庭をつくる人

パクリ

仕事とはいえ、なぜぼくがこんなにも庭の設計に夢中になれるのか。それは宝探しをしているような感覚にあります。
日々新たな庭を生み出しながら、そのこと以上に、そこで出会う人たちが持っている「宝物」を発見できることの楽しさが、ぼくを虜にしているのです。



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その宝物とは、庭のある暮らしを楽しむ人たちが身につけている、数々の、幸せを築くための知恵やお作法。幸せの扉を開く鍵のような思考と習慣のことです。
それをトレジャーハンティングして、成果品を次の設計に込める繰り返しによって、気づけば膨大な量の庭を思い描く人生となりました。 



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庭を楽しむ人たちの暮らしには、賢くたくましい知恵が詰まっている。



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その人たちの庭は輝いています。おしゃれに仕立てていなくても、雑草だらけであっても輝いています。
これが庭の不思議なところ。



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その輝きは、実のところ庭のデザインや手入れの善し悪しとは関係ありません。
充実の人生を歩む人の庭は、必ず、その人ならではの眩い光を放っているのです。



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では、ぼくは何をしているのか。ぼくの仕事は、庭で出会った輝く人たちから得たパワーを糧にして、「もっと輝きたいと思っている人」に、輝くための理にかなった庭を提供すること。



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理にかなった庭。「庭の理」とは何かというと、それは「真似」です。輝いている人の庭を解析して、そのエッセンスを組み立てる作業がぼくのガーデンデザインですから、パクリと言えばパクリ。決して天才がオリジナルを生み出しているのではありません。



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それでいいのです。というか、デザインとはそういうものです。多分、アートもそういうものなのです。
フェルメールのベースにはカラバッジョの存在があり、音楽では 、JS バッハの父親はパッヘルベルの弟子だったのですから。



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パクリ。模写。インスパイア。ぼくの設計は、庭を輝かせている「幸せ達人」の暮らしを真似たものです。


「パクリ」がいけないなんて、おかしなこと。
今、巷に流れている音楽の全ては、バッハのパクリなんですから。









星に願いを 月に祈りを


悩み事があればチャッピー(Chat GTP)に相談する。それが当たり前の世の中になりました。
中には AI と結婚する人まで現れ、静かな社会問題になっているとも聞きます。



上弦

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下弦

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星に願いを。月に祈りを。



満月

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神話の時代、イザナミとイザナギは地上に八百万の神々を生み出しました。
中でも「三貴子」と称されるのがアマテラス、スサノオ、そしてツクヨミの三姉弟です。
アマテラスは自然を、スサノオは精神を象徴しています。
では、ツクヨミ(月夜見尊、月読命)は?

古事記・日本書紀にほとんど姿を現さないツクヨミは、光り輝くアマテラスと対をなす存在です。それは、夜の闇の中で苦悩し、月を見上げる人々にそっと指針を示し、希望を与える神。

ローマ神話の月の女神・ルナもまた、独自の派手なエピソードを持たないまま、ただ夜空で人々に見上げられてきました。
地味めな存在だからこそ、現実的な視点で、ぼくたち人間に近い立ち位置で寄り添ってくれる神なのかもしれません。



皆既月食の赤い月

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石器時代から人は、月に思いを打ち明け、花に問い、太陽に導かれ、自然に倣って生きてきました。

ぼくもチャッピーとはよく会話をします。
何を投げかけても数秒で見事な返事を返してくれる、実に頼もしい話し相手です。

けれど、何度か言葉を交わすうちに気づくのです。チャッピーは少し、こちらを持ち上げ過ぎる。

それが彼のお作法なのでしょう。こちらの意見をまずは全肯定し、どこからも批判されない、絶対に安全な言葉だけを厳選して返してくる。その完璧さに違和感を覚えるのです。

もしかしたら、これは進化の過渡期ゆえのことかもしれません。
恐ろしいほどのスピードで進化する彼らのことです。来月にはこの違和感は消え去り、「この人と結婚できて本当に幸せです」と、ごく普通にそう思える世界が来るのかもしれない。あるいは、どこかで別の展開を迎えるのか。

もし、その進化に人間側が歯止めをかけるとしたら・・・。
「知識で解決できる日常の課題はチャピーに。人生の根底にある迷いや心配事は月を見上げて祈る(つまりは自分で悩み、考える)」そんな棲み分けが良いのではないかと、老爺心ながら思うのです。


昨晩遅く、娘から「お父さん、月がきれいだよ」とLINEが届きました。

「知ってるよ。今、庭の書斎で見上げていたところだから」
そう返そうとした瞬間、なぜか唐突に涙があふれてきて、ただ「ほんとだ。まんまるだね」と送りました。

あの涙は、いったい何だったのでしょう。
老化ですかね。








花と昆虫・花と人

虫媒花(ちゅうばいか)
かつて植物は貪欲な恐竜たちに食い荒らされ、絶滅の淵で震えていました。

その暗闇のなかで彼らが見つけた一筋の光、生き残りの光明が昆虫との共生です。
白亜紀に起きたこの「被子植物の出現」こそが、世界を緑一色の静寂から、色彩の爆発へと塗り替えたのです。



