ティータイム

多忙な少女たち

 ピッちゃんの誕生日。



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 ふたり揃ってバレエの発表会。



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 ミソラの入学式。



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 連日、濃いなあ。彼女らは後年この日々を記憶しているのだろうか、とふと思う。ぼくの場合ひたすらボケーっと過ごしていたようで、入学前後の記憶はほとんどない。幼稚園の花祭りと、小学校初日に自分が行くべき教室がどこかわからなくなって(チャイムが鳴ったら教室に入るというしきたりを知らなかったし)、1時間目の途中までシーンとした校内を彷徨ったことくらいだ。
 ミソラは登校初日、大泣きしながら帰ってきたそうな。何があったというわけではなく、どうやら連日の緊張やはしゃぎすぎで訳がわからなくなったもよう。いつもにっこにっこしてるけど、けっこう気を使うタイプだし、環境激変に感情がオーバーフローしてしまったのだろう。ちっこいのに、とっても頑張り屋だしね。可愛いなあ。
 彼女たちなりに、大谷ばりにナイスファイトを続けている。疲れを知らない子ども時代に、なんでもかんでも片っ端から楽しんで、チャレンジして、タフな心が育つんだろうなあ。そんな彼女たちの姿に刺激されて、ジイジくんも妙に張り切る春爛漫。
 さ、仕事仕事。ゴールデンウィーク前後は老若男女、庭への意識が最高潮に達する時期なので、通常の設計作業に加えて相談のご来店が激増する。ひとつひとつしっかり対応して、夢のような庭世界へとご案内いたします。



本日も出囃子は藤原ヒロシで。
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晴耕雨読・藤原ヒロシのこと

 今朝は雨音が心地いい。やっぱり雨が好きなのだ。
 この仕事は設計半分、現場半分のため、雨が続くと現場が滞ってしまいストレスになる。しかしそれも何千回と繰り返せば慣れてしまって、今はもう気にはならない。「仕方ないじゃんか、雨なんだから」と、心配事を消し去る思考のテクニックは、気づけば筋金入りとなっている。
 ガーデンデザイナーはガーデンクリエイターでもある。ぼくはそうでなくてはならないと思っている。デザインはカンヴァス上ではなく、実際の庭空間に描かなければ価値を持たないのだから。だから、天候との付き合い方も大事な事柄となる。ゆえにガーデンデザイナーは空模様と並走するお天気屋、気ままなナチュラリスト、というのが理想像なのかもしれない。



「春の雨はやさしいはずなのに」と小椋佳。
「春雨じゃ、濡れて行こう」は月形半平太。
春雨サラダには中国の干豆腐と豆板醤。
残雪をとかす越後の雨を思い出すからか、
今頃の雨音は、気持ちが柔らかく上向くのです。


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 晴耕雨読。



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 晴れたら現場へ行き、降ったら設計。設計の他にも雨降りにやってしまいたいことは、設計以上に山積なのだ。仕事以外にも、読みたい本、聴きたい音楽、作りたい料理、ネットではなく店に出向いて現物を物色したい洋服、リネン、雑貨・小物類など、限りないものそれが欲望。



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 晴耕雨読。思惑通りにならない天候には抗うことなく、降ったら降ったでええやないか、やりたいことは限りなくあって、そこから雨音に相応しいチョイスをすればいいだけのこと。天候に合わせた行動を選択するくらいのスキルは、さすがに備わっておるのだ。



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 テレビではキャスターが「今日はあいにくの雨で」と繰り返す。「昼から降り出しますから傘をお忘れなく」。小学生か!と突っ込むことにも飽きて、「ご親切にありがとうございます」と内心で皮肉混じりに返事をする。ぼくは「あいにく」とは思えない。台風であろうが長雨であろうが、雨はいつも恵みの雨。空からの水に歓喜する庭の植物的な感覚かもしれないが、いつもそうとしか感じられないのだからしょうがない。雨音はショパンの調べ。しとしと降ればノクターン、ザーザー降りなら英雄ポロネーズ。誰が言ったか知らないが、雨音は、バッハでもモーツァルトでもなくフレデリック・ショパンの調べでなければ馴染まない。実に見事な比喩である。



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 いや、ほんとに、今日の雨音は質がいいんだよなあ。きっと藤原ヒロシの昔の音源を発見したからだと思う。それを店のBGMにして、その音のバックグラウンドに雨音。これがマリアージュってやつなのだよ。藤原ヒロシ、ぼくよりも三つ下だから還暦親父ながら、年齢不詳のなかなかカッコいい、いい感じの男。久しぶりの良き出会いというか発見。知らないでしょ、藤原ヒロシ。ぼくはついこないだまで名前も存在も一切知りませんでした。少年の頃からアンダーグラウンドで好きなことだけに熱中し、いつの間にかNIKEとコラボとか、メインストリームの偉人になっている人。しかも思考は少年のままで、少年には成し得ない本物感を持っている。そんなのありなんだ、と、頭が少年というかガキのまんまで浮遊しているぼく的には、なんか、彼の存在に救われた気がして。こんなんもありなんだよって。だからしばらく藤原ヒロシに夢中で過ごしてみようと思っているしだい。とりあえずAmazonで関連本を購入。夜の庭での楽しみがまたひとつ増えた。いい感じいい感じ。還暦過ぎたら、日々、お楽しみを増やしてゆくことが肝要なり。






