる

ぼくは転んだり 慌てふためいたり 混乱するたびに気づく
なるほど あの少女の予言通りじゃないか

誰もが皆グレースランドに押し寄せていると
少女は告げていたのだなと

愛を失うと確かに心に風が吹き
ぼくがそれに打ち砕かれる様を皆が眺めながら
風音を聞いている

グレースランドへ
ぼくはグレースランドへ向かっている

なぜグレースランドに惹きつけられるのか
その理由を説明することはできないけど

これから全ての愛と結末を見守り続けることになるのか
あるいはそんな義務は負っていないのか 定かではないが

とりあえず
グレースランドへと向かう理由は持っている

グレースランドへ行こう
グレースランドへ
グレースランドへ



夏は祈りの季節。
1977年8月16日、エルヴィス・アーロン・プレスリーは任務を終えて天に召されました。
享年42歳。もし存命なら、今年90歳。

ぼくは・・・67歳。