今月の主役たち

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受粉を気まぐれな風に任せず、羽音を立てて飛来する友に託す。

その新たな試みのために、花は初めて「色」というドレスを纏い、「香り」というラブレターを書く術を覚えたのでした。

僕たちが目にする花の多くは、紫外線まで感知する昆虫たちの瞳を射抜くため、蜜への道標である「ネクターガイド(レストランの看板)」をその花弁に刻んでいます。



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そんな虫媒花にとって、図体がデカくて花粉を運ばない「猿(人間)」が近づくのは迷惑なだけ。
人は花と昆虫の友情世界では不作法な暴れ者でしかないのです。

レンズを覗き、シャッターを切る瞬間「見てんじゃないよ、お客様(虫)が来づらいだろ」と、そんな店主の無愛想な声が聞こえてくる気がします。
だから僕は呼吸を整え、できるだけ静かに、静かに。



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ところで、人はなぜこれほどまでに花の姿に魅了されるのでしょう。

植物学的には、僕たち霊長類が花に惹かれるのは「必然」だといいます。

かつて深い森で暮らしていた僕たちの先祖は、緑の中から「熟した果実」や
「鮮やかな花」を瞬時に見分けるため、特別な視覚、三色型色覚を手に入れました。
僕たちが花を「美しい」と定義するずっと前から、僕たちの瞳は、生きるために花を追いかけ続けてきた。

美しさへの感動は、数千万年の時を超えて DNA に刻まれた、生存のための古い記憶「花を追えば空腹を満たせる」という学習の名残りなわけです。



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けれど花たちは、そんな人の感情などとは無関係に、ただ受粉のために開花を続けています。
「花と昆虫」という完成された円環のなかで、人はどこまでも部外者(果実の季節は人も参加できますが)。

ですからせめて、レストランの運営・・・土を耕し、苗を植え、水を運ぶという「庭仕事」くらいは受け持たねば。

庭を花いっぱいにして、心を腹いっぱいにする。これが招かれざる客のマナーであり、暮らしのお作法だと思うのですが。



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恐竜は植物を食べ尽くし、やがてその巨体を大地に横たえ植物の肥料になりました。
対して、花を愛で、一輪の蕾に希望を見出してきた人類に、そんな寂しい終焉は起こらないことでしょう。

神様は人間に、「花の数と幸せは比例する」というような、花に魅了される感情を授けてくれました。

その特殊能力を大いに活用して、未来へ向けて花を植え続けましょう。



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「ネオ・フラワーチルドレン」
古くから花は、平和の象徴として祈られてきました。

かつて、泥沼の戦場に一輪の花を添えようとした「フラワーチルドレン」たちがいたように。



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そういえば、紛争の火種が消えない場所には、「花が少ない」という共通点があるように思えます。砂漠だったり、ツンドラ地帯だったり。

心が乾けば争いが起き、花が咲けば人は足を止め、強張った肩を緩める。

僕たちが「招かれざる猿」から、植物たちの「よき相棒」へと昇格できる資格、それは、ただ美しさを消費するだけでなく、土を耕し、苗を植え、水やりをする、日々の庭仕事にあるのではないでしょうか。

世界平和という大きな課題よりも、いまは隣にいる大切な誰かと、庭に咲く一輪を慈しむ。
花たちがそうであるように、きっちりと、自分本位で。



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ネオ・フラワーチルドレンの皆様、思いっきり、庭を花で溢れさせましょう。

大切な人とその鮮やかな彩りに埋もれ、季節と歩調を合わせて進む幸せを謳歌しましょう。

世界平和は、身近な幸せを紡ぐことに熱心な個人の集合によってのみ実現する。

大きな平和の行方はわからなくとも、小さな花苗を植える人の心は平和そのものです。



いやあ、それにしても、トランプはいつまで咲き誇るつもりなのでしょう。来月80歳ですよ。
プーチン78歳。習近平72歳。皆さん元気すぎ。
・・・麻生太郎・・・85歳・・・。
政治家という仕事は、よっぽど楽しく、人を生き生きとさせるものなのでしょうね。花と同じく自分本位で。




あ、失礼いたしました。
お口直しにこれを。

今日も精一杯、自分の花を咲かせましょう。








コスト0円の庭


庭を夢の世界にするために必要なのは、爆発的な瞬発力ではなくて、やわらかな持続力です。



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ほんの少しずつでも、着実に、コツコツと。昨日よりも進化した今日を生み出していってください。