当時ヒットしようがしまいが、本物は時間で色褪せたりしない。
それどころか、次代に味わいを増して響くんだなあ。
ああ、いい感じいい感じ。


Reversal Chase

 庭を楽しく美しく維持するために必要な、いくつかの事柄を示せ。
 このような何らかの事象に至る要因を列挙せよ、という設問には、並べれば百も二百も出てくるし、YouTubeで流行りの「〇〇を実現するたったひとつの方法」みたいに、ズバリ言うわよ!と、象徴的に結論めいた一言を掲げることもできる。だが前者はピントがぼやけて本質を表せなくなり、後者の場合はその後に誠実にして丁寧な解説を添えない限り、詐欺師お得意の騙りのような印象を与えてしまう。
 バブル後に起こった社会的価値観及び個人的人生理念の崩壊と、再生への彷徨い。善良なる人の群れは、羊に似て、ただただリーダーを求めて、いまだに安全を確保さえれた柵の中でぐるぐると渦を巻いている。彼らは越し方で「ブルーオーシャン戦略」や「100匹目の猿」といった書物など読む機会がなかったのかもしれない。もしかしたら聖書すら手に取ったことがない可能性がある。
 あ、それでいいのです。それは幸いなること。バイブルを熟読して得られる幸福感は、背景として、土台として「人生とは辛く悲しく虚しく儚い時間のことなのだ」という世界で救済を求める民を心地よく折伏するために、イエズス会が仕立てた寓話の類いなのだから(古事記・日本書紀と同じく)。背景がそうである限り、民はそのように、辛く悲しく虚しく儚いと定義された世界から一歩も抜け出せない。ただそこで無闇に己を鼓舞し、家族で気分を励ましながら生きて、静かに人生を終えるしかないのである。アーメン。賢者に神の祝福あれ。
 現世・・・善良にして神聖なる羊の群れは、こと庭に関して言えば、だが、今も混乱しながら行き先の見当がつかないままで彷徨いを続けている。待てど暮らせど現れないモーゼ。だったら・・・
 

春雨混じりの散歩道、
なんとなんとユキヤナギが咲いていました。
ということは、一週間後にサクラ咲く。
ちまちまとした人の思惑をよそに、季節はダイナミックに巡っておりますなあ。
豆粒ほどに小さい花が、威風堂々と咲く姿たるや。


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 朝からそんな愚にもつかないことをつらつら考えながら、ぼくは本日64歳になったのです。なったのです?そうですか。そうなんですか、本当に?「なったんだそうです」という言い方の方がしっくりくるほどリアルな実感を伴わないわけでして、まあ、こんなものなのでしょう。こんなものであってもなくても、63歳として過ごした時間が有意義なものであってもなくても、着実に年齢はカウントされてゆく。弱気な自分はトホホと嘆き、強気な自分は「急がねばなるまい!」と気合いをいれる。



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 強気な自分を励ますのが正解であることは明らかなのである。



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 弱気界と強気界を行きつ戻りつ、数年単位で俯瞰するなら弱気な自分が優勢だったことは否めない。エエカゲンニセナアカンヤロ。「庭を楽しく美しく維持するために必要な、いくつかの事柄を示せ」という自問・設問・オブジェクションに対して、即座に澱みなく三つの回答を並べることができるのが強気で前向きで有能感に満ちた自分の状態だったのだ。だから、今日、そこを目指してギアをリバースに入れる。そしてアクセルを踏み込みハンドルを切って、元気いっぱいだった自分の追跡を開始するのだ。そして必ず、ヤツを追い抜いてみせる。



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 ちなみに今夜は、孫の美空の卒園祝いとな兼ねて、ぼくのバースデイ・パーティーをやってくれるとのこと。感謝。電チャリでハングリータイガーの急坂を漕いで馳せ参じる。楽しみだなあ。 
 
本日の出囃子は、音大生の習作(なのかな?)で、気に入って繰り返し聴いていたこれを。
彼のインタビューも。若さいっぱいなマエストロに励まされる64歳最初の朝。





橋口 幸寿 (はしぐち ゆきひさ) [大3年]

東京都出身。 作曲を久木山直氏、高木洋氏、渡辺俊幸氏、松浦真沙氏の各氏に師事。 劇伴音楽、歌モノ、エレクトロニカ他、様々なジャンルの作曲を好む。 好きな作曲家はジョン・ウィリアムズ、トーマス・ニューマン。 好きなアーティストはBUMP OF CHICKEN、古川本舗、i am robot and proud。 趣味はゲーム、散歩中の音楽鑑賞。

 

——今回の音デオケは”未来”というテーマですが、どのように連想して作曲しましたか?

橋口「未来って言ったら”明るい未来”というイメージがあると思うんですけど、それと同時に、恐らく誰もが感じるであろう”不確かな未来への不安”っていうのもあるじゃないですか。この曲は、突如として襲い来る不安感という実態のない敵に追いかけ回されるも、最後には打ち勝ち、見事に脱するというストーリーとなっています。」

——曲を聴いて凄い未来感を感じたのですが、何か工夫などはありますか?

橋口「僕自身、スターウォーズを見たり音楽を聴いたりしているんですけど、ジョン・ウィリアムズの曲ってやっぱ未来感を感じるんですよね。例えば、低音でCのコードを鳴らして高音でDのコードを鳴らすポリコードとか、sus4のコードなどを使ったりとか。そういう、自分が未来だなと思うコードを取り入れましたね。」

——曲に疾走感があったり、壮大さがあるの良いですよね。

橋口「そうですね、さっきのスターウォーズの影響もあるんですけど、宇宙船が飛行していたり、敵と戦うシーンがあるじゃないですか。そういう情景も書きたかったし、例えば最初の弦楽器の刻みとかの工夫も、そういう疾走感や浮遊感に繋がってきますね。」

——ダークな展開って、どのように作られているのですか?