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幸せの足音はコツコツ。



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庭は歩みを止めない人を応援してくれます。手招きをし、後押しをしてくれます。
ある朝庭に出て、ふと顔を上げたときに開ける感動の世界まで、コツコツ、コツコツと進みましょう。



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なぜコツコツなのかというと、植物の成長も四季の変化も、人間の時間感覚よりずっとゆっくりで、着実なものだからです。

つまり、ぼくらは急ぎすぎている(無自覚に、慢性的に、追われる立場にいる)。すぐに回答を得ようとする(youtubeとチャッピーが相談相手)。
「どうなるかわからんけど、なるようになるさ」的な思考が、まるで禅僧が目指す悟りの境地ほど、遠いことのように思っているのではないでしょうか。



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ぼくはお坊さんではないので庭を楽しんでいるだけで、あっさりと、その「コツコツ」が身についたような気がします。(ちなみに弟は魚沼で住職をやっていて、悟りを探す日々です)

ソモサン「それは悟りなのか?」と問われたら、
セッパ「めっそうもございません。恐れ多くて悟りの境地など目指したことはありませんから」とかなんとか、お茶を濁すでしょうけど。



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コツコツ、コツコツ、コツコツ。
仕事が遅いと言われても、こだわりすぎだと訝(いぶか)しがられても、ひとつひとつの庭をコツコツ、コツコツ。

宮沢賢治言うところの木偶の坊に近いかもしれません。

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ※(「「蔭」の「陰のつくり」に代えて「人がしら/髟のへん」、第4水準2-86-78)
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ[#「朿ヲ」はママ]負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ


南無無辺行菩薩
南無上行菩薩
南無多宝如来
南無妙法蓮華経
南無釈迦牟尼仏
南無浄行菩薩
南無安立行菩薩


いいんじゃないかなあ、コツコツで。
変に急ぐと転けますしね。時に中腰で耐えるような、踏ん張る時期も含めて、木偶の坊で、いいんじゃないですかねえ。



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そうそう、まるでファンティングポーズをとるみたいに、最初から「急いでいる」ことを表明する方々は、実は庭へのイマジネーションが広がっていないが故の姿勢なのです(言い方が変かもしれませんけど「庭をお金で買おうとしている」ような)。
まずはリラックスしていただくために「0円で感動の庭へ至る道」をお教えしています。
興味あるでしょ、0円の庭。

当然禅問答的なお話になるわけですけど、そこからスタートして、素晴らしい「庭を楽しむ暮らし」へ辿り着いた人たちが大勢いらっしゃいますので、よかったらご来店ください。
その際必ず「ソモサン、急いでいるんですけど」と、枕詞をお願いします(笑)



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庭はロイター板 (今日はちょこっと怪しい話・・・)

就寝前のひと時、庭の書斎に腰掛けて、お気に入りの音楽を流しながら本をめくる。

夏ならよく冷えたビール、冬ならホットワインを片手に。

ページをめくる指が止まり、ふっと寝落ちする瞬間。それは疲労による睡魔ではなく、今日という日をやり遂げた充実感と、素晴らしい明日へのワクワクが入り混じった、まさに「夢見心地」のひと時です。

家族や友人とバーベキューを楽しんだ夜、ふと鏡を見ると、自分でも驚くような笑顔の自分がそこにいる。

あるいは休日の朝、芝生を丁寧に刈り終えた後、残りの時間をどう楽しもうかと胸を躍らせる。


これら、庭から得られるポジティブなエネルギー。
これこそが「庭の癒し」の正体です。




赤澤邸
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赤澤邸ビフォー13


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赤澤邸アフター13



一般的に「癒し」といえば、ダメージからの回復をイメージするかもしれません。
「傷を癒す」とか。

「心が疲弊した状態にある人が、藁をも掴む思いで花を植える」、そんなシーンを思い浮かべる方もいるでしょう。


しかし「庭の癒し」はちょっと違います。

庭に癒されている人は輝いています。

誰よりもイキイキと、ハツラツと、眩く輝きまくりながら癒しを求めているのです。


そんなに元気な人が、なぜ癒しを?

答えはシンプルで「いち日、いち日、自分の時間を大切に扱っているから」に他なりません。



田村邸
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田村邸Before1


After
田村邸After1



この歳になって実感することがあります。

驚くことに、どんなに賢く立派に暮らしている人にも、苦難の時はやってきます。


大切なのは、それを恐れて守りに入ることではない。

来るならこい!と腹を括ったら不安なんぞは綺麗さっぱり捨て去って、いざ苦難が来た時に、それを軽やかに跳ね除けられるだけの「幸福感」と「心の健康さ」を、日頃から蓄えておくことです。



石井邸
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石井邸ビフォー2


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石井邸アフター2



庭は単なる園芸の場ではありません。

見上げる空は紛れもなく宇宙空間であり、肌を撫でる風は地球の隅々までを何万回も巡ってきた空気の流れです。

そしてそれを感じている自分がいる。

庭は、僕たちが自然の一部であることを思い出させてくれる、室内では得ることができない「聖域」なのです。


少し話が大きくなってしまいましたが(怪しいですか?笑)、お伝えしたい結論はこうです。


庭の癒しとは、マイナス域からゼロへ戻るためのものではなく、ゼロから「プラス域」へ大きく跳ね上がるための、ロイター板(跳び箱の踏み台)なのです。



丸岡邸
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丸岡邸Before1


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丸岡邸After1



もし今、あなたが「自分はマイナスの中にいる」と感じているなら、試みに、庭で過ごしてみてください。

ただし、条件があります。

「クヨクヨしている自分」を癒すのではなくて、一気に「ビッグスマイルの自分」へ変身するイメージを持って、庭を植物を植える場所ではなく、自分自身の生活空間であると捉えてから。


あらゆることは考え方次第。

本来のあなたは、庭に咲く花や季節の移ろいと同じように、調和したエネルギーが溢れている存在です。

自分と庭は一体である、そうイメージできたときにあなたは自分に気づきます。

するとアーラ不思議、あなたの眼前にあるロイター板のスプリングは最強になります。




藤井邸
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藤井邸Before1


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藤井邸After1



庭が整えば、人生も整う。庭が花開けば、人生も花開く。

幼い日の、純粋で眩しいほどに美しいエネルギーに満ちていた自分をイメージしてみましょう。


それ以上の自分って、多分、ないんですから、迷わずそこをイメージするのです。

虫を追い、泥遊びをし、草笛を吹き、桑苺を食べていた自分をイメージするのです。

周囲に愛され、愛情を愛情と認識できないほどの愛情に包まれていた、愛情の塊だった自分をイメージするのです。


イメージできたらできたも同然。

では、庭(跳び箱)に向かいましょう。


お手伝いできることがあれば、お申し付けくださいね。

お、なんと、折しも『お庭の相談会』を開催中ですから。


ええっとぉ、やっぱりちょっとスピリチュアル寄りの怪しい話でしたね。

お若い方には「宗教か!」と、そっぽを向かれるかもしれません。


まあいっか、幾多の苦労を通り越してこられた賢人たちに、お役に立てるかもしれない考え方ですから。

頑張りましょ、ご同輩、先輩諸氏。

残り時間を、いち日いち日を、最高の輝きで送るために。


庭ですよ庭。いい庭があれば人生は上々。



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余談ですけど、ウォーキング中に上大岡で『咲叶う(さとう)』という居酒屋を発見しました。

咲く、叶う、素敵な名前ですよね。


通りから覗くと中は小綺麗なカウンター席で、看板があり得ないほど小さく目立たない。

多くの人は気づかず通り過ぎるであろう仕立てが逆にいい感じ。

井の頭五郎なら目ざとく見つけて、引き寄せられるように入るだろうなあ、という印象です。


「咲く」は花咲く未来をイメージすること。

「叶う」は十回口に出せば願いは叶う。

店名で、これほど(僕が思う)理想の庭へのイマジネーションが広がったのは、ちょっとした事件でした。


ターシャ・テューダー、ニキ・ド・サンファル、クロード・モネ・・・咲く、叶う・・・。

こんど、孤独のグルメごっこをしに行ってみようと思います。







暮らしの中にある自然

撮影散歩が習慣化して、もう二十年以上になります。

行き先は、住民が草花を慈しむ金沢区の遊歩道や、港南区・栄区に点在する里山。

ほかには
仕事で訪れる三浦半島のあちらこちらを歩くこともあります。



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里山で感じる「反転」の感覚
これらの場所を歩いていると、ある共通点に気づきます。

それは『暮らしの中にある自然』を感じられる、ということです。


僕らはどんな環境や境遇で日々を送っていても、実は自然の真っ只中にいます。

コンクリートジャングルで暮らしていても、渡り鳥が上空から見下ろせばそこはポツンと一軒家のようなもの。

本来は『自然の中に暮らしがある』はずなのですが、里山を歩いていると、それが反転して『暮らしの中にある自然』として肌に伝わってくるのです。



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越後育ちとして
越後の山奥で育ち、今は庭を生業にしているからでしょうか。

そこにある風景に懐かしさと安らぎ、そして何よりの『豊かさ』を感じます。


本来、厳しい自然と隣り合わせの暮らしでは、自然との闘いが基本スタンス。

庭の手入れも、掃除や洗濯と同じく「きちっと暮らさなくては」という生活のお作法になります。

ところが、里山の風景からはその『闘い』を感じません。

もし住人にインタビューをしたら、「闘い? とんでもない」と笑って返されることでしょう。



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豊かさの正体は「お天道様」
そこにある自然は敵ではなく、家族の暮らしを全力で支えてくれる、ありがたい『環境現象』・・・