橋口「よく映画音楽の作曲であるんですけど、クラスターハーモニーと呼ばれる半音のぶつかりや、短3度という不安定な音程を使ったりなど、人が聴いて怖いと思うような音使いにしました。」

——この曲の聞き所はどこですか?

橋口「全体的な情景はそうですし、”先に進むような未来さ”と”敵と戦うようなダークさ”の二面性を楽しんで頂きたいですね。」

——作曲活動はいつから始めているのですか?

橋口「高校の時、DTMゼミみたいなのがありまして、最初は打ち込みでインスト曲を作っていたんですよね。作曲を進めていく中でいろいろな音楽を聴いてきて、大学2年生からオーケストラを作りたいと思って、こういう劇伴の方向に行きました。」


Twinkle, twinkle, little star・・・・

 昨晩は孫たちから雛祭りのご招待を受けて、ジャジャーン!ジイジカメラマンの登場。みるみる大きくなるふたりのお嬢と、にぎやかで楽しい時を過ごしました。



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 自分が子供の頃に、冠婚葬祭で集まる親戚から「あっという間に大きくなるねえ。こっちも歳をとるわけだ」と、決まりごとみたくそう言われたことを思い出し、ああ、このことなんだなあと。これが育ち盛りってことなのでしょう、春先に突然にょきにょき伸びて花を咲かすチューリップみたいに、ふたりとも急速に大人方向へと進化してゆきます。



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 驚いたことに、美空は春から小学生だそうです。何となくは把握していたものの実際にその日が近いことを知って、嬉しさと、心配と、もう小学生なのかあという寂しいような気持ちと、いやはや幸せとは単純な味ではなく、複雑な気持ちを混ぜ込みシェイクした、フレッシュなミックススムージーの味わいなんですねえ。



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 バレエの発表会が近いとのことで、ふたりとも張り切ってレッスンに通っているようで、昨夜はそのヘアスタイルのままでのパーティーでした。美空は歯が抜け始め、しかし本人的には見た目など気にならない様子で屈託なく大笑いしています。いいんだなあこの無邪気さが。



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 孫たちに、いつでも15分で会いに行けるようにと購入した電チャリ(電車とバスを乗り継ぐと40分以上かかるのです)に跨り、ひな祭りの歌を口ずさみながら帰宅する途中、ひたすら無邪気に、清らかな心で、楽しさを追っかけているふたりの様子を回想しつつペダルを漕ぐ。まだ少し冷たい夜の空気が心地よし。灯りをつけましょぼんぼりに〜・・・



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 無邪気で、清らかで、楽しさを追い求めて、かあ。ふと「あの感じ、モーツアルトみたいだなあ」と思った途端、曲はきらきら星変奏曲にチャンジしました。キーラーキラーヒーカールー・・・・Twinkle, twinkle, little star・・・・



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 ベートーベンは論理と信念に従い、レンガを積み上げ教会を築くように作曲をした。モーツアルトは無邪気に、天使が吹く口笛の如く溢れてくる旋律を、夢中で譜面に記していったそうな。
 すべての子どもは無邪気な天才である。ただしその天才性の種を開花させるには、庭に降り注ぐ光に匹敵する、周囲からの、安心感を伴うふんだんな愛情が必要なのだ。娘夫婦は実に賢明に親業を果たしている。不出来な親であった自分には敬服すること以外すべはなし。いいぞいいぞ、がんばれがんばれ、おふたりさんその調子で頼むよ。



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 成長につれて、やがてその眩い天才性は消えるであろう。しかし咲いた花の記憶と、咲かせ方のコツは体感として彼女たちの中に、永遠の宝物として残るに違いないのだ。



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 ひな祭り、バレエの発表会、入学式、妹ピッちゃんの誕生日。この春は、ジイジカメラマンは大忙しなのです。幸せなことです。Twinkle, twinkle, little star・・・・

 





That Lucky Old Sun

 年末年始、保護犬活動に熱心な女房殿は「野犬をめぐる冒険」を繰り広げ、横浜と奈良を3往復し、ほとんど家にはいませんでした。

 あの愛情過多というか、世の中的には「普通それやる?」というようなポイントに対して、突発的に生命力を燃焼させオスカルと化す女房が起こす竜巻的な騒動は、同時にぼくの人生上の冒険でもあるわけですが、ただし主役はぼくではな〜い。ホームズではなくワトソン、スペンサーではなくホークかスーザン、大岡越前ではなく伊織の役回り。つまり女房主演の冒険譚においてぼくは脇役でして、トルネードに翻弄される木の葉にされながら、懸命にその物語を美しく感動的に仕上げるために奔走する役回りを与えられる、という具合なのであります。

 まあいいんですけど、これはこれで。おかげで、互いに普通の知性・常識を備えた夫婦であれば賢く回避するであろう種類の恐怖、疲労、時に支え合わずとも立っていられるために不可欠な孤独感、等への耐性が身につきました。そして結果的にはいつも彼女が有する並外れた様々な能力によって騒動は終結し、その後には大きな安堵と、もっと大きな感動を得ることができたのですから、総括としては「苦あれば楽あり」、という辺りで手を打たざるを得ない。こんな夫婦も、あっていいんじゃないかしら、と自分を慰めたり褒めたり。そうこうしているうちに、気づけば茫然自失、共に還暦過ぎたアホ夫婦となりにけり。