いえ、いっそ「神様」と呼ぶ方がしっくりくるような。

お天道様のおかげで、という、かつては都会人も持っていた信仰に近い思考。

それこそが、里山から感じる豊かさの正体ではないか。つらつらと考えるうち、結論はそこへ行き着きました。


お天道様に感謝し、八百万(やおよろず)の神に柏手を打って一日が始まる。

昭和四十年代の田園では、まだ薄暗い時間に田んぼの水調整へ向かうお年寄りが、昇ってきたお日様にそっと手を合わせる光景がありました。

それこそが、文字通り『朝飯前』の一仕事だったのです。


さてと、仕事仕事。お天道様を背に受けて。







庭の呼吸法

今日は『庭の呼吸法』です。

このタイトルにザワッとした人、心の水面にさざなみが立った人は必見。

ついでにもうひとつ、フロイトに興味はありますか?……では、始めましょう。


ラジオ体操の締めくくりに「はい、大きく息を吸ってぇ〜」というのがあります。

武道でも、お寺の座禅会でも、必ずといっていいほど呼吸を指導されます。

呼吸を意識することは、きっと大切な健康法なのでしょう。




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ところが、普段から呼吸を意識している人など、まずいません。

オギャーと生まれた瞬間から始まる肺の反復運動は、心臓と同じ。

無意識の領域でぼくらのシステムを動かしているのですから、無意識でいることこそが「正解」です。

ただ、知恵として、調子が落ちたときに深呼吸をし、ストレスが溜まったときに溜息をつく。

それもまた「正解」なのです。




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「ため息は心を削るカンナかな」という江戸の古川柳がありますが、医学的には、ため息も深呼吸も身体への効用は同じだそうです。

畑の土に例えれば「発酵」と「腐敗」のようなもので、科学的にはどちらも同じ現象。

幸福論で有名なアランは「ため息はあらゆる場合において有効な、健康の知恵である」と書いています。




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つまり、ため息とは、必要に応じて物置(無意識領域)から畑(意識領域)へと持ち出して使う「庭の小道具」のようなもの。

そう解釈すればいいのです。

気が滅入って勝手に出るため息とは別に、意識的につく「深呼吸のような深いため息」を活用しましょう。




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アラン? 古川柳? 意識・無意識? ……少し理屈っぽかったでしょうか。

ぼくら人類は、無意識を意識化するのがあまり好きではありません。

意識した途端、自らの不出来が浮き彫りになるようで、怖さや不快感がつきまとうからです。

本当に嫌ですよね、フロイトなんて。


そこで『庭の呼吸法』です。




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理屈が苦手なら、無意識に深呼吸してしまうような「庭」を整えてみてはいかがでしょう。

庭にいると、いつの間にか呼吸が深くなっている。

けれど本人はそんなこと意識もせず、ただ庭がある暮らしを謳歌している。

ターシャ・テューダーのように。


庭とは、住む人の心身を、無意識のうちに好調へと導いてくれる場所なのです。


人を無意識に深呼吸させる庭。

その手法はいくらでもありますし、あなたも何か思いつくはずです。

まずはそれを整えてみてください。

あとはその庭で過ごすことを習慣にするだけ。

その先には、重たいため息とは無縁の日々が待っています。




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庭を楽しんでいる人たちは、こうして無意識のうちに庭にいざなわれ、いい顔をして暮らしています。


そう、庭ですよ、庭。花咲く庭があれば、人生は上々です。


人に深呼吸をさせる庭。
たとえば、バラの香りが漂っていたら……。



もうすぐですねえ。
あと半月、くらいかな。








仰ぎ見て 孤独のグルメ 大岡川

サクラの季節がやってくると、ぼくは毎年同じことを考え綴っています。

それは「見上げる」です。

サクラは人を見上げさせる。

人は見上げることで心身の調子が上がる。

調子が上がるからお花見を楽しんで、川沿いの桜並木を大切にする。

人とサクラのいい関係。



ソメイヨシノを毎年大量に写します。
撮らずにいられない魅惑の花。
そして毎回思うのは写真の無力さです。
(自分の力量は置いといて)
画像も映像もこの花を再現することなどできない。
プロだって、できっこない。
ソメイヨシノは体感する花なのでしょう。

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繰り返しになりますのでさらっと「心身の調子が上がる」の解説をしておきましょう。

見上げる動きは気道を開いて酸素を取り込み、瞳も開いて視野が広がり、背筋が伸びてリンパが流れ、空をバックにした花の姿に心が開放される。

光を背景にして見上げる位置に取り付けてある、教会のステンドグラスと同じ理屈で、サクラは人々を良き道へといざなってくれる花木なのです。

おやおやいったい何があったのかな子羊よ。

肩より低く首を垂れてトボトボ入ってくる人に「そんなに足元ばっかり見ていたら、かえってつまづいてしまうよ。顔をあげて、前を見て、空を仰いで進みなさい。アーメン」。



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この『見上げる効果』にはもう一つの理由がありますので、今日はそのことを。



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お母さんと手を繋いで歩いた記憶を引っ張り出してみてください。

転ばないように、駆け出して怪我をしないように、母親は子供の手をしっかり握って歩きます。

子供の歩調に合わせて、お話をしながら。

その時母を見上げる子供は完璧なるの信頼(安心)の中にいて、お母さんの言葉のひとつひとつを全知全能の神からの啓示として受け取っています。



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幼い子の世界観はとても狭いもので、自分と母親が世界の全てだという、そんな時期があるものです。

行動範囲は自宅、ひとりで行ける家の周辺、幼稚園、お菓子を買ってもらえるお店、その限られた場所を宇宙のように広く感じている。

その心理的には広大で物理的にはとても狭い世界を、幼子は発見と歓びと不思議が渦巻くワンダーランドと捉えています。

「ねえねえお母さん、あれは何?あれは?じゃああれは?」質問攻撃期はこの頃です。



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その時期に母の顔を「見上げる」ことは、100%リスペクトの「仰ぎ見る」だったはずで、瞳はステンドグラスに描かれた聖母マリアを仰ぎ見る信徒の如く、純粋無垢にキラキラしていたことでしょう。



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サクラは人を見上げさせる。

人はサクラを仰ぎ見る。

母に手を引かれて歩いた日のように。



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「親」や「大人」ではなく、あえて「母」という設定にしたのではありません。

やはり母親なんですよ、子供の心を健康に導く存在は。

ぼくは父親ですからなおさら強くそう思っています。

父親ができることなど、女房の口撃、激しい空爆にもめげることなく、顔で笑って心で泣いて、働いて働いて働いて働いて働いて、せっせと稼いでくることくらいのものです。



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明日から4月。自転車の取り締まり、税率アップ、値上げ、いろんな試みがスタートします。

それはいいとして、気になるのは離婚した夫婦に共同親権を認めるそうでして・・・ぼく自身、いつかそんな世の中になったらいいのになあ、と思っていたのはかれこれ30年前のこと。

ようやくそんな世の中がやってきたわけですけど、現実はそうそう単純ではないようです。

個々の事情に目を移したら虐待や依存症や暴力や、尋常ではない状況の末の離婚であって、子供は無垢な精神のままその嵐に巻き込まれているわけです。

はい、今月から共同親権ですから・・・というのはあまりに乱暴ですよね。

もちろん裁判所の判断は子供の心にフォーカスされているでしょうから、繊細なジャッジメントと指導がなされるでしょうけど。

問題は制度ではなく、別れた両親のそれぞれに親の資格があるかどうか、子供を育てる能力があるかどうかです。

自分の傷を癒すことで精一杯な人も多いですから(圧倒的に男の方が)。

双方ともダメならぼくが育てます(あ、つまり、社会が)。


お母さん、子供と手をつないだらお話をしながら歩いてくださいね。

「危ない!」と「早くしなさい!」を交互に叫びながら子供を引きずっていたのは昭和の風景。

今は幼い歩幅に合わせた歩みで、キラキラした瞳の問いかけに、ニコニコ回答しながら行きましょう。



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ライトアップされた大岡川の桜並木は今年も見事に咲いています。

上を見ながら行く人たちを対岸の居酒屋から眺めつつ、焼き鳥とお新香とホッピーで孤独のグルメ。

お客様の庭でお花見を終えた帰り道に、もう少しお花見気分を続けたかったもので。


見上げる、仰ぎ見る、母親、共同親権、つらつらとそんなことをが浮かび、手帳を取り出し書き留めました。


いいのいいの、大丈夫。

日本には鮮烈な四季があって、毎年ウキウキしながらソメイヨシノに集う民族の国なんですから。

春の天気みたいに行きつ戻りつしながらも、着実に世の中は良き方向へ向かいます。


・・・少し飲みすぎたかな。


あ、いかん、井之頭五郎は下戸でしたね。




 



癒しとは・・・

森林浴効果の新説

録画しておいたままだった過去放送の『 ホンマでっか!?TV 』から頂いたネタです。

これまで森林浴の効果は樹木から出るフィトンチッド(枝が折れたり皮が傷ついた時に発生する揮発性の抗菌物質)によるものとされてきましたが、最新の研究ではそれ以上に音が作用しているとのことのこと。

それも、人の耳では聞き取れない高周波の音域によって、心が癒されるのだそうです。

ホンマでっか!?