 なんだかなあ〜、気が早い仲間は極楽浄土に行ってしまうことが増えまして、越し方を振り返る機会が多くなったこの歳になり、ようやく女房のことを、なんてイイ女と巡り会えたものかと、己が凶運を強運と解釈できるようになった次第。歳はとってみるもんですなあ。それと、初詣で手を合わせる瞬間の厳かさで、神父様の前で誓った、およそ自信など持てるわけもないあの表面的に過ぎる言葉に従い、夫婦は添い遂げてみるもんですよ。お若い方々、ご主人方、愛おしき奥様も、ぼくの見解では十中八九は鬼と化す。そこから夫婦道の修行が始まるのだ。夫婦がやがて、社会のために闘う最愛の戦友同士となるために、家庭において我慢は美徳ですぞ。いや〜、いやはや〜、今回もめでたしめでたし。

 「もっと穏やかに、平らな気持ちで暮らせないんですか?」などとたしなめたところで、加齢によるものなのかツノと化した彼女の耳に届くわけもなし。さあ、次は何をおっ始めるのやら。



冬の朝日は清々しく、そして劇的。
それは日の出前から、てくてくと里山を散歩する人たちの心持ち。

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なんでこんな寒い朝に・・・

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諸般の事情、人それぞれの思いがあれど、
間違いないのは「歩いている」ということ。

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その姿に遠くから、無言のエールを送るぼくもまた、
カメラ担いでてくてくと。

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歩くと足が疲れます。でも、心が疲れるよりはいい。

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てくてく、てくてく、てくてくと。
するとだんだん、空気も体も暖かくなってくる。

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いいもんですよ、冬の散歩道。

冷気浴、逆サウナみたいな。

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トトノウ〜




 さてさて、皆様あけましておめでとうございます、と、すんなり言えない世情。しかしまあ、ユヴァル・ノア・ハラリを読まずとも、つらつら考えるにいつの世も、こんなもんですよね。天災、人災、狂人の凶行、それらをひっくるめて起こる戦争は絶え間なし。スサノオは忘れた頃に暴れ出す。それを諌めることができるのは高天原に在わすお姉ちゃん、アマテラスだけ。アマテラスよ、呆れて岩戸に引きこもることなかれ。

 危機に際して我ら平民にできることは、身を寄せ合い、助け合い、愛情を旨として暮らし、日々庭でお天道様に感謝と誓いを立てて、太陽神であるところのアマテラスに祈ることのみ。お願いだから、せめて子どもたちの命と健全な精神だけは奪わないでください。大人はあらゆる苦難を耐え抜きますゆえ。その証拠にご覧なさいこのぼくを。あの鬼女房にだって立派に耐えているではありませんか。これが神ならざる身の、平民のしぶとさなのですぞ、アマテラス。

 そもそもね、日本国の神様であるあなた方が家庭不和だったからこんな国になっているわけで・・・まあいいです。かつてギリシャの神々が巻き起こしたゴダゴダに比べたら、あなた方はまだ情に厚いし、犯した愚行は、万民に家内安全・商売繁盛へと至る教訓として語られ、人々は初詣で賽銭を投げ、二礼二拍手一礼していますから。ですから少しはあなたも民に感謝して、我々に倣って、あなた方の家庭円満を図る努力をしていただきたい。さすればスサノオも穏やかに暮らしてくれることでしょうから。

 さ、年を跨いで積み上がったままの仕事に一意専心。ひとつひとつ丁寧にこなしますゆえ、「まだか。どうなっているんだ」という、あたり前田のお気持ちを、「もーイヤ!もーイヤ!こんな生活」などと嘆かずに、どうかひとつ、どうかひとつ、なが〜い目で見てやってください。

 前口上が長くなりました。それでは本題に移ります。

 皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。


風の時代が本格化する。前途多難を思わせる新春を言祝ぎ、
めでたい曲よりもこっちの方がふさわしいと思いまして、
家族への愛情を糧にし頑張る旦那さんたちへ、これを贈ります。
ラッキー・オールド・サン/幸運な老いぼれ太陽。
元歌はレイチャールズのもので、
久保田真琴によるゴスペル調のアレンジがい〜い感じ。
いつ聴いても元気が出ます。
とにかくさ、男子はしっかりと仕事しなきゃね。
仕事仕事。しっかり働いてりゃ文句言われな・・・くもないか。
でもですね、女房の攻撃を受けているより、仕事をしている方が楽ですからね。
え、ぼく?
2日からトップスピードで働いております。









さてと、抱負

 さてと、ちょっと落ち着いて、メインの作業である設計・施工をスローダウンしましょうか。メリークリスマス&ハッピーニューイヤー。猛烈に突っ走ってきたこのスピードのままでは、年の瀬に味わうべき情緒を振り切ってしまいそうで。



師が走り回る年末進行っ真っ只中。
そう言えば年末進行って言葉、使わなくなりましたよね。
世の中、穏やか方向にシフトしているようで、何よりです。
静かに、家族仲良く、豊かな気持ちを大切に。
まだの方は、あと数日の間に草花の植え替えを。
パンジー・ビオラ、プリムラ、ラナンキュラス、
ガーデンシクラメン、エリカ・・・
花の数と幸せは比例する。


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 大掃除、年賀状、忘年会、おせち作り、いつの頃からかやらなくなりました。行く年を振り返りつつ希望に満ちた新春を寿ぐ、そんな心のお作法も薄らいだ気がする2023年の師走です。クローゼットの整理整頓くらいは(年末であることとは無関係に)やってしまおうと思っておりますが。



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 これでいいのかなあ・・・誰に迷惑をかけるわけでもないし、まあいっか。いや、待てよ、これじゃいかんのではないかしら。お爺さんとして、孫たちに年末年始のワクワクを演出する役を、きっちりと果たさねばなるまいて。うん、そうだ、それがあったんだ。



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 では手始めに、サンタクロースからですな。今年もイブには呼んでくれると思うから、プレゼントと、あとは輪ゴムを使った手品のひとつやふたつは完璧にしておくことといたしましょう。