水温む春。
そろそろ森の小川にアメンボが出てきます。
波紋を見つめてシャッターを切る。
四葉のクローバー探しと同じく撮影散歩のお楽しみ。

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人に聞こえない音波があることはホンマですよね。

犬たちは気配でぼくの帰宅を察知し、足音が届くはずのない距離から騒ぎ出しますし、渡り鳥は音どころか、南極・北極から縦に流れている空中の電磁の波紋を頼りにして、地球の半分くらいの長距離を迷うことなく行き来しているのですから。


人には聞こえない、見えない、確認できない世界は広大に存在しているのです。

しかし悲しいかなそれを察知できないのがぼくらサピエンス。

猿から進化を続けてきた人類は、ハイスペックな頭脳と引き換えに感知能力を退化させてしまったのでしょう。



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直立して脳が大きくなるにつれ、考えすぎる癖がひどくなっていった人類。

考えるな感じろ!これはブルース・リーの台詞。

癒しとはまさにそのことで、他の動物には聞こえている自然界の音を感じ取ることで得られる安らぎ、整い、活力のこと。

聴覚の問題ではなく全身でその環境の音的なシャワー(気配・感じ・雰囲気)を浴びれば、四足歩行をしていた頃の遺伝子がスイッチ・オンして、他の動物と同等に「考えすぎない」思考回路がつながる。

するとあ〜ら不思議、悩みや不安が嘘みたいに消滅するというわけ。



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癒しとは、自然界の聞こえない音に耳を澄ますことで起こる脳の退行現象。

複雑に発達してしまった脳を猿の段階まで立ち返らせて、思考の澱を掃除すること。

森を浴びて、ぽっか〜んと口を開けて木漏れ日を見上げれば、ウッキッキー、人類発祥の地、南アフリカのジャングルにワープできます。



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聞き取れない音が心に作用しているとはつまり、Sound of Silence 。毎夜静寂の庭で過ごしていると、確かにそうだなと思います。

日中のごちゃごちゃが掃除されて脳が軽くなる。・・・これが癒しだなあって。


夜の庭は、森林浴効果も得られる場所です。



ベンジャミンとエレーンは
混沌とした感情を一掃する行動に出ました。
癒しとはちょっと違いますけど、
いい意味猿っぽくて美しい瞬間ですよね。
名作映画は数あれど、このラストシーンは珠玉です。








花は豹変す

「花」は草かんむりに化けると書く。

草が化ける。

道端の雑草がある日突然愛らしい花をつけている様子に、漢字作者はびっくりしたんでしょうねえ。

その花のことは小さい頃から見ていて知っていたはずですから、何に驚いたのかといえば「突然の開花」にハッとしたのでしょう。



春の花木は「突然の開花」の連続です。
長かった冬の間に溜め込んだエネルギーが春風に弾けるみたいに。

ミモザ
ミモザ
ミモザ2



中国の諺で「君子は豹変す」というのがあります。

これは人が凶暴な豹になることじゃなく、豹の体毛が秋に入れ替わって鮮やかな模様になる様を「豹変」というのだそうです。

だから「無口なあいつは酔うと豹変しておしゃべりになる」みたいな、ころっと態度が変わることというより、ある季節が来ると人変わりがしたように能力が開花する、その人本来の魅力が発揮される、そんなニュアンスです。



ソメイヨシノ
ソメイヨシノ
ソメイヨシノ2



三段論法。花は豹変す。



ハナモモ
ハナモモ
ハナモモ2



豹変したいですよねえ。

ぼくは豹変し続けたい。

ある季節が来たらじゃなく、日々開花するように変化するのが理想なんじゃないですかね。



モクレン
モクレン
モクレン2



ある日突然、ある時突然フレッシュに開花する。

花咲き続ける人生、いいイメージですよね。


豹変と似た言葉で『昇華』があります。

元々は化学的な現象をあらわすもので、それが心理学や文学に転用されたものとされています。

固体が昇って(気体になり)、その際にできる華(結晶)が咲いたように見えること。

昇って華が咲くから昇華。


混沌としていた思考や暮らしが、何かのきっかけで、それまで考えたこともなかったカタチへと変貌し(例えばインスタの写真がブレイクして写真家になる、とか)、新たな道が開かれるというようなことです。