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 もういくつ寝るとお正月。お正月には凧あげて、コマを回して遊びましょう。早く来い来いお正月。今年も通例、たくさんの方が亡くなり、思いの外、その死を悼む声のボリュームが小さい気がして仕方なし。コロナを経験したからか、みんなそれだけ死に対して、とても穏やかに受け入れることを学んだのかもしれません。学び?あるいは弱体、衰退かも。戦争報道とか狂気の事件とか、まともに食らっていたら自分を保てなくなりますからね。それでいいのかよくないことなのか、年が改まれば人々の精神はさらに健全へと向かうことでしょう。そうあってほしいし、きっとそうなる。健全な精神礼賛こそが、様々な窮地からの復興を図る人たちが目指すべき到達点、約束の地なのですから。



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 その兆しはあるのです。ぼくにしか見えない光であったとしても、それは確かに、暗闇の奥に、微かに開いた扉から漏れる薄ぼんやりとした明かりが存在する。その扉の向こうには羊男が座っていて・・・『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』『ダンス・ダンス・ダンス』の4部作で空き時間を塗りつぶすこと半年余り、とても思考のバランスが良好だったことが、2023年にあった良き事でした。二十歳の頃に一度読み、再び買い揃えてじっくりと。繰り返し繰り返し、現在3回目の途中なり。なんで今更、と思いつつ、やってみたらやめられない止まらない。若い頃に読んどいて本当に良かった。このようにして、若さいっぱいだった頃の自分をなぞってみれば、なあんだ、俺ってほとんど変わっていないんだ、と実感して、そうだ、これでいいのだバカボンボン。変わっていないということは、これが俺なんだという証なり。良くも悪くもこのまま突っ走るしかないのであると、そのように決着するから、迷いが消えて調子が上がるのかもしれません。自己確認、アイデンティの統一、レゾンデートル。



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 2024年は踊ります。ダンス・ダンス・ダンス。羊男が言ったように、とびっきり上手く踊るんだ。
オドルンダヨ。オンガクノツヅクカギリ。



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 結局のところ、せっかくまだ生きているんだから、踊りまくるぜ、ってことで、新年の抱負といたします。皆様、良いお年を。シャル・ウィ・ダンス?

「踊るんだよ」
「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言っていることはわかるかい?踊るんだ。踊り続けるんだ何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。そんなこと考えだしたら足が停まる。一度足が停まったら、もうおいらには何ともしてあげられなくなってしまう。あんたの繋がりはもう何もなくなってしまう。永遠になくなってしまうんだよ。そうするとあんたはこっちの世界の中でしか生きていけなくなってしまう。どんどんこっちの世界に引き込まれてしまうんだ。だから足を停めちゃいけない。どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。きちんとステップを踏んで踊り続けるんだよ。そして固まってしまったものを少しずつでもいいからほぐしていくんだよ。まだ手遅れになっていないものもあるはずだ。使えるものは全部使うんだよ。ベストを尽くすんだよ。怖がることは何もない。あんたはたしかに疲れている。疲れて、脅えている。誰にでもそういう時がある。何もかもが間違っているように感じられるんだ。だから足が停まってしまう」
「でも踊るしかないんだよ」
「それもとびっきり上手く踊るんだ。みんなが感心するくらいに。そうすればおいらもあんたのことを、手伝ってあげられるかもしれない。だから踊るんだよ。音楽の続く限り」 
オドルンダヨ。オンガクノツヅクカギリ。

 







ジャネーの法則

 今年の秋はいつもの秋より、短くなりそうな、そんな気がして。夜の庭でパソコンページにこの一節を書いたのが10月10日、野田で暮らしている息子の誕生日でした。息子はぼくの誕生日が近づくと「お父さん、欲しいものある?」とメールをくれて、ぼくは遠慮なく、カニ、とか、肉、とか、野田のホワイト餃子(開店前に並ばないと入手できない、日本で一番おいしい代物)とか返信すると、丹念に上物を選んで宅急便に乗せてくれる。全くもって、好もしい青年に育ってくれたものだと、感心と不思議が半々になるのです。それはもちろん幸せな感情で、送られてきた好物は、すぐに食べてしまうのが惜しくて冷凍庫に入れ、ちびちびと解凍してはつまみにする。あるいは孫たちに食べさせたくなり娘のところに持っていくか。息子がイメージしているであろう、歓喜してバクバク食べる勇猛な父の姿を空振りさせているのかもな、などと思いつつも、離れて暮らす者同士に、同士と思っている最愛の身内は上手に理解してくれるであろうと、まあ、親の甘えかもしれませんが。甘えさせてもらえる立場になったのだなあという感慨を味わいつつ。


いきなり鳴り響いた、冬を告げるファンファーレ。
見上げる皇帝の姿を肯定し、
木枯らしに向かって歩を進めるのみ。
冬きたりなば、冬を楽しみまくる暮らしを全力で。
いいじゃないですか、なんかシャキッとして、冬。


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 今年の秋はいつもの秋より、短くなりそうな、そんな気がした夜風の予感は的中し、秋の情緒を楽しむことなく昨日からは冬の風。誰も気づいていないと思うけど、今年はマツムシがほとんど鳴かなかった。あの灼熱の影響なのでしょう。クマ目撃の多発も、後を絶たない「包丁のような物」による殺傷事件も、あの灼熱の影響なのでありましょう。ノ、ヨウナモノ。



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 あの夜、ぼくは息子に宛てて、誕生祝いのメールすら送らないまま、そろそろ寝ようかなと迷っていました。理由は、なんとなく恥ずかしかったから。昭和の親父が絶対にしないことだから。言わなくたってわかるだろ、そんなこと。当たり前だろそんなこと、と。
 この頃の家族はそうではないわけで、フランス人の如くに愛情表現を欠かさないし、仲良く暮らす、朗らかに過ごすことは家庭人のお作法となっている。気づけばそんな世の中に進化しました。おもはゆいとはこのことで、そのお作法について行けていない、行けていない親父に成り下がってしまったのかもしれません。かもしれないじゃないくて、そうなってしまった。やれやれ、ってやつです。反省し、改善すべきなのか、あるいは昭和を貫いたまま朽ちてゆくのが老人の役回りなのか、わかりませんけど。
 チチオヤノ、ヨウナモノ。



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 まあ、いいですよね、さして特殊なことでもないし。素直に言葉を使って伝える、喜ばしい、かつては幻想だった世界へと進化した反作用なのか、現実的な世の中には「・・・の、ようなもの」がいたるところに散乱しているのです。「家族のような集合体」、「幸福のような時間」、「庭のような場所」、ありとあらゆる物事を否定的に捉えては、だから自分は不幸だったのであると嘆き続けている「すでに終わっているような老人(絶対に避けたい近未来の自分)」。
 いかん。遺憾に存じます。命とは、人生とは、家族とは、庭とは、もっともっと遥かにもっと、ドラマチックで感動的なものなのだ。などと「父親、のような者」が叫んだところで、ねえ、意味ないじゃ〜ん。つまりは「の、ようなもの」とは時代に置き去られた状態なのでしょう。起き去られたら、あらゆるものが、旬をとっくに過ぎた、「の、ようなもの」になってしまう。秋が短かったように感じる現象も、体感に伴う思考が鈍かったか、遅かったか、薄かったか、ということなのでしょう。猛暑によって山の食料が不足すれば、命懸けで、子連れで郷に入り込むクマ必死さに比べ、「人のような者」たちが上げる命の炎の何とか弱いことであるか。
 チチオヤノ、ヨウナモノ。ノヨウナモノを取り払って、息子たち世代が身につけているお作法に準じなきゃね。老兵は大いに愛を語るべし、消え去る前に。フランス人のように。じゅって〜〜〜〜む。



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 若い頃よりも時の経過を早く感じるのは老化現象である。ジャネーの法則。

 ジャネーの法則・・・人生のある時期に感じる時間の長さは年齢の逆数に比例する。10歳児の1年は0.1、60歳の1年は0.0167ですから、還暦親父は少年の6倍速で時間を体感していることになります。では、なぜそんなことが起こるのでしょう。生物学者は「時計遺伝子の老化」であると説き、心理学者は「人は新たな経験から生まれている実感を得る。だから経験値が積み上がった老人には100日生きても、それを1日にしか感じられないのだ」という説を唱える。

 人生の秋を迎えた我が心身。長かろうと、短かろうと、我が人生に悔いはなしと言えるように。そのために必要なことなど100年前から知っている(つまり、遺伝子に組み込まれているのでしょう)。それは変化することなのです。大事なのは変化し続けることなのであ〜る。庭を美しく保つコツと同じく。「音楽が続く限り、踊り続けるんだ。しかも誰もが感心するくらい上手に」羊男の言う通りなのであります。
 では、今日も美しい炎を上げて、設計設計また設計。ダンス・ダンス・ダンス。
 優一朗よ、誕生日おめでとう。ずいぶん遅くなってしまったが、とにかくおめでとう。君ももうすぐ父になるんだし、ますます張り切って、どこまでもジャネーの法則に抗い、美しく燃焼するのだぞ。
 じゃあね〜〜〜。



離れて暮らす息子に、
贈る。
頑張れよ。 







美空6歳

 美空が6歳になりました。古今東西のクリシェながら、もう6年経ったんだと、俺も歳を取るわけだよなあと、健やかに育ってくれている姿に愛おしさを覚えつつ、着実にお祖父さん界を進んでゆく自分とのコントラストに一抹の・・・。



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 一抹の爺さん感情。一瞬浮かぶ、一握の砂を掴まえる。悲しさではなく、嬉しさの中にいて、そこにさほど長居ができないであろう我が年齢の加速度たるや、星雲を次々追い越す銀河鉄道のようである。



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 歌集『一握の砂』より何編かを。



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 東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたわむる



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 砂山の砂に腹這ひ初恋の  いたみを遠くおもい出る日



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 たわむれに母を背負いて そのあまりに軽きに泣きて 三歩あゆまず



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 はたらけど はたらけど猶わが暮らし楽にならざり ぢつと手を見る



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 ふるさとの訛りなつかし 停車場の人ごみの中に それを聴きにゆく



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 不来方のお城の草に寝ころびて 空に吸われし 十五の心



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 いいねいいねえ〜、まさか還暦過ぎに石川啄木が沁みるとは、思えば遠くへ来たもんだ。啄木くん、素敵だ。



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 まわるまわるよ時代は回る 喜び悲しみくり返し 今日は別れた恋人たちも 生まれ変わってめぐり逢うよ



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 めぐるめぐるよ時代は巡る 別れと出逢いをくり返し 今日は倒れた旅人たちも 生まれ変わって歩き出すよ



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 ハッピー・バースデー美空。美しく回転を続ける君の姿に、ジイジくんは、つられてくるくる踊り出す。ありがとね。



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 澱みなき循環の一役を果たせれば、それが君への恩返し。倍返しだ!いやほんとに、美空よ、いつもありがとね。来年の誕生日も大騒ぎで、大笑いで過ごそうぜ。





 

 