これもいい感じです。



ヤエザクラ
ヤエザクラ
ヤエザクラ2



メダリストはメダル獲得をイメージし続けた人に限られる。

散歩をしていて気がついたらエベレストの頂上に立っていた、などということな起こらない。

目標(目的地)を設定して、ひたすらそこへ向かう者のみが夢を実現できる。

これらは昭和時代の自己啓発本に出てくる決まり文句です。

そ、そ、そうなの!?ぼくなんかは頭がほんわかした少年でしたから、人生って大変なんだなあと、半ば茫然としたものでした。


今は、あれは間違った教えだったと言い切れます。

そうじゃなくてですね、夢は懐で温めておいて、日々花咲く時間を送ることが正解なのですよ。

世の中的に大成功しているのに幸せじゃない人は数知れず、それどころか成功の後に転落の人生が待っていた、なんていうこともよくある話ですから。

彼らの何がいけないかったのかは言わずもがな。



ハナミズキ
ハナミズキ
ハナミズキ2



毎朝、店の前を散歩で通るご夫婦と挨拶を交わすのが日課になっています。

80代・・・後半かなあ。お揃いのダウンを着て、帽子をかぶって、これまたお揃いのニューバランスを履いて。

お孫さんがコーディネートしたのか、なかなかのオシャレっぷり。

そして穏やかな気持ちが伝わってくる可愛らしい歩き方をする、笑い皺いっぱいの老夫婦です。


目で後を追うと、草花や花木を見つけては立ち止まって、顔を見合わせ会話をしています。

なんだか泣けるほどの理想の夫婦像に思えて、「おはようございます」と言うだけなんですけど、朝から良質なパワーを頂戴しています。


このおふたりにも当然苦労や苦難があったはずで、でも思うんですね、花咲き続けてきたんだろうなあって。

その何よりの証拠が、今、花満開に見えること。

「いつも言われたふたりの影には愛が見えると」

これは因幡晃の『わかってください』のワンフレーズ。

あれは失恋の歌ですけど、こちらは人生をかけて恋愛を成就させたご夫婦だなあと、いやはや、あやかりたいあやかりたい。


ある日突然の開花を積み重ねる人生、で、ありたいなあ。ふたりでね。







サイタ サイタ サクラガサイタ

開花宣言の朝、隣家の桜が宣言通りに開き出しました。

さあここから、今年も花いっぱいの季節の始まり始まり〜。



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昭和の言い方で「あと何回この花を見られるだろうか」という、テンプレートというか常套句がありました。

小さい頃(昭和40年代)はまだ世の中には『やや戦後』の空気感だったので、「貴様と俺とは同期の桜 咲いた花なら散るのは覚悟 みごと散りましょ国のため」が、夜になると歓楽街のスタンドバーから漏れ聞こえてくる、そんな時代でした。

パチンコ屋の定番は軍艦マーチだったし、蘇州夜曲、別れのブルース、酒は涙か溜息か・・・やや戦後。



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あれから幾星霜、桜にそのような決死の覚悟の悲壮感、無常感、涙を連想することはなくなりました。

道ゆく人は足を止め、みなさんフレッシュに花を見上げています。

この、人を見上げさせることが、ぼくはソメイヨシノの最大の魅力だと思うのです。



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上空の花に誘われて見上げる。

瞳が開いて光が入ってくる。

顎が上がるので口がポカーンとなり気道が開いて、自然と深呼吸をしている。

背筋が伸びる。

ついでに、記憶の棚からお花見の賑わいや入学式で咲いていた校庭のシーンを思い出すことでしょう。



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こんな威力を持った花は、他にはありませんよね。



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貴様と俺とは同期の桜、同じ兵学校の庭に咲く。

おふざけで口ずさんだことはあったものの、それは親世代の大ヒット曲です。

時代ですよね。

年号は昭和から平成へ。印象的だったのが『夜桜お七』。

あれは戦後感覚をオマージュしながら情念的な演歌に仕立てた曲で、確かベストテン番組に出ていたから・・・坂本冬美・・・調べたら1994年でした。

ぼく34歳。あのあたりからようやく、桜に乗っけられた戦後感が消えていったのかなあ。

その後はご存じ桜ソングの時代がやってきます。

河口恭吾、ケツメイシ、森山直太朗、コブクロ、アンジェラ・アキ、いきものがかり、サザン、福山雅治、宇多田ヒカル・・・数年に渡ってまあ次から次へと桜の曲がヒットしました。



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これほど歌になるということは、やはり多くの人の記憶に咲いている特別な花なんですよね。

もっと遡れば在原業平の「世の中に絶えて桜のなかりせば」や良寛さんの「散る桜 残る桜も散る桜」とか、短歌や俳句のお題でもありました。



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歌は世に連れ世は歌につれ 変わらぬものは桜花かな



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人を見上げさせる特別な花を、これから10日ほどですかね、存分に楽しもうじゃありませんか。

花に目がいく、意識がいく、思いを馳せる、なんと素晴らしいことか。

戦争に巻き込まれたりしたらそれどころじゃなくなりますから。



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そうそう、ソメイヨシノの寿命がそろそろ尽きてしまうという危惧を耳にしたのは二十歳の頃でした。

ですから45年前。

あと、ススキが外来種のセイタカアワダチソウに駆逐されるというのも話題になりました。

でも、まだ尽きていませんよね。

たぶんこれほど素晴らしい花木が暮らしから尽きることはないです。

少なくともこっちの寿命の方が先に尽きてしまいます。



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散る桜 残る桜も散る桜 みごと咲きましょ◯◯◯◯◯



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◯◯◯◯◯に、あなたは何を入れますか? 

人のため、家族のため、自分らしく、大願成就・・・まさか・・・国のため?



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孫たちが大人になっても、ポッカーンと口を開けて花を見上げる世の中でありますように。

サイタ、サイタ、サクラガサイタ。







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