エレガントな隔世的覚醒

 孫の美空と結陽が通うバレエ団の発表会に行ってきました。新宿文化センター大ホール、まさしく大舞台です。美空は結構複雑な振り付けを、緊張いっぱいでこなし、妹の結陽は緊張感ゼロでニコニコと飛び跳ねている、それぞれ年相応の精一杯な姿に胸が熱くなりました。チビはチビなりに、日々頑張っているんだよなあ。



着替えて出てきた二人は、大役をこなし満足げ。
ロビーが混雑するため、ちびっ子たちは道路に出ての化粧落とし。
お祭りみたいで楽しいひと時だったなあ。


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 これはどのように表現しても、ただの贔屓目にしかご理解いただけないと存じつつ、美空には天性の素質がある、と思わざるを得ない。スカイフック、上半身がスッと上に伸びてブレることがない。それと手の表情が素晴らしいのです。女房曰く「あれは私の血筋だ」とのこと。おばあちゃんが日本舞踊を舞うと、手の動きが飛び抜けてエレガントだったそうで、その才能は私から娘の詩織に受け継がれ、そして見事に美空へと受け継がれているというのです。



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 まあそんな気もするけど、「ところで、あなたの動きがエレガントだったことをぼくは一度も見たことがないんですが」と言いそうになり、グッと堪えてやり過ごしました。暑いしね、せっかく浸っている清々しい感動を消さないために、口は慎むべきであろうという制御機能が働きまして。



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  あ、そうか、隔世遺伝ってやつだ。う〜ん、ぼくのいくつかの才能も尊敬する祖父からの継承だと思っているし、確かにそういうことはある。で、あれば、エレガントさを見事に飛び越された女房の存在は、遺伝的にはそれなりに、作用・反作用とか、支点・力点・作用点しての何らかの意義があるのかもしれませんなあ。



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 そういえば、女房が発揮する軍師官兵衛的な才覚は、両親を飛び越えた祖母からの伝承のようだし、面白いものですね。だとすれば、ぼくに開花しなかった何らかの才能が、子供たちの人生で花開いているはず。・・・そうか、そうだったのか。夫婦円満、家庭の幸せを築き上げる能力を、隔世遺伝で彼らは見事に実現させている。間違いない。



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 お盆にご先祖へ手を合わせる意味合いは、たくさんの素晴らしき隔世の覚醒を仕掛けてくれた人たちへの、感謝なんですよねえ。ありがたやありがたや。な〜〜〜む〜〜〜。



今回は発表会ながら、途中からバレエそのものに魅了されました。
10年後には、こんな感じに成長しているかも。




 
 

ナニワイバラ

 ご近所に、見事なナニワイバラが咲いています。



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 ナニワイバラ(難波薔薇)は中国渡来の原種のバラで、関西から全国に広まったことからそう呼ばれるようになったそうです。モッコウバラと競い合うように、盛大に開花する白い大輪群が清々しく、これから始まる薔薇の季節のファンファーレみたいで、そのお宅の前を通る度に気分が晴れやかに上向きます。



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 驚くのは誘引のうまさ。旺盛に伸びるシュートを丁寧に寝かせて編むように広げています。これはバラの特性である、枝を水平にすると花数が増えるということをご存知で、このように敷地の外周全体が白い花で覆われることをイメージしながら、何年にも渡って、絵を描くが如く枝を配置してきたことで実現している風景。ダ・ヴィンチが薄絵の具で、何年もかけてモナリザの表情を重ね塗りしたことに似ています。



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 ローマはいち日にしてならず、で、美しき庭風景は完成形へと向かう日々の営み。つまり暮らし方が投影されるものなのです。ぼくが提供する庭は、その時点ではうっとりする、あるいはワクワクする完成形でありつつも、実は未完のカンヴァス。そこに笑顔が溢れる、幸福な庭のある暮らしを日々実践する、ダ・ヴィンチ役はお客様。花咲く庭でもっともっとと、百花繚乱へ向かって庭仕事を積み重ねてゆくその暮らしぶりこそが、庭を美しく仕立て上げるのであります。



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 花の数と幸せは比例する。ただしその花々はすぐに消えてゆく。このナニワイバラも半月ほどで儚く花を終えてしまい、道行く人は盛大だった風景など忘れて通り過ぎてゆく。ところがそこから、こちらの奥様にとっての素敵な時間が始まります。来年の開花へ向けて、雑草を抜き、肥料を施し、枝を引っ張って整える。花いっぱいの近未来に向かって地道な庭仕事に汗を流す、その時間の中にある人生の充実感が、ガーデニングの本質的な魅力なのです。



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 庭屋のぼくとしては、そういう心持ち、暮らし方、庭の捉え方に感動するのですよ。出来そうでできない、わかっているけどなかなか辿り着けないその世界に咲く花々が、大袈裟ではなく、日々の指針を見る思いなのです。



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 戯れに、ナニワイバラを詠んだ俳句と短歌を検索してみました。


 染まらざる 難波薔薇の心意気  演歌浪人

 垣飾る 難波薔薇の純白よ 人も汚れぬ心持ちたし  演歌浪人

 風にそう 花に酔いしれナニワイバラ  みのり

 北新地 難波薔薇を活ける店  ワシモ

 清純なナニワイバラも棘持ちて  老いてこそ勉強






 花言葉は「純粋な愛」だそうな。たまたま付いた「難波」から、関西人が持つ熱烈なる純粋さと申しましょうか、棘を持つ清純さと言いますか、そんな印象を受けるのは、鬼女房が関西人だからかもしれません。ある朝突然満開となって驚かせたかと思うと、勢いが尽きたらあっけなく、一夜にして萎れて消える、我が女房に似た白い花。ったく、関西女性はエネルギーを放出するバルブがいかれているらしく、何をやっても、いかにもバランスが悪いのですよ。しか〜し、そこに惹かれて、萎れそうな時に自分が役に立てるに違いないと思って、ついうっかり一つ屋根の下。おかげでここまで劇的で、エキサイティングな人生を過ごすことができました。純粋なナニワイバラも棘持ちて vs 風にそう花に酔いしれナニワイバラ。女房共々63となりまして、これからは、お互いに、垣飾る難波薔薇の純白よ、人も汚れぬ心持ちたし。


歳重ね 消えた何かを嘆くより
確かにあったバラの日々
確かに あの日
バラは香っていたのです



 


 

ネオテニー

 古来より、孫という存在の可愛らしさは実の子以上であると言われております。ぼく自身も孫として、祖父と祖母に猫可愛がりされた日々のことが、たぶん、一番古い幸福な記憶でした。冠婚葬祭で親類縁者が集えば、上座に据えられ、ヒデ坊は岩又(実家の屋号)の浩宮だなどという何とも照れくさいような、同時に大人は変なこと言うなあと思い、さらには俺ってどうやら特別な存在らしい・・・困ったことになりそうだ、という未来への不安めいた予感もあり、複雑な心境。田舎の長男とは、当時そんなことだったのです。



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 そういえば、母が泣いていたことがありました。祖母がぼくを独占し、自分が母親役をさせてもらえないことに腹を立てたか、悲しんだのか、そんなことだったと思います。これもまた昭和の家にはどこにでもあった家族間トラブルだったのでしょうが、ぼくは祖母を悪く言う母親が理解できなくて、嫌な気持ちになったものです。子供にとって家族は全員仲良く楽しい関係なのが当たり前で、嫁姑問題を解析する思考回路など持っていなかった。ゆえに一瞬ではありますが、そんな母の泣き顔が嫌で嫌で、でも幼児には、反発や反論などできるはずもなく、たまらず泣き出したことを思い出しました。ただただ不思議だったんですよ、家族を悪く言って泣いている母親が。まあ、別に傷になったとかいうエピソードではなく、そういう時代に孫を経験した、ということなのですが。



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 さてさて、先日お呼ばれした孫の結陽の誕生パーティー。無事に4歳となりました。姉の美空は立派にお姉ちゃん役をこなしながらも羨ましいらしく、ねえねえ、あたしの誕生日はまだ来ないの?と。可愛らしいですなあ。ふたりの成長過程を目撃すると、時々胸が苦しくなるほど嬉しく愛おしく思えるのです。



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 サクラに続いてハナミズキ、ツツジ、モッコウバラ、次々に咲く花と新緑の季節に誕生日とは、なんと幸運なことでしょう。どこに行っても木々が孫をお祝いをしてくれているようで、ジイジくんとしては、その祝福にいちいちお礼を言いながらシャッターを切る数日間でした。



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 ふたりとも健やかに、伸びやかに成長中。好奇心がいっぱいで、人が大好きで、みんなが仲良しでいることを普通に思い、起きている間中ギャハハと笑ったり駆け回ったり。そして電池が切れると突然熟睡する。理想の人間像ですなあ。人は元来こういう性物であり、ネオテニー(幼生成熟)、子供の頃の特徴を有したままで大人に至る生き物である、という学説があります。ぼくは悩み多き思春期に読んだその生物学の説に乗っかって、堂々と少年的なままで老人に至っている次第。それが良かったのかどうかわかりませんけど、無理に大人らしく振る舞うことをしなかったことで、こうして少年的な庭を設計できていることは確かなのであります。



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 とにかく、みんな仲良く。とこに夫婦仲は良好であることがごくごく普通であり、家族円満を維持することが人として当たり前なのである、ということを、来世か今世か、もう一度夫婦を築く機会があれば、いち日も怠ることなくそのことを念じて暮らしたいなあと、反省を込めてそう思っています。



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 性根が腐った犯罪者であれ、大きな不幸を生み出す政治家であれ、頑張っても頑張っても上手く生きられずにもがいている人であれ、もしも幼い頃に円満家庭があったならそんなことにはならなかった、と断言できるほど、家庭不和の中で育つことの過酷さは人を歪にしてしまう。幼年期に負った歪さ、コンプレックスがネオテニーとなってしまったら、そこから派生する不幸は人類を滅ぼすほど甚大なものとなってしまいます。つまりですね、夫婦喧嘩など愚の骨頂。お互いに不満はあるでしょうけど、せめて子供の前では慎むことが肝要なり。昔、夫婦喧嘩の真っ最中に訪問したお宅のご主人が、そんな気配を察知して、ニヤッと笑って言いました。「喧嘩するなんてのは、知性の欠如ですよ」。いやはや、優しくさらっと言ってくれたのに、強烈に残るお言葉でした。



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 お恥ずかしい。その後知性を探し続けているんですが、これがなかなか手に入らない。高島屋にも買いに行ったんですよ、知性売り場はどこでしょうって。しかしいっくら本を読んでも、庭で月光瞑想をしても、女房のたった一言で気持ちがグシャグシャに破壊されてしまう情けなさよ。と、そんな自分の目の前で展開された娘夫婦の賢さたるや。ふたりとも子供の前で、見事に賢いんだよなあ。家庭円満を実現する知性的な夫婦像。おいおいお婆さんや、遅ればせながら、子供たちを見習おうじゃないか。もうそうそう長くは生きていられないんだし、理想のジジババ、おてて繋いでダンスを踊る、チャーミーグリーンをイメージしてみるのが、ぼくら夫婦の、最後の共同作業なのかもしれないよ。



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 孫の存在は、己が存在理由を際立たせてくれるものなり。結陽くん、美空くん、ありがとね。




  


 
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